鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コンサルタントをどう利用するか

私にご支援の依頼をする方のうち、約半数

は、スポット(短期)コンサルティング

依頼されます。

 

ここでお分かりになると思いますが、今回

の記事の結論は、コンサルタントからは継

続的な支援を受けることを薦めるというも

のです。


では、なぜその結論になるのかということ

について、これから説明していきます。


短期的なコンサルティングを依頼する方の

主な理由は、費用を少なくしたいというこ

とのようです。


というのは、コンサルティングを受けると

報酬を払わなければならないので、できれ

コンサルティングを受けたくはないが、

目の前の課題は自力で解決できないので、

やむなく報酬を支払ってコンサルティング

を受けるということなのでしょう。


そして、その課題が解決すれば、コンサル

ティング契約も終わるわけですが、恐らく

そのような会社は、早晩、また同じような

課題に直面して、再びコンサルタントに助

けを求めることになる確率が高いのではな

いかと思います。


もちろん、これは、私の個人的な分析に過

ぎません。


短期コンサルティングだけを受けたいとい

う方にも、それなりの考え方があるので

しょう。


「厳しい経営環境にあって、できる限り自

分でなんでもしなければならない」という

思いが強いのだと思います。


ただ、これは傍目八目といわれるかもしれ

ないのですが、このような経営者の方を見

ると、私は稲森和夫さんのお話しされてお

られた「土俵の真ん中で相撲をとる」とい

う言葉を思い出します。


(ご参考→ https://goo.gl/ptg4e4


短期コンサルティングを依頼する方は、土

俵際に追い込まれた時に、コンサルタント

の力を借りて、なんとか危機をしのぐもの

の、またしばらくすると、土俵際の危機に

立って、再びコンサルタントの力を借りる

とうことを繰り返しているように見えま

す。


そうであれば、何度も危機に立った時に、

それに立ち向かうためのパワーを、土俵の

真ん中に自社を移すために使うことの方が

合理的だと感じます。


私がお手伝いをするご縁をいただいた会社

さまには、仮に土俵際にいたとしても、土

俵の真ん中に行くことを目指してもらい、

そのために少なくとも1年間、できれば3

か年の計画に沿って改善をしてもらうこと

を提案しています。


この提案に応じていただける会社も多いの

ですが、やはり、短期的なご支援しか受け

ようとしない会社も少なくありません。


では、なぜ、長期的な改善をしようとしな

いのかということは、冒頭で、費用の節約

や、できれば自力で改善する意向があると

述べましたが、もっと深いところでは、土

俵の真ん中に行く自信がないのではないか

と、私は分析しています。


本来の会社は、「横綱相撲」を取れるよう

になることを目指しているはずなのです

が、もし、仮に、自分が横綱養成コースを

受けて横綱になることができなかったとき

に、自分の本当の実力が分かってしまうの

で、あえて、いつまでも土俵際にいるので

はないかという感じがします。


この分析が100%正しいとは限りません

が、少なくとも、土俵の真ん中を目指すこ

とは理にかなっています。


そのためには、それなりの決断が必要にな

ると思いますが、私は多くの経営者の方に

土俵の真ん中で相撲をとってもらいたいと

思っているし、そのためのご支援をするこ

とが、正に経営コンサルタントの私の役割

だと思っています。

 

 

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よい資金不足と悪い資金不足

私が融資申請のお手伝いをするときに、よ

く直面する課題となることは、銀行に納得

してもらえる資料を作るためのデータがそ

ろっていないということです。


具体的には、資金繰予定表を作成するため

のデータをすぐに用意してもらえません。


経営者の方から見れば、現状はお金が足り

なくなることはわかっているのだから、そ

れが伝わればいいのではないかとお考えに

なると思いますが、銀行は、単にお金が足

りなくなるかどうかだけでは融資の可否を

判断できません。


融資の申し込みにあたって、基本となるの

は、融資をしたあとの資金繰の見込みなの

ですが、資金繰表で見るもののひとつは、

いつ、融資を返済してもらえる資金流入

あるかということです。


ここまでは多くの経営者の方も理解してい

ただけると思います。


次に見るものは、今後、資金不足が続くと

しても、その資金不足が、売上による資金

流入と、材料や商品の仕入による資金流出

の差に収まる見込みかどうかということで

す。


これは、本来は、損益計算書で確認するべ

きことなのですが、資金不足には大きく分

けて2つの理由があり、売上が増加するた

めに発生する資金不足と、事業がもうかっ

ていないために発生する資金不足です。


粗っぽい説明ですが、売上が増加している

場合、資金不足も増加しますが、売上もそ

れ以上に増加します。


ここまでの説明からご理解いただけると思

いますが、事業がもうかっていない場合の

資金不足の場合、銀行はその会社への融資

を躊躇します。


直ちに融資を断るとは限りませんが、少な

くとも、業績の見込みが回復するかどうか

という説明を求めることになります。


そのため、まず、資金繰予定表には、資金

不足の原因が、売上の増加によるものか、

事業がもうかっていない(=赤字)による

ものかが銀行に伝わるようにしなければな

りません。


それが伝わるようにするには、おおまかに

述べると、資金の出入りを、(1)材料の

仕入れや商品の売上などによる流れ、

(2)人件費・家賃などの主に固定費の流

れ、(3)融資を受けたり融資を返済した

りするなどの金融による流れに分けて資金

繰予定表を作成する必要があります。


冒頭に述べた、「銀行に納得してもらえる

資料を作るためのデータがない」というの

は、例えば、経営者の方や経理の方が、預

金通帳だけを見て資金管理をしていると、

そのようになってしまいます。


今回の記事の結論は、前述のような、資金

の流れを3つに分けた資金繰表を作成する

だけで、融資申し込みはかなり楽になると

いうことです。


よく、銀行は自社のことを理解してくれな

いという不満を持つ経営者の方がいます

が、これは厳しい言い方ですが、銀行に自

社を理解してもらえるデータを提供してい

ないという例もかなり多いと私は感じてい

ます。


経営者の方は、必ずしも銀行の都合に合わ

せて資料を作る必要はありませんが、とは

いえ、前述のような資料は、少なくとも

「銀行のために」作る資料であるとは私は

考えていません。


この、3つの資金の流れを管理できなけれ

ば、そのような経営者が経営する会社の資

金管理はいわゆるどんぶり勘定の状態であ

り、経営者の方は自社を黒字にするための

管理そのものを行っていないと言えます。


なお、建設会社用ですが、資金繰予定表の

サンプルがありますので、ご関心のある方

は、こちらからダウンロードしてくださ

い。→ https://goo.gl/N5UyGM

 

 

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不二

芥川賞作家で、福島県田村郡三春町の禅寺

臨済宗妙心寺派福聚寺)の住職を務める

玄侑宗久さんが、ポッドキャスト番組で、

「不二」についてお話しておられました。


(ご参考→ https://goo.gl/yeZ3yk


不二とは仏教用語で、対立しているものと

思えるものも、実は、それは自分にとって

必要なものであるという考え方だそうで

す。


その例として、無駄な努力の比喩としてよ

く使われている「賽の河原」のお話しをあ

げておられました。


すなわち「賽の河原とは、三途の川の河原

のことで、そこでは、親より先に亡くなっ

てしまった子どもが、親の供養のための石

塔をつくるために、石を積み上げている


ところが、そこに鬼が現れ、子どもはお地

蔵さんがかくまってくれるので、その場は

やり過ごすことができるものの、鬼は子ど

もが積み上げた石を崩してしまうので、鬼

が去った後は、また子どもは最初から石を

積み上げなければならない。


このとき、お地蔵さんは鬼を退治しないで

子どもをかくまうだけなので、またしばら

くしたら、再び鬼が現れて、積み上げた石

を崩してしまう。


そこで、いつまで経っても子どもは石塔を

完成させることはできない。


このように、お地蔵さんは、あえて、石塔

を完成させるための障害となる鬼を退治し

ないことを、仏教ではよいことととらえて

いる。


なぜなら、人は自分では解決できない課題

に直面することで、心が活発になり、その

ことが望ましいことと考えているからだ。


すなわち、これが、人にとって対立する相

手が必要だという不二という考えだ」とい

うものです。


とはいえ、このような考え方は、すでに多

くの方がご存知のことでしょう。


それを今回あえて記事にしたのは、玄侑さ

んの考え方に、ちょっと真新しさを感じた

からです。


というのは、私も中小企業の事業改善のお

手伝いをしていますが、多くの経営者の方

は、できるだけ余計なことはせず、また、

無駄なお金もかけずに、効率的に事業を進

め、すぐに結果が得られるようにしようと

考えています。


このことは、一見、合理的と考えられるの

ですが、内心は心配なことがあります。


というのは、このような方法では、数年程

度の期間では成功すると思うのですが、長

い目で見ると、うまくいかなくなるのでは

ないかと感じます。


なぜなら、ひとつの目標にだけ向かってい

ると、その経験を他のことに活かす余地が

少なかったり、環境変化への対応ができな

かったりということがあるのではないかと

感じるからです。


事業は数年でやめてしまうという前提なら

ば別ですが、もっと長い期間、事業を続け

たいと考えているのであれば、土台となる

組織そのものを強くすることが必要になる

と私は考えます。


そうであれば、組織を強くするために、イ

エスマンになりそうな人ではなく、あえて

経営者と価値観の異なるタイプの従業員を

雇い入れたり、あえて自分たちが未経験の

事業分野に新規参入したりするということ

をする方が、組織を強くすることになると

思います。


その方が、組織としての学習をすることに

なり、さまざまなことに対処できる能力を

身に着けることができるでしょう。


とはいえ、現実的には短期的な利益も求め

ることも必要なので、組織を強くする活動

と、効率さを求めることの間のどこでバラ

ンスをとればよいのかということが、判断

の難しいところでしょう。


少なくとも、効率を追求するという大義

分だけで、組織の力をつけることを避ける

ことはあまり賢明でないということが、今

回の記事の結論です。

 

 

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コンサルタントになにを学ぶか

私はお手伝いする会社に対して、「なにを

すればよいか」ということではなく、「な

にをすればよいかということを見つけられ

るようになるには、なにをすればよいか」

ということについて助言をしています。


端的に言えば、課題が解決するための答え

をお教えするのではなく、課題を解決する

ための答えの見つけ方をお教えしていま

す。


なぜこのような回りくどいことをするの

か、コンサルタントが答えを考えないです

むのであればコンサルタントは楽ではない

か、正しく「人のふんどしで相撲をとって

いる」だけではないか、という疑問をお持

ちの方もいると思いますが、このようなこ

とをするのには理由があります。


そのひとつは、事業運営上の課題を解決す

るための答えを見つけることは難しく、ま

た、その答えはひとつではないことから、

それを会社経営者ご自身に見つけてもらう

ことが最良だと私は考えています。


これだけ書くと、「それならコンサルタン

トは要らない」と言われそうですが、その

真意は、単に直感だけで深い根拠もなく導

いた答えではなく、ある程度の時間をかけ

てきちんとした手順に基づいて根拠をもっ

て導いた答えを持たなければ、かえって事

業は迷走してしまうということです。


いまは、慎重に選んだ答えでも、成功する

確率は高くはないので、いかに成功率を高

めるかということが事業の成否のポイント

になっています。


むしろ、「事業を成功させる間違いない回

答がすぐに手に入る」と考えていること自

体、あまり現実的ではないと思います。


そして、コンサルタントの役割は、クライ

アントが正解を見つけるときの精度を高め

るための支援をすることです。


それから、コンサルタントが直接答えを教

えない理由がもうひとつあります。


それは、仮に答えがあるとしても、それを

コンサルタントがすぐに教えてしまうより

も、会社の経営者や従業員が自ら導いた答

えの方が、納得感があり、その答えに基づ

いた活動も能動的に行えるということも挙

げられます。


ここまではやや抽象的なことを書きました

が、経営コンサルタントの古尾谷未央さん

のご著書である、「借りない資金繰り」

( http://amzn.to/2siiCCJ )に改善策を見

つけ出した事例が書かれてあったので、ご

紹介いたします。


その事例は、東京都内に5店舗(現在は3

店舗)を持つ、パンの製造・小売をしてい

る会社の事例です。


その会社は次のような改善を行いました。


(1)工場の閉鎖


5店舗のパンは、工場で製造する方が費用

の面で効率的であるものの、店舗で製造す

る方が、出来立てを提供できること、パン

を製造する従業員が直接顧客と接すること

ができるところにいる方が、よりよい製品

を作ろうとする意欲が湧くことから、工場

を閉鎖して店舗でパンを製造するようにし

たことで、より高い人気のパンを製造する

ことができるようになった。


(2)食パンの前売り券の取り扱い


資金繰りの改善のための手法として始めた

が、予想以上の反響があり、同社の資金繰

り改善に大きく寄与した。


(3)POSデータの活用


POSデータを活用し、いつ、なにが、ど

れだけ売れたかを把握したり、時間帯別の

来店客数を把握していくことで、改善のポ

イントがつかめるようになり、機会損失を

防いで売上を伸ばすことができるように

なった。


これらの改善策は、結果からみると当たり

前のことなのですが、私は、経営者の方や

従業員の方たちが自ら探求して導くという

過程がなければ得られなかったものであ

り、だからこそ貴重な結論でもあると思っ

ています。


そして、このような改善策を見つけ出す活

動のリーダーを担うことや、その仕組みづ

くりが経営者の役割であり、その経営者を

支援することが経営コンサルタントの役割

であるいうことが今回の記事の結論です。


繰り返しになりますが、よく、「誰でもす

ぐに実践できる売上増加法」というものが

目に入ってきますが、それは、ヒットを打

ちたいと考えている野球選手に、単に「プ

ロ野球の首位打者が使っているバットを売

ります」と言っているようなものだと私は

考えています。


経営者の方が、真に解決しなければならな

いことは、首位打者のバットを買うことで

はなく、そのバットを買ったときに、それ

でたくさんヒットを打てるようになるスキ

ルを身に着けることです。


バットを買うだけでヒットが打てるように

なるのであれば、これほど簡単な解決策は

ありません。

 

 

 

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いつコンサルタントに学ぶか

先日、久しぶりに経営コンサルタントの石

原明さんの勉強会に参加してきました。


(ご参考→ https://goo.gl/LukB2t


勉強会に参加する目的は、もちろん勉強そ

のものなのですが、実は、私にとって、2

番目の目的の比重が結構大きいです。


2番目の目的というのは、参加者の熱気を

感じることす。


石原先生の勉強会だけに限ったことではあ

りませんが、勉強会に参加している人たち

の勉強しようとする姿勢を見ると、私もよ

い意味で触発されます。


このことは多くの方にご理解いただけるこ

とではありますが、私が勉強しようとする

人に触れたいという気持ちになるのは、他

にも理由があります。


というのは、石原先生の勉強会に参加する

人たちの多くは、すでに自ら経営する会社

を順調に軌道に乗せているにもかかわら

ず、さらによい会社にするために学ぼうと

していたり、まだ会社員ではあるものの、

高いスキルを持っていて、近い将来、その

スキルを活かして独立するために勉強に来

ているという方々です。


端的に言えば、「もう、あなたたちはこれ

以上勉強する必要はないのでは?」と思え

るような人たちが参加しているということ

です。


でも、これを言い換えれば、向学心が強い

人こそ、自社の業績をよくすることができ

ているし、また、会社員であっても高いス

キルを身に着けているのだということなの

でしょう。


そして、そのような人たちと触れ合うこと

で、私も「負けてはいられない」というよ

うに触発されるので、それを2番目の目的

として勉強会に参加しているというわけで

す。


ところで、一般的に、コンサルタントにコ

ンサルティングを受けるときはどういうと

きかというと、多くの方は、会社が困った

状況になったときと考える方が多いと思い

ます。


正直なところ、私にお手伝いを依頼に来る

方の多くは、相撲に例えれば、土俵際にい

る状況で、何とかその状況を挽回したいと

いう方々です。


ただ、コンサルタントを必要とするのであ

れば、もっと早い時期に依頼してくれれば

よかったのにと思うことも少なくありませ

ん。


これも相撲に例えれば、土俵に上がってか

らどうやって技をかけるのかを教えてもら

うよりも、土俵に上がる前に技を学んでお

く方が、有利に取り組みを進めることがで

きるということです。


前述の、石原先生の勉強会に参加している

人たちも、必要に迫られて勉強しようとい

うことではなく、きちんと前もって経営に

ついて学んでおこうという方々ばかりなの

で、それがよい結果につながっているので

はないかと思っています。


私は、優秀な経営者は、経営コンサルタン

トの活用の仕方も上手なのだと考えていま

す。

 

 

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融資対策を行う理由

私のところには融資申し込みの仕方につい

てご相談に来る方がたくさんいらっしゃる

のですが、基本的には、銀行を意識する必

要はないということをこれまで述べてきま

した。


なぜかといえば、事業を黒字にしていれ

ば、銀行はまず融資を断ることはありませ

ん。


したがって、事業を黒字にすれば、融資を

してもらうための対策に注力する必要はな

くなります。


これに対して、「事業はそれほど簡単に黒

字にすることができないから、銀行に融資

をしてもらうための対策が必要になる」と

お考えの方も多いと思います。


それはその通りです。


事業が赤字の会社は、事業が黒字の会社と

比較して、ある程度しっかりした説明をし

なければならないので、そのためのノウハ

ウなどは必要です。


でも、これは私の経験から感じることなの

ですが、融資を受けるためにいろいろと注

力する会社ほど、事業を黒字にしようとす

る努力については、あまり熱心でないとい

う印象を持っています。


会社に手元資金があれば、材料や商品を購

入したり、従業員へ給与を支払ったりする

ことができるので、融資を受けることに

よって事業を継続することはできます。


でも、融資を受け続けるためには、利益を

得なければなりません。


利益を得られない会社は、遠くない将来、

すべての資産をもって負債を返済できない

状態、すなわち、債務超過になる恐れがあ

るからです。


でも、赤字の会社が融資を受けたとき、そ

のことだけで、経営者の方が安心してしま

い、また、融資を受けることができるよう

に、事業を黒字にすることまでは思いが至

らないということが多いように感じます。


よく、「黒字倒産ということが起きるのだ

から、まずは、手元に現金があるかどうか

に注意することが大切だ」と言われます。


それはその通りなのですが、資金不足にな

らないようにしなければならないという目

標は短期的なもので、長期的には黒字を目

指さなければ、短期的な目標である資金流

入超過を果たすことはできません。


融資が受けられるかどうかを気にかけてい

る経営者の方は、目先の資金のことだけを

気にかけていて、長期的なことには関心が

薄いと考えられます。


では、なぜ、利益を得ることに関心が薄い

のかというと、その最大の要因は、経営者

の本来の役割である、利益を得るという課

題から目を背けているのではないかと私は

考えています。


利益を得る活動の相手は顧客です。


この、顧客を相手とする活動は、経営者に

とっては最も難しい活動だと思います。


厳しい書き方をしますと、会社の事業が赤

字という状況は、その事業が顧客から支持

されていないとも言えます。


事業が顧客から支持されない原因は、従業

員でも、仕入先でも、銀行でも、株主でも

なく、経営者の責任です。


ここまで遠回りとなりましたが、私には融

資対策に関心の大きい経営者は、経営者の

本来の役割である顧客に向き合う活動に背

中を向けている状態であると感じられると

いうことが、今回の結論です。

 

 

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事業計画はじゃま?

私はこれまで、事業計画を作成し、その計

画通りに事業を運営できるよう管理するこ

とが経営者の役割ということについて述べ

てきています。


その一方で、事業計画を作成しない会社も

多いということも事実です。


これについては、経営者の方が事業計画の

大切さについて理解していないとか、作成

のための負担が多いということが原因と考

えることができますが、さらに、経営者の

方が会社を起こした目的と、事業計画の作

成が相いれないことも原因になっているの

ではないかと思うようになってきました。


経営者は会社のトップですので、その会社

では強い権限を持っています。


したがって、その会社の事業は経営者の方

の指示で運営されます。


そして、その事業が成功すれば、その最大

の功績は経営者のものということになりま

す。


そこで、このようなポジションに就くこと

を目標とするビジネスマンはたくさんいる

でしょう。


ここで、仮に、自分の考える事業方針で事

業を進めることが事業を成功させることに

なるとすれば、事業計画を作成することは

意味のないことであり、余計な負担がかか

るものになるということになります。


すなわち、事業計画は、単にじゃまなもの

ということになります。


したがって、このような人には、事業計画

の大切さを伝えても意味はありません。


もちろん、自分がリーダーとなって事業を

成功させることを目標とすることに問題は

ないのですが、問題となるのは、自分の考

える方針で事業を進めることが、必ずしも

事業を成功させることになるとは限らない

ということです。


ここで、事業計画が大切な理由や、事業計

画を作成すれば事業がうまくいくのかどう

かということは改めて述べません。


ここで、見落としがちなこととしてあげら

れるものは、「価値の創造」ということで

す。


当たり前のことですが、製品は、購入する

側、すなわち顧客によって価値が認められ

るので、顧客が購入します。


そこで、事業の目的は、その価値を造るこ

となのですが、事業によって造られた製品

が価値あるかどうかは、前述の通り、造っ

た側ではなく買う側によって決められると

いうことが見落とされていると思います。


自分の方針で運営した事業は成功すると考

えている人は、自分が価値があると思って

いる製品だから売れると考えてしまうので

しょう。


この価値の創造が事業運営の醍醐味なので

すが、だからこそ、事業計画を作成するな

どの綿密な運営が要求されます。


このことに気づいていれば、独り善がりの

考えで事業を起こしてしまったり、事業計

画がじゃまと感じることがなくなるのでは

ないかということが、今回の記事の結論で

す。

 

 

 

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