鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

債務免除はなぜよくないか

私のところには、私が銀行OBということ

もあって、銀行から受けている融資につい

て、債務免除できるかというご相談に来る

会社経営者の方が少なくありません。


いま、「債務免除」と書きましたが、ご相

談される方のほとんどは「債務免除」とい

う言葉は口にしません。


「銀行への融資の返済がきついので、なん

とかうまく融資を返済しないで済む方法を

教えて欲しい」という依頼をします。


詳細な説明は割愛しますが、そんなうまい

話があるわけはなく、そういうことができ

ると思って相談に来るのは、それができる

というようなことをにおわせている、自称

「融資コンサルタント」がいるからなので

しょう。


仮に、そのような自称「融資コンサルタン

ト」が、融資を返済しないですむようにし

てくれたとしても、それは、違法な方法に

よるもので、その方法に手を染めてしまえ

ば、そのコンサルタントだけでなく、その

会社経営者も犯罪者に陥ってしまうことに

なります。


話がそれますが、はなから、「コンサルタ

ントなのだから、たとえ、違法なことやグ

レーなことであっても、クライアントのた

めならなんでも引き受けるべきだ」という

顔をしてお話をする方もたまにいて、困っ

てしまうこともあります。


話を戻して、今回、債務免除の相談につい

て触れたのは、「債務免除に応じてもらお

うとすることは虫がいい考えなので、控え

なければならない」ということをお伝えし

たかったからではありません。

 

仮に、法律、会計、融資などの知識がとぼ

しいとしても、融資の返済をしなくてすま

せようという考え方を経営者の方が持って

いることが、そもそも事業がうまくいかな

い原因になっているのではないかと、私は

考えているからです。


融資の返済を免れようとすることは、道徳

的によくないということもありますが、自

分だけ、自社だけがよければ、それでいい

というような我田引水的な発想を経営者が

していれば、事業もうまくいかないでしょ

う。


ですから、そのような考え方を持つ経営者

がいる会社は、仮に、銀行から債務を免除

してもらっても、業績はよくならないと私

は考えています。


ちなみに、事業に真摯に取り組んでいても

事業に失敗することがあり、そのような会

社の経営者の方には再チャレンジの機会が

与えられるべきであることは言うまでもあ

りません。


そこで、現在は、経営者保証ガイドライン

によって、融資が返済できなくなった会社

の保証人となっていた経営者には、銀行が

「保証債務の履行に当たり、保証人に一定

の生活費等(従来の自由財産99万円に加

え、年齢等に応じて100万円から360

万円)を残すことや、華美でない自宅等に

住み続けられるよう検討すること」になっ

ています。


(ご参考→ https://goo.gl/b81o2h

 

 

 

 

 

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モラトリアム法のつけ

先日、日本経済新聞が、中小企業金融円滑

化法(モラトリアム法)に関する記事を報

道していました。


(ご参考→ https://goo.gl/n27Bck


すなわち、モラトリアム法に基づいて、地

方銀行が融資の返済を猶予していた会社が

経営破たんし、その結果、地方銀行がその

会社に対して債務免除をすることになった

というものです。


モラトリアム法が施行される前でも、銀行

は、業績の良くない会社であっても、融資

の返済を猶予することで業績が回復する見

込みがあれば、返済猶予に応じていました

が、同法は、実質的にどんな会社でも融資

の返済を猶予することを銀行に応じさせる

ものでした。


その代わり、これも正確な表より現ではな

いことをご了承いただきたいのですが、金

融庁は、返済猶予に応じた会社への融資は

不良債権としなくてもよいということにし

て、銀行が返済猶予に応じやすくなるよう

な配慮も行われていました。


このモラトリアム法は、功罪の双方がある

と思いますが、私は、前述の記事にもある

ように、「罪」の方が大きいと思っていま

す。


モラトリアム法は、平成25年3月に効力

がなくなったものの、その後も金融庁は、

同法に基づく対応と同様の対応を、引き続

き実施するよう、金融機関に要請していま

す。


しかし、今年3月で金融検査マニュアルが

廃止されることもあり、これからは、金融

機関の自主的な判断がより尊重されるよう

になることから、返済猶予はより現実的な

再生見込みがない会社に対しては応じても

らえなくなると私は考えています。


今回の記事の結論は、現在は規制緩和が進

んでいることから、「弱者」という前提で

中小企業を配慮する施策は減っていくこと

が明確になりつつあるということです。


このひとつの例は、金融検査マニュアルの

廃止です。


でも、規制緩和が進んでいるということの

裏を返せば、中小企業も大企業と互角に戦

える時代でもあるので、そういう技術やス

キルを持っている会社こそ、銀行からより

多くの支援を受けることができるようにも

なってきていると、私は考えています。

 

 

 

 

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AI融資へどう対応するか

先日、日本経済新聞が、「3メガ銀行と地

銀など18社は、ベンチャー企業と新会社

を設立し、人工知能を駆使した中小企業向

け融資に参入する共通のデータ基盤をつく

る」( https://goo.gl/6msBAJ )と報道し

ていました。


最近は、AI融資が注目されていることも

あり、今回は、AI融資に関する注意点に

ついて述べたいと思います。


まず、前述の報道によれば、「(銀行など

の18社で設立した新会社は)『動態モニ

タリング』と呼ばれる融資先の日々の取引

を行員が瞬時に把握できるソフトを開発し

ており、新会社は決算書がなくても融資で

きる支援体制を敷く」そうです。


これについては、銀行の融資事務の合理化

は期待できると私も感じますが、銀行の融

資事務の簡単な部分に限定されると思いま

す。


なぜなら、決算書なしで融資は可能であは

あると私も思いますが、それは、通常に発

生する運転資金に限定されるでしょう。


また、融資を受ける会社側も、簡単に融資

申し込みができるとすれば、それは歓迎す

ると思いますが、運転資金だけ融資を受け

ることができればよいというステージは、

創業間もない段階や、事業規模が小さいと

きだけでしょう。


その一方で、これは、融資を受ける側の方

にもご理解いただけると思いますが、真に

銀行が期待されているところは、会社が命

運をかけるときや、会社がピンチになった

ときであっても、銀行は支援をしてくれる

かどうかということです。


そのようなときの判断は、決算書を使わな

いで、かつ、AIに判断を委ねるというこ

とは、銀行もしないでしょう。


従って、AI融資は、当面は小口の運転資

金という限定的な範囲にとどまるというの

が、私の予想です。


とはいえ、事業規模が小さい会社からの小

口の運転資金の申し込みは、AIに審査を

集中させて委ねるという傾向が強まる可能

性もあります。


そういった面からは、事業規模の小さい会

社は、会計情報をタイムーに銀行に提供で

きるよう、体制を整えておく必要は、より

高まると思います。

 

 

 

 

 

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霧の中を行けば覚えざるに衣しめる

数年前ですが、駒澤大学の教授の方が、日

本放送協会のテレビ番組にご出演され、曹

洞宗の開祖の道元禅師の残した、「霧の中

を行けば、覚えざるに衣しめる」という言

葉を解説されておられたことが印象に残っ

ています。


(ご参考→ https://goo.gl/FhCUHo


その言葉の意味は、「霧の中を歩いて行く

と、知らないうちに衣服が湿っているよう

に、良い人と一緒にいると、知らないうち

に良い人となっている」ということです。


これを聞いて、私がサラリーマン時代の1

~2年目のときも、お手本となるような先

輩社員に少しでも近づこうとして、直接、

仕事の仕方は教えてもらえなかったけれど

も、そういう人たちの普段からやっている

ことだけでも真似しようとしていたことを

思い出しました。


例えば、基本的な行動ですが、会議の開始

時刻の5分前に会議室に行く、締切の何日

前に仕事を終わらせる、他の人の話は終わ

るまで口を挟まずにじっと聞く、顧客から

苦情があったときはすぐに謝りに行くとい

うようなことです。


そして、そのようにして先輩たちから私が

学んだことは、社会人としていまでも役に

立っていると感じています。


中小企業経営者の中に方も、社内によい人

材がいないという悩みをお持ちの方が多い

と思いますが、もし、経営者の方自身が、

従業員の方からお手本にしたい人と思って

もらうだけでも、従業員の方たちに「覚え

ざるに」よい人材に近づいてもらえるので

はないでしょうか?


人材育成というと、ジョブローテーション

や、OJT、Off-JTなどを思い浮か

べる方が多く、それが基本であることに間

違いはないですが、もう少し基本的な部分

は、上司が「霧」になって部下を「湿らせ

る」ことも必要だと思います。


私もまだまだ未熟ながら、私より若い方か

ら「霧」と思ってもらえるようになること

を目指して行きたいと思います。

 

 

 

 

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悪妻に感謝する

群馬県太田市の寺院、瑞岩寺の住職の長谷

川俊道さんの制作しているポッドキャスト

に、ゲストとしてご出演された、コピーラ

イターのひすいこたろうさんのお話を聞き

ました。


(ご参考→ https://goo.gl/XY5bac


ひすいさんは、かつて、結婚して4~5年

後のころ、ご夫人との価値観の違いから、

離婚も考えるようになったそうです。


そこで、夫婦の仲が戻る可能性を見つける

ために、心理学者の小林正観さんから心理

学を学ぶことにしたそうです。


その小林さんは、ひすいさんに、人生に逆

風が吹いているときこそ、人間は成長でき

るとお話されたそうです。


それを聞いたひすいさんは、離婚したいと

思っていた相手である、ひすいさんのご夫

人が、実は、自分を成長させてくれていた

ということに気づいたそうです。


例えば、ひすいさんは、現在、多くのベス

トセラーをご出版されておられますが、そ

れは心理学を学んだから書けるのであり、

その心理学を学ぶきっかけは、ご夫人との

関係が悪化したことによるものです。


また、ひすいさんのご夫人は、ひすいさん

の真逆で、まったく本を読む習慣がない人

なのだそうですが、ひすいさんの本がベス

トセラーになったのは、ご夫人のような本

を読まない人をターゲットとしたためであ

り、そのようなご夫人が身近にいたからこ

そ、ひすいさんは本を読む習慣がない人を

イメージしながら本を書くことが容易にで

きたそうです。


このことは、とても理解しやすい内容なの

ですが、やはり、私も含め、多くの人は、

自分の意図に反する行動をする人は邪魔な

存在と考えてしまいがちだと思います。


例えば、中小企業の経営者の方の中には、

自社には優秀な人材がいないと嘆いたり、

銀行は融資をしてくれないと不満を持って

しまったりする方が少なくありません。


でも、(失礼な書き方ですが)あまり優秀

な人材が自社にいなければ、自社で人材を

育成する方法を習得するきっかけになりま

すし、それを習得すれば、ライバルとの競

争で優位になります。


また、銀行が融資をしてくれなければ、そ

の原因を探し、自社の事業を改善するきっ

かけになります。


ちなみに、ひすいさんは、ご夫人との関係

はいまでも変わっていないようですが、離

婚したいと思うどころか、ご夫人に感謝す

るようになったということです。


これは、ちょっと感情的にはすぐには受け

入れられないかもしれませんが、嫌な相手

こそ感謝すべき相手なのかもしれないと、

ひすいさんのお話をきいて感じました。

 

 

 

 

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得るものと手放すもの

私がこれまで事業改善のお手伝いをしてき

た会社の中には、経営者の方が事業を成長

させたいと考えつつも、なかなかそれを実

現できないでいる会社が、少なくありませ

んでした。


その原因はひとつに限らないのですが、最

大の要因は、組織を大きくできないという

ことです。


会社によってはスーパー営業マンがいて、

そのような従業員によって売上を増やすこ

とはできるかもしれませんが、それは契約

をとるだけであって、せっかく営業マンが

大口契約をとってきても、実際に、多くの

製品や商品を製造したり販売したりするに

は、それなりの人材が必要になるので、事

業を大きくする場合は組織も大きくするこ

とは避けられないことになります。


ところが、中小企業では、経営者が直接手

を下さないと、組織を大きくすることがで

きません。


採用などは人事担当者に任せることができ

るかもしれませんが、従業員数を増やすだ

けでは課題は解決しません。


事業を円滑に遂行するには組織的な活動が

できるような体制整備が必要になるので、

そのための事業方針を決めたり、それに

沿った人員配置などは、最終的には経営者

が決断することになります。


ここまで書いてきたような、事業を拡大す

る→従業員数を増やす→組織の管理業務が

増えるという構造は、多くの方に経験的に

ご理解していただけると思います。


そして、組織の管理業務は経営者に代わっ

て行える人はいないので、事業を拡大しよ

うとすると、経営者は徐々に管理業務に専

念せざるを得ないことになります。


その一方で、自分の考える方針で事業を実

践したいという動機で会社を起こした経営

者の方の中には、せっかく自ら会社を起こ

したのだから、自分のやりたいようにやり

たいので、管理業務はわずらわしいと感じ

る方もいます。


その考え方が決して間違ってはいないので

すが、その場合は、小規模な組織で持続で

きる事業を行うことが前提となります。


今回の記事の結論は、事業を大きくしたい

と考える経営者の方は、その考えを実現す

るために、「管理業務」に軸足を置かなけ

ればならなくなるということです。


中小企業経営者の方の中には、このことを

理解した上で起業されている方もたくさん

いますが、実際に起業するまで経営者の管

理業務の多さが分からなかったという方も

少なくないと感じましたので、今回、改め

て記事にいたしました。

 

 

 

 

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銀行職員はサラリーマンに過ぎない

私が銀行で働いていたときのことですが、

あるお取引先の社長さんから、「会社でセ

ルシオ(当時のトヨタの最上位の高級車)

を買おうと思っているのだけれど、君はど

う思う?」ときかれたことがありました。


私は、「すぐに買いましょう。もしよろし

ければディーラーさんをご紹介しますよ」

と即答したのですが、その社長さんは「実

は、ほかの銀行さんにも同じことを聞いた

ら、あまり自動車にお金をかけないほうが

いいと言われたんだよね」とお話をされま

した。


私は、その社長さんは、高級車を所有する

ことで会社のステータスを高めようという

ことを意図していることが分かっていたの

で、自動車購入を前向きに考えるべきと答

えたのですが、恐らく、否定的に考えた別

の銀行の方は、経費を抑えるべきという観

点から回答したのだと思います。


しかし、たとえ、中小企業であっても、経

営者の方は自分の発言力を高めることが大

切どいうことを身を持って経験しており、

もちろん、高級車を買えばすべてが解決す

るわけではありませんが、だからといって

大衆車に乗ることが必ずしも適切ではない

と、私は考えています。


このような、銀行職員の視点と経営者の視

点の食い違いは珍しくありません。


例えば、従業員の福利厚生のために、会社

が全額を負担して忘年会を開くとき、銀行

職員の中には経費の無駄遣いと判断する人

もいます。


私は両方の例を見ていますが、単に惰性で

忘年会の費用を会社負担としている会社も

ありますが、きちんと人材育成方針を作っ

て、それに基づいて会社負担で忘年会を開

いている場合は、私はそのような経営者の

判断は尊重すべきと思っています。


これはよく言われることなのですが、銀行

職員は、事業会社に融資できるかどうかの

判断はしますが、それは、融資が回収でき

そうかどうかという基準での判断が主なも

のです。


でも、会社経営者は、有機的な事業活動を

より大局的な視点で意思決定をします。


そのような経営者の意思決定は、サラリー

マンである銀行職員には直ちに理解しにく

い面もあります。


そういう私も、完全に経営者の判断を理解

しているとはいえません。


そこで、そのような経営者の意思決定につ

いて、どうあるべきかを理解しようと努め

た時がありました。


でも、やはりそれは最終的には実際に経営

者になってみなければわからないという結

論になりました。


そのため、私は、いまはコンサルティング

を仕事としていますが、コンサルタント

して経営者の判断を最善のものとなるよう

に支援することに徹しています。


やはり、経営者が行うべき判断は、経営者

になったものにしかできないものです。


話を戻すと、サラリーマンである銀行職員

は、経営者の立場を理解できないこともあ

りますが、それはやむを得ないということ

です。


ただ、銀行職員は銀行職員として最大限の

努力を払って判断をしているので、経営者

の方もそれを尊重し、経営者の方の判断が

独り善がりにならないようにするための参

考にすることが大切だと思います。

 

 

 

 

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