鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

顧客からの問い合わせをどうとらえるか

私が、銀行職員時代の約5か年は、本社に

勤務していました。


本社では、主に、融資事務を統括する部署

に所属していて、頻繁に、支店あての通知

を書いていました。


通知というのは、主に、新たな事務ができ

たときの規則や、従来の事務手続きの修正

を要すべきこと、法令の変更にともなう対

応などです。


これは、行政に例えれば、法律や政令のよ

うなものです。


したがって、この規則のつくり方を間違え

ると、銀行全体が間違いを起こすことにな

り、細心の注意を払っていました。


その一方で、本物の法律のように、分かり

にくい表現では、誤った理解をされてしま

いかねないので、分かりやすい文章にする

ことも求められました。


銀行の支店の職員は普段から顧客と接して

いますが、普段、顧客と接しない本社の職

員は支店を顧客と考えて行動するようにと

いう意識を持っていましたので、私も、支

店から評価されるような通知を書くことを

心がけていました。


しかしながら、それでも100点の評価を

得ることは難しい状況にありました。


支店あての通知を出した後は、何件かの問

い合わせを受けます。


しかし、最近は、社内LANが導入された

こともあり、質問を受けた内容から必要と

思われることについては、「●月●日付の

通知第●号の補足」などを、社内LANで

直ちに全社に行き届くようにしました。


また、問い合わせが多い内容から判断して

手続きを簡略化できることはないか、省力

化できることはないかということを常に検

討し、本社内でコンセンサスが得られれば

支店の事務負担を軽減するように事務を改

善していました。


このような活動は、ある意味当たり前で、

顧客満足度の向上とコスト削減を進めて行

くことによって、会社としての評価を高め

て行くことは、一般的に求められることで

しょう。


一方、私が、一般のユーザーの立場で、購

入した製品やサービスについて疑問を感じ

るときに、そのメーカーや販売店に問い合

わせると、問い合わせを受けることそのも

のに関心がないというように感じることが

しばしばあります。


「顧客の意見に関心がないということはな

い」と考える会社経営者の方は多いと思い

ますが、いわゆるコールセンターなどは、

自社にとってビジネスチャンスにつながる

情報が得られる場であると考えている会社

は圧倒的に少ないと感じられます。


多くの会社の場合、会社の問い合わせ先を

コールセンターに一本化させ、そして、質

問については聞くものの、回答は後日、そ

のコールセンターから行うか、回答そのも

のもしないという例は珍しくありません。


確かに、回答をすることが義務ではありま

せんが、とても、顧客との関係を強めよう

としているようには思えません。


そのような会社は、人員削減が最大の課題

であって、電話受付は外部に委託するとい

うことなのでしょう。


顧客からの問い合わせには理不尽なものも

ありますが、私からの経験からして、理不

尽な問い合わせを受けても、真の顧客の要

求を見抜き、それにきちんと答えれば、逆

に、自社の強力な支持者になるということ

がありました。


しかし、そのような技量を持つ人はコール

センターでは極一部になってしまったと感

じています。


ただ、この記事は、コールセンターの批判

をすることが趣旨ではないのですが、最近

の会社は、製品はつくりっぱなし、サービ

スは提供しっぱなしという会社が多いよう

に思います。


自社の製品やサービスを購入する人は、顧

客との強い関係があるということを忘れて

いる会社が多くなっていると思います。

 

 

 

 

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期限の利益喪失をどうとらえるか

私は、かつて、銀行に勤めていたことがあ

るため、融資に関するご相談をよく受けて

います。


ただ、銀行に勤務した経験がない方でも、

融資申請のご支援をされている方は多くい

らっしゃいます。


そして、銀行勤務の経験のない方とお話す

ると、考え方の違いがあるということに気

づくことがあります。


そのひとつは、期限の利益の喪失に関する

考え方です。


(期限の利益については、こちらを参照し

てください。→ https://goo.gl/GTqQ5M


銀行職員は、融資先の期限の利益を喪失さ

せるということは、将来、その会社は融資

を受けられなくしてしまうということにな

り、ある意味、事業家としての生命を断つ

ことに等しいという考え方をします。


理論的には、例えば、銀行取引停止処分は

2年後には解除され、再度、銀行と当座勘

定取引を持つことができます。


ただ、日本の場合、かつて不渡りを出した

会社や、倒産した会社は、銀行職員だけで

なく、取引先の記憶に長く残り、通常の取

引相手よりも用心されてしまいます。


すべてがそうなるとは言えませんが、かつ

て、期限の利益を喪失した会社(および、

その会社の役員だった人が新たに起こした

会社)は、相当の年数が経っても、現実的

には銀行と再び融資取引を始めることはた

いへん難しい状況にあります。


そのため、いったん倒産した会社の役員が

再び事業を行おうとするとき、知人を名目

上の社長にして、会社を設立することがし

ばしばありますが、銀行は、融資申込の

あった会社の関係者に、かつて倒産した会

社の関係者がいないかということまで調べ

ます。


もし、関係者がいた場合は、主導的立場に

ないかということまで確認しています。


このように、銀行側は、そこまで用心して

いるので、逆に、期限の利益の喪失(≒倒

産)をさせるような判断を迫られるときは

慎重になるのです。


私も、そのような経験をしているので、銀

行を離れてからも、お手伝いする会社には

期限の利益の喪失を提案するということに

は、かなり慎重になっています。


しかし、銀行勤務経験のない方は、ある程

度は慎重にはなっていると思いますが、私

ほどの慎重さは持たずに、ご支援している

会社に、期限の利益の喪失を受けることを

提案しているように思います。


確かに、期限の利益を喪失したからといっ

て、まったく再建の道がなくなるわけでは

ありません。


むしろ、債権放棄を銀行に要請することの

方が得策ということもあります。


これはケースバイケースなので、一律に論

じることはできないのですが、銀行側とし

ては、期限の利益の喪失、債権放棄(会社

側からみれば債務免除)は、ぎりぎりまで

やりたくないという心理が働きます。


しかし、ここまでは一般論であって、銀行

も、債務超過の会社ではあるものの、事業

の再生の見込みがあれば、融資の一部の免

除を行う方が得策と判断し、銀行側から提

案することもあります。


ここで、よく間違えられやすいことがある

のですが、銀行から債務免除を受けた会社

の社長は、退任することが一般的です。


会社が債務免除を受けたあとも、それまで

の社長が引き続いて社長のポジションに就

く例もありますが、その場合であっても、

従来の株主はすべて株主としての地位を失

い、新たな株主は再生ファンドや銀行など

で占められるので、いわゆるオーナー社長

ではなくなります。


すなわち、再建計画がうまくいかなければ

社長はすぐに解任されてしまうという立場

にあるということです。


ときどき、「自社も、銀行から債務免除を

受けたい」という話をする経営者の方に会

うことがありますが、その場合、社長はそ

の地位を追われるか、社長にとどまっても

権限が大幅に縮小されてしまうということ

までは理解していないようです。


話しを戻して、今回の記事の結論は、事業

再生を考えている経営者の方で、コンサル

タントなどに相談をするときは、銀行出身

者と、銀行出身者以外のコンサルタント

両方に意見をきくことがよいということで

す。


ただ、私は安易に期限の利益の喪失を受け

ることは、ぎりぎりまで避けることが、本

筋であると考えています。

 

 

 

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答えを探す活動

本日配信した、私が制作しているポッド

キャスト番組にゲスト出演された、中小企

業診断士の山岡先生が、次のようなことを

お話しされていました。


すなわち、「飲食店経営者は、すでに飲食

店を成功させている著名な経営者のセミ

ナーなどを聴きたいと思う人が多い。


そして、その経営者がやってきたことを真

似て、自分の店でもやってみようとする。


しかし、それは必ずしも成功するとは限ら

ない」ということです。


この、よく著名な飲食店経営者がお話しす

る成功要因の例は、開店前に大きな声で朝

礼をするといったことや、素手でトイレ掃

除をするといったことなどです。


これらが必ずしも成功につながらない原因

としては、(1)ある飲食店で成功したこ

とが、ほかの店でもあてはまるとは限らな

い、(2)成功要因の表面的なことだけに

とらわれて、なぜそのようなことをやるの

かといった本当の狙いを理解せずに実施し

てしまうということを山岡先生は挙げてお

られました。


一方で、山岡先生は、コンサルタントが提

供するノウハウは、一般化して再現性のあ

るものであること、個々のお店の状況に合

わせてアレンジして導入を提案してもらえ

ることから、著名な経営者の話を聴くだけ

でなく、コンサルタントの助力も得ること

をお薦めしたいと、お話しされておられま

した。


これを受けて、ここから私の考えを述べた

いと思います。


飲食店経営者の方が著名な経営者の方のお

話しを聴きたいと思う要因は、山岡先生が

挙げられたほかに、お店を繁盛させる手法

をすぐに知りたいという考えがあるからだ

と思います。


これに対して、「お店を早く繁盛するよう

にしようと思うのは当りまえだ」と思う方

も多いと思います。


それはその通りなのですが、ここで指摘し

たいことは、「早く繁盛店にする」という

名目で、いくつかの手順を飛ばそうとして

いる可能性があるということです。


例えば、開店前に大声で朝礼を行うという

ことは、従業員の方の一体感を高めたり、

士気を高めたりすることにつながりますが

その一方で、就業規則や職務権限規程など

の規定類の整備が行われていなかったり、

ジョブディスクリプションや人事考課が行

われていなければ、従業員の方の頑張りに

報いることはできません。


これらはひとつの例ですが、ほかのお店で

やっていることを、自分のお店にそのまま

採り入れただけでは、お店はよくなるほど

単純ではないということです。


これは私の考えですが、事業の改善は、答

えを見つけてから実践することではなく、

答えを探す活動そのものだと思います。


そして、その答えは、どのお店にも共通し

ているとは限らない、すなわち、他のお店

にとって正解のものが、自分お店では正解

とは限らないため、自分で自分自身の答え

を探さなければなりません。


著名な経営者のお話しを聴くことは決して

無駄ではありませんが、そこで聴いたお話

しには、必ずしも答えが含まれているわけ

ではないと考えるべきと、私は考えていま

す。

 

 

 

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融資を受けられさえすれば…

私は、よく、融資の申請のご支援をするの

ですが、かつては、私が受ける仕事の半数

以上は、融資の申請のご支援だけでした。


その、「表面的」な理由は、私に支払う報

酬を、直面する課題に関する支援だけに絞

りたいということのようです。


でも、本当の理由は、そのような会社は、

融資を得ることだけが目的になっていて、

融資が得られさえすればよいと考えている

からではないかと、私は考えています。


当然のことですが、融資を受けることがで

きれば、商品を仕入れたり、従業員の方へ

給与を支払ったりすることができるので、

事業を継続することができます。


ですから、融資を受けることができさえす

れば、会社はなんとかなると経営者の方は

考えてしまうのでしょう。


では、事業を続ける目的はなんなのかとい

うと、当然、利益を得ることです。


多くの場合、利益を計上している会社は、

銀行から融資を断られることはありませ

ん。


そこで、私は、銀行から融資を受けられる

ようにするための対策は、事業で利益を得

ることと日頃からお話ししています。


しかし、融資対策とは、銀行への融資申込

をどのようにすればよいかという、狭い範

囲で考える人も多いようです。


もう少し正確に述べれば、融資の申込方法

「だけ」で、銀行から融資の承認を得よう

と考える方も少なくありません。


ところで、私がご支援の依頼を受けて、そ

の会社の融資申請のお手伝いをする場合、

銀行に対して事業計画書を提出し、その計

画の達成が十分に見込まれる根拠を示すこ

とによって、安心して融資ができると説明

します。


そして、その結果、その会社が、銀行から

無事に融資の応諾を得て、融資を受けたあ

とも、計画通りに事業が進めば、次の融資

も円滑に受けられることになるでしょう。


しかし、融資を受けられたあと、計画の遂

行の管理をせずに、それが未達成となって

しまったら、次の融資を受けるときの労力

は、さらに大きくなってしまいます。


最悪の場合は、融資を断られることになり

ます。


ですから、前述の通り、計画立案、遂行管

理は、効果の大きい融資対策になります。


そして、それは、銀行から融資を受けるた

めというよりも、その会社自身の事業発展

のためという意味合いが大きいと言えるで

しょう。


実は、これは、銀行にも同じことが言えま

す。


銀行は、融資の申込を受けたあと、本社の

審査部などに融資稟議書を提出します。


難しい案件は、何度も、審査部との間で、

資料のやり取りや条件の折衝を行います。


そして、やっとの思いで審査部から承認を

得ると、そこで安心をしてしまいます。


しかし、融資の目的は、利息を含めて、全

額を回収し、銀行に収益をもたらすことで

す。


ところが、融資の承認がおりて、融資を実

行したあと、その会社がきちんと計画通り

に事業を進めているかということの確認を

怠ってしまいがちです。


銀行からも前もって、融資した会社の業況

が悪化していないかということが分かれば

いろいろと打つ手があります。


でも、それを怠ってしまうと、そのような

会社から、前回よりももっと難しい状態で

融資の申込を受けることになり、銀行自身

も苦しくなってしまいます。


ですから、銀行自身も融資実行後の融資先

の状況を確認することが大切と言えます。


話しを戻すと、融資の申請の仕方を工夫す

るだけでは、融資はいつまでも受けられる

ことにはなりません。


本来の融資対策は、銀行に説明した事業計

画を達成することです。


ちなみに、私は、現在は、前述のような理

由から、特殊な事情がない限り、「融資申

請」だけのご支援はお受けせず、事業計画

の遂行までをご支援をすることを前提に、

融資申請のお手伝いをお受けしています。

 

 

 

 

 

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予期せぬ倒産と計画的な倒産

あまり望ましいことではありませんが、会

社が倒産するということは珍しくありませ

ん。


帝国データバンクによると、過去、10年

間で創業した会社が約18万社であるのに

対して、同じ期間に倒産した会社は約11

万社あるそうです。


(ご参考→ https://goo.gl/f6Ao4Y


今回は、この倒産について、予期せぬ場合

と計画的な場合があるということについて

述べたいと思います。


その前に、倒産とはどういうものか、説明

したいと思います。


実は、倒産は法律上の言葉ではありません

ので、明確な定義はありません。


デジタル大辞泉では、「企業が経営資金の

やりくりがつかなくなってつぶれること。


企業が不渡手形などを出して銀行から取引

停止を受け、営業困難に陥ること」と説明

しています。


(ご参考→ https://goo.gl/tgqQAX

 

信用調査会社の帝国データバンクでは、次

のいずれかの状況に至った会社が倒産した

と定義しているそうです。


(1)銀行取引停止処分を受ける


(2)内整理する(代表が倒産を認めた

時)


(3)裁判所に会社更生手続開始を申請す


(4)裁判所に民事再生手続開始を申請す


(5)裁判所に破産手続開始を申請する


(6)裁判所に特別清算開始を申請する


(ご参考→ https://goo.gl/oCvis

 

また、銀行では、この定義より広い範囲で

倒産を定義しているようです。


とはいえ、これ以上、倒産とはどういうこ

とかを説明するには、膨大な文字数が必要

となりますので、ここまでとさせていただ

き、この記事では簡単に、「会社の資金繰

が行き詰まり、事業を継続できなくなるこ

と」としたいと思います。


話しを本題に戻すと、倒産はどのようにし

て起こるのでしょうか?


一般的には、唐突に倒産が起きると考えて

いる方が多いでしょう。


私も統計的な裏付けはとっていませんが、

倒産の中で、予期せず倒産するという例が

最も多いと思います。


予期せず倒産するとは、大きな販売額を占

める販売先が倒産したり、売上代金の支払

を拒まれた。


受取った手形が期日になっても決済されな

かった。


支払資金が不足するものの、銀行から融資

を断られたといった、会社は事業を継続さ

せようという意思を持っているにもかかわ

らず、資金が不足して事業を継続できなく

なってしまうというものです。


これに対して、計画的な倒産という例も珍

しくありません。


いわゆる「計画倒産」といわれるものも、

そのうちのひとつと考えられますが、計画

倒産は、お金をだましとることを目的に、

あらかじめ計画して会社を倒産させること

というような、犯罪的な行為を指すものと

して使われているようです。


そこで、この記事では、計画的ではあるも

のの、犯罪的な行為ではない倒産を、計画

的倒産として記していきます。


一般的な計画的倒産は、直ちに資金が行き

詰るわけではないものの、将来も事業の改

善が見込めない会社が、事業を続けること

で、将来、仮に倒産したときの損失が大き

くなることを避けるために、意図的に会社

を倒産させることです。


ただ、会社の資産が十分にある場合は、単

に、事業を停止し、銀行に借入金を返済し

たり、仕入先に代金を支払ったり、従業員

に退職金を支払ったりして、他者に金銭的

な損害を与えずに、いわゆる廃業をするこ

とも可能です。


(「廃業」の言葉の指すものも、この記事

とは別のものを指す場合がありますので、

ご注意下さい)


ただ、このような例は少数で、一般的には

債権者には債権額の一部しか支払うことが

できないという例が多いようです。


このような場合、損失を被る債権者には、

前もってそのことを知らせる訳にはいかな

いので、あらかじめ内々に計画を建て、意

図的に会社を倒産させることになります。


この計画を立てるのは、経営者が弁護士な

どの専門家と相談して決めるときや、メイ

ンバンクが主導して計画倒産を行うときも

あります。


結論は、「倒産」にはいろいろなパターン

があり、そして、予期することは難しいと

いうことです。


販売先が倒産して、自社が損害を被ること

のないよう、普段から販売先の動向を見て

いたり、また、売掛金残高、受取手形残高

などの管理を行うことも大切です。

 

 

 

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物流・商流・情報流

今回は、商取引に関する知識について説明

します。


ひとつめの物流はよく聞かれる言葉です。


文字通り、ものの流れで、運送会社による

運搬、倉庫会社による保管、物流センター

での仕訳、包装などの機能があります。


最近は、物流の効率化、リードタイム(注

文から納品されるまでの期間)の短縮化が

ライバルとの差別化につながるため、注目

されている部分です。


ふたつめの商流は、所有権の移転の流れの

ことです。


ものの流れと所有権の流れは一致している

ように思われがちですが、実際には一致し

ていないこともあります。


例えば、通信販売では、注文時にクレジッ

トカードで代金決済をした時点で、商品の

所有権は購入者に移りますが、商品は通信

販売会社(または、その会社が商品を預け

ている倉庫)にあります。


ただし、商慣習として、商品が購入者に届

けられるまでは、販売者が壊れたりしたと

きのリスクを負うことが多いようです。


さらに、最近では、商流の指す範囲が広が

り、商慣習、納品条件などについても商流

と呼ばれるようになっているようです。


商流を改善することは、製品や商品の販売

機会を増やすことにつながることから、こ

れも最近は重要視されるようになっていま

す。


大手小売業者や大手文具メーカーが、当日

または、翌日配達するネットショップを開

設して売上を伸ばしたり、街の駅で、新鮮

かつ、安価な農産物を販売して、こちらも

売上を伸ばしているという例などが挙げら

れます。


これからは、どのようにして販売機会を得

るかという観点から、商流についても注目

が高まっています。


みっつめの情報流も、文字通り情報の流れ

を指します。


具体的には、売り手と買い手の間でやり取

りされる情報で、どのような商品を販売し

ているかという情報、どのような商品を買

いたいかという情報のほかに、発注したと

いう情報、受注したという情報、発送した

という情報、検収したという情報、代金を

支払ったという情報、代金を受け取ったと

いう情報などです。


これらのほかに重要な情報として、需要予

測、販売先の売れ行きや在庫状況、ライバ

ルの動向、プロモーションに関する情報な

どがあります。


特に、最近のEDLP( Everyday Low

Price , 低価格での販売戦略)を実施し

ている会社では、需要予測や売れ行きが

それを実現させる鍵となっています。


以上、物流・商流・情報流について説明し

ましたが、いずれも大切な要素です。


新たな販売戦術を実施するときは、この3

つの要素を熟考することになるでしょう。

 

 

 

 

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おかしな会計

今回は、会計の限界について説明します。


会計は、会社の財務的な側面を表示するた

めのツールですが、それでもさまざまな限

界があるため、「どうして?」と感じるよ

うな点について説明します。

 

(1)1円のバス


乗り合いバスの法定耐用年数は5年です。


一方、一般的に、乗り合いバスは10年~

15年、中には20年も使われることがあ

るそうです。


したがって、6年目以降は、貸借対照表

計上されているバスの価額は、備忘価額の

1円ということも考えられます。


このようなおかしなことにならないよう、

耐用年数を実態に合わせることも考えられ

ますが、会計は保守的な表示をすることが

望ましいという傾向があるため、現状が長

年続けられて来ていると考えられます。

 

(2)甲子園球場の価額は800万円


かつて、甲子園球場の土地の価額は、所有

者の阪神電鉄貸借対照表に約800万円

で計上されていました。


これは、阪神電鉄が大正13年に甲子園球

場を起工する前に取得したときの価額のよ

うです。


会計は保守的に金額を計上するという原則

から、土地の相場が上昇しても、取得価額

のままで計上し続けます。


(ただし、土地の価額の相場が著しく低下

し、回復の見込みがない場合は、貸借対照

表の土地の価額を、相場に合わせることが

あります)


阪神電鉄は、平成18年に、阪急阪神ホー

ルディングスの子会社となり、現在の同社

貸借対照表では阪神甲子園球場の土地の

価額は約380億円と表示されています。


甲子園球場の土地の価額がいきなり380

億円になったわけではありませんが、10

年ほど前では、貸借対照表に計上された価

額と、実際の価額に大きな開きがあったと

いうことになります。

 

(3)会社のパソコンは0円


会社で購入したパソコンは、会社の所有物

ですが、会社の貸借対照表には計上されて

いません。


その理由は、やや複雑なのですが、簡単に

述べれば、1年で価値がなくなるという前

提で会計処理をしているからです。


自動車や機械のような高額な資産は、減価

償却によって、複数年で費用化していきま

すが、パソコンのような少額な資産は、1

か年で償却してしまいます。

 

(4)製造経費は資産


製造経費は、製造業で製品を製造するため

に支出された費用です。


具体的には、水道光熱費減価償却費(製

造に関する資産部分)、外注加工費、租税

効果(製造に関する資産部分)などす。


一般的に経費は、使用した時点で費用にな

りますが、製造業の場合、その経費によっ

て製造された製品が販売されるまでは資産

棚卸資産)として計上され、販売された

ときに費用になります。


材料などの有形のものは、それが形を変え

て製品になっていても、人の目から見て資

産として残っていると捉えられますが、会

計の考え方では、無形であっても、経費は

有形の材料と同じように資産として扱いま

す。

 

(5)未完成の工事でも収益を認識


一般的に、収益が得られるというのは、製

品や商品が販売されたときです。


しかし、高層ビルなど、数年にわたって建

築される建物については、完成して代金を

受取った時点のみで収益を認識する場合、

それを完成させるために工事をしてきた過

去の会計年度の成績を正しく把握すること

ができません。


そこで、一定の要件が満たされる場合、工

事の進行状況に従って、収益を認識するこ

とが、会計上、認められています。


この基準を工事進行基準といいます。


この考え方は、会社の一般的な会計期間が

1か年であることから、それにあわせて、

長期間の工事から得られる収益を配分する

という、会計上の都合による取扱です。

 

今回の結論は、会計には会計の独特の理論

があって、一般的な考え方とかけ離れた取

扱いが行われていることがあります。


ただ、これらは、それなりの合理性があり

ます。


「会計はおかしなことがある」と思う方も

少なくないと思いますが、逆に、なぜその

ようになっているのかということを知るこ

とも、会計への興味を深めるきっかけにな

るのではないかと思います。

 

 

 

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