鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

人材不足への対応

最近、メガバンクが人員削減のための体制

をとるというニュースが流れています。


例として、みずほ銀行さんの場合は、店舗

を500から400へ、グループの職員数

を7.9万人から6万人へ減らすという報

道がありました。


(ご参考→ https://goo.gl/zq5E6p


今回は、たまたま銀行の例をあげました

が、銀行への対策をどうするかということ

ではなく、ひとつの会社としての判断につ

いて注目したいと思います。


すなわち、メガバンクは、これから人材確

保は難しくなるという状況の中にあって、

それにどう備えるかという戦術を示したと

いうことです。


かつての銀行は、店を増やすことは、顧客

を増やすことになり、積極的な出店を行っ

ていた時代がありました。


そして、店舗の増加にともない、職員数も

増加していきました。


しかし、店舗も職員も固定費を増やすこと

になっている一方で、規制緩和や情報技術

の進展により、店舗を増やさなくても顧客

を増やすことが可能になってきました。


むしろ、過剰な店舗や職員は重荷になって

きています。


そこで、収益性を高めるために、店舗と職

員数の削減という戦術をとることは蓋然性

が高い判断です。


ここまで書いたことは、至極当然で、何か

真新しいものがあるのかという疑問を感じ

る方もいるでしょう。


確かにそうなのですが、このような銀行の

判断から感じられるのは、どうやって収益

性を高めるのかという経営者の意図が明確

に感じられるということです。


しかし、この指摘も当然と思われる方が多

いでしょう。


ところが、私は、このような経営者の判断

は、なかなか行われていないと感じていま

した。


例えば、「残業を減らそう」というスロー

ガンを掲げている会社は多いものの、掛け

声だけになっていることが多いと感じてい

ます。


「8時になったら消灯する」とか「毎月最

終金曜日は15時に仕事を終わらせる」と

いった掛け声は行われますが、それは表面

的な活動に過ぎないと感じている人も多い

でしょう。


もちろん、そうはいっても、従業員の方も

効率的な仕事を心がけなければなりませ

ん。


しかし、従業員の方の努力だけで、残業を

0にする、収益を増やすということは無理

であることも事実でしょう。


やはり、根拠のある人材不足への対応が示

されなければ、実効性のあるものにはなら

ないでしょう。


結論は、少し前までは掛け声ばかりであっ

た人材不足への対応が、徐々に、根拠のあ

る対応が現れてくるようになったというこ

とです。


実は、会社のいろいろな目標は、掛け声だ

けに終わってしまいがちなものが多いと、

私は感じています。


だれが(Who)、なにを(What)、

いつまで(When),どうやって

(How)が示されなければ、実効性はあ

りません。


これは、多くの方が分かっているようなこ

とですが、意外と実践されていないと思い

ましたので、今回、これを改めて記事にし

てみました。

 

 

 

 

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経営コンサルタント選びにご注意を

以前、経営コンサルタントの石原明さん

が、石原さんのポッドキャスト番組で、次

のようなことをお話しておられました。


すなわち、「腕の悪い経営コンサルタント

は、顧問先の改善点が目につくと、いちい

ちそれを指摘する。


しかし、改善点を指摘された側は、必ずし

も、それを改善する時間的な余裕があると

は限らない。


実践できないことを指摘しても意味がな

い」というものでした。


もちろん、私も石原さんのご指摘されてお

られるような経営コンサルタントにならな

いよう、注意しています。


そして、これは経営コンサルタント側の責

任ですが、「経営コンサルタント」を名乗

ることは、弁護士や税理士のように、法律

で規定された資格がないこともあり、スキ

ルや知識が乏しくても可能になっていると

いうことです。


そこで、経験の浅い「経営コンサルタン

ト」は、自分の能力をアピールしようとす

る意図もあるためか、目についた顧問先の

改善点を、都度都度指摘してしまう人もい

るのでしょう。


経営コンサルタントの本来の基本的な役割

のひとつは、顧問先の事業を発展させるた

めに、長期的な視点に立って適切なタイミ

ングに適切な助言をすることということ

は、言及するまでもありません。


ここで、詳細な説明は割愛しますが、顧問

先との関係において、経営コンサルタント

は、縁の下の力持ちでなければならないと

私は考えています。


もし、経営コンサルタントが顧問先より目

立っていたり、「あの会社は、経営コンサ

ルタントがささえている」ということが外

部に分かる状態になれば、会社の業績がよ

くなっても、その「手柄」の一部が経営コ

ンサルタントのものになってしまいます。


会社の業績がよくなっていればよいという

観点からは、このことが悪いことにはなり

ませんが、「経営コンサルタント」が顧問

先の業績改善の手柄を受け取るとすれば、

それは「経営コンサルタント」ではなく、

「複数の経営者のうちのひとり」というこ

とになるでしょう。


また、経営コンサルタントの中には、顧問

先から請われて取締役などのポジションに

就いている方もいます。


経営コンサルタントが経営者として活躍す

ることによって、その会社が発展すれば、

それは喜ばしいことであって、むしろその

ような例が増えることも望まれるところで

しょう。


話しを戻して、今回の記事の結論は、経営

コンサルタントには、残念ながらスキルが

低い人もいるので、経営コンサルタント

支援を受けたいと考えている方は、見極め

をきちんとして欲しいということです。


とはいえ、これは、そもそも「経営コンサ

ルタント」を名乗る側に本来の責任がある

のですが、粗悪な相手を選ばないという能

力を身に付けることも、依頼する側に求め

られますので、ご注意いただきたいと思い

ます。

 

 

 

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コミュニケーションの方法

これは私が言うまでもないことですが、仕

事を効率的に行うには、コミュニケーショ

ンはとても大切です。


例えば、私が銀行で働いていたときは、恐

らく数千枚の融資稟議書を書いていたと思

いますが、単に長々と説明文を書けばよい

訳ではなく、要点を明確に書くことで、審

査部の方に早く承認をもらえるよう工夫を

していました。


このことは至極当りまえなのですが、そう

はいっても、同僚の中には、何度も審査部

から稟議書の内容の問い合わせを受け、承

認を得るまでに時間を要している人もいま

した。


問い合わせの内容は、書き方だけが原因と

は限りませんが、少なくとも、私は「何が

書いてあるのかわからない」というような

ことはないように工夫していました。


その一方で、融資の申込を受ける相手の経

営者の方の中には、割合としては少ないで

すが、どういう融資を受けたいのか、なぜ

融資を受けたいのかをうまく説明できず、

それを聴き取ることに苦心することがよく

ありました。


仮に、融資を受けようとする人がうまく説

明できないとしても、銀行職員はそこをう

まく聴き出す能力を持っていなければなら

ないので、きちんとお話しを聴くように努

めていました。


ただ、それがすべてではありませんが、や

はり、経営者の方がうまく自分の経営する

会社のことを説明できない会社は、あまり

業況はよくないというようにも感じていま

す。


とはいえ、自社のことを説明がうまくでき

ない経営者自身も、恐らく、ほかの人から

丁寧な説明を受けて仕事を学んできたとい

う訳ではなく、仕事を教わった相手の背中

を見て仕事を学んだというタイプなのだと

思います。


そういう私も、銀行で働いていたときは、

あまり、上司や先輩から仕事について詳し

く説明を受けたという経験はありません。


上司や先輩たちは、仕事を終わらせること

で精いっぱいであり、部下や後輩に仕事を

教えるという時間的な余裕はあまりなかっ

たからです。


そこで、私は上司や先輩の仕事を見ていて

分からないことがあった時は、社内マニュ

アルを読んで、なるべく独力で仕事を覚え

るようにしました。


話しを戻して、新入社員に対して、どのよ

うに仕事を学ばせるかということについて

は、いまだに苦心している会社は多いと思

います。


経営者や幹部の人たちは、かつて、上司の

背中を見て仕事を覚えたという経験から、

新入社員にもどうように仕事を覚えて欲し

いと考えている方も多いし、また、なるべ

く丁寧に仕事を教えてあげたいとも思って

いても、思うように時間をとることができ

ないという方もいるかもしれません。


ところで、以前、テレビ東京のカンブリア

宮殿という番組で、京都の料亭の菊乃屋さ

んについて放送していたことがありまし

た。


(ご参考→ https://goo.gl/bKE1oy


料亭は古いタイプの職場だという先入観を

私は持っていたのですが、菊乃屋さんは、

すべての料理人が料理のレシピをパソコン

でみることができるそうです。


そして、仕事の合間に、レシピを見て料理

を覚えることができるそうです。


こうすることで、料亭全体として、スキル

が向上するという、店主の村田さんの考え

によるもののようです。


結論は、コミュニケーションは大切と思い

つつ、それを円滑にすることが後回しにさ

れつつあるので、気をつけなければならな

いということです。


今回の記事では、菊乃屋さんを例に挙げま

したが、その例が絶対に正しいということ

ではありません。


ただ、社内でのコミュニケーションの円滑

化を図ったり、経営戦略の実践のためにど

のように活用するかということを明確にし

て取り組んでいる会社は、業績にその効果

が現れていると私は考えています。

 

 

 

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経営戦略と情報技術

先日、あるソフト開発会社に訪問しまし

た。


用件は、その会社からの依頼で、その会社

の製品を説明を受けるというものです。


同社には、今後、私がご支援する会社に、

その会社の製品が役立つようであれば、そ

の製品の利用を薦めてもらいたいという意

図がありました。


私も、違った立場の人からの情報を得たい

という意図もあり、それに応じました。


結果として、私に説明をしてくださった方

は、あまり知識がなかったようで、同社の

製品には十分な魅力があるとは感じません

でした。


汎用性の高いソフト、即ち、量産できるソ

フトであっても、導入には数十万円~数百

万円の投資が必要になるので、ソフトの機

能がそれに見合うものでなければ、無駄な

投資になってしまいます。


いまは、表計算ソフトのエクセルや、デー

タベースのアクセスの機能も充実している

し、社内LANやグループウェアも専門的

な知識がなくても導入できる時代なので、

専門のソフトには大きなメリットがなけれ

ば魅力を感じられなくなりつつあります。


一方で、きちんとした専門ソフトであれ

ば、導入のメリットは高いと私は考えてい

ます。


その例のひとつは、そのソフトを導入する

ことによって実現できる戦略があるという

場合です。


言い換えれば、ある戦略を採用するために

そのソフトを導入する必要があるというこ

とです。


システム開発会社から見れば、ソフトを売

ることになりますが、ユーザーから見れ

ば、戦略を買うということになります。


ただ、最近は、ソフトそのものを売るより

も、ユーザーがそれを使いこなすためのス

キルアップの支援や、そのソフトの効果を

高めるための戦略立案も行うこといった、

ノウハウを提供することに重要性が移りつ

つあります。


ただ、これは、導入コストが高くなること

や、システム開発会社にノウハウを提供す

るための人材が少ないために、なかなか実

現できていないようです。


今回の結論は、事業の競争力を高めるには

情報技術を活用することが効果的であり、

システム開発会社から、ソフトだけではな

く、ノウハウの提供を受けることを検討す

ることをお薦めしたいということです。


ある意味、ソフト開発会社から、コンサル

ティングを受けるということでもあるとい

ことです。


事業現場での改善の工夫も大切ですが、シ

ステム開発会社といった、外部の知恵の提

供を受けることも効果があると私は考えて

います。


もちろん、私も情報技術を活用した経営戦

略立案のお手伝いをしています。


というよりも、ほとんどの経営戦略は情報

技術抜きには実践できない時代です。

 

 

 

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経営に王道なし

今回の記事のタイトルを見ると、上から目

線の記事に思われてしまいますが、これは

自分への戒めでもあります。


ちなみに、これも私が説明するまでもあり

ませんが、王道にはふたつの意味があるよ

うです。


ひとつは、儒教の考え方で、徳で国を治め

ようとする理想的な政治のこと。


これは、武力で国を治めようとする覇道

対語でもあります。


もうひとつの意味は、「学問に王道なし」

というように使われている意味であり、す

なわち、安易な方法、楽な方法のことで

す。


よって、今回の記事のタイトルの王道は、

楽な方法という意味です。


では、なぜこのようなことを書こうと思っ

たのかということを、以下に述べていきま

す。


私が、経営者の方から受ける相談の内容は

「●●をやろうとしてもなかなか時間がな

い」、「○○をやろうと考えているが、な

なかなか人手が足りない」というものが中

心です。


例として、その中のひとつを挙げると、こ

れまで私が何度も重要性を述べてきた、月

次試算表の作成があります。


これまで、ご支援をしている会社の経営者

の方に、私から、「月次試算表をつくりま

しょう」と提案しても、なかなか実践が難

しく、前述のような、「時間がない」と

いった回答をされてしまうことが多くあり

ました。


そこで、私は、月次試算表がなくても事業

改善ができる方法がないかと、ずっと考え

てきました。


しかし、結果として、それはみつかりませ

んでした。


そして、あるとき、別のコンサルタント

方に、このことをきいてみたら、「月次決

算程度のことは、経営者自身にやってもら

うしかない。


それすらできなければ、これからやって来

るであろう、もっと難しい課題すら対処で

きないことになる」というものでした。


こんなことを感じるのは私だけかもしれま

せんが、この回答をきいて、私は目からう

ろこが落ちたような感じになりました。


月次決算は、避けるものではなく、乗り越

えなければならないものだということを、

改めて認識しました。


ですから、コンサルタントは、経営者が自

ら工夫して、経営者の本来の仕事を行える

ようにするための助力をするしかない訳で

す。


経営者がいつまでもそれをできないのであ

れば、コンサルタントが必要とされる場面

もないということです。


コンサルタントは、経営者に王道を用意す

ることが仕事ではなく、(上から目線で恐

縮ですが)いばらの道をきちんと歩くこと

ができるよう支えることだということなの

だと思いました。


経営者の仕事は難しいことですが、だから

こそ、だれにでも務められるものでもな

く、やりがいのある仕事なのだと思いま

す。

 

 

 

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融資に積極的な銀行職員を探す

私がフリーランスになって10年くらい経

ちますが、融資の申請のご支援に関して、

相談をしてくる経営者の方や、ほかの融資

申請のコンサルティングをしている人とは

考え方が違うということをずっと感じて来

ました。


といっても、私が正しいとか、私が優れて

いるということではありません。


私が銀行職員の時は、融資を増やそうとし

て、一生懸命に融資を契約してくれる相手

を探していました。


しかし、教科書的に融資審査が通るような

業績のよい会社は、多くの銀行と競合する

ことになり、逆に、融資契約を得ることは

難しい状況でした。


そこで、失礼な書き方ですが、ちょっと難

がある会社へ融資をセールスし、その会社

から融資できそうな、よい材料を探し出し

て融資稟議書を書きあげ、なんとか承認を

得て融資を増やしていくということをして

いました。


そこで、融資をしてもらおうという会社が

あったとき、「どうしてそんなに苦労する

のか?」という疑問を感じていました。


もちろん、私が銀行職員時代も、融資の申

し込みを断ったことがあります。


そのような会社は、「業績が悪い会社」と

いうことができるのかもしれませんが、業

績が悪い前に、事業そのものがしっかりし

ていないという会社です。


ちょっとニュアンスが伝わりにくいとは思

いますが、赤字を計上していても事業が続

く見込みがあれば融資をする意味もあると

思うのですが、融資をしても事業が続きそ

うにない会社は、そもそも融資をする意味

もありません。


手もとのお金がないということでは両者は

同じですが、事業が続く見込みがない会社

は、直面する課題は融資を受けられるかど

うかではなく、どのように事業をたたむの

かということになります。


そういった会社でなければ、100%融資

に応じたわけではありませんが、取り上げ

る方向で案件に取組んでいました。


しかし、私がフリーランスになってから、

相談にくる経営者の状況を見ると、確かに

融資を断られた理由が分からないというこ

とも多くあります。


すなわち「私が銀行職員だったらちゃんと

取り上げるのに…」と思うのに、なぜ、断

られるのだろうというものです。


これは、多くの場合、銀行職員のスキルに

よるということだと思います。


融資申込をした会社の決算書など、表面的

なことしか見ていなければ、取り上げられ

る案件は少なくなってしまいます。


このような会社に対しては、私は、銀行が

融資承認を得られるための材料となりそう

な情報を補足資料で示したり、決算書から

は読み取れない部分の補助資料を添えて、

懸念と感じられてしまう点を取り除いたり

することで、融資申込を受け付けてもらえ

るようにしています。


要は、スキルの低い職員にも融資稟議書を

書くことができるような情報提供をすれば

取り上げてもらえるということです。


ですから、これを言い換えれば、スキルの

高い銀行職員を探せば、融資を簡単に断ら

れることはないということです。

 

 

 

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在庫切れは誰の責任か

これは、卸売業や小売業での話題になりま

すが、在庫切れはよいことか、悪いことか

ということについては、一般的には、悪い

ことでしょう。


(ここで「一般的には」と書いたことには

理由がありますが、それは、後述します)


では、在庫切れが起きたとき、それは誰の

責任になるでしょうか?


購買担当者(在庫担当者も含む)でしょう

か、それとも、販売担当者でしょうか?


私は、経営者(または、事業の責任者)で

あると思っています。


これは、現場で起きたことは何でも経営者

の責任であるという意味ではありません。


というのは、もし、在庫切れの責任が在庫

担当者にあるとしたら、在庫担当者はどう

いう行動をとるでしょうか?


在庫切れが起きないよう、在庫をたくさん

持とうとするでしょう。


在庫が多いと在庫切れが起きないので、販

売先からの引き合いにも迅速に対応でき、

売上も増えて、事業は順調に進むというこ

とになるかもしれません。


ところが、在庫が多いと、売れ残りが増え

たり、商品の仕入代金に充てるための借入

を増やしたり、大きな倉庫を持たなければ

ならなくなったりします。


このことは、あまり目立ちませんが、事業

の利益を押し下げる要因になります。


よって、在庫は多ければよいという訳では

なく、かといって、すぎても少なすぎても

よいという訳ではありません。


したがって、利益を最大にするにはどの程

度の在庫を持てばよいかという、難しい判

断をするところに、経営者の手腕が問われ

ると私は考えています。


ですから、「在庫を多く持つこと≠利益を

増やすこと」ではありませんから、経営者

が判断した適切な在庫量を維持していると

きに、在庫切れは起こり得ることです。


そこで、在庫切れが起きることが、必ずし

も利益が減ること、即ち、悪いこと、では

ありません。


そこで、在庫担当者の責任はどこにあるの

かというと、経営者の決めた適切な在庫量

を維持しているかどうかということです。


もし、在庫担当者が、発注を忘れてしまっ

たり、在庫が少なくなったことに気づかな

かったりして適切な在庫量を維持できず、

そのことが原因で在庫切れが起きれば、そ

れは在庫担当者の責任です。


一方、適切な在庫量が維持されているにも

かかわらず、在庫切れが起きたときは、そ

れは在庫担当者の責任ではありません。


その在庫切れは、経営者の意思にしたがっ

て起きた在庫切れです。


ただ、経営者の判断がいつも正しいとは限

りませんので、経営者が判断を誤って適切

でない在庫量を在庫担当者に指示して在庫

切れが発生した場合は、経営者に責任があ

るということです。


今回は、在庫切れについて例をとって述べ

ましたが、今回の記事の趣旨は、結果責任

を従業員に負わせることは賢明ではないと

いうことです。


従業員の方に結果責任を負わせるようにす

ると、その従業員は、自分の責任を回避す

るということに力を注ぎ、自分だけがよけ

ればよいという行動をとることになりま

す。


これは部分最適といい、必ずしも、会社の

利益を最大にする全体最適の行動ではなく

なります。


会社全体が、全体最適の行動をとるように

するためには、まず、経営者が事業の方針

を示し、それに基づいて、それぞれの部署

に「行って欲しいこと」を示すことが必要

です。


この具体的な方法の説明は割愛しますが、

例えば、前述の例で言えば、「在庫切れを

起こすな」ではなく、「この商品は、●●

個から●●個の間で在庫を維持する」とい

う具体的な活動内容を示します。


単に、起きたことについて責任を問うだけ

でよいなら、どんな人でも経営者を務める

ことができます。


経営とは、難しい判断をすることであり、

だからこそ誰にでも務められるわけではな

いと私は考えています。

 

 

 

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