鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

意志がなければ改善もない

これまで何度か述べてきましたが、中小企

業経営者の方たちが、現在の経営環境は厳

しいというお話をしていることに対して、

私は、確かに経営環境は厳しいけれども、

打ち手は尽きていないと感じています。


では、残された打ち手は何かというと、何

を売るかではなく、どうやって売るかとい

う観点で事業を改善することです。


かつては、何を売るかが事業の成否の要因

でしたが、いまは、同じ商品を売っている

会社同士でも業績が異なる時代であり、売

るものではなく、どうやって売るかが事業

の成否の要因になってきています。


そこで、売り方で競争力を高めようとする

には、それなりの従業員のスキルが求めら

れるため、従業員を育成する能力も競争力

を高める要因となります。


そして、これらの売れる仕組みづくりや、

従業員の育成は、中小企業では経営者の方

が中心になって取り組む課題となります。


したがって、経営者の方の仕組みづくりの

能力や人材育成の能力が、競争力の差とい

うことになります。


そこで、私が事業改善のご支援の依頼を受

けた場合、その会社に対しては、経営者の

方に中心になってもらって、まず、仕組み

を改善していくことから始めてもらいま

す。


当然、この仕組みを変えることになると、

仕事のやり方が変わります。


もちろん、いきなり難しいことをしてもら

うことは避けますが、それでも、やり方を

変えることは、口で言うほど容易ではあり

ません。


この行動を変えることは、理性だけではな

かなか変えることが難しく、頭ではわかっ

ていても、慣れていないことや、未体験の

ことは感情的にやりたくないと考えてしま

うので、それを乗り切るには、強い意志を

もって臨むしかありません。


そこで、私も、そのような経営者の方の意

志を高めたり維持したりするためのご支援

は惜しまないと考えているのですが、顧問

先の方には基本的には1か月に1度会うこ

とが原則となっており、この頻度では、限

界があります。


したがって、最終的には、経営者の方自身

の意志がどれくらい強いのかということに

かかってくるということになります。


ただ、私は、ここで「百尺竿頭(ひゃく

しゃくかんとう)に一歩を進む」という言

葉を思い出します。


これも有名な禅宗の言葉ですが、百尺の竿

(さお)の頂点まで登ったとしても、その

位置に安住することなく、さらに高い地位

を目指しなさいと説いているものです。


私はこれまで多くの中小企業経営者の方と

お会いしていますが、むしろ、業績のよい

会社の経営者の方ほど、危機感を感じてお

り、まさに「百尺竿頭に一歩を進む」を実

践しているように感じます。


直接的な因果関係は示すことができません

が、事業をよくしようという強い意志があ

れば、業績もよい会社になっているという

高い相関があると私は考えています。


これを言い換えれば、経営者の意志が強け

れば業績もよくなるということです。


稲盛和夫さんも、経営12か条で、「潜在

意識に透徹するほどの強く持続した願望を

持つ」ことを説いておられますが、これも

同様のことを示唆しておられるのではない

かと思います。


今回の記事の結論は、経営者の方の強い意

志がなければ、どんな改善策を実施しても

効果はないのではないかということです。

 

 

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矜持の費用

昨年の11月に、つくばエクスプレスの電

車が、千葉県流山市南流山駅を、出発時

刻が9時44分40秒であったにもかかわ

らず、20秒早い9時44分20秒に出発

したことで、同路線の運営会社が謝罪をし

ました。


(ご参考→ https://goo.gl/T5ijyn


このことは、「たった20秒で鉄道会社が

謝罪した」ということで、世界中で驚きを

もって報道されたようです。


そもそも、電車が時刻よりも早く出発する

ことは、鉄道営業法第2条や鉄道運輸規程

第22条などで禁止されており、前述のつ

くばエクスプレスの電車の早発は法令違反

であったということもありますが、J-C

astニュースの記事によれば、安全性に

関して重大な出来事だったと運営会社は認

識していたそうです。


(ご参考→ https://goo.gl/brcfXy


すなわち、発車アナウンスなどが行われる

前に、電車の扉が閉まり、電車が出発する

ことは、乗客にとっての安全性を脅かすこ

とであり、また、発車時刻を間違えること

は、電車の乗務員として注意力が欠けてい

ることから起きることであり、重大な事故

につながりかねないと同社では考えていた

ようです。


そこで、同社の謝罪文は、20秒の早発の

内容だったのですが、その意図は、安全性

への意識が散漫だったことをお詫びしてい

るということのようです。


ただ、世界中の報道機関は、20秒の早発

は、さほど問題がないのではないかと考え

ていたから、驚きを持たれたわけですが、

そうであっても鉄道会社は矜持を持って謝

罪したということでしょう。


似たような事例は、他にもいくつもありま

す。


例えば、米国のスターバックスコーヒーで

は、4月にフィラデルフィアの店舗で、同

店のマネージャーが警察へ通報したことに

よって、黒人客2人が逮捕された事件を反

省し、5月に、米国内の直営店8000店

舗を一時閉店し、約175,000人の社

員を対象に人種差別防止のための教育を行

いました。


このことにより、教育のための費用だけで

なく、店舗を閉めることで大きく売上に影

響を受けることになりますが、同社はそれ

くらい事態を大きく受け止めていることが

わかります。


これも、同社の矜持を示すできごとであっ

たと思います。


さらに別の例では、ペヤングソース焼きそ

ばを製造しているまるか食品では、製品の

中に虫が混入していた疑いがあったことか

ら、約半年間、製品の製造と販売を休止し

ました。


その間、製造工場での虫の混入を防ぐ対策

をとり、製造・販売を再開したところ、

24時間体制で製造していたにもかかわら

ず、生産量の2~3倍の注文が殺到したそ

うです。


同社としては、半年間も売上がなくなるこ

とは、大きな打撃となったにもかかわら

ず、時間をかけて徹底的に対処したことが

評価されたこともあり、販売再開後に多く

の注文が来たのでしょう。


ここまで書いたことは、私があえて述べる

までもないことですが、現在は、顧客が製

品を購入するかどうかを決める要因の中

で、会社の姿勢を評価できるかどうかとい

う部分が大きな比重を占めているというこ

とです。


すなわち、大きなコストをともなってでも

会社の矜持を維持することが収益に直結し

ているということです。


一方、矜持を維持するコストを避けようと

すると、かえって批判を浴びてしまうこと

になります。


前述の3つの会社は、このことをわかって

いるということもあり、コストがかかって

でもあえて誠実さを見せる行動につながっ

たのでしょう。


なお、前述の3つの事例とは逆に、経営者

が保身を優先するあまり、会社全体のイ

メージを下げてしまったという例も、残念

ながら少なくありません。


最近の例では、製品データのねつ造をした

会社や、手抜き工事をした建設会社の例が

あります。


そのような会社の対応の悪さは、誠実に対

応した場合にかかる費用と比較して、さら

に多く額の収益を逃すことになったでしょ

う。


このことは、主観的な部分も入るので、明

確にいくらの差が出たのかということは述

べることはできませんが、まるか食品のよ

うに、誠実さへの評価が、製造再開後の注

文の多さに現れることにもなります。


もちろん、同社は金銭的な損得よりも道義

的責任を優先して判断していたとは思いま

すが、経営者の誠実さや会社の矜持は、現

在はとても大切になっているということが

今回の記事の結論です。

 

 

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融資対策はさらに融資を困難にする

かねてから、私は、融資対策はするべきで

はないとお伝えしてきています。


その理由は、銀行は、自らの収益を増やす

ために融資額を増やそうとしているので、

融資を受けようとする側が、あえて融資を

受けるための働きかけを銀行に対して行う

必要はなく、自社が利益を出す活動に専念

すべきだからというものです。


この結論に変わりはないのですが、今回は

別の観点から、融資対策について私の考え

を述べたいと思います。


それは、「銀行に対して何らかの働きかを

しなければ融資を受けられない」と会社経

営者の方が考えることは、自社は銀行から

評価されていないと暗示をかけてしまうこ

とになるということです。


もし、本当に融資対策が必要ならば、会社

経営者の方は、常に銀行の顔色を見ながら

会社を経営することになってしまいます。


この点は、少し誤解があるかもしれません

が、銀行の専門性は、融資したお金が返済

されるかどうかを分析する点にあるのであ

り、事業がうまくいくかどうかまでは、実

際に事業をしている人に比べれば、はるか

に少ない知識しか持っていません。


確かに、銀行職員は多くの経営者の方と接

する機会があり、会社の業績を伸ばすため

の手法や、業績を伸ばしている会社の特徴

を知っていますが、実際に会社を経営した

ことはないし、日本に何百万とある会社の

それぞれの事業について、その会社の経営

者以上に業績をあげるためのノウハウは

持っていません。


ですから、銀行から融資を受けているにし

ても、自社の事業については、銀行よりも

その会社経営者の方が詳しいのであり、経

営者が自らの信じる方法で積極的に事業に

臨むことの方が望ましいと私は考えていま

す。


したがって、融資が受けられるかどうかを

気にかけすぎるあまり、経営者の方が銀行

の顔色を伺いながら事業に臨むことは、ま

すます業績を改善することから遠ざかるこ

とになり、さらに銀行から融資を受けるこ

とが難しくなってしまうでしょう。


さらに、これは、ほんの一部の経営者の方

ですが、実は、自らは経営者としての能力

が高くないことに気づいているために、本

来なら、顧客に対して積極的に働きかけて

売上を得なければならないところを、それ

を怠り、銀行に対してだけ支援を求め、単

に会社を延命させるだけのことしかしよう

としない経営者の方もいます。


いわゆるゾンビ会社もその一例です。


もちろん、そのような会社は、やがて銀行

から見放されるか、淘汰されることになる

でしょう。


話を戻して、確かに、融資を受けている会

社は、銀行との間で、今後とるべき事業の

方針について、意見が異なることもありま

す。


しかし、それは、お互いに前向きな意見を

出し合うことから起きることであり、その

ことは両者にとってよい影響を与えること

になるはずです。


少なくとも、銀行に依存的な会社よりも、

自らの信念を持って事業に臨んでいる会社

の方が、銀行から評価されることは間違い

ありません。


これも、実際には本の一部の会社にしかあ

てはまりませんが、経営者の方が最も避け

なければならないことは、自ら会社の事業

方針を決めることができず、銀行に伺いを

立てて事業方針を決めてもらうということ

です。


そのような経営者が経営する会社は、事業

内容や方針が問題なのではなく、経営者が

いないに等しく、魂がなくなっている状態

になっているということです。


今回の記事の結論は、自社の業績を向上さ

せることができるのは、経営者自身であ

り、銀行に依存的になることは業績を下げ

てしまい、さらに融資を困難にすることに

なるということです。

 

 

 

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A3報告書

トヨタに17年間勤務し、現在はカイゼン

コンサルタントとしてご活躍の石井住枝さ

んのご著書、「できる人はなぜ、『A3』

で考えるのか?」

( https://amzn.to/2sRc4sD )を拝読しま

した。


ちなみに、A3報告書とは、トヨタで50

年以上にわたって継承されてきた、業務改

善プロジェクトのフォーマットのことで

す。


(A3報告書の具体的なフォーマットにつ

いては、こちらをご覧下さい。→

https://goo.gl/SJePqd


このフォーマットには、(1)テーマ→

(2)テーマ設定の背景→(3)現状把握

→(4)目標の設定→(5)要因解析→

(6)対策と実施→(7)実績結果と横展

→(8)反省と今後の課題の、8つのス

テップを記入します。


本のタイトルを見ると、A3報告書を使え

ば、難しい課題も容易に解決できるように

なる手法が書かれていると感じてしまうか

もしれませんが、実際の本の内容は、A3

報告書そのものよりも、前述の8つのス

テップについて説明されています。


ですから、A3報告書がトヨタの業務改善

のノウハウであるというよりも、8つのス

テップがトヨタの業務改善のノウハウであ

ると考えた方がよいでしょう。


ところで、私が地方銀行の本社に勤務して

いた時も、すべての従業員約3,000人

を巻き込むことになる業務改善プロジェク

トを何度か手掛けてきましたが、その場

合、単に、「この手法はよさそうだから実

践してみましょう」と発案するだけでは、

誰も動いてくれませんでした。


大勢の人を巻き込むことになるということ

から考えれば当然のことですが、それなり

の改善の効果や達成可能性について、しっ

かりとした根拠を示さなければ、プロジェ

クト実行の承認をしてもらうことすらでき

ませんでした。


そういった経験から、石井さんのご著書で

示された8つのステップの重要性を、私も

強く感じました。


また、同書の内容はたいへん濃いものに

なっており、この記事で解説するにはス

ペースがとても足りないくらいです。


あえて端的に述べると、プロジェクトの可

視化、進捗管理、PDCAの実践を愚直に

実践することが、8つのステップの基本に

なっていると思います。


したがって、繰り返しになりますが、A3

報告書のフォーマットさえ使えば業務改善

が進むというものではなく、プロジェクト

リーダーが8つのステップを確実に遂行す

るスキルを身に着けることが最大のポイン

トになります。


現に、石井さんもご著書の中で、初級編、

中級編、上級編と、難易度を追って解説し

なければならないくらい、トヨタの業務改

善の手法を実践することは容易ではないと

いうことです。


ただ、これは裏を返せば、いったん、この

業務改善のためのスキルを身に着けること

ができれば、トヨタ自動車が解決してきた

困難な課題と同じくらいの困難な課題でも

解決できるスキルを身に着けることができ

たということになります。


ただ、そこまでのスキルを身に着けないま

でも、前述の8つのステップを意識して取

り組むだけでも、これまで遂行できなかっ

たことが改善できるようになるのではない

でしょうか?


一方、これまで私が事業改善のお手伝いを

してきた中小企業では、経営者の方が社内

で何らかのプロジェクトを実践しようとす

るとき、単に、「君をプロジェクトリー

ダーにするから、これをやりなさい」とい

う程度の指示しかしないという例を多く見

ています。


仮に、そのプロジェクトを実践するという

経営者の方の判断が正しかったとしても、

プロジェクト管理がつたないために失敗し

てしまうという可能性もあります。


もちろん、社内のリーダーに、プロジェク

ト管理のスキルを身に着けるための経験を

させることも必要ですが、そのためには、

まず、経営者自身がそのスキルを身に着け

ていなければ、部下に対して助言すらでき

ず、単なる丸投げになってしまいかねませ

ん。


今回の記事の結論は、会社の事業活動を組

織的なものとし、成果を高めようとするの

であれば、トヨタが実践している8つのス

テップの水準に至らなくても、きちんとし

たプロジェクト管理を実践することがする

ことが基本になるということです。


少なくとも、口頭で指示するだけでは、経

営者の方の意図する通りに活動が進むこと

は期待できないでしょう。


さらに、経営者の方がきちんとプロジェク

トを管理できれば、改善活動が完遂される

だけでなく、さらにより難しい活動も実践

できるスキルが身に付き、徐々にではあり

ますが、ライバルに差をつけることができ

るようになると、私は考えています。

 

 

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朝礼の目的

ビジネスコーチの岡本文宏さんのご著書、

「店長の一流、二流、三流」

( https://amzn.to/2sLpvKu )を拝読しま

した。


この本は、小売店の店長の役割を、人材マ

ネジメントの観点から的確に解説している

本ですが、その中から、私が特に注目した

内容を2つご紹介したいと思います。


ひとつめは、朝礼の目的です。


岡本さんによれば、三流の店長は朝礼をせ

ず、二流の店長は朝礼で情報を共有化し、

一流の店長はスタッフを主役にする目的で

朝礼を行うそうです。


朝は準備が忙しいことから、三流の店長の

ように、朝礼を開くことに否定的な人は少

なくないようです。


また、二流の店長のように、朝礼は必要と

考える人の場合であっても、店長から一方

的に情報を伝達することに終始してしまい

がちです。


しかし、一流の店長は、前日のスタッフの

動きのよかったところや、顧客から評価さ

れたところを朝礼で伝え、スタッフの承認

欲求を満たすことで士気を高めるようにし

ていると、岡本さんは述べておられます。


私は、朝礼や会議などに否定的な考えを

持っている人に会うことがありますが、確

かに、単なる伝達会議や、経営者が一方的

に話をして終わるような朝礼や会議は無駄

だと思います。


一方で、一流の店長のように、スタッフの

士気を向上させるために朝礼を行うことは

有用でしょう。


私は、朝礼や会議など、形式にはこだわ

りませんが、社内におけるコミュニケー

ションは大切だと思っています。


ただ、そのコミュニケーションを、単な

る伝達や情報共有と考えてしまうと、あ

えて朝礼や会議を開くまでもないと考え

てしまうようになるのでしょう。


でも、スタッフの士気を高めるには、店

長とスタッフが直接顔をつきあわせて接

する必要があるでしょう。


そう考えれば、朝礼や会議の必要性は高

いと感じられるようになるでしょう。


ですから、朝礼や会議に否定的な方は、

コミュニケーションを情報伝達としか考

えることなく、スタッフの育成のための

手段であると考えれば、朝礼や会議は大

切な機会ととらえられるようになるので

はないでしょうか?


もうひとつはPOP広告についてです。


岡本さんによれば、三流の店長はPOP

広告を使わず、二流の店長はPOP広告

を販促ツールとしてフル活用し、一流の

店長は、さらに、スタッフのスキルとや

る気を高めるツールとして活用するそう

です。


具体的には、一流の店長は、参考となる

フレーズや、反応のよかったPOP広告

の事例を集めてPOP広告の作成マニュ

アルを整備し、スタッフにPOP広告の

作り方を学んでもらいます。


そして、必ずしもすべて成功するとは限

りませんが、効果のあったPOPがある

と、作成したスタッフの士気が高まり、

さらにスキルが向上することが期待でき

ます。


私は、この事例を読んだとき、小集団活

動を思い出しました。


小集団活動は、仕事の品質を高めること

が表面的な目的ですが、従業員が自分で

改善策を考え、それを実践してみて改善

の効果を直接感じることによって、仕事

へのモチベーションが高まるという、大

きな副次的な効果も期待できます。


岡本さんのお薦めするような、POP広

告の作成によってスタッフのスキルやモ

チベーションを高めるという、一石二鳥

をねらう手法は、この小集団活動と同様

な効果があると思います。


今回の記事の結論は、店長は組織のマネ

ジメントに注力し、さらに、マネジメン

トによってスタッフの育成を行うこと

が、効率的かつ効果的であるということ

です。


マネジメントは大切だと考える方は多い

と思いますが、さらに、一歩踏み込んで

人材育成まで実践するという岡本さんの

お薦めの手法は、ライバルと大きく差を

つけるポイントになると思いました。

 

 

 

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見えない努力

先日、経営コンサルタントの一圓克彦さん

が、ある焼肉店に痛く感動したと書いてい

るブログを読みました。


(ご参考→ https://goo.gl/pGmnCG


概要は、一圓さんが知人の経営者につれて

いってもらったB級グルメの人気店は、味

もさることながら、換気扇、窓、壁、畳が

きれいに掃除されていた。


これは、毎日、時間をかけて掃除している

ということがわかるが、そういった姿勢

が、料理の味を工夫したり、接客の仕方を

改善したりするという行動となって表面化

している、というものです。


ところで、この記事を読んだとき、私は、

かつて、近所の病院で見た光景を思い出し

ました。


というのは、家族が急病となり、急患専用

の入り口から病院に入っていったとき、私

たちと入れ違いに、命が絶えてしまった、

ある患者さんが、霊柩車に乗せられて、病

院から出ていくところでした。


あとで分かったことですが、その患者さん

は、交通事故に遭った方のようで、病院に

運ばれたものの、手遅れだったようです。


そして、その患者の方を送り出した看護師

の方たちは、霊柩車が見えなくなるまで、

ずっと深々く頭を下げていました。


もちろん、看護師の方たちが頭を下げてい

る様子は、患者さんはもちろん、ご遺族の

方にも見えていないということは明らかで

あったにもかかわらず、看護師さんたちは

ずっと頭を下げていたわけです。


それでは、看護師さんたちがなぜ頭をずっ

と下げていたのかということは、直接は看

護師さんたちにはきいていませんが、おそ

らく、看護師さんたちの矜持があったから

ではないかと私は考えています。


命を絶ってしまったとはいえ、患者さんを

最期まで尊重する姿勢だったのであり、そ

れが、普段の患者さんに全力で接すること

につながっているのでしょう。


と、ここまで書いてきた内容は、見えない

ことにも努力を惜しまないことが、業績を

向上させることになるということを伝えた

いというように感じるかもしれません。


しかし、今回の記事の結論はそうではあり

ません。


実は、私は、経営コンサルタントとして、

「業績を上げるには、顧客には見えないか

らといって、手抜きをしてはいけません」

というような内容を、顧問先の方には言わ

ないようにしています。


その理由はいくつかありますが、そのひと

つは、「見えないところにも手を抜かな

い」というような、格言にも近い助言は、

わざわざコンサルタントが言わなくても、

多くの経営者の方は、すでに知識として頭

の中には入っているからです。


ですから、それをコンサルタントからきい

たとしても、ありがたみを感じることには

ならないでしょうし、仮にコンサルタント

がそれを伝えたとしても、それによって経

営者の方の行動が変わることはないでしょ

う。


もうひとつの理由は、会社の経営品質の成

熟度が高くないと、見えない努力を惜しま

ないという行動を実践することができない

と私は考えているからです。


この、経営品質の成熟度は、経営コンサル

タントの望月広愛さんが、「文句ばかりの

会社は儲からない!」

( http://amzn.to/2fiuPhw )という本に書

いているものですが、例えば、顧客との対

応については、経営成熟度を高めていくに

したがって「客のいう通りにやっていては

会社がつぶれてしまう」→「顧客にはいろ

いろな人がいるから、何を言われてもしか

たない」→「重要な顧客はどういう顧客か

ということを明らかにしよう」→「主要な

顧客の期待を追求するようにしよう」とい

うように、変わっていくそうです。


(なお、経営品質の成熟度については、こ

ちらの記事も参考にしてください。

https://goo.gl/SJyTfL


望月さんによれば、経営品質の成熟度を高

めるということは、ひとことでいうと、

「損して得取れ」「短期的視点ではなく長

期的視点に立って利益を獲れ」ということ

だそうです。


「損して得取れ」が賢い方法だということ

を分かっている人は多いと思いますが、で

も、事業で実践できている人は少ないと思

います。


これも、「頭ではわかっているけれど…」

ということだと思います。


そして、「見えない努力が大切」について

も同様に、多くの方が理解しつつも、なか

なか実践できないものだと思います。


よって、業績を高めることを目指して、事

業により高度な手法を採り入れて実践する

ためには、経営品質の成熟度を高めること

が大切だということが、今回の記事の結論

です。


そして、私が事業改善のお手伝いをしてい

る会社には、業績をよくするためのポイン

トである「見えない努力」を実践できるよ

う、経営品質の成熟度を高めることを中心

にご提案しています。

 

 

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いい男がいない

私は、婚活コンサルタントの菊乃さんのブ

ログ記事をよく読みます。


理由は、彼女の人に対する洞察力が著しく

すばらしいと感じているからです。


先日も、「いい男がいない」と悩んでいる

独身女性に関する記事を興味深く拝読しま

した。


(ご参考→ https://goo.gl/skzW5B


主旨としては、いい男がいないと悩んでい

る女性は、出会った男性に対して、「清潔

感がない」「会話が面白くない」など、批

判ばかりしているが、批判ばかりしている

女性は男性から見て魅力的ではない。


また、見事結婚がかなった知人の女性に対

して「どこで結婚相手に出会ったのか」と

きいたりするが、出会った場所が問題なの

ではなく、大切なのはどれだけ結婚に向け

て努力したのかということであって、そこ

には目が向かない。


このような女性は、相手をコントロール

ようとするだけで、自分自身を変える努力

を怠っている、というものです。


この記事を読んだとき、私も似たような経

験があると感じました。


というのは、事業改善のためのご相談者か

ら、「事業が良くなる方法はないか」「こ

れから売れる商品はどういうものか」「良

い人材を得るにはどうすればよいか」とい

う質問を多く受けます。


これらの質問は、一見すると、切実な質問

のように思えます。


しかし、すべての方ではありませんが、中

には、経営者である自分はいままで通りの

やり方を変えるつもりはないが、コンサル

タントであるあなたにもうかるように事業

を変えて欲しい(または、売れる商品を探

して来て欲しい、従業員の能力を高めて欲

しいなど)というように、自分に合わせて

他者や環境を変えようと考えている方も少

なくないと考えています。


一方で、「社長のレベルが会社のレベル」

とよく言われているように、会社は社長自

らが能力を高めようとしないと、業績もよ

くならないと言われています。


だから、社長でありながら、自らは変わら

ずに周りを変えようとしている人は本当に

いるのか、と疑問を感じる方も多いでしょ

う。


これについては、割合としては少ないなが

ら、いわゆる自己中心的な経営者という人

もいるのは事実だと感じています。

 

ただ、それだけでなく、これは、私自身に

も言えることなのですが、会社経営者の方

は自分でも気づかないうちに、自己中心的

になってしまっているということがありま

す。


これもひとつの例ですが、いま、私が制作

しているポッドキャストにゲスト出演して

いただいている税理士の金成祐行先生は、

ご著書の中で、かつて、事務所の職員4人

全員からいきなり退職願いを突きつけられ

たことがあったそうです。


私は、金成先生をとても人徳のある方であ

ると思っているのですが、仕事の忙しさの

あまり、そのときは金成先生はだいぶ独り

善がりになってしまっていたようです。


この事件の結論としては、金成先生は自ら

を省みて、リーダーとしての行動を変える

ことで、職員全員が退職するという危機を

乗り切ったそうです。


今回の記事の結論は、人は、どうしても他

人をコントロールしようとしてしまいがち

なので、特に、経営者であれば、そのこと

が会社の業績に大きく影響してしまうの

で、なおさら注意することが大切だという

ことです。


では、それを防ぐためにはどうすればよい

かということは、また、別の機会に述べた

いと思います。

 

 

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