鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

権力依存症

先日、インターネットテレビのAbema

TVの「よるバズ!」という番組をみてい

たところ、大王製紙の前会長の井川意高さ

んがご出演されていました。


(ご参考→

https://youtu.be/nAbhQN7tJ6A


井川さんは、大王製紙の経営者時代に、カ

ジノなどで遊興するうちにギャンブル依存

症になり、そのかけ金を工面するために、

大王製紙の子会社から不正に約105億円

の融資を受けた、いわゆる大王製紙事件で

特別背任の罪に問われ、懲役4年の判決を

受けました。


もちろん、今回の記事の主旨は、ギャンブ

ル依存症についてではありません。


井川さんが番組の中で、「依存症というと

一般的にはギャンブルやアルコールに依存

している人に対してだけ言われているが、

それだけではなく、例えば、経営者が権力

依存症になって、ずっと権力の座から離れ

られないでいる人を何人も見ている」とお

話しされていたことについて、私も思い当

たることが多々あったので、それについて

述べたいと思います。


この、経営者の方がずっと退任しないこと

が問題になっているということは、私だけ

でなく、多くの方が認識しておられると思

います。


私も、かつては、経営者の方が、長期間に

わたって同じ会社を経営することが、結果

として好業績をもたらすこともあり、した

がって、必ずしも問題ではないと思ってい

たのですが、最近は、長期間の経営の弊害

が大きくなってきたと感じるようになり、

やはり、経営者の方は、一定期間、会社を

経営した場合は、その座を譲ることが必要

だと思っています。


(もちろん、言うまでもありませんが、座

を譲るとは、肩書を譲るだけでなく、譲っ

たあとは口を出したり、陰に陽に影響力を

行使しないようにすることです)


経営者が長期間経営者でいることの弊害は

たくさんありますが、その大きな理由のう

ちのひとつは後継者が育たないということ

です。


これは、一見すると、自己否定のようにな

るかもしれませんが、経営者の最大の役割

は、後継者を育てることだと思います。


なぜなら、会社の事業は半永久的に継続す

ることが前提であり、一方、人間は寿命が

限られているからです。


そうでなければ、経営者の寿命=会社の寿

命となり、残された役職員の方たちは大い

に困ることになるでしょう。


もうひとつの弊害の例としては、井川さん

自身がかつて経営していた会社で起きたよ

うなことが起こりやすくなるということで

す。


井川さんの場合は、大王製紙の子会社か

ら、融資契約書を作ったり、取締役会の決

議を経たりすることなく、融資を受けたこ

とです。


これは違法であるにもかかわらず、井川さ

んの違法行為を誰も指摘する人が社内に存

在しなくなる、すなわち経営者が裸の王さ

まになってしまうというのは、経営者が長

期間経営者の座にい続けたことが最大の要

因でしょう。


話を戻して、経営者の方の引き際というの

は、(医学的には正しくないかもしれない

ですが)権力依存症にかかっている可能性

のある人は、正しく判断できる可能性が低

いということです。


それではどうすればよいのかという具体例

は、ここで私が述べるほどのこともないと

思いますが、その中で最も大切な方法(か

つ、最も難しい方法でもありますが)は、

経営者の方自身が、常に自分を客観視でき

るように心がけるしかないというのが、こ

の記事の結論です。


経営者というのは、本当に、自分のことを

制御できる強い心を持つことが大切だとい

うことを、井川さんのお話をきいて感じま

した。

 

 

 

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51対49

6月28日のことですが、サッカーワール

ドカップのグループステージで、日本チー

ムがポーランド戦の終盤に、積極的に攻撃

をせず、パス回して時間稼ぎをしたことが

話題となりました。


このことは、私がどうこう述べる資格はな

いのですが、会社経営にも似たような場面

があると思ったので、ちょっと触れたいと

思います。


日本は無事決勝に進出することになりまし

たが、とはいえ、ポーランド戦の終盤に、

積極的な攻撃をしなかったことを試合後に

どう評価しても、それは、ある意味結果論

と言えるでしょう。


日本が決勝に進む条件について詳しくは述

べませんが、仮に、ポーランド戦と同時刻

に開かれていた、セネガル対コロンビア戦

で、1点差をつけられていたセネガルが同

点に追いついてしまっていれば、日本は決

勝に進むことはできませんでした。


とはいえ、日本が最期まで積極的に攻撃を

して、点をとれないまま2回反則をしてし

まうと、セネガルとフェアプレーポイント

が並んでしまうことになり、これも決勝進

出が危ぶまれることになります。


このように考えると、日本が終盤にパス回

しをしたことが必ずしも正解ではなかった

し、果敢に攻撃することも必ずしも正解で

はなかったわけですが、それでは、日本は

どうすればよかったのでしょうか?


実は、中小企業経営者でも、このような岐

路に立つことは少なくないと思います。


右に進むことが正解となる確率が90%

で、左に進むことが正解となる確率が10

%というときは、あまり悩むことはないと

思いますが、中には、右に進むことが正解

となる確率が51%で、左に進むことが正

解となる確率が49%というようなときで

も、決断をしなければならないときもある

と思います。


また、他の役職員の70%が右に進んで欲

しいと望んでいることが分かっているにも

かかわらず、あえて、険しい道となること

がわかっている、左に進むという決断をす

ることもあるでしょう。


そして、サッカー日本代表西野監督も、

ポーランド戦の時は、どちらが正しいか悩

んだ末に、苦しい選択をしたのだと私は考

えています。


そして、その選択の結果は正しかったかど

うかを、後になっていくら議論しても、前

述の通り、結果論でしかありません。


そこで、前述の「日本はどうすればよかっ

たのか」という問いに対する答えは、決断

をすることだと私は考えています。


なぜ、決断することが正解なのかという理

由はすべてを書くことはできませんが、そ

の理由のひとつは、非論理的ですが、リー

ダーが決断をすると組織がまとまるからだ

と私は考えています。


一方、私は、決断をしない経営者の経営す

る会社は、業績も悪いと思っています。


このような会社では、何かトラブルが起き

ても、ことが収まるまでやり過ごすという

ことが行われ、組織としては何も進歩しな

いし、経営者もその役割をまったく発揮し

ていないことになります。


ちなみに、もっと極端な例では、以前でも

述べましたが、崖っぷちに立たされた会社

の経営者が決断どころか現実逃避してしま

うこともあります。


(ご参考→ https://goo.gl/2JKcxY


今回の記事の結論は、中小企業経営者を含

めたリーダーは、難しい判断を迫られるこ

とがありますが、結果はともかく、判断を

することは避けられないということです。


ちなみに、決断をして危機を乗り越えるこ

とができることがベストですが、決断せず

に危機を乗り越えた場合と、決断して失敗

した場合では、私は、決断して失敗した会

社の経営者を称えるべきだと思います。


その危機においてはたまたま失敗したもの

の、長い目で見れば、決断しない経営者の

方が失敗する回数は多いと私は思っていま

す。

 

 

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KnowHowとKnowWhy

高知市にあるトヨタ系ディーラーのネッツ

南国について研究した、田中研之輔さんと

山崎正枝さんのご著書「走らないトヨタ

( https://amzn.to/2lFbiuI )を拝読しま

した。


ネッツ南国は、業績が好調で全国的に有名

カーディーラーで、私もかねてから注目

していました。


ちなみに、全国のトヨタ売店の販売台数

は、平成14年は168万台、平成24年

は165万台と、横這いであるのに対し、

ネッツ南国では、平成14年は799台か

ら平成24年には1,552台と、2倍近

くに増加させています。


実は、田中さんの山崎さんのご著書は、専

門家向けの内容で、初学者の方には難解な

部分もあるのですが、同社の業績が好調な

理由をひとことでいうと、従業員満足

(ES)と顧客満足度(CS)の好循環を

まわしているからです。


ESとCSの好循環つくることは、難易度

の高い戦略ですが、同社創業者の横田さん

(同社前社長、現相談役)が愚直にそれを

実践してきたということに尽きます。


そこで、ご参考に、同書に書かれていた横

田さんの考え方をひとつご紹介したいと思

います。


それは、KnowHowとKnowWhy

です。


これは、もともとは、鎌田勝さんという経

コンサルタントの方の言葉だということ

です。


すなわち、かつて、日本は外国を模倣して

産業を拡大してきたが、そのときは、Kn

owHow(手段・方法・手法)を学べば

よかった。


しかし、現在は、自ら創造することが重要

な時代であり、そのためには、KnowH

owを作り出すための、意義・目的・本質

を掘り下げる能力である、KnowWhy

を身に付ける必要があるということです。


横田さんは、KnowHowを問題対処能

力、KnowWhyを問題解決能力とも言

い換えています。


そして、問題対処とは、売上や利益など、

短期的で定量的な課題を改善することだ

が、それだけでは部分最適を目指すことに

なるので、従業員の幸福といった定性的な

課題を解決する能力を持った人材を育成す

ることが必要だと考えているようです。


それでは、どうすればKnowWhyを身

に付けた人材を育成することができるかと

いうことが気になるところですが、実は、

それは、いままでの記事で私が述べてきた

ように、一朝一夕では実現できない長期的

な施策であり、ご関心のある方は、田中さ

んのご著書をお読みいただきたいと思いま

す。


今回の記事の結論は、業績を高めるために

は、どうすれば顧客を満足させることがで

きるのか、どうすれば従業員を満足させる

ことができるのかといった、より本質的な

課題を解決できる人材を育成することが必

要になり、その人材を育成するための能力

が経営者に問われているということです。

 

 

 

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疑似理念

本日配信した、私が制作しているポッド

キャスト番組( https://goo.gl/46CQoZ )

で、ゲストとしてお越しいただいている税

理士の金成先生から、疑似理念について教

えていただきました。


会社では、明文化されている経営理念の有

無にかかわらず、従業員の方は、経営者の

口から出てくる言葉や、経営者の実際の行

動などを見聞きして、それらからその会社

の理念を、疑似的に設定してしまうそうで

す。


例えば、経営理念には「社会に役立つ存在

になる」と書かれていながら、経営者の方

が、手段は問題とせずに利益を得たという

結果だけで従業員を評価していたら、経営

理念を無視して向こう傷を恐れない行動を

する従業員が増えてしまうでしょう。


これは、特に説明しなくても理解していた

だけることと思いますが、従業員の方から

見れば、なるべく経営者の意図に沿うよう

に行動すれば評価されると考えるので、自

ずと経営者の意図だけを汲むようになるの

は当然でしょう。


したがって、明文化された経営理念と、経

営者の方の言行が一致していないと、経営

理念を作成したことが無意味になってしま

います。


これについては、私も事業改善のお手伝い

をしている会社で経験があり、会社をよく

するために経営理念を経営者が中心となっ

て定めたにもかかわらず、経営者が従来と

行動を変えずにいたために、結果として、

経営理念は画餅となってしまいました。


リーダーは自らが決めたことは率先垂範す

べきだということは、多くの方が理解して

いると思いますが、それでは、なぜ率先垂

範しない経営者の方が現れてしまうので

しょうか?


その原因のひとつは、以前の記事でも触れ

たことがありますが、経営者の役割を担う

ことは、見聞きするのと、実際にやってみ

るのでは、大きく異なるということがある

と思います。


(ご参考→ https://goo.gl/R1vxG1


もうひとつは、経営者の方の意志があまり

強くないことが原因だと思います。


とはいえ、経営者の役割を務めることその

ものが、一般の方から見れば難易度の高い

ことなので、経営者の方が抱いた意思を遂

行するための意志の強さは、相当の強さが

求められるものでもあると思います。


ですから、経営者に就いた方は、その役割

を遂行するためには、それなりの覚悟が必

要ということに尽きます。


と、ここまで書いてきたことは、経営者の

方は有言実行が求められるということなの

ですが、単に、道徳的に有言実行でなけれ

ばならないということよりも、会社を自ら

が意図するようなものとするためには、経

営者の方の行動を変えることが前提になる

ということです。


このことは、広く理解されているようで、

前述の通り、行動がともなわない経営者も

少なくないということから考えると、表面

的にしか理解されていない場合も多いので

はないかというのが、今回の記事で私がお

伝えしたいと思ったことです。


このように述べている私自身も発展途上の

身であり、「こんなはずではなかった」と

思うことを何度も感じたことがあったり、

自分では気づいていないうちに言行が一致

していなかったこともあったりしました。


したがって、慢心せずに、常に自らを戒め

なければならないと思っています。


また、このような方は極めて少数ですが、

経営理念は従業員の方だけが従えばよいの

であって、自らの言行は経営理念の範囲の

外にあると考えている経営者の方に会うこ

ともあります。


100年以上前のリーダーシップには、そ

のようなタイプのものがあったのかもしれ

ませんが、21世紀には通用しない考え方

だと思います。

 

 

 

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矛盾する製品こそビジネスチャンスがある

最初に、私の長男と長女のできごとについ

て書きたいと思います。


長男と長女は、ふたりとも大学生で、自宅

から通学しています。


先日、すでに長男は帰宅していたのです

が、長女が最寄駅に午後6時に到着する電

車に乗るので、迎えに来て欲しいとの連絡

がありました。


そこで、長男を連れて駅に向かい、長女を

駅で自動車に乗せ、そのまま近所の回転寿

司店に行って夕食をとることにしました。


ただ、回転寿司店はいつも混んでいること

から、でかける前に、インターネットで、

6時15分入店で予約をしました。


そして、駅に到着して長女を自動車に乗せ

たのですが、長女が、予約した回転寿司店

には、気の合わない元同級生のアルバイト

先なので、別の店に行きたいと言い出しま

した。


それをきいた長男はむっとしたのですが、

長女の意見を曲げない性格を知っていたの

で、当初、予約した回転寿司店の予約を取

り消して、しぶしぶ、別の回転寿司店に向

かいました。


そして、目的の寿司店に到着し、席の受付

をしたところ、10組待ちで、待ち時間は

約25分という状態だったので、気の短い

長男は、「最初から予約した店に行けばよ

かったのに」と、長女とけんかを始めてし

まいました。


結果として、10分程待ったところで席に

案内されたので、長男の機嫌は直ったので

すが、長男はとにかく用件を早く済ませた

いと考え、長女はたとえ時間がかかること

になっても、嫌なことは避けたいと考える

という、兄弟で真逆の考えを持つところを

見ることになりました。


ところで、ビジネスパーソンの観点からは

時間がかかることは避けるという男性的な

考え方をすることが多いと思いますが、実

は、最近は、女性の目線で商品開発が行わ

れていることも目にするようになってきて

いると感じています。


そのひとつは、カフェインの入っていない

紅茶です。


紅茶はのみたいけれど、カフェインが入っ

ていると眠れなくなるので、夜は飲まない

ようにしているという女性向けに、カフェ

インレス紅茶が開発されたそうです。


また、カフェインレス紅茶は、妊娠してい

たり授乳中の女性でも安心して飲めるとい

うことで支持を受けているようです。


また、ペットボトルもつぶしやすいものに

するという工夫も行われているようです。


いろはす」のペットボトルは、従来の製

品のボトルの20gから12gに軽量化し

た上に、つぶしやすいことが女性に支持さ

れているようです。


また、最近の、アルコール度数の低い缶酎

ハイやカクテルも、お酒は飲みたいけれど

アルコールにあまり強くないという女性に

支持されているようです。


実は、私は、前述の商品について、「紅茶

はカフェインが入っていなければおいしく

ないのでは?」、「ペットボトルって踏み

つければつぶせるのでは?」、「アルコー

ルの度数が低ければ、あまりお酒を飲む意

味がないのでは?」と思っていました。


(ちなみに、最近は、手っ取り早く酔いた

いという男性向けに、アルコール度数が9

度の缶酎ハイも多く製造されているそうで

す)


確かに、好みの違いということもあるので

すが、カフェインのない紅茶、こわれやす

いペットボトル、アルコール度数の低い缶

酎ハイというのは、商品の魅力が低くなる

要因だと私は考えていました。


でも、それが女性的な観点からは、魅力が

高まる要因だったわけです。


最近は、よく、「女性の観点をビジネスに

採り入れよう」と言われており、私もそれ

に賛成していたつもりだったのですが、自

分の凝り固まった考え方が、自分の頭の中

に女性の観点を採り入れる余地をまったく

作っていなかったと感じました。


男性の観点では、合理性を目指しがちです

が、あまり酔わないお酒、壊し易い容器な

ど、一見矛盾するような製品を造るところ

に、実はビジネスチャンスがあるというこ

とを、長男と長女のけんかを見て思い出し

たました。

 

 

 

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時間は夢を裏切らない

現在配信中の私が制作しているポッドキャ

スト番組にゲスト出演いただいている税理

士の金成祐行先生から、その番組の中で、

「時間は夢を裏切らない」という言葉をお

伺いしました。


これは、もともと漫画家の松本零士さんが

お話しされた言葉だそうです。


そして、金成先生は、この言葉を人材育成

にあてはめ、人材育成は時間をかけて行う

ことにしているそうです。


もう少し詳しく説明すると、十分な時間を

かければ、必ず立派な人材を育成すること

ができる。


そして、経営者の方は、立派な人材が育成

できることを信じ、時間がかかることを甘

んじて受け入れ、人材を育成しなければな

らないということだそうです。


実は、私は、この「時間は夢を裏切らな

い」に似た言葉を、別の機会にきいたこと

があります。


それは、大相撲の力士の栃ノ心関が、夏場

所の後に大関に昇進したとき、栃ノ心関の

師匠である春日野親方が口にした「稽古は

うそをつかない」という言葉です。


栃ノ心関は平成18年に初土俵を踏んでか

らスピード出世をして、平成22年には小

結まで昇進したものの、その後、けがをし

て、幕下まで陥落してしまったそうです。


その時、栃ノ心関は引退も考えたそうです

が、親方に励まされて、現役を続けたよう

です。


そして、栃ノ心関は人一倍の稽古を続け、

再び幕下から大関にまで昇進したわけです

が、そこには「稽古はうそをつかない」と

親方に言わしめるくらいの栃ノ心関の相当

の努力があったのでしょう。


と、ここまで書いてきたことは、すぐには

実を結ばなくても、ひたむきに努力するこ

とは大切だということなのですが、今回の

記事の結論は、これではありません。


実は、私は、事業改善のお手伝いをしてい

る会社に対して、長期的な視点から、人材

育成に着手しましょうということを提案す

ることは、あまりありません。


なぜなら、事業改善が必要な顧問先は、な

るべく短期間で改善の結果を出す必要があ

るので、長期的な施策の優先順位はあまり

高くないからです。


しかし、徐々に改善の結果が現れてくる

と、それにつれて難易度の高い施策を実践

する機会が増えてきます。


そこで、そのひとつとして、ようやく人材

育成を提案することになります。


そして、冒頭では、人材育成は時間がかか

ると述べましたが、単に、時間がかかると

いうだけでなく、難易度も高い施策でもあ

ります。


なぜなら、管理期間も長い上に、いま実践

していることが本当に成果に結びつくかど

うかもわかりにくいからです。


でも、それが奏功すれば、他社との競合上

優位に立つことができます。


そこで、私が述べたいことは、難易度が高

いからこそ、実施する価値も大きいという

ことです。


これは、別の述べ方をすれば、短期間に効

果のある施策は、難易度も低く、それらを

実践するだけでは、どんぐりの背比べの状

態から抜け出すことはできないということ

です。


そこで、人材育成は時間のかかる施策だか

ら、実践は避けるべき、と考えるのではな

く、時間のかかる施策であるので、他社で

は後回しにされがちだからこそ、ライバル

と差をつけるために、自社では先んじて実

践すべき施策ととらえるべきだと私は思っ

ています。


また、詳細な説明は割愛しますが、自社で

人材育成ができれば、会社の課題の50%

は解決できたも同然と言えるくらい、比重

の大きな課題であり、後の課題はどんどん

容易に解決できると私は考えています。


今回の記事の結論は、会社の事業で解決し

なければならない課題として、早晩、人材

育成は避けることができないものであり、

創業当初はなかなか着手できなくても、い

ずれ着手すべきものとして織り込んでおく

ことをお薦めするということです。


そして、なるべく早く取り組めば、それだ

け効果も大きい、すなわち、「時間は夢を

裏切らない」ことになると思います。

 

 

 

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数字が読めるともうかる

楽天市場で人気のある花屋「ゲキハナ」を

運営している、古屋悟司さんのご著書、

「『数字』が読めると本当に儲かるんです

か?」( https://amzn.to/2yOOLW3 )を拝

読しました。


ご著書の概要は、古屋さんが脱サラして激

安の花屋を開店し、売上を順調に伸ばした

にもかかわらず、資金繰がなかなかうまく

維持できない状態が続きました。


当初は、顧問税理士に対処法を相談してい

たのですが、的確なものは得られずに悩ん

でいたところ、知人からスゴ腕税理士を紹

介され、経営者のための会計、すなわち、

管理会計を学びます。


ただ、管理会計といっても、この本では、

ほぼ、損益分岐点分析だけを解説していま

す。


結果として、損益分岐点分析により、どう

すれば利益が得られ、会社にお金が残るよ

うになるかということが明確になり、そし

て、ようやく念願通り、継続して黒字を計

上できるようになったというものです。


実は、この本を読んだとき、私も、著者の

古屋さんのような悩みを持っていた経営者

の方に、これまでたくさん会ってきたこと

を思い出しました。


そのような方々は、売上を増やしてもなか

なか利益が得られず、銀行からの融資で赤

字で不足する資金を補填して、苦しみなが

ら事業を続けているという方たちです。


そして、私が会社の財務状況を分析し、改

善方法を提案するのですが、いったんはそ

れに賛同していただくものの、それをなか

なか実践できず、資金繰が苦しい状態が続

くという例が多くありました。


私は、そのような経営者の方たちに対して

「どうして助言通りのことを実践してもら

えないのだろう」と不思議に思ってきたの

ですが、古屋さんの本を読んで、実は、助

言そのものを十分に理解してもらっていな

かったということが分かりました。


すなわち、私の助言は、「赤字になるよう

な引き合いは断っていただき、利益が確保

できる条件の注文だけに応じてください」

というものです。


経営者の方もそれにはいったん納得してい

ただくのですが、その後、経営者の方が実

際に注文を受けたときに、赤字の可能性が

高くても断ることが怖くなり、その注文を

受注してしまうようです。


古屋さんも、スゴ腕税理士から、採算の悪

い商品は値上げするよう助言されますが、

やはり、売上が減ることをだいぶ怖がった

ようです。


ただ、古屋さんの違うところは、自ら損益

分岐点分析を学んだことです。


そして、商品ごとの限界利益率を計算し、

どの商品が利益をもたらし、どの商品が損

失をもたらしているかを自分で把握してい

ました。


そのことが、もうからない商品を販売する

ことは無意味どころか、自らの首を絞める

ことを十分に納得でき、売上が減ってしま

うかもしれないという怖さに耐えることが

できたそうです。


そして、たとえ値上げをしても、顧客が欲

しい商品は売れるという確信をつかみ、さ

らに、そのような顧客が離れないために、

花の育て方の説明書を添えるなどの工夫を

して、得意客を増やしていったそうです。


今回の記事の結論は、会計の知識を持つこ

とによって、値上げの怖さをやわらげるこ

とができるということです。


古屋さんは、会計がわからない状態で会社

を経営することを「目隠し運転の経営」と

表現していますが、ある意味、経営者が目

隠ししていては、きちんした経営ができな

いことは明らかです。


経営者の方は会計の専門家になる必要はあ

りませんが、目隠し運転という状態から抜

け出すだけでも、誤った判断を繰り返すこ

とは避けられます。


さらに、自らが会計の論理を理解している

ことで、適正な利益を確保するという至極

当然の手法を、専門家から提案されて受動

的に行うのではなく、自ら納得して能動的

に行うことができるようになります。


現在の日本の経営環境では、これを実践す

るだけでも、会社を黒字にすることは十分

に可能だと私は考えています。


むしろ、赤字の会社は、利益の管理が欠け

ていることが、赤字の最大の原因になって

いると思います。

 

 

 

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