鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

資料提出の壁

よく、私のところには、創業するにあたっ

て日本政策金融公庫(かつての国民生活金

融公庫)に融資の申し込みをしたものの、

承認が得られず、どうしたらよいかという

ご相談を受けます。


そのようなご相談を受けた方には、よほど

のことがなければ、私がヒアリングして、

それを資料にしてまとめたものを、信用保

証協会に提出すれば、創業者向制度融資の

承認を受けることができます。


この例については、創業者の方からのご相

談でしたが、すでに開業している方からも

同様のご相談を受けることがあります。


すなわち、融資の申し込みに行ったのだけ

れども、提出してほしいと言われた書類を

提出できなくて、結果的に融資を断念した

というようなものです。


そのような会社であっても、私がヒアリ

グをした結果、きちんとお金の流れを銀行

に説明できれば承認が得られると思われる

ような状態でした。


すなわち、融資の承認の大きな要素とし

て、銀行が知りたい情報をきちんと伝えら

れたかどうかというものが挙げられます。


もし、融資を受けることに問題がなさそう

な会社であるにもかかわらず、きちんと説

明ができなかった、資料が出せなかったと

いうことで、融資の承認が得られなかった

とすれば、それはとてももったいないこと

だと思います。


では、どうすれば銀行が知りたい情報をき

ちんと伝えられるかということですが、ひ

とつは、普段からこまめに銀行に行くとい

う方法があります。


この方法は、融資を申し込む側は、期限が

迫った融資を申し込まなければならないと

いうわけではない状態で、心に余裕をもっ

て自社の状況をお話できるので、銀行から

の質問により的確な回答ができるようにな

ります。


銀行側は、会社の状況を数回に分けて聞く

ことで、「この点がよくわからないので、

また銀行に来た時に教えてください」など

と「宿題」を出すことで、銀行にとっての

不明点が少なくなっていきます。


このようなことを繰り返すことで、いざ融

資を受けたいというときに、1から10ま

で説明が始まるということもなくり、資料

提出の負担も大きく減るでしょう。


ふたつめの対策は、銀行が要求する主要な

資料、すなわち月次試算表や資金繰予定表

などを、銀行からの要求がなくても常に作

成する体制を整えておくことです。


これは、私のクライアントさまへのご支援

の経験で分かるのですが、中小企業の経営

者の方や経理担当者の方は、私が資金繰予

定表の作成方法をお教えすると、2~3回

経験すれば、独力で作成できるようになり

ます。


このようなポイントのみ抑えれば、単に資

料が提出できなくて融資を受けられずに苦

労するということは避けることができるで

しょう。


困ったことが起きてから対処するよりも、

困ることが起きたときに普段から備えてお

くことは、事業を円滑に進めるためにのポ

イントです。

 

 

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赤字の原因の原因

クライアントさまの中小企業の事業改善の

お手伝いをしていて感じたことなのです

が、なぜ、赤字の原因を調べる方法や、そ

れを改善する方法が知られているのに、赤

字の会社はなくならないのか、すなわち、

赤字の原因の、さらにその原因はなんなの

かということについて考えてみました。


まず、赤字とはどういうことかということ

を、簡単に言えば、収益よりも費用が多い

ということです。


そして、財務分析によって、赤字の原因が

わかり、それにしたがってその詳しい改善

策も判明します。


しかしながら、なぜ、赤字を改善できない

のかというと、私は、大きく2つの原因が

あると思っています。


ひとつは、経営者の方が、自社の業績を会

計の側面を通して分析することに明るくな

いか、または、そのようなことに関心がな

いということです。


ここに誤解が入りやすいのですが、私は、

必ずしも経営者の方が会計の専門知識を身

に着ける必要はないと思っています。


ただし、経営者として意思決定をする情報

を収集したり、それを読み取る程度の能力

は必要だと思います。


すなわち、経営者の方が必ずしも会計が得

意でなくてもよいとは思いますが、苦手の

ままであったり、そもそも見向きもしない

ということでは、経営者の役割を担うこと

はできないと考えています。


希に、経営者の方が、会計について詳しく

なく、かつ、まったく会計の情報を活用し

ていないという会社で、黒字を維持してい

る例がありますが、それはレアケースとい

えるでしょう。


そのような例外的な会社は、もともと、ほ

かに何らかのとびぬけた能力を経営者が

持っている会社であり、一般的には管理す

ることなしに黒字を維持することは難しい

でしょう。


さらに、仮に、事業管理をしていない会社

が黒字になっていたとしても、管理をすれ

ば、さらに黒字額が増えるのではないかと

思います。


話を戻して、会計についてあまり重要でな

いと考えている経営者の方は、管理しなく

ても、単に、事業に取り組んでさえいれ

ば、事業は黒字になると考えているか、業

績がどうであれ、事業を営むということそ

のものの方が重要であると考えているので

しょう。


すなわち、事業を黒字にすることが最優先

と考えていないということが、ひとつめの

原因だと私は考えています。


ふたつめの原因は、心理的なものです。


経営者の方にとって、仕事がなくなるとい

うことは、なんとしても避けたいこという

心理が働くようです。


これについては、かつて、私もそのような

気持ちになったことがあります。


せっかくコンサルタントになったのに、仕

事をしていなければ、コンサルタントとい

えないのではないかという心理が働き、採

算の合わない仕事を受けていました。


しかし、後になって冷静に考えれば、それ

は意味のないどころか、自分に損害をもた

らしたすことになっていました。


採算の合う仕事が見つからないときに、本

当にやらなければならないことは、不採算

の仕事を受けることではなく、採算の合う

仕事をとる努力をすることでした。


そして、経営者の方が、採算の合わない仕

事を受けてしまうもうひとつの要因は、採

算の合わない仕事は直ちに問題が表面化し

ないということも挙げられます。


すなわち、「この仕事は赤字だが、将来は

採算の合う仕事につなげたい」と、赤字の

仕事を受けたことを正当化することがあり

ます。


しかし、その仕事が必ずしも将来の黒字を

もたらすとは限らない、むしろ、ずっと赤

字の取引が続くことの方が多いばかりか、

赤字の仕事を受けた経営者の方が、その相

手との採算管理を実際には行わないという

ことも少なくありません。


さらに問題であることは、その採算の合わ

ない仕事を続けても、そのことが表面化す

るのは決算を迎えてからということです。


月次試算表でしっかり管理していれば別で

すが(そういう会社はそもそも不採算の取

引を受けることもしませんが)、そうでな

い限り、決算を迎えるまでは、前期の決算

が最新の成績であり、心理的に不採算の仕

事を受けてしまいがちです。


このような面からも、月次管理を行う必要

性があると言えます。


今回の記事の結論は、赤字の会社が赤字に

なる原因の原因は、その会社の経営者が自

社を黒字にすることを最優先にしていな

い、すなわち、事業をすることが目的で

あったり、経営者の体面を保つことが優先

されているということです。


これに対して、「現在の日本の経営環境で

は、事業をなかなか黒字にできないから、

そんな建前をきいても意味がない」という

反論があるかもしれません。


しかし、一時的に赤字になることはあると

しても、長期的には事業が黒字にならなけ

れば、経営者は評価されないと思います。


ちょっと厳しいですが、ほとんどの経営者

の方は評価される経営者を目指していると

思います。


そのためには、事業を黒字にすることが最

優先であるという責務からは逃れられない

でしょう。

 

 

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十六善神

今回も、芥川賞作家で、福島県田村郡三春

町の禅寺(臨済宗妙心寺派福聚寺)の住職

を務める玄侑宗久さんが、ポッドキャスト

番組でお話しされておられたことについて

感想を書きたいと思います。


(ご参考→ https://goo.gl/YuYQoA


玄侑さんによれば、「西遊記のモデルに

なった玄奘三蔵は、インドから唐代の中国

に、600巻に及ぶ大般若経を持ち帰った。


それは、玄奘三蔵がひとりで持ち帰ったと

伝えられているが、後世の人たちから、そ

の偉業はとてもひとりで成し遂げることは

難しいことであり、16人の神、すなわち

十六善神のご加護があったと考えられるよ

うになった。


そこで、その十六善神が、大般若経を運ん

でいる玄奘三蔵を守っている様子を、十六

善神図としてかかれるようになった」そう

です。


そして、玄侑さんは、このような偉業に挑

もうとするときに神の庇護があるという考

え方は、オリンピック選手がよい結果にな

るとイメージして競技に臨むと、実際によ

い成績が出るということと似ているとご指

摘されておられました。


このご指摘は、玄侑さんが宗教家であるの

で、人が何かを成し遂げたいと思う時は、

それを神仏が手助けしてくれるというよう

な、単純なことを述べていると考える方

は、ほとんどいないと思います。


オリンピックでメダルをとるくらいまでと

はいかないまでも、普通の人にはなかなか

できないことに、周到な準備と大きな決意

をもって臨む人にこそ、天の助けのような

ものがあるということをお話されておられ

るのだと思います。


すなわち、「人事を尽くして天命を待つ」

ということでしょう。


今回は、単に、昔から言われていることわ

ざについて述べることになったのですが、

それは、人事を尽くして天命を待つという

考えを持つ人が減ったような気がしたから

です。


その代わり、人事を尽くさないで天命を

待って(きちんとした手順を踏まずに結果

だけを求める)いたり、そもそも天命を待

つようなこと(困難な課題に挑むこと)を

避けたりする人が多いと感じています。


もちろん、非効率なことは避けるべきです

が、それは安易な方法を選ぶということと

は意味が異なることだと思います。

 

 

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ビジネスを編集する

作家の安田佳生さんが制作しているポッド

キャスト番組で、安田さんが、小説を書け

る人は編集能力が高いということをお話し

ておられました。


(ご参考→ https://goo.gl/oiY81Z


この編集能力とは、ストーリーに矛盾が起

きないよう整合性を維持する能力を指して

いるそうです。


そして、このような能力はビジネスにも応

用できるそうです。


例えば、高い編集能力を持っている人は、

社長が目指している会社はどのような会社

であるかということをきいて、その会社に

はどのような事業が適しているか、どのよ

うな商品が適しているか、どのような売り

方が適しているかといったことが、すぐに

分かるそうです。


実は、この話をきいたとき、私にも心あた

りのあることが、たくさん思い浮かびまし

た。


といっても、編集能力の高い人のことでは

なく、そのような人に「ビジネスを編集」

してもらった方がよいと思われる会社のこ

とです。


例えば、「お客さまのご要望に迅速に対応

します」というキャッチフレーズを打って

おきながら、電話に出られる人が常駐して

いなかったり、顧客から電話での要望が届

いても、それに応えるための意思決定の方

法や役割分担が定められていなかったりす

る会社を見る時があります。


経営者の思いは、迅速な対応をしたいとい

うことであっても、体制整備まで行われて

いなければ、潜在的な顧客からは、迅速と

うたっていても、それは表向きの耳障りの

いい言葉にすぎないと受け止められてしま

いかねません。


そして、このような整合性のない状態は、

当事者にはなかなか気づきにくく、外部の

人でないと気づかないことも多いようで

す。


(このことは、私自身にも言えることと、

自覚しています)


実は、私は事業の改善のお手伝いをしてい

る会社に対して、このような整合性のない

ことに気づくことが多々あります。


とはいえ、それは機会があるまでは口にし

ないようにしています。


というのは、私にお手伝いを依頼した経営

者の方は、整合性を直すために私にお手伝

いを依頼したのではなく、経営者の方が最

重要と考える別の課題を解決するために私

にお手伝いを依頼したからです。


経営者が望むことが終わるまでは、こちら

から改善が望ましいと気づいたことを述べ

ても、それまで一度に取り組むことは容易

ではありません。


ただ、ご縁があったのに、私が気づいたこ

とを述べさせていだく機会がないままに、

ご縁がなくなることもちょっともったいな

いと思うこともあります。


話を戻して、今回の記事の結論は、外部の

専門家の助力を得ずに、単独で事業を行っ

ている会社は、どうしても整合性がとれな

い部分ができてしまうので、なるべくその

ような部分がでないよう、「ビジネスの編

集能力」を持つことを心がけることが大切

ということです。


また、その整合性は、できれば外部の人、

すなわちコンサルタントなどに確認しても

らうと、よりよい事業に磨かれるというこ

とです。

 

 

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読書の薦め

今回の記事の結論は、読書はよいことです

という一言で終わりなのですが、なぜ、よ

いことなのかということについて述べたい

と思います。


約1年半前のことですが、私が制作してい

ポッドキャスト番組に、東京都江戸川区

で不動産会社を経営している馬込さんに出

演していただきました。


(ご参考→ https://goo.gl/mvDE92


馬込さんは、1年間に350冊の本を読む

読書家で、本を読むことの効果についてお

話しいただきました。


これは、ここであえて述べなくてもご理解

いただけることとは思いますが、いまは、

たくさんの本が出版されているおかげで、

自分が分からない分野についても、本を読

めば、相当詳しくなることができます。


馬込さんは、ほぼ一人で事業を行っている

ので、受けられる仕事の幅はおのずと限ら

れてしまいますが、そのような中にあって

も、未知の分野の仕事を受けたときは、そ

の分野に関する本を読むことで、自信を

もって仕事を受けることができるように

なったそうです。


簡単に言えば、読書で仕事の幅が広がると

いうことなのですが、馬込さんのように、

それを実践している人はまだまだ少ないと

感じています。


とはいえ、「本を読めば、いろんな仕事が

できるようになるという理屈はわかるけれ

ど、そんな時間の余裕がない」という人も

多いと思います。


結局は、読書が大切だと分かっていても、

それだけでは何の意味もなく、実践するか

どうかということが問題だということで

す。


ところで、馬込さんから読書について話を

きいたときに、田中元総理大臣の秘書をし

ていた、早坂茂三さん(故人)が、早坂さ

んの本に書いていた、ある新聞記者のお話

を思い出しました。


そのお話とは、早坂さんの知人の若い新聞

記者が、長野県の奥深い山村にある農家

を、取材のために訪ねていったときのこと

です。


目的の農家に着いたところ、その農家のご

家族と思われる中年のご婦人が、パソコン

に向かって手際よく仕事をしていたそうで

す。


その様子に驚いた記者は、そのご婦人に、

「あなたは、どの大学をご卒業されたので

すか」と尋ねたそうです。


そうすると、そのご婦人は、パソコンのそ

ばに高く積み上げられたマニュアルを指し

て、「私は中学校しか卒業していないけれ

ど、このマニュアルをちゃんと読めば、誰

だってパソコンが使えるようになるよ」と

答えたそうです。


ちなみに、このお話は、早坂さんが、日本

人が学歴にこだわる傾向にあることを戒め

るために書いたお話しで、お話に登場する

記者が、パソコンを操作できる人は大学を

卒業している人だと思い込んでいることを

早坂さんは批判しています。


話を戻して、マニュアルを読むことと読書

は同じではありませんが、本当に学ぼうと

する意思が大切だということです。


そして、もうひとつ、読書に関するお話を

書きたいと思います。


私が、私の住んでいる地域を選挙区として

いる国会議員の方にお会いしたときに、そ

の方から聞いたお話です。


その方は、地方の中小企業経営者が労働法

規について違反する事例が起きていること

について、「経営者の方は悪意がないのだ

けれど、法律を知らないから、気づかない

うちに法律違反をしてしまっている」とお

話しておられました。


その議員の方の考えは理解できなくもない

のですが、事情はどうであれ、法律を違反

することは許されません。


私は、規模の大小は問わず、会社のトップ

であれば、きちんと必要な法令に関する知

識を持ったうえで事業に臨まなければなり

ません。


もちろん、経営者の方がなんでもひとりで

行うことは現実的には困難であり、専門家

の方の助言を受けて事業にあたることが基

本です。


だからといって、専門家の方に任せきりに

することも望ましいとは言えません。


少なくとも、基本的な知識は身に着けて、

法令違反が起きないよう自ら主体的に臨む

必要はあるでしょう。


そのためにも、事業に必要な知識は、いま

は、それらを理解しやすく書かれた本がた

くさん売られている時代なので、少なくと

も、まず、本から知識を身に着けるという

ことはできるでしょう。


結局、これも、実践する意思があるかどう

かというところに行きつくお話です。


いまは、学びたくても学べないという時代

ではなく、学びたい人は学べる時代になっ

ており、そういう意味では経営者の方には

恵まれた時代です。


このような状況を活かさない経営者の方は

とてももったいないと思います。


最後に、馬込さんが、「本は、本が売れて

欲しいとの思いから、著者が全身全霊で書

いている。


しかも、その著者の知識を、著者に直接

会って聞こうとしたら、その対価とし

て、数万円を支払うことになる。


その知識を、ランチ1食分相当の、千円

ちょっとの金額を書籍代として払えば手に

入れることができる。


これはとても安い買い物だ」とお話しされ

ておられたことを、ご紹介したいと思いま

す。


私も、著者として、自分の知識を多くの方

に役立ててもらいたいという思いで本を書

いてきました。


もちろん、私以外の著者の方々も同じ思い

を持っていると思います。


したがって、多くの経営者の方々に、本を

手にとって活用していただければ、それは

その本の著者としての最高のよろこびとな

ります。


どうか、自社の事業をよりよくしていただ

くために、できるだけ多くの本を経営者の

方に読んでいただきたいと思います。

 

 

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適正な決算書と会社の実態

先日、知り合いの税理士の方から、「顧問

先が粉飾決算をした。


銀行からの評価にどう影響するのか」とい

う質問を受けました。


(その税理士の方の顧問先の粉飾は、税理

士の方も加担したのか、顧問先単独で粉飾

をしたのかはわかりません)


これを説明する前に、適正な決算書と会社

の実態について説明します。


会計を習った方はご理解されると思うので

すが、決算書は必ずしも会社の実態を反映

しているものではありません。


でも、会社の決算書は、税理士の方が作成

(厳密には、税理士の方が「決算報告書」

を作成した後、株主総会でそれが承認して

もらうという手続きがありますが、ここで

は、便宜的に、税理士の方が作成した決算

書とのみ記します)し、税務署もそれにつ

いて、ほぼそのまま受け入れているのだか

ら、決算書に書かれている内容は、会社の

業績がそのまま書かれていると考えている

方も多いようです。


でも、今回は説明は割愛しますが、決算書

は100%客観的に作成することは難しい

し、むしろ、ルールに逸脱しない範囲で自

社に有利な決算書を作ることが一般的に行

われているようです。


自社に有利な決算書を作るとは、利益が多

い会社は税金を少なくしようとする意図が

働いて決算が行われたり、利益が少ないか

赤字の会社は自社の信用を損なわないよう

に利益をなるべく多くしよとする意図が働

いて決算が行われたりします。


ですから、必ずしも正確な表現ではありま

せんが、「適正な決算書」というのは、会

社の実態を忠実に表している決算書という

意味ではなく、会計のルールに逸脱しない

で作成された決算書という意味です。


一方で、銀行は、融資する会社について、

融資したお金が返済される可能性が高いか

どうかということに関心を持っています。


最近は、銀行に「目利き能力」を持つこと

が高く求められるようになり、むしろ、一

見すると融資できそうにない会社であって

も、可能性を探りながら会社の状況を調べ

ようとすることも多いでしょう。


そこで、簡単に言えば、銀行の融資審査で

は、前述の、決算のときの経営者や株主の

意図的な判断を、できるだけ排除した場合

の財務状況を把握しようとしたり、決算書

の粗い情報からその背景にある実情を探っ

たりします。


ここまで、簡単に、適正な決算書と会社の

実態について説明してきました。


そこで、当初の質問にもどりますが、その

質問の回答については、まず、粉飾の程度

により異なってきます。


話は変わりますが、節税と脱税の違いがよ

く話題になりますが、決算対策と粉飾もな

かなか線引きが難しいところがあります。


ただ、銀行から見れば、融資先の決算書は

もともと会社の実態を反映しているものは

ほとんどないと考えているので、それが、

決算対策か粉飾かというのは、それほど大

きな問題ではありません。


恐らく、粉飾をした会社が、そのことが銀

行に知られたとしても、「やはりそうでし

たか」と言われる程度なのではないでしょ

うか?


要は、粉飾にしろ決算対策にしろ、それは

銀行は見込んで融資をする会社を分析して

いるので、ルールの範囲内であるかそうで

ないかということには、あまり融資審査の

「結果」に影響はしません。


ただ、ときには銀行が想定していた以上に

粉飾をしている会社というのもあります。


そのようなときは、新たに判明した粉飾を

加味した上で、新たな方針が決まります。


とはいえ、このように書くと、「銀行はど

うせ粉飾をしても、それを見込んでいるの

だから、多少の粉飾は許されるのか」と考

えてしまうかもしれませんが、粉飾はやは

り問題です。


上述の説明は、銀行職員は融資審査の時点

で、融資相手の粉飾をほぼ見抜いているの

で、粉飾をしたという事実が新たに分かっ

たとしても、それには驚かないということ

を述べたのでであって、粉飾を繰り返す会

社は、その行為によって信頼を失います。


粉飾をする会社は、業績の悪化への対策に

真正面から取り組まず、決算書のうわべだ

けを取り繕っていることになるので、業績

の改善には期待できません。


したがって、冒頭の質問に対しては、「善

後策として、今後は粉飾は厳に慎み、業績

回復に真正面から真摯に取り組む旨を誠意

をもって銀行に伝えるとよいでしょう」と

いう回答をしました。

 

 

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起業熱

今回は、米国の作家、マイケル・E・ガー

バーの著書「はじめの一歩を踏み出そう」

( http://amzn.to/2Bn53VE )で述べられて

いた起業熱について述べたいと思います。


前述のガーバーの著書は、ガーバーが20

年間に25,000社に対してアドバイス

を行ってきた経験から、起業家が失敗しな

で事業を軌道に乗せるための方法が紹介さ

れています。


そして、その最初に、失敗してしまう多く

の起業家の原因について、ガーバーの分析

が述べられています。


その失敗の端緒となるものが起業熱です。


起業熱にとりつかれる人は、「何のために

この仕事をしているのだろう?


どうして、あんな上司のために働いている

のだろう?


この事業のことなら、上司に負けないぐら

い知っているさ。


自分がいなけりゃ、この会社は立ち行かな

くなるだろう。


誰だってこの仕事でひと儲けできるし、何

といっても自分はこの道のプロなんだか

ら」と考えていると、ガーバーは指摘して

います。


このような考えは、普段はすぐに収まるも

のの、ある瞬間から「会社のルールを破る

ことが快感になり、独立して生き生きと仕

事をする自分の姿が目に浮かぶようにな

る。


そして、人から指図を受けたくないし、自

分だけの仕事がしたいという気持ちがだん

だんと強くなって」きて、起業熱が始まる

そうです。


そのような人は、「事業の中心となる専門

的な能力があれば、事業を経営する能力は

十分に備わっている」という誤った考えを

抱いてしまうそうです。


ちなみに、起業した人は、「帳簿をつけた

り、人を雇ったりと、これまでに経験がな

いような仕事が次々とわき出してくる。


たいていの起業家は、予想もしなかった仕

事に追われて、本業に手が回らなくなって

しまう」と、ガーバーは指摘しています。


ここまで、ガーバーのいう起業熱について

多くの文章を引用してきましたが、それ

は、私にもたくさんの心あたりがあったか

らです。


起業してから「こんなはずではなかった」

と感じている人の多くは、起業前に、まさ

にガーバーの指摘している起業熱の症状を

経験しているのではないでしょうか?


だからこそ、「経営コンサルタント」は、

起業熱にかかっている人に対しては、適切

な助言をすべきでしょう。


その助言とは、ガーバーが同書で述べてい

る、「調和のとれない3つの人格(起業家

・管理者・職人)のバランスをとる」や、

「経営者が現場にいなくても、収益の上が

る仕組みをつくる」ということが主なもの

でしょう。


ちなみに、ガーバーは、3つの人格につい

て、「典型的なスモールビジネスの経営者

は、10%が起業家タイプで、20%が管

理者タイプで、70%が職人タイプ」と述

べています。


ガーバーは、直接の数値には言及していな

いものの、それぞれの人格を33%ずつバ

ランスよく備えることを理想としているの

でしょう。


話を戻して、今回の記事の結論は、起業熱

を冷やそうとする「経営コンサルタント

は少ないということです。


逆に、起業熱を持っている起業家を探して

支援し、起業家を屋根に登らせたところで

はしごをはずす(いよいよ事業が始まると

いうときや、事業がつまづきそうなときに

支援をやめる)「経営コンサルタント」も

少なくないと感じています。


というのは、自称「経営コンサルタント

は、自分自身も本来のコンサルティング

キルがないために、起業の支援の仕事を受

注しやすい状態の、起業熱にかかっている

起業家におもねって仕事を受けているだけ

というように感じます。


本来の経営コンサルタントは、クライアン

トを成功させることが目的であり、クライ

アントの成功を自らのよろこびとするはず

なのですが、自称「経営コンサルタント

は、クライアントが成功するかどうかより

も、自分が利益を得ることに強い関心を

持っています。


本当なら、誤った認識を持っている人を、

上手に正しい方向へ導くべき役割を担わな

ければならない立場の人の中に、それを逆

手に利用しようとする人がいる状況は、私

も心苦しく感じています。


したがって、起業しようとする方は、専門

能力だけで事業が成功すると勘違いしない

こと、また、その勘違いを利用しようとし

ている人に騙されないように注意すること

が必要だと、ガーバーの本を読んで、改め

て感じました。

 

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