鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

顧客に信頼される要因

先日、公認会計士の加藤茂さんの制作する

ポッドキャスト番組で、かつて、大手物流

会社でクレーム処理の責任者でもあった、

実演販売のマネジメント会社の株式会社モ

サクロ代表取締役比江嶋亮さんが、上手な

クレーム処理法についてお話しされておら

れました。


(ご参考→ http://ka-real.com/f062/


比江嶋さんによれば、早く事を治めたいと

いう思いから、単に謝罪だけすることは得

策ではない。


不満を感じた顧客は、どうして不具合が起

きたのかということをききたがっている。


それについて言及しなければ、会社側の逃

げようとする姿勢を感じ取ったり、自分の

要望を真正面から受け止めようとしていな

いと感じてしまい、ますます不満が大きく

なる。


一方で、顧客のききたいことを話し、さら

に、顧客からはきかれてはいないことでも

のの、それに関わることがらでさらに深い

ことについてもお話しすると、逆に、その

人は信頼される。


比江嶋さんも、クレーム担当をしていた時

は、そのような対応をした結果、「会社に

は不満があるが、あなたは信用する」とい

うように、顧客との間に信頼関係が産まれ

クレーム処理が早く終わるという経験をし

たことがあるそうです。


このお話しをきいて、私は、自分が銀行で

働いていたときのことを思い出しました。


私が勤務していた銀行では、信用不安から

多くの預金者が預金を引き出したことがあ

りました。


でも、当時の預金保険の制度では、現在の

ように1,000万円という上限はなく、

全額が保護されていたので、銀行が破たん

しても、預金を失うということはありませ

んでした。


それでも預金を引き出す人がいたというこ

とは、自分が預金をしている銀行が破たん

するということになったとき、それが未知

のことになるから、いくばくの不安を無く

したいという思いがあったのでしょう。


ところで、預金を引き出した預金者には、

普段、銀行職員との接点が少ないという点

で共通していました。


むしろ、私と懇意にしていた何人かの預金

者の方からは、「自分は、あなたの銀行を

応援したいので、預金を引き出すようなこ

とはしない」と、励ましの電話をいただい

たりもしました。


結論は、顧客から信頼を得るためには、顧

客と意思疎通できる状態かどうかというこ

とだと思います。


預金を引き出した預金者の方は、預金をし

てはいても、「銀行は大丈夫なのか」とき

くことがある職員がいなかったことが、預

金を引き出す要因の大きな部分を占めてい

たのだと思います。


でも、銀行職員と接点があり、自分のきき

たいことをきくことができる人は、預金を

引き出す前に、銀行職員に問い合わせをし

て、賢明な判断をすることができたでしょ

う。


私も、預金者の方から「おたくの銀行は大

丈夫なのか?」と問い合わせを受けたとき

は、預金保険があるということを説明する

前に、「手前どもの銀行は、きちんとした

経営をしていますので、短期的な状況や、

根拠のない風評に左右されないようご注意

ください」とお伝えするだけで、大部分の

方は、落ち着いた行動をされました。


これは、少々手前みそになりますが、「き

ちんとした経営をしている」という説明を

するからには、普段から私が信頼される行

動をしていたということが前提です。


話しを比江嶋さんのことに戻すと、比江嶋

さんは、顧客のききたいことを話さずに、

謝罪だけすることは得策ではないとお話し

されたおられましたが、クレームを起こし

てしまうと、とにかく謝罪をしなければと

思ってしまう人が多いようです。


これも、冷静に見れば容易に理解できるこ

となのですが、ピンチになったときこそ、

その場のことを取り繕うとするのではな

く、真に顧客の求める行動をとることがで

きるかどうかが問われているということ

を、かつての私の経験と重ね合わせて、改

めて感じました。

 

 

 

 

 

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クライアント力

先日、エグゼクティブコーチングトレー

ナーの秋山ジョー賢司さんのポッドキャス

ト( https://goo.gl/T4BKL3 )を聴きまし

た。


このエピソードでは、リスナーの方から、

税理士やコンサルタントなどの外部専門家

を選ぶポイントについて教えて欲しいとい

う質問について、秋山さんが次のように回

答しておられました。


ひとつは、自分を魅了させる専門家に支援

を依頼するということです。


こうすることで、支援を受けることに積極

的になることができ、フィーに対して高い

パフォーマンスを得ることができるという

ことです。


そして、ふたつめは、自分を魅了する専門

家から支援を受けられるようになるには、

支援を受ける側も専門家を魅了するように

ならなければならないということです。


例えば、専門家の要請を尊重し、指示や依

頼されたことを実直に実行するといった対

応が求められます。


さらに、みっつめとして、自分のポテン

シャルを示すことが大切だということす。


特に、優秀な外部専門家は、支援の甲斐の

ある支援先を選ぶわけですから、支援を受

ける側のポテンシャルは重要な要素になり

ます。


ここまでの内容は、支援を受ける側から見

て、ハードルが高いものでしょう。


それは、秋山さんが有能なコーチであるこ

とから、やむを得ないと思います。


ただ、これまで私がお手伝いしてきた会社

の中には、専門家の使い方があまり上手で

ないと感じられる方も少なくありません。


すなわち、「こちらがフィーを支払ってい

るのだから、あまり負担をかけさせないで

欲しい」というような要望を持っている方

が多いということです。


そのような方は、仕事が忙しいために、そ

のような要望を持つことになってしまうの

でしょう。


しかし、そのように考える方は、外部専門

家に支援してもらう意義を問い直す必要が

あると思います。


言及するまでもなく、自社の事業を発展さ

せるのは、外部専門家ではなく、会社の経

営者と従業員の方です。


事業の発展は、会社の役員、従業員のスキ

ルアップによってなされるものであり、外

部専門家は、そのスキルアップを支援する

立場です。


また、外部専門家に依存的である会社は、

裏を返せば、ポテンシャルも少ないという

ことであり、外部専門家から見て魅力のな

いクライアントということになります。


今回の結論は、外部専門家を活用する能力

(これを、秋山さんは「クライアント力」

と呼んでいます)を持つことが大切という

ことです。


「馬を水辺に連れて行くことはできても、

水を飲ませることはできない」と言われる

ことがありますが、外部専門家もクライア

ントを水辺に連れて行くことしかできませ

ん。


水を飲むかどうかは経営者の方次第です。


さらに大切なのは、水を飲むかどうかだけ

ではなく、優秀な外部専門家が支援を買っ

て出るような経営者の魅力です。


このような「クライアント力」は、自らで

しか高めることができません。

 

 

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キッチン上がりとホール上がり

本日配信した、私が制作しているポッド

キャスト番組にゲスト出演された、中小企

業診断士の山岡雄己先生が、飲食店を開業

したかたの経歴と成功するかどうかの関係

について、番組の中でお話しされておられ

ました。


(ご参考→ https://goo.gl/SbBPBw


すなわち、キッチン上がり(主に調理を担

当していた人)よりも、ホール上がり(主

に接客をしていた人)の人の方が、独立し

て飲食店を開業したときに成功する確率が

高いそうです。


この理由を簡単に説明すると、キッチン上

がりの人は職人気質が多く、「おいしい料

理をつくれば店は繁盛する」と、安直に考

えてしまいがちになるということです。


一方で、ホール上がりの人は、接客、売上

管理、店の雰囲気づくり、従業員教育など

の店舗マネジメントのスキルを習得でき、

その結果、飲食店の運営にあたって全体的

な視点を持つことができるようになるから

だと、山岡先生は分析しておられるようで

す。


ただし、これは、山岡先生がこれまでに見

てきた人たちの状況を述べているのであっ

て、望ましい飲食店経営者は、料理担当と

してのこだわりと、接客担当としてのおも

てなしの気持ちの両方を持つことだという

こともお話しされておられます。


話しをもどして、マネジメントスキルを

持っている人の方が、事業を始めた時に成

功する確率が高いということは多くの方が

理解されていると思います。


そして、さはさりながら、「おいしい料理

をつくれば店は繁盛する」というような、

短絡的な考えで起業してしまう人は、依然

として多いと感じています。


とはいえ、ここで、「経営者になるからに

は、事業全体を見る目が必要だ」というこ

とを改めて述べるつもりはありません。


そういうことが広く知られていながら、な

ぜ、「おいしい料理をつくれば店は繁盛す

る」と思ってしまう人がいるのかというこ

とを考えてみました。


これも竹を割ったような回答ではありませ

んが、それは、事業は付加価値を産む活動

ということを理解されていないからではな

いかと思っています。


ここで抽象的な表現をしてしまったので、

少し具体的に述べれば、売れるものを作ら

なければ、事業は成り立たないということ

です。


これは「事業の目的は顧客の創造である」

( There is only one valid definition

of business purpose : to create a

customer . )とドラッカーが述べている

ことでも有名です。


すなわち、「美味しい料理をつくる≠顧客

が食べたい(買いたい)ものとつくる」と

いうことではなく、「顧客が食べたいもの

をつくる=付加価値を産む=顧客の創造」

ということです。


一方で、前述のような「美味しい料理をつ

くれば、店は繁盛する」と考える職人気質

の方は、一見、「美味しい料理をつくる」

という正しいと思える活動で事業の目的が

達成されると考えてしまっているのだと思

います。


確かに、おいしい料理をつくることは、顧

客を満足させる要因のひとつですが、それ

だけが顧客を満足させるわけではありませ

ん。


別の言い方をすれば、「美味しい料理をつ

くれば店は繁盛する」と考えている人は、

それ以外のことは不要だと考えたり、実際

には、顧客のために美味しい料理をつくる

といいつつ、実際には、自分の満足だけを

求めているだけではないのかと、私は分析

しています。


結論は、事業は顧客の創造、すなわち、顧

客が満足するかどうかが問われているので

すが、それは多くの方に理解されているよ

うで、実際には経営者の思い込みになって

しまっている場合も多いということです。

 

 

 

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内部留保

最近、内部留保に関する関心が高まってい

るようです。


というのは、財務省が公表した2016年

度の法人企業統計で、内部留保が400兆

余と、過去最高になったと報じられている

からでしょう。


(ご参考→ https://goo.gl/8KMbEs


内部留保が過去最高になっているのに、中

小企業や個人は景気回復の実感があまり感

じられていないことから、内部留保の多い

大企業に対して、批判的な考え方を持つ人

も多いようです。


そこで、内部留保に課税すべきという考え

を持つ政治家の方もいるようです。


どういう税を課すべきかということについ

ては、人それぞれの考え方がありますが、

私は内部留保に課税することは非論理的で

あると思います。


それは、利益剰余金(内部留保)は減らす

ことができないからです。


簡単に説明すると、利益から税金と配当金

を差し引いた残り、すなわち、会社の内部

に留保される利益が内部留保ですが、それ

は、お金の出所を示しているだけだからで

す。


融資を受けたときは、そのお金が原材料な

どの棚卸資産になったり、機械・設備など

の資産に代わりますが、それと同様に、利

益剰余金(内部留保)も、それで機械・設

備の購入にあてたりしたときに、そのお金

の出所を示しているだけに過ぎません。


そして、融資は返済によって減ることにな

りますが利益剰余金(内部留保)は事業に

よって得た資金ですので、減ることはあり

ません。


(この説明は正確ではありませんが、理解

を容易にするために、あえて、このような

説明としました)


ですから、利益を得た会社が、それで従業

員の方に賞与として支給したり、あらたな

設備投資をしても利益剰余金(内部留保

は減りません。


よって、「内部留保に課税すべきだ」と考

える方の意図通りに内部留保を使った会社

も、そうでない会社も、同じように課税さ

れてしまうことになります。


そこで、会社が得た利益を従業員の方に支

払ったり、設備投資に回して欲しいという

場合は、内部留保を現預金として貯めてい

る会社のその現預金の額に応じて課税すべ

きです。


ただ、今回は、このことを述べようとした

わけではありません。


内部留保は、銀行に返さずにすむ資金であ

り、そして、会社の純資産を増やすことに

なる資金であることから、積極的に増やす

べきであるということをお伝えしたいと思

います。


このことは、多くの利益を得るようにしよ

うということと同義です。


ただ、経営者の方の中で少数ですが、「う

ちはもうけのために事業をやっているわけ

ではない」と、利益を得ることに消極的な

方もいます。


このような考えの背景には、いろいろな事

情があって、一律に論じることはできない

のですが、少なくも、利益を得ることは、

悪徳ではなく、会社を安定させることであ

るということが、内部留保の特徴からわか

ります。


会社が利益を得なければならない理由は会

社を安定させるためであるという、ある面

で、当然のことなのですが、それを内部留

保の特徴から今回は説明させていただきま

した。

 

 

 

 

 

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共感から始まる顧客価値創造

先日、経営コンサルタントの阪本啓一さん

の著書、「『こんなもの誰が買うの?』が

ブランドになる共感から始まる顧客価値創

造」( http://amzn.to/2yq5uNE )を拝読し

ました。


タイトルから分かる通り、売れそうにない

ものを売れるものにするという実例が豊富

に紹介されています。


そのひとつを紹介すると、新潟県の軍手製

造会社が軍手をブランド品にしています。


軍手というと、やむなく使うというイメー

ジが大きいと思いますが、その会社では、

現社長が父親から経営を引き継いだとき、

おしゃれで積極的に使うグローブにすると

いうポジショニング転換をしたそうです。


最近では、フィギアスケートの人気が高ま

り、子どもにスケートを習わせる親が増え

てきたことから、スケートリンクでオリジ

ナルのグローブを売るようになってきたた

め、同社に受注が増えているそうです。


また、有名芸能人のコンサートでも、オリ

ジナルグッズとして販売されるようになり

受注が相次いでいるそうです。


さらに、会社のオフィスもデザイナーに依

頼して、カフェのようなおしゃれにしたり

機械もカラフルにしてBGMに従業員の好

きな音楽を流すようにしたそうです。


こうすることで、軍手メーカーの従業員か

ら、おしゃれなグローブのクリエーターと

いう意識を持ってもらえるようになったそ

うです。


(ご参考→ http://www.p-mizuho.com/ )


ここから阪本さんの示唆するものは、タイ

トルのとおり、顧客価値創造ということで

す。


軍手のままでは、手を保護する道具でしか

なかったわけですが、ものとしては軍手で

あっても、おしゃれをするものという価値

を創ることで、製品が売れるようになると

いうことです。


私は、さらに大切なこととして、そのよう

な方針を示し、従業員をリードすることが

経営者の役割として挙げたいと思います。


阪本さんは、この本の中で、銀行との付き

合い方についても言及しています。


すなわち、銀行は晴れの日に傘を貸し、雨

の日に傘を取り上げるのだから、晴れの日

のうちに傘を借りておけと述べておられま

す。


具体的には、融資を受けたいときは、すぐ

に借りたいと言ってはいけない


まず、設備投資をするにあたって、その事

業計画を作り、それを銀行に提出する。


その際、毎月、進捗状況を報告に来るので

6か月後、融資の可否について改めて検討

して欲しいという申込の仕方をするべきと

述べておられます。


このような方法は、銀行よりの方法と考え

る方も多いと思いますが、阪本さんは旭化

成の建材営業に従事したのち、渡米して経

コンサルティング会社を設立したという

経歴から、銀行よりの考え方をする方とは

考えにくいと思います。


事業を成功に導くには、融資の申し込みだ

けでなく、あらゆることに、このような、

交渉相手から共感を得る方法を採るべきと

いう考え方からの助言なのでしょう。


阪本さんは、別の助言として、銀行は雪か

きの仕方も見ていると述べておられます。


自分の店の前の雪かきをすることは当たり

前で、自然な気持ちで隣近所まで雪かきを

しているかで、その店の姿勢を判断してい

るということです。


阪本さんは、これは、共感を産むかどうか

という観点で述べておられます。


よく、「銀行は地域発展のために融資をす

るのではないのか」と疑問を持つ経営者の

方は少なくないと思いますが、そうであれ

ば、雪かきも、自分の店の前だけでなく、

地域のことまで考えていることが問われる

ということです。


地域のことを考えている会社であれば、融

資をする銀行もその会社に共感するという

ことです。


阪本さんは、本のタイトルの中に「共感か

ら始まる顧客価値創造」という言葉を入れ

ていますが、いかに共感を呼ぶことが大切

かということを、改めて感じました。

 

 

 

 

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走姿顕心

先日配信された、イエローハット創業者の

鍵山秀三郎さんのメールマガジンに、「走

姿顕心(そうしけんしん)」という言葉が

紹介されていました。


(ご参考→ https://goo.gl/7jjazB


言葉の意味は、走っている姿に、そのまま

選手の心が顕れるという意味だそうです。


これは、スポーツをしている人の間には広

く知られているようです。


そして、鍵山さんは、経営者が掃除をする

ときの姿にも、同じようなことが言える。


「掃除をすると儲かる」というような気持

ちで臨むと、掃除をしている姿に、その打

算が顕てしまうと忠告されておられます。


だからといって、ここで、経営者の方に対

して、すぐに利益が得られるというような

安直な考えをもってはいけないというよう

なことを述べるつもりはありません。


もちろん、鍵山さんのように「掃除をする

と儲かる」というような考え方を持つこと

はよくないと思いますが、私自身も、掃除

をしたら「きっとよいことがあるかもしれ

ない」という期待は、私も持ってしまいま

す。


ただ、この鍵山さんのメールマガジンを読

んで、やはり鍵山さんが制作に関わった、

近江商人に関する「てんびんの詩」という

映画を思い出しました。


この映画のあらすじは、つぎの通りです。


すなわち、近江の商家に生まれた近藤大作

は、不自由のない生活を送っていたが、小

学校を卒業したとき、父から鍋蓋を渡され

て、これを売ってこないと後を継がせない

と言われた。


そこで、大作は鍋蓋を売りに出たが、どん

なにこびへつらっても、泣き落としをして

も鍋蓋は売れなかった。


ある日、疲れ切った大作は、農家の井戸の

洗い場にある鍋蓋を見つけた。


大作は、きっとこの鍋蓋も誰かが難儀して

売ったのだろうと思い、無意識に鍋蓋を洗

い始めた。


それを見つけたその農家の女が、鍋蓋を

洗っている大作を見つけて「なぜそんなこ

とをしているのか」と怒りながら尋ねた。


大作は、「堪忍して下さい。


わし悪いやつです。


売れんかったんやないんです。


物を売る気持ちもできてなかったんです」

と誤ったところ、その女は鍋蓋を売ってく

れと答えた、というものです。


(参考→ hhttps://goo.gl/jVLuCd


この話は映画なので、誇張された美談と思

われるかもしれませんが、商売の核心的な

部分を示唆していると思います。


それでも、最近は、「ものではなく自分を

売る」とか、「ものではなくストーリーを

売る」ということが言われるようになり、

このエピソードの示唆することに近いこと

を理解する人が増えていると思います。


私も、鍵山さんがこの映画で伝えようとし

ているものが何であるかまでは正確にはわ

からないのですが、まず高い志を持ち、そ

れに共感する人が増えれば、事業もよい方

向に回り出すということなのではないかと

思っています。


私自身もまだまだ未熟なので、ついつい打

算的な考え方を抱いてしまいますが、よい

仕事をするために、これから心を磨き続け

なければならないと考えています。

 

 

 

 

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何が一番?

新聞の折り込み広告を見ると、「当店は、

お客さま第一主義です」というスローガン

が書かれているものもある一方で、求人広

告には、「当社は社員を大切にする会社で

す」と書かれていたりします。


そして、会社の投資家向けのページを見る

と、「弊社は株主重視の経営を実践してい

ます」と書いてある会社も多くあります。


会社には、顧客、従業員、株主と、大切に

しなければならない相手がたくさんいると

いうことがわかります。


それでは、これらのうち、どれ(誰)が最

も大切なのでしょうか?


私はこれには正解がないと思っています。


なぜなら、経営者の方によって、何が大切

なのかという考え方が異なるからです。


ただし、法律的には株主が最も大切です。


それは多くの会社が商号に「株式会社」と

あるとおり、会社は株から構成されている

からです。


確かに、商品を買ってくれ顧客がいなけれ

ば利益を得ることはできないし、働いてく

れる従業員の方がいなければ事業を遂行す

ることもできません。


しかし、株主が出資をしなければ、会社そ

のものを設立できません。


そして、会社は株主から資金を提供しても

らったからには、配当をするという義務を

負うことになります。


少し冷たい言い方ですが、顧客に商品を

買ってもらうことも、従業員の方に働いて

もらうことも、株主に配当をすることが目

的です。


ここで、「株主はそんなに偉いのか」とい

う疑問を持つ方も多いでしょう。


しかし、銀行に預金をする人は利息が得ら

れることを期待するのと同様に、株主は配

当を期待しています。


(中には、短期的な売買で利益を得ようと

する株主もいますが、基本的には、株主が

期待するものは配当です。


また、配当が低い、または、無配当の会社

は、短期売買をする人も、その会社の株式

を持とうとはしないでしょう)


会社は資金を提供してもらう見返りとして

配当することが求められています。


ただ、これがこの記事の結論ではありませ

ん。


中小企業の多くは、経営者自身が大部分の

株を持っており、その面では、株主である

経営者が、自らの権利、すなわち配当を得

ることを後回しにするということも考えら

れます。


実際に、地域の人たちに貢献したいという

動機や、従業員の方たちによろこんで働い

てもらうことが生き甲斐という経営者の方

もいます。


ただ、忘れてならないことがあります。


それは、会社が配当はしなくても利益は出

し続ける必要があるということです。


実際に、利益が出ている中小企業でも、そ

の多くは配当は行わず、税金を支払った残

りの利益を社内に蓄えています。


なぜ、利益が必要かと言えば、会社を継続

するためです。


では、なぜ利益がなければ会社は継続でき

ないかというと、赤字の分だけ、会社に入

るお金よりも出ていくお金が多いというこ

とであり、したがって赤字の分だけ会社は

財産を失うということです。


会社の財産が減って行けば、事業を営むこ

とができなくなります。


そして、赤字の会社は、顧客、従業員から

見ても、信用は得られないでしょう。


会社にとって、顧客も従業員も大切ですが

その結果、会社の財産が減ることは、事業

を営む意味はありません。


かといって、従業員を犠牲にしたり、顧客

を欺いたりして利益を得ることは許されま

せんが、最終的には会社は利益を得ていな

ければ、その存在意義はないということに

なります。


ですから、経営者の方は、顧客、従業員と

いったステークホルダーと、利益を得ると

いう会社の根本的な目的との間の利害を最

適に調整しなければならないという、とて

も難しい役割があるということが、今回の

結論です。

 

 

 

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