鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

徳政令

先日、日本放送協会さんが放送している

大河ドラマ「おんな城主直虎」をたまたま

視たのですが、徳政令に関するトラブルを

直虎が解決する場面が描かれていました。


直虎は、農民から、戦が長引いて、村には

働き手がおらず、稲作に十分な手間をかけ

られないことから、収穫も少ない。


その一方で、年貢を納めなければならない

ことから、借金をした。


現状が続けば、年貢も納められないし、

借金も返済できなくなるので、徳政令

(貸主に借金の棒引きを命じること)を

発布して欲しいと依頼を受けました。


一方、直虎は、貸主の商人と話をした

ところ、徳政令を発布するのなら、

直虎の父親の借金がまだ残っているので、

それを返済するか、城を引き渡せと

言われました。


そこで、直虎は徳政令を発布することを

避けるために、農民を次のように説得

します。


すなわち、商人を直虎の家臣とし、村を

領地として与える。


商人は、その領地の年貢を借金の返済に

あてる。


その条件として、商人は、確実に年貢を

得られるよう、人手を確保するなどの

支援をする、といった内容です。


この方法は、銀行のリレーションシップ

バンキング、または事業再生の手法その

ものだと思いました。


融資をする側は、単に貸付金を返済する

ように迫るだけではなく、融資先の

事業が安定的に継続するように、

働きかけることで、貸付金の返済を

確実にするだけでなく、融資先からの

資金需要をさらに増やそうとする

Win-Winの方法です。


ところで、このような仕組みは、銀行以外

でも行われています。


その代表的なものは、卸売業が小売業に

対して行う支援で、リテールサポートと

呼ばれています。


リテールサポートを行っている会社の

ひとつとしては、三菱食品が販売先の

スーパーマーケットに対して、売上を

増加させるための売り場づくりや、

品揃えを支援しています。


実際には、スーパーマーケットの店の

中に、三菱食品が担当するエリアが

指定され、そこに三菱食品が商品を

並べるということをしているようです。


スーパーマーケット側としては、自社

単独の情報よりも多くの会社の情報を

持っている卸売会社に品揃えなどを

任せた方が、売上の増加も期待でき、

また、効率性も高まります。


このような、「もの」ではなく「こと」の

提供をできる会社の競争力が高まることは

明らかです。


銀行に話を戻すと、たくさん融資をできる

銀行は、実は、事業再生ノウハウや、事業

再生の経験が豊富な職員が多い銀行という

ことも言えます。


自社の業績を高めたいと考えている

経営者の方は、自社に競争力を高める

ことができる、独自のノウハウがあるか

どうか、探してみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

 

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納税の薦め

作家の本田晃一さんが、3月30日に配信

したメールマガジンで、税金について次の

ように書いておられました。


「税金は無駄遣いが多い!

ってキレてると、収入も増えない。


収入が増えると支払う税金も増える

からね。


無駄だと思ったら払いたくないじゃん。


税金のおかげで日本は良い国だな~

って思ってると収入も増えてくる。


だって

収入が増える=周囲が良くなる=

自分も良くなる

って公式になるもんね」


私も本田さんの考え方に賛成です。


納税者の立場からすると、税金は多いと

感じがちですが、冷静に考えれば、

私たちが受けている行政サービスに

使われている税金も意外と多いものだと

思います。


例えば、義務教育にかかる費用を全額自己

負担にすると考えただけでも、それは明確

だと思います。


確かに、税金の使われ方に不満が残り

ますが、それだけでもって、税金を

払わない理由にはなりません。


ただ、今回の記事の主旨は、納税が妥当か

ということではなく、会計の面からも、

納税を薦めたいというものです。


とはいえ、このことは、目新しい主張では

なく、昔から言われていることです。


すなわち、100万円の利益を得て、

約40万円の利益を払えば、約60万円の

利益を次の会計年度の事業に充てることが

できるというものです。


(厳密には、利益から税金と配当金を差し

引いた残りが、翌会計年度に繰り越される

のですが、中小企業の多くは配当は行って

いないので、ここでは、利益から税金を

差し引いた残りが繰り越されるという

前提で説明します)


私も、積極的に意識して納税額を増やす

必要はなく、また、軽減税率の特例は

活用することは得策だと思います。


ただ、過度に、納税額を抑えることを

目的とした会計処理はあまり得策では

ないと思います。


結局、そのような会計処理は、納税額を

減らす効果はあったとしても、納税した

場合と比較して、会社に残るお金の額に

さほど変わりがありません。


そうであれば、利益の繰越額を増やす

ことの方が賢明でしょう。


さらに、会社に残ったお金は、自らの

判断で自由に利用できます。


また、純資産(=自己資本)が増える

ことから、銀行や社会からの評価も

高くなります。


ところで、この記事の本旨から離れ

ますが、よく新聞記事に「大企業の

内部留保が過去最高にもかかわらず

従業員の給与が増えない」といった

批判が書かれることがあります。


こははおかしな内容です。


なぜなら、内部留保は純資産、すなわち

貸方の科目である一方で、給与は費用、

すなわち借方の科目だからです。


借方の科目が増えない理由は、それに

変わって借方の科目が増えているからで

あり、貸方の科目が増えていることは

理由にはなりません。


もし、従業員の給与が上がらないことを

指摘したいのであれば、「手元資金が

増加しているにもかかわらず、従業員の

給与が増えない」というように書くべき

でしょう。


大企業の内部留保が過去最大の会社が

当座預金などの手元資金が増えていない

場合は、内部留保はすでに棚卸資産

設備投資などに充てられていることに

なり、会社の資金繰りに有効に活用

されているということになります。

 

 

 

 

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「どんなことですか?」

4月8日に書いた「用件を聞くのは野暮」

という記事について、読者の方から感想を

いただきました。


> 今日の「用件を聞く」について、
> 毎度の事ながら「わかるわぁ」と声を
> 出して読んでしまいました。
> 私も以前保険の営業マンに「◯月◯日
> ◯時、空けられる?」と言ったところ
> 「何ですか?どんなことでですか?」
> と言われて「じゃあいいわ」と別の
> 保険マンに大口契約を紹介した事が
> あります。
> 残念な営業マンは世の中掃いて捨てる
> ほどいますね!!


このご感想を読んで、私も、顧客の紹介を

受けて、何度か空振りにあったことがある

ので、用件を言わずに日時を指定して

面談を要請をされたとしたら、もしか

したら、自分も面談を断っていたかも

しれないと思いながら、この感想を読ま

せていただきました。


ただ、生意気なことを言えば、空振りに

なる用件を伝えてくる人と交流している

点に、この保険営業マンは問題があると

私は感じました。


私も、かつては、フリーランスになった

ばかりのころは、「無料相談」という

ものをたくさん行っていました。


結果は、無料どころか、相談のために

割いた時間と、相談場所までの交通費を

費やし、顧客はまったく得られません

でした。


そこで、無料相談会の開催はやめました。


その次は、知人に顧客の紹介を依頼する

ようにしました。


もちろん、知人にはこちらからも顧客を

紹介しているか、または、将来、顧客を

紹介できることが見込まれる相手という

ことが前提です。


とはいえ、中には、深く考えずに顧客を

紹介されたことも多くあります。


というのは、「融資の相談にのって

欲しいという人がいるから、会って

あげて欲しい」という依頼ではあった

ものの、そのような場合、大抵は、

「見込み客を紹介するのだから、最初の

面談は無料で受けてあげて欲しい」と

いうようなものばかりで、これもあまり

利益には結び着きませんでした。


中には、きちんと有料の相談となると

いうことまでを相談者の方に説明して

から私に紹介してくれる人もいたので、

そのような紹介者の方には、私も、

きちんと利益の出る顧客を紹介する

ようにしました。


結論としては、お互いに利益になる人と

だけ付き合うようにするしかないという

ことを、数年かけて学んだということ

です。


これは、以前にも書いたことがあり

ますが、自分と同じレベルかそれよりも

レベルが低い人と付き合っていると、

その仲間のなかでは自分が上位にいる

ことができるので、心地よいかもしれま

せんが、そのままではいつまでも自分の

能力を向上させることはできません。


冒頭の「どんなことですか?」ときいた

保険営業マンの方は、やみくもに付き合う

人を増やし、自分に利益をもたらさない

人ともたくさん付き合っていたから、

「どんなことですか?」ときくことに

なったのかもしれないと思いました。


ここから話がちょっと飛躍するかもしれま

せんが、「コンサルタントは、信用でき

ない」という経営者の方に出会うことが

あります。


そのようなことを言う経営者の方は、

確かにひどいことをするコンサルタント

から被害を受けたのかもしれません。


でも、最終的には、そのようなコンサル

タントを近づけたところに、その経営者の

方の脇の甘さがあったのではないかと

思います。


きちんとした経営者の方には、おかしな

コンサルタントは近づかないと私は思い

ます。


再び結論ですが、自分にとって役立つ

人とだけ付き合うことが大切だと感じた

感想をいただきました。

 

 

 

 

 

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逆の公私混同

今回は、公私混同を、一般に言われている

観点とは別の観点から述べてみたいと

思います。


改めて述べるまでもなく、公私混同とは、

公のこと(仕事のこと)と、私のことを

区別しないということですが、多くの

場合、私的なことに公のことを利用する

ことを指して否定的に使われます。


確かに、私がこれまで見て来た会社の

中には、前述の言葉どおり、会社経営者の

立場を利用して、私的なことまで会社の

ものを使っている例を見てきています。


例えば、会社の名義の自動車を私的

用事に使うということはその例のひとつ

でしょう。


ただ、この程度であれば、それほど大きな

問題にはならないとは思いますが、社長が

勤務時間中に部下を使って私的な用件を

依頼するということをすると、従業員は

士気を下げてしまったり、従業員自身も

勤務時間中に私的なことをしても許される

と考えてしまうようになったりと、悪い

影響が現れてしまいます。


一方、公私混同には逆の公私混同もある

と私は考えています。


逆の公私混同とは、例えば、会社の資金が

足りなくなり、無利息で社長が会社に

資金を貸し付けるというようなことです。


さらに、もう少し細かいことを書けば、

社長が無償で会社が受けている融資の

保証人になったり、自分の財産を担保と

して提供するということも、公私混同と

言えます。


しかし、このように書くと、「創業して

間もない時期や、会社の規模が小さい

ときは、社長の個人の財産を会社につぎ

こんだり、融資の保証人になることは

避けがたいことではないか」と考える方が

多いでしょう。


私も、このようなことは実態として仕方の

ないことだと思っています。


とはいえ、前述の、公と私を区別しない

という公私混同の意味からすれば、社長が

無償で会社の保証人になることは、公私

混同のうちのひとつと言えます。


ところで、事業を始めようとする方の

多くが、新たに会社を設立していますが、

その理由は何でしょうか?


ひとつだけではないですが、例として

あげれば、「信用が得られる」という

ものがあるでしょう。


なぜ信用が得られるのかと言えば、会社

組織で事業を行っていれば、それは、

きちんとした体制が整っていると受け止め

られるからでしょう。


その一方で、前述のような、会社に社長が

自分の財産をつぎこんでいたとしたら、

それは、会社をつくった意味は少なく

なってしまうと思っています。


もちろん、現実的には、最初から理想的な

状況になることは難しいということも理解

できます。


しかし、いつまでもそのような状況から

抜け出さないでいる会社も少なくない

でしょう。


最近は、銀行も、融資をするにあたって

必ずしも社長の保証を求めなくなって

います。


「自社は信用ある会社を目指す」という

方は、まず、銀行から融資を受けるに

あたって、社長が保証人にならなくても

よいという状況を目指してみてはいかが

でしょうか?

 

 

 

 

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偶発債務

約1年前の話ですが、鴻海がシャープを

買収するつめの段階で、偶発債務が話題に

なりました。


両社の個別のことについては、私は詳細を

把握していないのですが、一般論として、

買収しようとしている会社の偶発債務が

直前になって問題になるということは

不自然に感じます。


偶発債務は、どんな会社にもあるもの

なので、シャープだけがあれほど騒がれる

というのは、なぜなのかと思いました。


ただ、偶発債務についてきいたことがない

人にとっては、「シャープに何か新たな

問題が起きたのか」という印象を持って

しまった方もいらっしゃると思いますので

今回は、一般的な偶発債務について簡単に

説明したいと思います。


中小企業でポピュラーな偶発債務の例は、

商業手形割引です。


商業手形割引は、製品や商品の販売代金

として受け取った約束手形、または、

為替手形(これらは、貸借対照表の勘定

科目では、受取手形に計上されます)を

銀行に売却し、それらの手形の支払期日

までの利息に相当する割引料を差し引いた

金額を受け取るという資金調達方法です。


例えば、100万円の受取手形を銀行に

割引してもらい、その時の割引料が

5万円であったとすると、仕訳は次の

ようになります。


(借方)

当座預金 95万円

割引料 5万円


(貸方)

受取手形 100万円


すなわち、資産である受取手形100

万円が減少し、そのかわり、資産の

当座預金95万円が増加し、費用の

5万円が発生するということです。


ところで、先ほど、会社が銀行に手形を

売却すると書きました。


商業手形割引は、機能面としては資金

調達なのですが、法律上は売買として

扱われています。


しかし、商業手形割引は、一般の商品や

製品の売買と同様に扱うことはでき

ません。


なぜなら、万一、売却した手形が支払

期日になって不渡りになったとき、

手形を買い取った銀行は、手形を売り

渡した会社に対して、それを買い戻す

という条件があるからです。


この条件の根拠は、手形訴求権と、

買戻し請求権のふたつがあるのですが、

ここではその説明は割愛します。


要は、受取手形を銀行に売却したと

しても、その手形が不渡りになると

いうリスクは、売り渡した会社からは

離れていないということです。


このリスクが偶発債務です。


そこで、会計上の規則では、決算日

時点で、割引した手形の金額を、

貸借対照表の欄外に注記することに

なっています。


これは銀行によって解釈が異なるの

ですが、商業手形割引は融資として考え、

財務分析を行うときは、商業手形割引

額を負債の額に加えて行っている場合も

あります。


一方で、会社の貸借対照表には、割引を

した手形の金額が負債の欄に計上されて

いないことから、経営者の方の中には、

商業手形割引を負債ではないと考えて

いる方も多いようです。


このように書くと、「それなら、商業

手形割引を負債として計上すればいい

のではないか」と考える方もいること

でしょう。


かつては、そのように計上する考え方も

あり、その方法で貸借対照表を作成して

いる会社もありました。


ただ、その理由については割愛しますが、

金融商品会計に関する実務指針」などに

よって、商業手形割引額は、貸借対照表

欄外に注記することとされています。


この点についてはややこしいのですが、

偶発債務という考え方が、銀行と、

中小企業経営者の間での認識の差が

起きる原因のひとつになっていると

いうことについて挙げておきたいと

思います。

 

 

 

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本物の決算書と真実の決算書

私がこれまでお会いしてきた方で、少な

からぬ数の会社経営者の方と、一部の

税理士の方の中に、本物の決算書と真実の

決算書の違いが分からないという方に

お会いしてきていますので、今回は、

両者の違いについて説明します。


ところで、本物と真実は、ほぼ同じ意味

ですが、少し違いがあります。


ここでいう本物とは、にせものではない

という意味で、真実とはいつわりがない

という意味です。


銀行の融資手続きに関しては、よく、

税務署の受付印を押印したものを提出

するように言われますが、これが、

本物の決算書です。


決算書に関する本物とは、税務署に提出

した(税務署の受付印のある)決算書の

ことと言ってもよいのですが、厳密には

株主総会で承認(会社法第438条等)を

得た決算書のことです。


すなわち、本物の決算書とは、株主総会

お墨付きを得ているという点でにせもの

ではないということを指します。


ここで、少しややこしいのですが、株主

総会の承認を得ているという点で、本物の

決算書はにせものではないのですが、

だからといって、本物の決算書には、

いつわりがないということには

なりません。


いつわりがないということはどういうこと

かというと、簡単な例をあげて説明して

みます。


例えば、毎年、約500万円の減価償却

行っていた会社があったとします。


しかし、当期の業績が芳しくないため、

当期は減価償却を行わなかったとします。


その結果、利益が300万円となり

ました。


これを株主総会に諮り、承認を得たと

します。


このことによって、300万円の利益を

計上した決算書は、本物の決算書となり

ます。


しかし、この、300万円の利益を計上

した会社の決算書は、いつわりがないと

いうことがいえるでしょうか?


本来なら、例年通り500万円の減価

償却を行い、200万円の赤字を計上した

決算書が、いつわりのない決算書と言える

でしょう。


これが、真実の決算書です。


ただ、ここでいう真実の決算書とは、

会社がいわゆる二重帳簿を作成していて

2つの決算書があり、そのうちのひとつを

指すということではありません。


いつわりなく決算書を作成したとすれば

こうなったであろうという架空の決算書

のことです。


では、ここで何が問題になってくるのか

というと、前述のような例では、減価

償却を行わないことで利益を計上した

会社の経営者は、自社の事業は黒字で

あると考えてしまうことです。


一方、銀行は、たとえ本物の決算書の

提出を受けたとしても、減価償却

十分でなければ、銀行の内部で本物の

決算書を修正して真実の決算書を作成

しています。


よって、銀行はその会社を赤字の会社

であると判断します。


そして、社長と銀行の間で認識が

異なると、融資の申し込みをしたときに

両者で話しが嚙み合わなくなります。


そのようになったときに、社長は

「銀行が貸し渋りをしている」と感じて

しまうかもしれません。


会社が利益を計上し、それを株主総会

承認したということまでは事実ですが、

だからといって、その会社は本当に黒字

であるかどうかという観点から見れば、

いつわりがないとは言えないでしょう。


そして、最も避けなければならない

ことは、表面的に利益を計上することで

安心してしまい、真に利益をえるための

活動に目を向けなくなってしまうこと

であると私は考えています。

 

 

 

 

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用件を聞くのは野暮

西武ライオンズの元監督の伊原春樹さんが

読売ジャイアンツのヘッドコーチを務めて

いたときのエピソードを書いていました。


すなわち「(代走のスペシャリストで

ある)鈴木尚広選手を原監督が代走に

出そうとしたところ、鈴木選手は準備は

していたものの、たまたま何らかの事情で

もたもたしてしまった。


そこで、原監督は、別の選手を代走に送り

出した。


試合が終わったあと、原監督は鈴木選手に

もたもたしていたことを叱責した」という

ものです。


もちろん、原監督は鈴木選手に期待して

いたからこそ叱責していたわけですが、

代走や代打要員という選手は、監督の

立場に立って、自分の出番が来たらすぐに

グラウンドに立てるようにしていなければ

ならないということを示すエピソードで

あると思います。


私も、10年間、銀行の渉外をしていた

ので、このタイミングが重要であるという

ことはよくわかります。


お取引先の社長から急に電話がかかって

きて、「いますぐに会社に来い」と

言われたときは、99%は社長が私に

手柄を立てさせようというときでした。


手柄というのは、長年こちらから売り

込んできた契約に応じてくれるとか、

社長の知人を紹介してくれるといった

ことです。


忙しいからといって、社長からの電話に

もし「どういったご用件ですか?」と

きいたりしたら、「そういうのなら

来なくていい」と怒って電話を切られて

しまいます。


だから、私は忙しくても、社長からの

電話には用件もきかずに「わかりました。

すぐに向かいます」とだけ答え、社長の

もとに駆け込んでいったものです。


用件を聞くのは野暮というものだという

ことを経験しました。


このようなことは、逆のことも経験して

います。


例えば、かつて、私がパソコンを買い

かえる時、このWIFIも契約すれば、

パソコンを5万円値引きするという提案を

受けたときは、積極的に必要とは思って

いなかったWIFIも契約しました。


後になってみれば、WIFIを利用して

便利さを感じたので、ちょうどよい

タイミングで契約できたと感じています。


私のような営業経験が少ないものでも

このようなことを感じている訳ですから、

今回の記事は多くの方が分かっている

ような内容だと思います。


ただ、現実には、タイミングを狙った

営業活動を実践している人は残念ながら

少数だと感じています。


私が顧問先の営業力を高めようとする

ときは、無理に押し込み販売をする

よりも、タイミングを逃さないように

することを意識しようということを

提案しています。


この機微を感じて実践するということは、

いま話題のAIなどにはとってかわる

ことができないものであり、だからこそ

血の通う人が実践すべきことだと私は

考えています。

 

 

 

 

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