鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

マーケティング

今回は、「マーケティング」について述べ

たいと思います。


マーケティング」はよく使われている

ことばである一方で、何を指すのかという

ことについては漠然としているようです。


もともとの、英語のMarketは、「市場」、

または「市場で取引する」という意味です

から、Marketingとは、「市場で取引する

こと」という意味です。


ただし、ビジネスで使われるときは、

もう少し狭い意味で使われており、

公益社団法人日本マーケティング協会は、

マーケティングとは、企業および他の

組織がグローバルな視野に立ち、顧客との

相互理解を得ながら、公正な競争を通じて

行う市場創造のための総合的活動である」

と定義しています。


この定義はやや抽象的ですので、噛み

砕いて述べれば、「マーケティングとは

売れるしくみをつくる活動」ということに

なります。


これについては、ドラッカーも「マーケ

ティングの目的は販売活動を不要にする

ことである( The aim of marketing is

to make selling superfluous . )」と、

同様のことを述べています。


マーケティングは、販売活動としばしば

混同されることがありますが、前述の

とおり、販売活動とは真逆の視点に立つ

ものであり、かつ、もっと広範囲に及ぶ

活動です。


そして、マーケティングの定義も、経済

活動の時代の変遷にともなって変化して

きています。


ここまで、マーケティングについて述べて

来ましたが、今回の記事の意図は、マーケ

ティングの本来の定義のように、「売れる

しくみをつくる」こと、さらには、ドラッ

カーの言うように、「販売活動を不要に

すること」は、実際にはあまり行われて

いないのではないかと、私は感じている

ということです。


むしろ、事業には、「マーケティング」と

称する「販売活動」が必須と考えている

方が多いのではないでしょうか?


もちろん、「売れるしくみ」を作ることは

一朝一夕でできる容易なものではありま

せんが、裏を返せば、販売活動で自社の

事業を維持することは、事業そのものは

あまり価値がないということにもなって

しまいかねません。


「では、具体的にどうすればよいのか」と

いう疑問を多くの方が持つと思いますが、

これに対する回答は文字数の兼ね合いで

割愛せざるを得ませんので、別の機会に

述べたいと思います。


ただ、「売れるしくみ」を作ることこそ、

経営資源の小さい中小企業にとって大きな

効果が得られる手法であると私は考えて

います。

 

 

 

 

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聖域

中小企業に限りませんが、多くの会社

には、経営者も口出しがしにくい部署、

すなわち聖域があります。


特に、中小企業では、営業部門や総務経理

部門が聖域になりやすいようです。


そして、「会社の聖域」というと、それが

存在することはあまりよくないことという

ことも、多くの方が理解されておられる

でしょう。


あえて聖域が望ましくない理由を書くと、

経営者の意向を受け入れず、自分たちの

部署を優先してしまい、会社全体として

非効率になったり、他の部署に負担や

悪い影響を及ぼしてしまうからです。


そして、そのような聖域ができてしまう

理由としては、営業部門では「会社の

利益は営業部門で稼いでいる」と主張

したり、また、総務経理部門では、

他の部門に対して自分たちのやりやすい

ようにしないと、経理総務部門が依頼

されたことを受け付けないなどの抵抗を

されたりするからでしょう。


このような状況に、経営者自身も困って

いるということは多いと思います。


しかし、このような状況を改善することも

難しいということも事実です。


そこで、私が事業改善のお手伝いをする

ときに、聖域をなくす、または、減らす

方法として、次のようなことを提案して

います。


ひとつは、ジョブ・ローテーション、

すなわち、定期的な人事異動を行う

ことです。


裏を返せば、聖域ができてしまう理由は

ジョブ・ローテーションができないことが

最大の理由でもあります。


ここでは、字数の余裕がないので、詳しい

ことまでは言及しませんが、ジョブ・ロー

テーションをすると、会社の売上が減少

してしまうと考える経営者の方が多いよう

です。


しかし、長期的には、ジョブ・ローテー

ションを行うことの方が会社の売上は

増加します。


そして、会社組織が大きくなると、この

ジョブ・ローテーションは避けることが

できません。


そうであれば、早い段階からこれを行う

方が得策ということになります。


ふたつめは、規則ない場合、それを作る

ことです。


規則を作る作れば、規則通りかどうかが

問題になります。


また、前述のジョブ・ローテーションを

実施するには、規則がなければ困難に

なります。


みっつめは、コンサルタントを「利用」

することです。


聖域となっている部分について、改善を

要請するとき、「同僚」よりもコンサル

タントから指摘されると、きちんと回答

せざるを得なくなります。


私の場合、聖域の改善については、

前もってきちんと理論武装してから提案

するので、改善を要求された側としては

ごまかすことは難しくなります。


以上、簡単に聖域の改善の方法について

説明しましたが、聖域の改善はとても

難しいことです。


しかし、この聖域があると、会社の成長は

遅くなります。


会社組織は、生身の人間で構成されている

ので、どうしても聖域が作られてしまい

がちですが、だからこそ、それを放置する

ことなく、解消するという課題に経営者は

取り組まなければならないと私は考えて

います。

 

 

 

 

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いつコンサルティングを受けるか

例え方が不適切なところをお許しいただき

たいのですが、私がサラリーマン時代は、

風邪をひいたときに、薬だけで治そうと

して、病院に行くことを避けようとして

いました。


結果として治らず、最終的に病院へ行く

ことになるのですが、そうであれば、

かかり始めのときに病院に行けば、早く

治ったということになります。


これと同様に、事業を改善したい、

または、銀行から融資を受けたいと

相談を受ける会社の大部分は、「もっと

早く相談に来てくれていれば…」と

感じる会社が多いと感じています。


これは、「少し業況が悪くなったけれど、

自力で頑張ればなんとかなる」と思う

経営者が多いということでしょう。


前述の、私が風邪をひいたときの場合と

同じことを、経営者の方も考えてしまう

のでしょう。


ただ、会社の事業は、風邪とは違い、

そう簡単に改善できるとは限りません。


早い段階でご相談があれば、いろいろな

改善策の選択の余地があるのですが、

悪化が進むと、ウルトラCの技のような

方法しか採れなくなってしまいます。


これは、裏を返せば、ウルトラCは失敗

する確率も高いということです。


業況が悪い会社であれば、なおさら

ウルトラCを成功させることは難しく

なります。


一方で、かつて、稲盛和夫さんから、次の

ようなお話しを聴いたことがあります。


すなわち、稲盛さんが開いている盛和塾

( 稲盛さんを熟長とする勉強会→

https://goo.gl/eqmVQ4 )の塾生の方が

「数年間、盛和塾で稲盛さんのお話しを

聴いていただけなのに、いつのまにか

会社の業況がよくなった。


塾長の稲盛さんにはとても感謝している」

と稲盛さんにお礼を言ってきたそうです。


もちろん、この塾生の方は謙遜して「ただ

話を聴いていただけ」とお話しされたの

でしょうが、実際には稲盛さんのお話しを

聴いて事業運営について学び、それを

懸命に実践されてこられたのでしょう。


ここまでの記述では、業況のよくない

会社は早めに相談するべきだということを

述べているというように感じられると

思います。


確かに、業績を回復するには、自社単独

よりも外部の力も借りることが得策で

あり、それも早い方がよいことには違い

ありません。


しかし、私が問いたいのは、なぜ、それを

なかなかできないのかということです。


前述の風邪の例では、慢心があるという

ことでしょう。


本当に時間が惜しいのであれば、風邪を

ひいたら早く病院で治してもらうことが

最善の方法です。


それを怠ろうとしたことは、怠惰な心が

あるということだと思います。

同様に、事業が芳しくないとき、それを

自力でなんとかなると考えているのも、

慢心があるからだと考えています。


そして、その慢心は、単に外部の専門家に

早めに相談をするかどうかということに

とどまらず、事業に臨む姿勢全体にも

言えるのではないかと思っています。


もちろん、これは、私自身も自省をこめて

書いています。


慢心をなくすよう、いまから努めていき

たいと思います。

 

 

 

 

 

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1次品質・2次品質・3次品質

藤村正宏さんのご著書「安売りするな!

『価値』を売れ!」( http://amzn.to/2xh6YXR )

を拝読しました。


同書の内容は、商品の価値を正確に伝える

ことで、商品は売れるということを実例で

示しています。


そのひとつの例として、「元祖羽田空港

ひとくちおこわ」( https://goo.gl/9mCCRx )

が紹介されていました。


この商品は年間50万個売れているそう

です。


そのポイントは「飛行機に乗る前に搭乗

ゲート近くのベンチでカンタンに食べ

られるおこわ」という商品にしていること

です。


これは、この商品を開発した岡田美佐代

さんが、自分で食べたいものだったそう

です。


すなわち、空港でお弁当を食べるのは

恥ずかしいけれど、飛行機に乗る前に、

おいしいものをさっと食べたいという

ニーズに応える商品として開発した

そうです。


そして、この商品のポイントを顧客に

伝えることで、岡田さんの思いに共感した

人が購入するということにつながっている

ようです。


この成功例は多くの方が理解できると

思いますし、また、実践できそうだと

考えると思います。


しかし、実践はなかなか難しいように

私は考えています。


ところで、商品の品質には、1次品質、

2次品質、3次品質という考え方が

あります。


1次品質とは、機能、性能などのことで、

2次品質とは、商品が顧客の感性やライフ

スタイルに合っているかどうか、3次品質

とは、ステイタスが高い、環境に配慮して

いるかどうかなどのことを指します。


前述のひとくちおこわは、2次品質の

ライフスタイルの部分を強調したから

こそ、売れる商品となったのでしょう。


商品が売れるかどうかというのは、藤村

さんが指摘しているように、価値を正しく

顧客に伝えることが基本です。


ところが、自社の製品の価値は何なのか

ということを把握することはなかなか

難しいようです。


例えば、お弁当を売る場合、多くの

場合は地元特産品であるとか、伝統

料理であるとか、新鮮で味がよいと

いうことを強調してしまいがちです。


前述のひとくちおこわは、おいしい

ものをさっと食べるというところが

顧客の琴線に触れるのですが、これは

コロンブスの卵のように、なかなか気付き

にくい品質であると思います。


自社製品がなかなか売れずに困っていると

考えている方は、自社製品の品質を1次

品質~3次品質という観点で見直してみて、

それを訴求する方法を実践してみることを

お薦めします。

 

 

 

 

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※写真と本文は関係ありません。

異見会

新将命さんのご著書「王道経営」

( http://amzn.to/2jGPZe2 )を読み

ました。


その中に、豊臣秀吉の軍師であり、

福岡藩初代藩主の黒田長政父親である、

黒田官兵衛が開いていた異見会が紹介

されていました。


異見会とは、月1回、藩政について、

下級武士も含めた家臣が意見を述べ合う

会のことで、身分にかかわらず、藩主に

意見をいうことができるので、異見会と

呼んだようです。


官兵衛は、藩政の舵取りを誤らない

ようにするには、家臣をイエスマン

だらけにしてはならない、藩主にとって

耳の痛い情報が入ってくるようにしな

ければならないと考えていたので、

異見会を設けたそうです。


そこで、官兵衛が藩士の意見に「その

話しはもうわかっている」とさえぎろう

としたとき、「それが殿の悪い癖であり、

最後まで話しをきかなければ知らない

話しがあるかどうかはわからない」と

たしなめられたこともあったそうです。


新さんは、このような異見会を開いていた

からこそ、福岡藩は幕末まで続いたと

考えているそうです。


と、ここまで書きましたが、イエスマン

社内に作ることはよくないということは

多くの方が知っていることで、特段、

真新しいことではありません。


にもかかわらず、実際にはイエスマン

たくさんいるし、しかも後を絶ちません。


その理由は、ひとつではないと思います

が、私は、経営者の方の意思の強さだと

考えています。


会社がどれだけ続くかどうかは、前述の

異見会のように、組織の活性化の仕組みが

続くかどうかに大きく左右されると思い

ます。


経営者といっても、生身の人間ですので

誘惑に負けてしまうこともあると思い

ますが、裏を返せば、活性化した組織を

継続させられる経営者は、それだけ立派で

あるとも言えると思います。

 

 

 

 

 

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社長は手続きでは就任できない?

これも多くの方がご存知とは思いますが、

「社長」という肩書は、法律で規定されて

いる役職ではありません。


一般的な株式会社では、「代表取締役」が

会社としての行為を代理する権限を持って

いることが法律で定められており、この

代表取締役の肩書を持つ人を社長と呼ぶ

ことが一般的です。


会社法第349条第1項などにより、

取締役会を設置していない会社では、

取締役が代表権と業務執行権を持って

いますが、実務的には、定款に別の定めを

作り、代表取締役を選任している場合が

多いようです)


ただし、代表取締役は複数人が選任される

こともあり、会長や副社長が社長とともに

代表取締役である場合もあります。


となると、必ずしも「社長=代表取締役

とは限りませんが、一般的な中小企業では

「社長=代表取締役」と言えるでしょう。


ところが、最近、例としては少ないの

ですが、社長の肩書を持っているにも

かかわらず、その人が代表取締役では

ないという例も増えています。


このようなことが起きる背景のひとつは

事業再生を行っている会社があげられ

ます。


事業再生を行う上で、対外的にはこれまで

その会社の重要なポジションを担ってきた

人が社長であることが望ましいのですが、

かといって、その人に代表取締役としての

権限を与えたくないという場合、肩書だけ

社長とし、代表取締役は再生ファンドから

派遣された人を選任するという場合です。


とはいえ、社長と名乗るからには、外部の

人は相当の権限を持っていると信じて取引

するわけですから、このような例は、

特殊な事情がある場合に限定されるべき

でしょう。


ところで、今回の記事の本題ですが、

社長の役割と代表取締役の役割とは

何なのかということです。


これについては、代表取締役の役割に

ついては法律で定められているので、

それを説明することはできるのですが、

社長の役割は法律で定められてはいない

ので、社長の役割を私が定義しても、

それは私の考え方に過ぎないという

ことになってしまいます。


とはいえ、代表取締役の役割の法律上の

定めが、一般的な社長の役割を定めている

のかというと、そうでもないようです。


会社法第349条第4項では「代表取締役

は、株式会社の業務に関する一切の裁判上

または裁判外の行為をする権限を有する」

としか記載されていません。


ただ、法律上の解釈では、代表取締役

会社の代理人として単独で契約を結ぶ、

会社の業務を執行することができるという

程度にとどまります。


やはり、法律の条文には、法律上の考え

方しか記載されておらず、薄っぺらな

印象を受けるでしょう。


一般的には、「社長=会社のリーダー」

というイメージが強いのではないで

しょうか?


代表取締役は株主、または、他の取締役

から選任される役職ですが、社長は、

会社(≒役員と従業員)のリーダーで

あるということです。


これを裏を返せば、代表取締役に就任

したい人は、単に株主や他の役員から選任

されれば、代表取締役に就任できますが

(いわゆる、ひとり役員会社では、会社を

設立すれば、自らが代表取締役に就任でき

ます)、だからといって、果たして会社の

リーダーである社長としての役割を果たす

ことができるかどうかということにはなら

ないと私は考えています。


代表取締役への就任は手続きだけででき

ますが、社長(=リーダー)への就任は

手続きで終わるとは限りません。

 

 

 

 

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埋没原価

今回は、埋没原価について述べたいと

思います。


埋没原価という考え方は、すでに多くの

方がご存知と思いますが、改めて説明

すると、経営者の意思決定にかかわらず

戻らない原価(コスト)を指します。


例えば、新しい製品を製造するために

10億円の工場を建設したとします。


この工場で製造する製品を販売する

ことによって、年間で2億円の利益を

見込んでいましたが、建設中に市場の

状況が変わり、年間で1億円の利益

しか見込めなくなったとします。


このとき、この工場を予定通り稼働

するか、それとも製造を中止するか

という判断をするとき、工場の建設

費用をどうとらえるかが埋没原価の

考え方です。


結論としては、工場を稼働してもしな

くても、工場の建設費10億円は戻ら

ないので、これを埋没原価といいます。


そこで、今後発生する費用、これを言い

換えれば経営者の意思決定によって発生

する費用(これを関連費用といいます)

で判断することが妥当ということになり

ます。


前述の例では、利益の見込みが年間でも

1億円なので、稼働するべきと判断する

場合もあると思います。


しかし、別の工場を建設して新製品を

製造する方が、年間2億円の利益を得る

ことができる機会を逃すとすれば、

年間1億円の損(これを機会原価と

いいます)することになります。


埋没原価でよく問題にされることは、

このようなすでに戻らないことが確定

している費用が、経営者の意思決定に

影響を与えることです。


これは、超音速旅客機のコンコルド

採算を得られないことが分かっている

にも関わらず使い続けられたことから、

コンコルド効果と言われることがあり

ます。


今回の結論は、経営者の意思決定は

経営者の感情に左右されやすいという

ことがあります。


いわゆる世間体や体面というものです。


最近、粉飾決算を行った大手電機メー

カーも、経営者の体面を保とうとする

意図が大きな原因のひとつでしょう。


話しを戻して、経営者の冷静な判断が

事業を最短で発展させることにつながると

私は考えています。

 

 

 

 

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