鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

なぜ利益を得なければならないのか

「会社は利益を得なければならない」と

いうと、ほとんどの人は当然のことと

考えると思います。


では、「なぜ、会社は利益を得なければ

ならないのか?」という理由については

明確なものはあまり聞いたことはありま

せん。


そこで、今回は、私が考える、会社が

利益を得なければならない理由について

述べてみたいと思います。


そのひとつめは、物理的なもので、会社が

成長するために利益が必要になるという

ことです。


会社が得た利益は3つに分けられます。


ひとつめは法人税として納税され、

ふたつめは株主への配当金として

支払われ、最後は内部留保として会社に

残ります。


ところで、配当がなければ、株主は

出資をしようとする意欲が低くなり

ますが、中小企業の場合、ほとんど

配当は行われていないため、問題は、

内部留保が増えるかどうかという

ことです。


内部留保が増えるということは、

純資産の部(=自己資本)が増える

ということです。


事業を拡大するには、資産も増やさな

ければなりませんが、資産を増やす

には、自己資本も増えなければなり

ません。


自己資本が増えなくても、融資を

受けて資産を増やすことができる

のでは?」と考える方もいると思い

ますが、融資だけで資産を増やす

ことは、ほぼ不可能です。


自己資本の額を変えずに、融資だけを

増やせば、自己資本比率が低くなり、

そのような会社は不安定な会社という

ことになります。


そのような会社へは、銀行は融資をする

ことは避けますので、必ずしも増加する

資産のすべてを自己資本であてる必要は

ありませんが、増加する資産に比例して

自己資本を増やさなければなりません。


利益を得なければならない理由のふたつ

めは、会社の存在意義を維持するという

ことです。


例えば、ある会社の事業で、60円の

商品を仕入れて、それを100円で販売

しているとします。


このとき、その事業では、商品ひとつ

あたり、40円(=100円ー60円)の

付加価値を産み出しているということに

なります。


さらに、その事業の間接部門の費用が

商品1つあたり20円かかっていると

すれば、商品1つあたりの利益は20円

(=100円ー60円ー20円)という

ことになります。


もし、この会社が、80円未満でしか

商品を販売できなくなったとしたら、

この会社の事業は赤字になってしまい、

意味のないものとなってしまいます。


その理由はつぎのとおりです。


まず、商品を仕入価格の60円未満で

販売することを肯定する人はいない

でしょう。


次に、商品を60円以上で販売でき

れば、仕入価格との差額は付加価値と

なりますが、その付加価値が20円

未満(=販売価格が60円未満)で

あるとすれば、その付加価値を得る

ために、20円の費用をかけることも

肯定する人はいないでしょう。


このように考えれば、赤字の出る事業は、

意味のないことということがわかります。


これに対し、次のように反論する方が

いると思います。


ひとつめは、商品の価格が低いのは、

競争が激しい、デフレになっている、

社会的な要請などの、様々な要因がある

という反論です。


これには根本的な勘違いがあります。


そのように主張する方は、「低価格で

販売すること=利益が少なくなること」

と考えています。


しかし、大手の会社は、「低価格で販売

すること=(適正な利益を維持しつつ)

低価格を実現するしくみ(ローコスト・

オペレーション)を実現すること」と

考えています。


要は、低価格での販売は競争仕方の

ひとつであり、その目的は利益を得る

ということに変わりはありません。


ですから、自社の商品の市場価格が低い

ことが、利益を得られない理由には

ならないということです。


反論のふたつめは、「会社の事業の目的は

利益を得るためだけではない」というもの

です。


これはCSR(企業の社会的責任)などを

念頭に置いているものでしょう。


例えば、「売り手よし、買い手よし、世間

よし」といった近江商人の教えのように、

会社はもうけのことだけを考えていては

ならないというものです。


これも勘違いがあります。


CSRは、自社の属する会社の地域、国

などの発展がなければ、自社も発展しない

というい考え方であり、地域や国に貢献

することをもって、自社が赤字になる

ことを肯定することにはなりません。


もし、自社が社会にとって必要とされる

事業を行っているが、黒字を見込めないと

いうことであれば、それは、株式会社では

なく、自治体が行うべきでしょう。


民間でやらなければならないとすれば、

すくなくとも、NPO法人、協同組合、

社会福祉法人、学校法人、宗教法人などの、

特殊な事業体で行うべきと思います。


以上が、私の考える、会社は利益を得な

ければならない理由です。


ただ、会社が利益を得なければならない

理由が分かったとしても、現実的に会社が

なかなか黒字にならないという会社もある

でしょう。


だからこそ、赤字になったときは、それを

放置したり、また、経営者が自らが経営

する会社が黒字であるか赤字であるかを

把握できていないという状況は避ける

べきと思います。

 

 

 

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社長とCEO

「社長」という肩書は日本人にとって

それほど珍しくない肩書ですが、最近、

「CEO」という、わかるようでわから

ないような肩書をつけている方が増え

ました。


この、CEOについては、専門書や

解説書では「最高経営責任者」という

説明をしていますが、これだけでは

よくわからないでしょう。


なぜなら、「社長兼CEO」などという

肩書をつけている人がいた場合、

「CEOが最高経営責任者ならば、社長は

責任者ではないのか」という疑問が残ると

思うからです。


要は、Chief Executive Officerの和訳で

ある「最高経営責任者」ということば

だけでは、きちんと、CEOを説明できて

いないということです。


そこで、今回は、CEOについて説明

したいと思います。


その前に、日本の会社の経営者

(≒取締役)について説明したいと

思います。


日本の会社の取締役は、業務執行と、

監督・意思決定の2つの役割を担って

いると言われています。


(厳密には、取締役会設置会社、指名

委員会等設置会社では、業務執行を

担わない取締役も存在しますが、

ここでは、日本の中小企業の大部分が

あてはまる、取締役会を設置して

いない会社を前提に説明します)


業務執行とは、会社の事業の指揮・管理を

行うことです。


代表取締役(≒社長)は当然に業務執行を

行います。


社長以外にも「専務取締役(営業担当)」

「常務取締役(首都圏担当)」、「取締役

工場長」などの担当業務を持った役員も、

それぞれ、営業、首都圏の事業、製造部門

などの業務執行を行います。


一方、監督・意思決定は、取締役が株主の

代理人としての役割を担うことです。


株式会社は、不特定多数の株主が出資を

して、それぞれ議決権を有していますが、

頻繁に株主総会を開くことができない

ために、日常的な意思決定や事業の監督

などについては、株主の代理人としての

取締役に委任することになります。


取締役が決定することは、法律に義務付け

られている項目もありますが、それだけ

でなく、事業計画の策定、戦略の立案

などを行います。


なお、話がそれますが、中小企業などで、

株主が社長ひとりだけ、もしくは67%

以上の議決権を社長が持っているという

ような会社が多いと思いますが、この

場合、「社長の意思決定=株主の意思

決定」ということになります。


このような会社で、社長以外に取締役が

いるとしても、形式的には株主の代理人

ではあっても、実態としては、名ばかりの

取締役になってしまいます。


ところで、米国の会社では、Directorが

日本の会社の取締役に相当します。


しかし、Directorは意思決定や監督を

行う役割だけを担っています。


米国の会社で業務執行を担う人たちは、

Officerと言います。


そして、Officerの中のトップがCEOや

COOということになります。


Officerの中で、担当する部門がある人は

CFO(最高財務責任者)や、CTO

(最高技術責任者)、CHO(最高人事

責任者)などと呼ばれます。


このDirectorとOfficerの関係は、日本の

指名委員会等設置会社の取締役と執行役の

関係に似ています。


というのも、指名委員会等設置会社は

米国の会社の制度を模しているからです。


なお、米国の会社のPresidentは

Directorが就きますが、日本の指名

委員会等設置会社では、代表者(会社の

行為を会社に代わって行う人)は、

取締役ではなく代表執行役です。


ただ、日本では、社長、専務取締役、

CEOといった肩書は、法律に基づく

ものではないので、それぞれの会社が

その会社で定めた役割を担う人につける

ことになります。


もし、日本の会社で、経営者の中に

CEOの役割を担う人を置きたいので

あれば、指名委員会等設置会社にして

代表執行役に就ければよいのではないかと

私は考えています。


直ちに指名委員会等設置会社にすることは

できないものの、経営者を、業務執行を

担う人と監督・意思決定を担う人に分ける

体制にしたいということであれば、

いわゆる執行役員制度を導入し、

業務執行の最高責任者を「取締役兼業務

執行役員社長」などの肩書をつけることも

可能だと思います。


ここまで書いた内容から、私が日本の

会社でCEOの肩書をつけることを

否定的に考えていると感じる方も多いと

思いますが、決してそうではありません。


会社の運営について、透明性を高めて

いこうとする場合、CEOのような役割を

持つひとを置くことはよいことだと思って

います。


そのためにも、日本の会社にCEOが

たくさん登場することが望ましいと私は

考えています。


ただし、実態をともなわずに、単に、

外見をよくするためだけにCEOという

肩書をつけるようなことは好ましいこと

ではないと考えます。

 

 

 

 

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融資の裏技は会社の課題の先送り

私ごとで恐縮ですが、私は、毎年、人間

ドックを受診するたびに、節度ある生活を

続け、健康的な体質を目指してくださいと

注意されます。


これは至極当然のことです。


ましてや、暴飲暴食を続けても太らない

ようになる薬があるなどとは考えも

しません。


しかしながら、ビジネスの世界では、

「どんな会社でも融資を受けられる裏技が

あります」というキャッチコピーが飛び

交い、そのような裏技を信じる経営者の

方も少なからずいるようです。


私はこの「どんな会社でも融資を受け

られる裏技」というものはそもそも存在

しないと考えています。


ただ、仮に裏技があるとして、それでも

おかしいと考えます。


その理由のひとつは、銀行は融資を伸ばす

ことに努力しているからです。


銀行は融資をしなければ利益を得ることが

できませんから、黒字の会社や、赤字で

あっても、それが一過性であると考え

られる会社に対しては、ほぼ、融資に

応じるでしょう。


ですから、健全な会社では、裏技を使う

必要はないと言えます。


ここで、「中小企業はなかなか利益を得る

ことができないから、『裏技』が必要に

なることがある」という反論があると

思います。


これに対しては、「それでは、赤字の

会社に融資をすれば、その会社は利益を

得られるようになるのでしょうか?」と

逆に問いてみたいと思います。


融資によって、短期間の資金繰りは確保

できるのですが、融資によって、直接的に

会社を黒字にすることはできません。


確かに、融資によって一定の期間、資金を

確保できるので、その間に事業を黒字に

することができるということも考えれれ

ます。


そして、業績が芳しくなくても、銀行の

協力を得て、黒字になろうとして努力を

する会社はたくさんあります。


しかし、その一方で、融資による支援を

受けても、事業の改善に本腰を入れずに、

ずっと赤字から抜け出せない会社も

少なくありません。


そのような会社が、「裏技」を欲しがる

のでしょう。


そして、赤字の会社は、なぜ赤字なのか

ということを考えると、ドライな表現

ですが、顧客から支持を得られていない

からでしょう。


よく、「赤字の会社に銀行は冷たい」と

いうことをいう経営者の方がいますが、

銀行は会社の事業の結果を評価しており、

その結果というのは、顧客からの支持が

どれくらいあったかという結果です。


すなわち、銀行よりも前に、その会社は

事業のよしあしについて、顧客からの

評価を受けているわけです。


これは、経験的に感じるのですが、

銀行の融資姿勢に批判的な中小企業の

経営者の方は、どういうわけか、顧客

からの自社の評価についてはあまり

関心がありません。


その理由としては、私の想像ですが、

事業を継続させるための対策として、

顧客から支持を得るようにすること

よりも、銀行に融資を依頼することの

方が容易と考えているからではないで

しょうか。


これは、前述のように、融資を受けても

会社の事業は黒字になるわけではない

ので、本質的な課題から目をそらして

いるに過ぎません。


ここで話をまとめると、銀行は融資を

伸ばすことには積極的なので、黒字の

会社は、融資を受けるための裏技は

必要ない。


赤字の会社は、いわゆる「裏技」という

ものを使い、一時的に事業を継続させる

ことで、事業体質を改善するという

本質的な課題に取り組むことを避けようと

していると考えらえる、ということです。


要は、ゆでガエルの状態から早く抜け出す

ことが大切ということです。

 

 

 

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リーダーシップと会社の業績

リーダーシップについては、さまざまな

研究が行われていますが、リッカートの


その中で、私が面白いと思ったものに、

米国の心理学者である、リッカートの

唱えた、システム4理論があります。


リッカートは、リーダーシップによる

組織の管理システムを次のように、

4つに分類しました。


システム1:権威主義・専制型

リーダーは部下を信頼しておらず、意思

決定に参加させない一方で、部下は恐怖に

よって働かされる。


システム2:温情・専制型

リーダーはあまり部下を信用しておらず、

多くの意思決定はリーダーが行う。部下に

対しては飴と鞭により動かそうとし、

部下はリーダーを恐れながら仕事をする。


システム3:参画協調型

リーダーは部下の大部分を信用し、

最終的な決定はトップが行うものの、

個別的な事項に関する決定の権限は

部下に委譲されている。コミュニケー

ションも確保され、部下の管理活動への

参画も動機付けとなっている。


システム4:民主主義型

リーダーは部下に全幅の信頼を置いて

おり、意思決定も全員で行われる。かつ、

コミュニケーションも確保され、組織と

しても統率されている。


組織の状況や、おかれている環境に

よって望ましいリーダーシップの

あり方は変わると思われ、どれが優れて

いて、どれが劣っているとは言えないと

思いますが、リッカートによれば、

システム4の状態の会社が最も業績が

よいとしています。


このように書くと、民主主義型の

リーダーシップを目指すことが

望ましいということになりますが、

しかし、実は、民主主義型のリーダー

シップを実現するには、ある程度の

前提条件が必要になると私は考えて

います。


それは、従業員の方たちの習熟度です。


なぜなら、従業員の方たちにも意思

決定に加わってもらうことになる

からです。


しかし、これは、これまで私が何度も

述べてきていますが、一朝一夕で実現

することは難しいことです。


でも、業績のよい会社を目指すには、

このようなリーダーシップを実現

することがいちばんの近道であると

私は考えています。


とはいえ、多くの会社では、短期的に

利益を得たいと考える方が多く、結果と

して、温情・専制型か、または、権威

主義・専制型のような、リーダーシップ

でしか会社を率いることができない

経営者が多くなっていると思います。


今回の結論も、これまで私が述べてきて

いることと重なりますが、従業員の方の

習熟度を高めることが大切ということ

です。


従業員の方たちの習熟度が高まれば、

競争力が高い会社になることは間違い

ありません。


(リーダーシップ論については、

拙著「図解でわかる経営の基本

いちばん最初に読む本」を参考に

していただけると幸いです。

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決算書の作成は誰のために行うのか?

私が融資のご相談を受ける会社は、業績が

あまり芳しくない会社が多くを占めます。


そこで、そのような会社が融資を受け

られるようになるためには、赤字の原因、

その対策、今後の見通しを添えて、銀行に

融資を依頼することになります。


ところが、その会社の赤字の原因を調べ

ようと思っても、実は、すぐにはそれが

分からないということがよくあります。


社長に赤字の原因をきいてみても、

それが社長の想像に過ぎないことも

よくあります。


では、なぜ赤字の原因がすぐにわから

ないのかというと、そのような会社の

決算書は、最終損益が分かるためだけの

最低限の経理しか行われていないから

です。


では、どのような経理が望ましいのかと

いうと、直接費(売上原価など)、間接費

(主に販売費・一般管理費)が明確に

わかる、または、顧客別、製品別、

部門別に損益がわかるという損益計算書が

望ましいと言えます。


しかし、そのようなことが分かるように

なっていない会社の場合、私は、伝票

などの資料までたどり、赤字の原因を

探るようにしています。


その結果、社長が考えていた赤字の

原因と、実際の赤字の原因が異なることが

あります。


例えば、社長は採算がとれていると思って

いた製品は、粗利益は得られているものの

固定費を吸収するほどの粗利益は得られて

いないために、結果として赤字になって

いるというような例は珍しくありません。


このような会社は、社長が改善すべき点を

分かっていない訳ですから、いつまで

経っても、業績は改善しません。


むしろ、悪化するばかりでしょう。


そして、そのような会社は、決算は行って

いるものの、それは法律で義務付けられて

いる、税務署に申告しなければならない、

という理由だけで決算を行っているので

あり、自社の業績の改善にはまったく

役立ててはいません。


さらに悪いことには、そのような会社の

経営者の方の中には、決算書作成は、

税務署や銀行のために行っているものと

いった認識をしている場合もあります。


このような会社は少ないですが、利益を

得るために行っている事業活動なのに、

利益が出ているかどうかを経営者の方が

分からない状態になっているという

ことはおかしな状態です。


話しを戻して、決算書は、経営者の方が

進むべき方向を誤らないための指針を

調べるための最低限の資料です。


決算書をしっかり活用することなしに、

業績を改善したり、銀行からの融資を

容易に得られるようになったりする

ことはないでしょう。

 

 

 

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部分最適から全体最適へ

私は、よく、どんな仕事をしているのか

分からないと言われます。


「経営者である社長の仕事のお手伝いを

しています」と述べても、抽象的なので、

イメージがしにくいと思います。


具体的には、そのお手伝いのなかの

ひとつをあげると、組織としての会社の

能力を高めること、すなわち、組織能力を

高めることのお手伝いをしています。


このように述べると、「人材育成ですか」

ときかれることがあります。


人材育成も大切であり、組織の能力を

高める一つの要素ではありますが、組織

能力を高めるというのは、個々人の能力の

向上ではなく、組織としての能力を発揮

することです。


よく、「ふたりで力を合わせれば、それは

1+1=2ではなく、3にも4にもなる」

と言われますが、この、組織のとしての

総合力を高めることです。


では、1+1=3にするにはどうすれば

よいのかというと、従業員の方たちが

部分最適ではなく全体最適の考え方で

活動することです。


部分最適全体最適など、大袈裟な表現を

使いましたが、簡単に言えば、自分のこと

だけを考えず、会社全体のことを考え

ながら働くということです。


これは、理解もしやすいし、また、賛同

する方も多いと思うのですが、これの

実践はなかなか難しいようです。


「水は低きに流れ、人は易きに流れる」と

よく言われているように、「自分のことで

精一杯」という方が結構多いのが現実では

ないでしょうか?


でも、これを実現することが経営者の方の

役割であり、そのお手伝いをするのが、

コンサルタントである私の役割です。


では、具体的にはどうやってそれを実現

するのかというと、5S活動、QCサー

クル、BSCの導入などを行います。


ただ、これらを実践しても、効果は一朝

一夕では現れません。


そこで、多くの経営者の方は、「●●式

売上倍増法」などといったキャッチ

コピーにつられて、場当たり的な対策を

取り入れることを繰り返し、結果として

遠回りをしてしまう傾向にあると私は

考えています。


組織能力の向上は、それを実践しても

直ちに芽が出ないものの、会社経営者と

しては避けられないことであり、それに

取り組むことが、遠回りのようで、実は

近道であると私は考えています。

 

 

 

 

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大企業勤務の薦め

起業をした方の中には、いったん、

大企業に勤務されたのちに、独立したと

いう方が少なくありません。


起業するには、必ずしも大企業に勤務する

経験が必要ではありませんが、可能で

あれば、大企業に勤務することをお薦め

したいと思います。


では、なぜ、大企業での勤務を薦める

のかというと、そのひとつは、会社と

しての規則を学ぶことができるという

ことです。


会社は組織として事業活動を行いますが、

そのためにはいろいろな規則があります。


対外的には法律や契約書があり、内部に

ついては、職務分掌規定、職務権限規程、

稟議規定、経理規則、就業規則などが

あります。


多くの人をたばねて活動するには、

これらの規則が欠かせませんが、中小

企業では、規則はあまり意識されて

いません。


就業規則など、法律で義務付けられて

いるものもあります)


中小企業では、阿吽の呼吸で意思が

伝わることが多いので、規則の必要性を

あまり感じないことがありますが、

徐々に組織が大きくなってくると、

規則を作らざるを得なくなり、その時に

なって苦労して作ることになるでしょう。


もし、社長が大企業で勤務した経験が

あると、規則の必要性を認識し、早い

段階で規則作りに取り組むことが

できるでしょう。


そして、ここで付け加えておきたい

ことは、規則を理解したり、規則の

必要性が理解できれば、会社の仕組みも

理解できるようになるということです。


もし、これを理解せずに会社を起こした

場合、雇い入れた従業員や取引先との

関係は、人間関係だけの取引になり易く

なってしまうでしょう。


つぎに、大企業に勤務することを薦める

理由のふたつめは、多くの会社と接触

できることです。


独立して最初にぶつかる壁は、「看板」が

ないことです。


しかし、大企業に属しているときは、

会社の看板で、多くの会社と、しかも、

社長や重役とも話ができる機会に恵まれ

ます。


もちろん、会社を退職すれば、看板が

なくなるので、起業してからは、かつての

取引先の人たちとは接触できなくなり

ますが、それでも、大企業勤務時代に

取引先とお話ししていた経験は、独立後も

大いに役立ちます。


それは、取引先の属する業界の事情や

その会社の仕事の仕方などの知識を

学んだり、取引先の経営者との接し方

などを経験したりすることは、大企業の

従業員でなければできないことでしょう。


ただし、必ずしも、大企業の勤務経験が、

起業にとってよいことにつながるとは

限りません。


例えば、クリエイティブ系の事業は、

従来の会社の経営の方法にとらわれる

ことは、あまり好ましくないでしょう。


ただ、製造業や小売業といった事業に

ついては、大企業の勤務経験が役立つ

ものと思います。


学生の方などで、会社を起こそうと

考えている方は、大企業の勤務ののち、

独立することもぜひご検討してみては

いかがでしょうか?

 

 

 

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