鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業と会計

私は専門的に中小企業の財務面での

お手伝いをしていることから、多くの

会社の決算書を見させていただく

機会があります。


決算書は当然のことながら記載する

内容には規則があり、内容そのものは

どの会社の決算書も同じです。


(もちろん、会社によって数値は

異なります)


ところが、内容が同じであればよい

ので、決算書には統一されたフォー

マットはありません。


そのため、会社ごとに、決算書の

フォーマットがあり、そのフォー

マットに慣れるまで、少し時間が

かかることが多くあります。


もちろん、その会社の経営者の方は、

自社の決算書だけを見る機会しかない

ので、自社の決算書には慣れている

とは思ったのですが、自社の決算書

でさえあまり見ない人にとっては、

何が書いてあるのかわからない

のでは?と感じました。


私は、機会があるたびに、経営者の

方は、会計の情報を事業運営に活用

するように述べておりますが、

会計資料が見にくいと、経営者の

方は、資料を見ようとする意欲を

なくしてしまうのではないかと

考えています。


私は、事業改善をお手伝いしている

会社には、簡易なBSCを導入して

実践してもらっています。


その際、戦略の達成度合いを測る

KPIは何にするのかということは

重要な要素です。


KPIとは重要業績評価指標のこと

ですが、単に、どんな指標でも

KPIにすればよいということでは

ありません。


例えば、顧客満足度を高めるという

戦略を行う場合、何をKPIに

すればよいかという課題ができます。


もちろん、満足度調査をすることが

最も適切なのですが、それを頻繁に

行うことはできません。


そこで、リピート率、顧客単価、

来店頻度などの間接的な指標で顧客

満足度を測ります。


しかし、これらの数値も、なかなか

計測は難しいようです。


なぜなら、多くの中小企業の場合、

顧客管理を行っている会社は多く

ありません。


また、売上についても、どんな顧客か、

何を買ったかということを区別せずに、

売上という勘定科目だけでしか計上

していない会社も少なくありません。


最近の会計ソフトは、補助科目も充実

しているので、多少は、部門ごとに

売上を把握することができるように

なっていますが、経営者が部門ごとの

売上を見ているという例もあまりあり

ません。


ここまで、会計業務について否定的に

書いてきたのですが、その最大の

要因は、経理業務は税務申告のために

最低限のことだけを行おうという

考え方をしている会社が圧倒的に

多いということだと思います。


その結果が、冒頭に述べた、分かり

にくい決算書というものとなって

現れるのだと思います。


これは、会計データを事業運営に

活用するようにすればよいという

ことで解決するのですが、さらに、

このこと自体も、中小企業では

なかなか難しいようです。


というのは、多くの中小企業の

経営者の場合、事業には精通している

ものの、会計にまで知識を持っている

人は多くないからです。


この点についてはやむを得ない面も

あると思うのですが、逆に、会計の

専門家が事業に関する知識を持って

いるという人も、決して少なくはない

ものの、割合としては低いと感じて

います。


会計は事業の成績を表すことが目的

なのですから、事業のことが分から

ないという状態は好ましくあり

ません。


逆に、事業は利益を出すために行って

いるわけですから、会計について

分からないという状態は好ましく

ありません。


事業に携わっている人は、会計に

関心を持って欲しいと思うし、

会計に携わっている人は、経営者に

役立つ資料を提供できるような

工夫を行える能力を高めて欲しいと

思っています。

 

 

 

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運転資金とは

銀行へ融資の申し込みをするときは、

当然のことですが、事業資金が不足する

からです。


融資の目的が、機械や設備を購入する

ためのものは設備資金と言われますが、

それ以外は、いわゆる、運転資金と

呼ばれています。


ところが、運転資金の融資の申し込みは

必ずしも応じてもらうことができるとは

限りません。


事業に必要になる資金は、広い意味での

運転資金と呼ばれますが、狭い意味での

運転資金でないと、前向きな融資と

判断されません。


狭い意味の運転資金とは、分かりやすく

いうと、収支ずれのことです。


例えば、売上高が増加すると、棚卸

資産や売掛金受取手形が増加します。


その一方で、買掛金や支払手形も増加

しますが、一般的に、棚卸資産などの

増加額の方が大きいので、その差が、

資金不足となります。


これが、増加運転資金、または、経常

運転資金と言われ、狭い意味での運転

資金です。


この運転資金は、業況が順調に推移

していることにより資金不足となる

ことから、銀行から見て前向きに

応じてもらえる融資ということに

なります。


しかし、これ以外にも、資金不足が

発生することがあります。


例えば、仕入価格や製造原価とほぼ

同じ価格かそれ以下でしか商品や

製品を販売できないときは、採算が

得られない状態が続いていることに

なり、不採算となっている金額だけ、

資金が不足します。


また、棚卸資産のうち、何らかの事情で

販売できなくなったものが発生した、

売掛金受取手形のうち、商品や製品に

欠陥などがあったために、回収できなく

なったという場合も資金が不足します。


これら以外にも、さまざまな資金不足の

理由があるのですが、単に「運転資金を

融資して欲しい」とだけ銀行に伝えて

融資の申し込みをすると、銀行は、

資金が不足する理由を分析します。


それが、業況がよいことによって資金

不足となるのであれば、直ちに融資に

応じてもらえるのですが、そうで

なければ、詳細な事情をきかれるか、

融資を断られることになります。


今回の結論としては、いわゆる運転

資金が不足するときは、なぜ、不足

するのかを自社で把握し、もし、

その原因が赤字などであれば、融資の

申し込みにあたって、改善策も説明

する必要があります。


しかし、現実的には、そこまで行う

ことが難しいことも多いでしょう。


そのような会社は、6か月程度の資金繰

予定表を作成し、毎月、銀行に提示する

だけでも、銀行の対応は大きく変わる

でしょう。


そのような報告をしているだけでも、

仮に赤字による資金不足であっても、

銀行からの助言を得ながら融資による

支援を受けられる見込みが大きく

なります。

 

 

 

 

 

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事業計画とは

事業計画という言葉は多くの方が口に

していますが、具体的にはどのような

内容が必要なのかということまで

は分からないという方も少なくあり

ません。


とはいえ、事業計画には、どのような

内容を盛りこまなければならないのか

という規則はないので、目的が達成

できるのかどうかということで内容が

決まるということになります。


そして、事業計画は、役員・従業員

向け、銀行向け、投資家向けなど、

用途もさまざまなので、用途によって

内容にも違いが出てきます。


ただし、ここでは、中小企業に

馴染みのある銀行向けの事業計画に

ついて説明したいと思います。


銀行向けの事業計画は、主な内容は

将来の損益計算書が主な内容を占め

ます。


そして、その損益計算書の根拠と

なる製品や商品の内容、顧客の

見込みなどを記載します。


この事業計画は、創業時の融資を

受ける際には必須の資料となります。


ところが、私が創業融資のご相談を

受ける中で、約半数は、事業計画が

ないという状態の方です。


したがって、融資申請を始める前に、

事業計画を作成するということに

なり、融資申請の相談というよりも、

創業の相談ということになります。


しかし、事業を始めることは決めては

いても、その見通しまでは確認して

いないことから、中には、事業計画を

作成していく中で、事業がうまく

行きそうにないということが判明して

くることもあります。


このような例があるのは、開業する

ことが目的(=ゴール)と考えており、

その後のことまでは検討していない

という場合ということでしょう。


「事業計画も持たないで創業しようと

する人がいるのか」と思われる方も

多いと思いますが、実際に、開業を

目的と考える方が多いのも事実です。


とはいえ、中には、私が相談を受けて

から事業計画を作成しても、成功する

見通しが高い、または、実際に開業

してみて事業が順調に軌道に乗ると

いう例もありますので、事業計画が

ないことをもって、事業が成功しない

ということにはなりません。


しかしながら、無計画な状態で開業

しようとすることは、競争が激しく

なっている時代にあっては、成功する

確率は低くなりつつあると言えます。


ここで、今回の記事の結論ですが、

無計画な状態での創業は避けるべき

ということです。


ただ、なぜ、無計画な状態で創業

しようとする人がいるのかという

ことを探っていくと、時間的な余裕が

ないということが多いようです。


裏を返せば、創業までの準備期間が

十分であれば、成功する確率も高く

なると私は考えています。

 

 

 

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補助金は万能ではない

最近は、景気浮揚策として、ものづくり

補助金や、小規模企業持続化補助金など、

たくさんの補助金が登場しており、

私にも補助金に関するお問い合わせが

多く寄せられています。


補助金は、融資と違って、受け取った

お金は返さなくてもよいということが

最大の魅力です。


私も、これまでに、何件もの補助金

採択を受けた方のお手伝いをしてきて、

とても喜ばれてきました。


しかしながら、補助金を受け取る

ことが必ずしも得策ではないという

例もありますので、今回は、補助金

関する注意点について述べたいと

思います。

 

(1)タイミングが限定的


補助金は、募集期間が明確でなく、

かつ、補助対象期間も採択後、

約1か年となっており、申し込む側に

ほとんど選択の余地がありません。


創業しようとする事業に補助金

利用しようとすれば、前もって申請の

準備をしておき、募集が始まってから

直ちに申請しなければなりません。


裏を返せば、募集期間が限定的に

なっていることは、利用希望者を

限定してしまうことになり、これに

ついては、私は、補助金の最大の

短所であると考えています。

 

(2)補助の目的が限定的


補助をするという性格から、ある程度は

弱者対策や雇用創出などの国の政策に

合致する事業に対して補助を行うという

ことは当然です。


そして、自社の行おうとしている事業と

補助金の対象としようとする事業が一致

していればよいのですが、補助金を得る

ために、無理に補助金の対象となる

ような事業を始めようとする方がも

見ることがあります。


このような場合、本来は、自社の事業を

遂行することよりも、補助金をもらう

ことが目的となってしまうという、本末

転倒の状態となってしまい、補助金

採択されても、事業の実施段階になって

取り下げをしたり、事業を実際に開始

してみても、補助対象の事業を着手しな

かったりするという例も見られます。


したがって、自分が始めたい事業と、

補助金の目的が一致しているかという

ことを、前もって見極めてから申し込む

ことが大切です。

 

(3)補助金は後払いである


補助金は事業資金の調達の負担を減らす

ことにはなりますが、いったん、自社で

全額を支払い、補助対象期間の終了後に

支出を報告し、それが補助対象の支出と

合致しているかを補助金事務局が確認

してから、補助金を受け取ることが

できます。


したがって、創業融資のように、自社が

事業を始めようとするときの資金不足を

埋め合わせることには利用できません。


また、補助金の対象は限定されており、

例えば、補助対象の事業に利用する

ためであっても、用途に汎用性のある

パソコンは補助対象にはなりません。


このような細かい規定があるために、

補助対象になると思って支出した

費用が、補助金事務局には、補助

対象の支出として認めてもらえない

ということも希にあります。


また、これもレアケースですが、

補助対象事業を実行してみて、うまく

軌道に乗せられなかったとき、事業

そのものを実行できていないと

補助金事務局が判断したときは、

補助金をまったく得られなくなって

しまうということもありますので、

注意が必要です。

 

(4)手続きが煩雑である


補助金の申請をするためにもかなりの

労力が必要ですが、補助対象事業が

採択された後も、補助金をもらうための

資料を揃えることは、慣れない会社に

とっては負担に感じると思います。


例えば、補助金の対象の設備を調達する

際には、相見積を取り、調達前の現場の

写真、設置中の写真、設置後の写真を

撮って置くという手間が必要です。


補助対象事業に関わる従業員の給与に

ついても、雇用契約書のコピーや、

勤務状況が分かる資料、給与の支払が

分かる資料をコピーして置かなければ

なりません。


さらに、補助金を受け取っても、その後、

5か年は、事業の状況を報告しなければ

なりません。

 

(5)融資もあわせてアレンジする

必要がある


特にものづくり補助金に当てはまる

ことですが、補助金の金額が大きく

なると、それにともなって、補助対象

事業を遂行するには、多額の融資が

必要になることがあります。


しかし、補助金の審査は、補助対象と

なる事業が補助金の目的と合致して

いるかどうかという視点で審査される

ため、それは、銀行から見て、融資を

したくなる事業という視点で審査された

訳ではありません。


したがって、補助金が採択されたから

といって、必ずしもその事業に銀行が

融資をしたくなるということにはなり

ません。


多くの場合は、銀行は、補助金が採択

された会社に積極的に融資を行うと

考えられますが、補助金が採択され

たのに、銀行から融資を得られないと

いうことになると、補助金の申請の

ための労力が無駄になってしまうので、

申請の段階から銀行にも相談をしながら

申請を行う必要があります。

 


ここまで、補助金についてネガティブな

要素をあげましたが、私は、補助金

対して決して否定的ではありません。


補助金を得るためには、前述のような

負担があるとしても、補助金相当額の

利益を得るための労力の方が大きいと

私は考えています。


自社の事業が補助金の対象となるという

見込みがあれば、積極的に利用すると

よいと私は考えています。


ただし、実際に申請してみてから、

「こんなはずではなかった」という

ことにならないよう、前もって、

補助金の特徴を十分に理解しておく

ことが大切です。

 

 

 

 

 

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管理会計の薦め

私は、中小企業の融資申請のご支援を

させていただくことが多いのですが、

実は、何か特殊な技術を持っていると

いうことはありません。


実際に、私のようなものを頼らずに、

独力で銀行から融資を受けている

会社は圧倒的に多いでしょう。


業績がよい会社は、独力で銀行から

融資を受けられるのは当然ですが、

黒字とはいえ業績が万全と言えない

会社や、赤字の額が少額の会社は、

融資を申し込んだ銀行の職員の会社の

状況を汲み取る能力が高い場合か、

会社が銀行に対して上手に自社の

状況を説明できる場合も、独力で

融資を受けられるでしょう。


会社が深刻な赤字になっていな

ければ、銀行は直ちに融資を断る

ということはしません。


しかし、将来の見通しを見るに

あたって、なぜ、現在、苦戦して

いるのかとうことが分からな

ければ、融資申込を受けても、

それを判断することができません。


よく、「会社が赤字だから銀行に

融資を断られた」と言われますが、

厳密には、「会社が赤字の理由を

うまく説明できなかったから、

銀行に融資を断られた」という

ことになるでしょう。


ここまで長々と述べてきましたが、

要は自社の状況が説明できるか

どうかが融資の応諾の鍵になっている

ということです。


ここで、「ちゃんと自社の業況に

ついて説明したけれど、融資を断ら

れた」という経験をお持ちの方も

いると思います。


これについては、ケースバイケース

なので一概には言えないのですが、

私が銀行に勤務していたとき、

長時間にわたって会社の説明を

受けたけれども、銀行として聞きたい

内容はお話ししてもらえなかった

という経験は多くありました。


得てして、長時間の説明をする

経営者の方は、情緒に訴えようとする

傾向にあり、お話している内容の

客観的な根拠などはほとんどなく、

結果として、融資判断の材料とはなり

ませんでした。


長時間お話しするよりも、伝えたい

ことを文章や資料で提出していただく

ことの方が説得力が何倍も高く

なります。


客観的な資料がなければ、どれだけ

お話をされてもあまり意味はあり

ません。


それでは、どのような資料を提出

すればよいのかということになり

ますが、冒頭に述べたとおり、

何ら特殊なものではないと私は

思っています。


例えば、顧客別売上、製品部門別

売上、地域別売上などの過去の

推移があるだけでも、銀行は業況を

把握しやすくなります。


また、資金繰予定表が作成してある

だけでも、なぜお金が不足している

のかということを、銀行は容易に

理解できます。


そして、これらの顧客別売上高の

推移や資金繰予定表などの資料は、

銀行だけが求める特殊な資料では

ありません。


これらの資料は広く一般的なもの

であり、自社が、より効率的な事業

運営を行うためにはとても有用な

資料です。


とはいえ、これらの資料を作る

ことは、多くの中小企業にとって

負担と感じるようです。


現実的には、数か月遅れで月次試算

表を作成しているという会社が多く、

さらには、月次試算表も作成して

いないという会社も珍しくあり

ません。


ここで、この記事の結論として、

きちんと資料を作成していれば、

銀行からの融資を受けやすくなると

書くこともできますが、今回お伝え

したいことはそのようなことでは

なく、融資申込にあたって銀行が

欲しいと感じる資料は、特殊な

ものではなく、一般的な管理会計

資料であるということです。


銀行が求める資料は、自社に

とっても役立つ資料であり、

「銀行から出せと言われたから作成

している」と考えることなく、

「自社の業況の改善に役立つ資料を

作成する」と考えるだけでも、管理

会計の資料を作成するきっかけと

することができると私は思って

います。


直接の因果関係は把握していま

せんが、業況のよい会社は、きちんと

管理会計の資料を活用している点で

共通しているということも事実です。

 

 

 

 

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セルフエンプロイーとビジネスオーナー

セルフエンプロイーとビジネスオーナーは

「貧乏父さん金持ち父さん」の著者として

有名な、ロバートキヨサキさんの著書、

キャッシュフロークワドラント」

( http://amzn.to/2tgfeE2 )に登場する

言葉です。


ロバートキヨサキさんの記述の主旨は、

「お金持ち」になるためには、まず、

ビジネスオーナーになって、どのような

会社が繁盛するのかを見極められるように

なり、次に投資家になって上手な投資が

できるようになることだということです。


私はロバートキヨサキさんのお考えには

賛成なのですが、今回、お伝えしたい

ことは、会社を設立しても、セルフエン

プロイーでは、あまり意味がないという

ことです。


セルフエンプロイーとは、自営業者の

ことを指します。


日本で自営業者と言えば、個人事業主

などを指し、会社を設立して会社役員に

就いていれば、会社経営者と呼ばれます。


ただし、ロバートキヨサキさんの指す

セルフエンプロイーとは、自営業者だけを

指すのではなく、肩書が会社役員でも、

自らが事業に組み込まれていれば、

その会社役員もセルフエンプロイーの

範疇に入ります。


これだけでは分かりにくいと思います

ので、ロバートキヨサキさんの言葉を

引用したいと思います。


「事業を始めようとしている人に対して、

マクドナルドのハンバーガーより

おいしいハンバーガーを作れるかという

質問をすると、ほとんどの人が作れると

回答する。


続いて、マクドナルドより優れたビジ

ネスを作れるかという質問をすると、

質問の意図を分かる人と分からない

人に分かれる」


2つめの質問で、質問の意図が分かる

人はビジネスオーナーで、分からない

人がセルフエンプロイーです。


別の言い方をすれば、自らがビジネスの

中に役割を持っている人は、セルフエン

プロイーであ、ビジネスの仕組み作りを

担おうとする人は、ビジネスオーナーと

いうことです。


これは私の私見ですが、前述の通り、

日本では会社の役員という地位に就いて

いる人を経営者と呼びますが、そのような

方であっても、セルフエンプロイーで

あれば、経営者としての役割を必ずしも

担っているとは限りません。


これまでに、私は、自らが設立した会社の

代表取締役に就任しているにも関わらず、

事業の取引相手に「社長さま」と呼ばれ

ても、あまりピンとこないと感じると

いう方に何人かお会いしています。


そのような方は、セルフエンプロイーで

あるからでしょう。


では、なぜ、会社を設立しても、セルフ

エンプロイーでは、あまり意味がないと

私が感じているのかというと、現在は、

ビジネスの仕組みの巧緻が事業の成否を

決める要因であり、これからは、増々、

その傾向が強くなってきているという

ことです。


少なくとも、これから、自社の事業を

大きくしていきたいと考えている方は、

ロバートキヨサキさんのいう、ビジネス

オーナーになることを目指すべきであると

私は考えています。


最後に、誤解がないように付言させて

いただきます。


私は、セルフエンプロイーは劣っていて、

ビジネスオーナーは優れているという

ようには考えていません。


また、「経営者」はセルフエンプロイーに

なることは避けるべきであって、ビジネス

オーナーを目指さなければならないという

ようにも考えていません。


事業の内容によっては、例えば、個人の

独創的な仕事をする事業は、セルフエン

プロイーが望ましいでしょう。


かくいう私自身も、セルフエンプロイー

です。

 

 

 

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メインバンクを持つことの薦め

一般的にメインバンクとは、ある会社が

複数の銀行から融資を受けているときに、

その中で融資額が最も大きい銀行のことを

指します。


しかし、日本には、メインバンク制という

慣行があります。


これは、メインバンクは、融資先の業況が

大きく傾いたときは、他の融資をしている

銀行との調整を図りながら、再建のための

支援をするという慣行です。


再建のための支援とは、追加融資を実行

するにとどまらず、銀行から役員を派遣

したり、新たな販売先を紹介したり、

新たな出資者を紹介したりするなど、

金銭的な支援にとどまりません。


こういう制度があったことが、かつての

日本の経済成長を支えてきたとも言われて

います。


最近の例では、「不適切会計」を行った

ことなどによって事業継続が極めて困難な

状況になっている大手家電メーカーが、

主力銀行団が引き続き支援するという

声明を出していることによって、大きな

混乱にならないでいるというものが挙げ

られるでしょう。


ところで、ここまでの説明からもわかる

とおり、メインバンクの役割を担う銀行は

ある程度の負担をすることになります。


会社の再建のためには、融資の一部を免除

したり、役員を派遣したり、支援のための

職員の労力が必要になります。


また、融資先の再建のためのノウハウや、

販路の拡大のために豊富な営業情報も

必要になります。


実は、私は、このような金銭的、そして、

非金銭的な資源の多さこそ、銀行の強さで

あると思っています。


リスクをとって融資できるかどうかという

のは、このような資源の多寡によると

いえるでしょう。


そして、このことからも分かる通り、

すべての金融機関が、このメインバンクの

役割を担えるとは限らないということを

知っておくことも大切だと思います。


これを見分ける方法は、一概には言い切る

ことはできないのですが、メガバンク以外

では、まず、銀行の融資規模が参考となる

でしょう。


具体的には、融資総額が2兆円から3兆円

以上あるかどうかだと思います。


これは、信用金庫であっても、2兆円を

超える融資を行っているところもあれば、

融資額が1兆円を下回っている地方銀行

ありますので、単に、銀行だからメイン

バンクの役割を担える、信用金庫だから

メインバンクの役割を担えないという

ことにはなりません。


この金融機関の融資額は、それぞれの

金融機関のWebPageに掲載されて

いる、ディスクロージャーで容易に知る

ことができます。

 

次に、融資に積極的かどうかということも

参考になります。


融資先への支援に自信がある銀行は、

融資に積極的になることができます。


これを見分けるには、オーバーローンか、

それに近い状態にあるかどうかという

ことで判断できます。


ただし、これを知ることは難しいの

ですが、おおよそ、融資額の預金額に

占める割合が80%以上であれば、

融資に積極的と言えるでしょう。


現在は、複数の金融機関から融資の

アプローチを受けることは珍しく

ないと思います。


ある程度は、いろいろな金融機関と

取引をすることは良いことであると

私も思います。


しかし、脈略なく多くの金融機関から

融資を受ければよいということでは

ありません。


いざというとき、親身になって融資を

してくれる銀行と深い取引をする

ことが、自社が積極的に事業展開を

できるようになる足がかりとなります。

 

 

 

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※写真と本文は関係ありません。