鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えよ

「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教

えよ」ということわざを、よく耳にするこ

とがあります。


例えば、平成17年に、当時の町村外務大

臣がOECD閣僚理事会で、「今日の日本

の開発戦略は、アフリカのことわざが言う

ように、『魚を与えるよりも、魚の釣り方

を伝える』、即ち、人造り、制度作りを軸

としています」と述べています。


(ご参考→ https://goo.gl/86BYtM


このことわざは、言及するまでもありませ

んが、困っている人(国)に、都度、支援

をするよりも、その人(国)が自立できる

ように支援することの方が、長期的な視点

から、望ましいということです。


このことわざの趣旨についても、多くの方

が理解されると思いますが、その一方で、

私も、これまで、困ったときだけ助けを求

めてくるという会社経営者の方に、少なか

らずお会いしてきました。


そのような方も、本当は、「魚をもらうよ

り、魚の釣り方を教わる」方がよいという

ことを理解しているとは思いますが、やは

り、魚の釣り方を教わることは、一時的に

負担が増えることから、なかなか踏み出す

ことができないのでしょう。


と、ここまでの記述は「べき論」なのです

が、私は「べき論」だけでなく、経営者が

担う役割という観点からも、「魚の釣り方

を教わる」ことが大切だと思っています。


例えば、松下幸之助さんは、部下が失敗し

たとき、「1度目は経験、2度目は失敗」

とお話していたそうです。


(ご参考→ https://goo.gl/6RF5WL


これは、部下に対して挽回の機会を与えて

いるという意味もありますが、同じ失敗を

繰り返した場合は、挽回する機会を与えた

にもかかわらず、それを糧としなかったこ

とになり、その失敗したことに対して、厳

しく処分することになるという意味もある

ようです。


まして経営者の方が、1度困った経験を活

かさずに、同じことを繰り返していては、

ビジネスパーソンとしての資質を疑われる

だけでなく、会社そのものが他者に依存的

な状態を続けることになり、その会社が真

に自立的な会社とは言えないということに

なってしまうでしょう。


今回の記事の結論は、経営者(ビジネス

パーソンも含む)は、失敗をしてもそれを

糧に常にして、常に成長しなければならな

いということです。


そして、それも言易行難ですが、だからこ

そ、経営者として活動することは醍醐味が

あるのだと思います。

 

 

 

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値決めは経営

稲盛和夫さんの有名な言葉に「値決めは経

営」というものがあります。


(ご参考→ https://goo.gl/mDCwLw


これは、商品(製品)の値段を決めること

は、経営者が決めなければならないくらい

重要なことがらという意味なのだと思うの

ですが、実は、稲盛さんの主旨を正確に理

解していません。


ただ、これまで、私が事業改善をお手伝い

してきた会社を見ると、確かに、経営者の

方が能動的に商品価格を決めている会社は

少ないと感じています。


では、稲盛さんご自身が、どのように値決

めをしていたのかということについては、

私は知らないのですが、よい値決めの例と

しては、ソフトバンク孫正義さんが、日

本で初めてiPhoneを発売した時の価

格の決め方ではないかと思っています。


iPhoneの卸価格は米国通貨で499

ドル、すなわち、約55,000円といわ

れている一方で、孫さんは、日本での販売

価格を23,0404円にしています。


(ご参考→ https://goo.gl/6AAbgc


もちろん、iPhone本体を逆鞘で販売

しても、ソフトバンクは通信料収入で、採

算は得られるという計算はあるでしょう。


とはいえ、孫さんには、iPhoneの販

売を契機に、自社のシェアを増やすには、

どの価格で販売すればよいかということを

深く検討をして決めたのだと思います。


一方、前述したように、中小企業の中で、

自社の商品(製品)価格を能動的に決めて

いる会社は少数のようです。


それは、いうまでもなく、価格競争が激し

いからです。


では、なぜ価格競争にさらされるのかとい

うと、厳しい言い方ですが、その会社の商

品(製品)が競争力がない商品(製品)だ

からです。


これを言い換えれば、中小企業は、経営資

源の多い会社が得意とする薄利多売の戦術

ではなく、経営資源の少ない会社でも強み

を発揮できる、付加価値の大きな商品(製

品)を販売する戦術をとらなければならな

いということです。


これについては、以前、税理士の岡本吏郎

さんの意見をご紹介しましたが、岡本さん

によれば、従業員ひとりあたり1,500

万円の付加価値が得られなければ、経営は

安定しないと述べておられます。


(ご参考→ https://goo.gl/wXT4ja


この、1,500万円という金額の妥当性

については意見が異なる方もいると思いま

すが、中小企業は十分な付加価値が得られ

なければ、経営が安定しないという点につ

いては間違いがないと思います。


そこで、十分な付加価値が得られるだけの

「値決め」を経営者の方ができるかどうか

ということが、中小企業にとって大切にな

るということが、今回の記事の結論です。


私の理解では、「値決めは経営」という稲

盛さんの言葉の意味は、もちろん、値決め

は経営者が決めるくらい重要という意味も

ありますが、それだけではなく、自社の経

営が安定するような商品(製品)の価格が

いくらであるかを経営者が明確にし、それ

が実現するようなしくみを構築することが

必要だという意味であると、私は考えてい

ます。

 

 

 

 

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データ収集の大切さ

先日、日報コンサルタント(クライアント

の書く日報を活用して、クライアントの事

業を改善していくコンサルタント)の中司

祉岐(なかつかよしき)さんのメールマガ

ジンにを拝読しました。


そこには、中司さんの知人の日報コンサル

タントのOさんと、Oさんから日報コンサ

ルティングを受けている、婦人服店のオー

ナーのYさん(女性)の会話が紹介されて

いました。

 

「Oさん:Yさんのお店には、どのような

方が最も多く来店されていますか?


Yさん:当店には、看護師さんや介護士

んが最も多く来店しています。


Oさん:それでは、さらに売上を増やす方

法を検討するために、お客さまに関する情

報を詳しく集めてみることにしましょう。


まず、看護師さんなどを含め、どんなお客

さまが何人来店するのかを、毎日チェック

し、日報に書いてみてください。

 

(その1か月後)Yさん:私、すごい思い

違いをしていたみたいで、お客さまの中で

看護師さんが最も多いと思っていたのです

が、実際に日報でチェックしてみると、看

護師さんの数は、お客さま全体の2割弱ぐ

らいで、私が思っていたほどではないこと

がわかりました。


Oさん:日報のデータを見たら、最も多い

お客さまは主婦のようですが、なぜ、思い

違いが起きたのでしょう?


Yさん:多分、看護師さんは、たくさん服

を買ってくれるから、印象が強いのかもし

れません。


Oさん:すなわち、客単価が高い人は印象

に残りやすく、客単価が低い人は印象に残

りにくいということですね。


Yさん:自分のお店のお客さまのことは、

自分で分かっていたつもりでしたが、意外

に知らないということが分かり、後頭部を

ハンマーで叩かれたような衝撃を感じてい

ます。


Oさん:では、客単価の高い看護師のお客

さまと、客単価の低い主婦では、どちらが

売上に貢献していると思いますか?


Yさん:看護師さんのような気がするので

すが、きちんと分析していないので、それ

が本当かどうかは分からないです。


Oさん:では、Yさんの次の課題は、大切

にしなければならないお客さま、すなわ

ち、売上に貢献しているお客さまはどのよ

うなお客さまかということを明確にするた

めに、お客さまの分析をするということで

すね」


以上がOさんとYさんの会話ですが、この

Yさんのように思い違いをしている方の例

は、珍しくないと私は感じています。


例えば、私が銀行に勤務しているとき、経

営者の方の自社の業況に対する説明と、決

算書から読み取れる内容に、食い違いがあ

ることは、よく経験しました。


現実的に、会計データを経営判断に活用し

ていない(というよりも、会計データの活

用法を分からなかったり、会計データを収

集したり整理したりしていない)会社は少

なくなく、そのような会社の経営者は、決

算書は見ないで、自分の印象だけで自社の

業況を説明してしまうのでしょう。


そして、この、会計データを経営判断に活

用すべきという内容については、以前にも

述べたので、ここでは、会計データを活用

するようにするための手順について述べた

いと思います。


(ご参考→ https://goo.gl/JVd1Gq


ひとつは、どの数値を管理するかを決める

ことです。


会計の専門家は、あらゆる会計データを見

て、総合的に業況を判断しますが、会計を

学び始めたばかりの方は、効率性の観点か

ら、ポイントを絞って管理することをお薦

めします。


ただし、どの数値を管理すべきかというこ

とは、その会社の業種、事業戦略、経営環

境などによって異なるため、専門家に相談

して決めることをお薦めします。


もうひとつは、会計データを集める労力を

少なくする工夫をすることです。


会計データは、税理士の方が税務申告のた

めに集めている、いわゆる、経理データだ

けではありません。


例えば、Yさんのような、来客数や、お客

さまの職業などの情報や、顧客別、商品

別、地域別ごとの売上高、販売数などの

データは、一般的には経理データには含ま

れません。


そして、税務申告のためのデータを、経営

判断に利用することもありますが、それだ

けでは、十分なデータとはならないことが

多いでしょう。


それでも、最近は、情報技術が進展し、か

つてよりは、経営判断のための会計データ

を集めることが容易になりました。


とはいえ、会計を学び始めたばかりの方

は、少ない労力でどのようにデータを集め

ればよいかということについても、専門家

に相談することをお薦めします。


ただ、これらの会計データの活用は、初歩

的なものとはいえ、やはりご負担と考える

方も少なくないと思います。


しかし、冒頭のYさんのお店のように、会

計データを利用せず、勘で事業運営を行う

ことは、結果として、より効率的な事業を

行う状況に至るまで、遠回りすることに

なってしまいます。


むしろ、きちんと会計データを活用するこ

との方が、労力を少なくし、効率的な事業

運営に資することになるということが、今

回の記事の結論です。

 

 

 

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学ぶ姿勢

先日、経営コンサルタント一圓克彦さん

のブログを拝読しました。


要旨としては、「先日、受講料5,000

円のセミナーを開いたが、受講申し込みが

6人であったにもかかわらず、実際に会場

に来たのは2人だった。


5,000円程度のセミナーは、とりあえ

ず申し込んでおくという人が申し込みをす

るので、事前に連絡がつかなかったり、ド

タキャンしたりする人が多い。


一方で、受講料が1~3万円のセミナーの

場合、受講者は受講料を期日までに入金す

るし、きちんと連絡もとれる。


講師としては、真剣にセミナーに申し込み

をしてくれた人とお付き合いしたい」とい

うものです。


そして、私が、この一圓さんのブログに注

目した理由は、私にも同じ経験があるから

です。


セミナーを開く側としては、なるべく多く

の受講者を集めたいと考えるため、受講料

は安くしようという心理が働きます。


でも、受講料が安いセミナーには、あまり

真剣ではない受講者が申し込みをしてくる

というジレンマに陥ってしまいます。


ただ、今回の記事の本旨は、セミナーの受

講料はいくらにすることが妥当かというこ

とではなく、受講料の高いセミナーの受講

者の方は、マナーがよいということです。


仮に、セミナーの講師のスキルが低かった

り、セミナーの内容がくだらないものだと

しても、自らの意志で申し込みをしたセミ

ナーをドタキャンをしたり、主催者からの

問い合わせを無視してもよいという理由に

はなりません。


では、どうして受講料の安いセミナーを申

し込む人には、マナーの良くない人が多い

のでしょうか?


それは、受講者の方がきちんと決断できる

人なのかかどうかによるのだと思います。


仮に、高額のセミナーを受講して、それが

役立たないものであれば、受講料が無駄に

なってしまいます。


しかし、高額のセミナーを受講することを

決めた人は、それなりの決断をできる人で

あり、受講したセミナーが結果として役立

たないセミナーであったとしても、その責

任を、安易に他人に転嫁するようなことは

しないでしょう。


そのため、責任感の強い人は、受講料を締

め切りまでに送金したり、主催者からの問

い合わせにもきちんと回答をするのでしょ

う。


一方、きちんと決断できない人は、損をす

ることを避けたいので、受講料が安くなけ

ればセミナーを受講しようとはしないので

しょう。


そして、自ら決めたことに対しても、あま

り責任を感じないので、セミナーをドタ

キャンをしたり、主催者からの問い合わせ

を無視してしまうのでしょう。


もちろん、セミナー講師も、受講者から選

ばれる立場にあり、貴重な時間を割き、ま

た、高額な受講料を支払って受講していた

だく方に対しては、講師の責任として期待

に応えなければなりません。


ただ、一圓さんの述べているように、受講

者の方にも、真剣に受講をしてもらえなけ

れば、お互いに、満足できない結果になっ

てしまうということが、今回の記事の結論

です。

 

 

 

 

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融資実行には長期的視点での検討が必要

以前、創業して間もないある会社の経営者

から、融資について次のような相談を受け

ました。


すなわち、ある信用金庫に2,000万円

の融資を申し込んだところ、1,000万

円の融資に応じてもらえた。


あと、不足する1,000万円の融資を受

けるにはどうすればよいのか、というもの

です。


これについては、1,000万円の融資に

応じた信用金庫の力量のなさに、大きな問

題があると感じました。


その会社が借りた、1,000万円の融資

とは、創業者向けの信用保証協会保証のつ

いた制度融資でした。


では、これがなぜ問題なのかというと、創

業したばかりの会社に対して、信用保証協

会の保証をつけた融資は、ほぼ1,000

万円が限度で、それ以上の保証は、信用保

証協会からなかなか保証をしてもらえませ

ん。


これは、2,000万円の融資の申し込み

に対して、1,000万円の融資に応じた

ということからもわかります。


要は、その信用金庫は、信用保証協会が保

証する金額だけを融資したにすぎません。


当然、1,000万円だけの融資を受けた

会社としては、そのような詳しい事情を知

らずに、不足分の融資を他の銀行から受け

ようと試みるでしょう。


しかし、他の銀行は、信用保証協会を通し

て、その会社がすでに創業者向けの保証を

利用していることが分かるので、融資をす

るとすれば、保証なしで融資をすることに

なります。


それがまったく不可能ということではあり

ませんが、他の銀行からすれば、おいしい

ところを持って行った、保証付きの融資を

した信用金庫が、不足分の1,000万円

の融資も実行することが筋だと考え、その

会社の申し出を断ることになるでしょう。


信用金庫は、1,000万円の融資に応じ

る時点で、その会社は不足分の融資を他の

銀行からは借りられないであろうというこ

とは容易に予測できたはずであり、そうで

あれば、2,000万円が必要なその会社

に1,000万円だけを融資することも意

味がないということも分かっていたはずで

す。


恐らく、そのような無責任な融資をしたの

は、前述の通り、信用金庫の融資担当者の

力量が低いからでしょう。


本来ならば、銀行が融資の申し込みを受け

たときは、その1件の融資についてだけ検

討するのではなく、長期的な取引を行う観

点からも検討が行わなければなりません。


会社は半永久的に事業を続けるという前提

で、もし、今回の融資に応じることによっ

てその会社が事業を展開していったとき、

次にはどのような資金需要が発生するか、

その時に、再び融資の申し込みがあれば、

それに応じることができるかといったとこ

ろまで検討し、責任をもって支援を続けて

いけるかというところまで判断しなければ

なりません。


前述の信用金庫は、融資の申し込みがあっ

ても、自らは何ら検討することなく、信用

保証協会に審査を全面的に委ねてしまうと

いった、依存的な状況にあったのだと思い

ます。


そこで、2,000万円の融資の申し込み

があっても、信用保証協会が承認する金額

だけ融資に応じるという機械的で、無責任

な対応をしたのでしょう。


このように、本来なら専門性の高い対応を

すべき金融機関であっても、現実的には、

適切とは言えない対応をする金融機関も存

在します。


そこで、もし、融資を申し込んでも、要望

通りの回答を得られない場合は、その金融

機関の対応が本当に適切かどうかというこ

とについて、私のような専門家にセカンド

オピニオンを求めた上で、対応策を検討す

ることをお薦めします。

 

 

 

 

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結婚相談所は学習塾

先日、婚活コンサルタント田中菊乃さん

のブログを拝読しました。


その中で、結婚相談所をうまく利用して結

婚に至った女性が、「受験に例えたら結婚

相談所は学習塾だと思って利用しました。


入れば結婚できるわけじゃないけれど、結

婚できる確率は上がるしあとは自分の努力

次第」とお話しされていたということが書

かれていました。


これは、当たり前のことと考える方が多い

と思いますが、実際には、結婚相談所に入

会することは、入会金を払うことによって

結婚の確約を得ることと考えている方も多

いようです。


冷静に考えれば、結婚相談所の能力がどん

なに高くても、紹介された相手が自分と結

婚するかどうかは、自分に対する相手の評

価で決まるということは容易に理解できる

と思います。


でも、結婚相談所を利用する方は、お金を

払っているのだから、自分の理想とする相

手との結婚の保証を求めてしまいがちにな

るようです。


そのような方は、安易に、自分の魅力を高

めるという努力から逃げようとしているの

であり、その姿勢を変えない限り、結婚相

談所を頼っても、いつまでたっても目的を

遂げることはできないでしょう。


ところで、この田中さんの記事を引用した

のは、私にも同様の心あたりがあるからで

す。


端的な例は、銀行からなかなか融資を受け

ることができないでいる会社の経営者の方

から、報酬を払うのだから、こちらの希望

通りの融資を受けられるよう銀行を説得し

て来て欲しいというものです。


このような依頼は、一見すると、融資が受

けられないで困っている会社とすれば当然

の依頼のように思われます。


しかし、ここで問題となるのは、そのよう

な経営者の方は、コンサルタントの銀行へ

の説明のよしあしによって、融資の諾否が

決まると考えていることです。


銀行が融資に応じるかどうかは、会社の業

況で決まるわけですが、融資が得られるよ

うにするための事業の改善という、経営者

の本来の責務から逃れようとするために、

安易にコンサルタントに頼ろうとしてしま

うのでしょう。


このような会社は、いわゆる「融資コンサ

ルタント」に依頼用すれば、1~2回は、

融資に成功するかもしれません。


でも、事業の改善に真摯に向き合わなけれ

ば、早晩、融資を受けられなくなるだけで

なく、事業そのものが行き詰るでしょう。

 

 

 

 

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土井正三さんの功績

私は、よい経営者とはどういう人かを説明

するときに、よく、仰木彬さんを例に挙げ

ます。


仰木さんは、もちろん経営者ではなく、プ

ロ野球の選手や指導者として活躍した方で

すが、オリックスの監督時代に、日本プロ

野球初のシーズン200本安打を記録した

イチロー選手を抜擢したことでよく知られ

ています。


このことから、仰木さんは、「名伯楽」と

言われるようになり、私に限らず多くの人

が、仰木さんのような人材を見分ける目を

持つことが、特に経営者のようなリーダー

にとって大切だと考えているようです。


では、仰木さんの前任者だった土井正三

んは、スター選手となったイチロー選手の

能力を見出せなかった、目利きのできない

監督だったのでしょうか?


これについては、私も明確なことは断定で

きないのですが、ウィキペディアで土井さ

んについて調べて見ると、必ずしもそうで

はなさそうです。


イチロー入団時(1992年)のオリッ

クスの外野は、高橋智本西厚博、藤井康

雄の主力に、1993年に入団したタイゲ

イニー、柴原実、山森雅文佐藤和弘、D

Hは石嶺和彦という攻・走・守全ての面で

メンバーで固められており、当時1・2年

目のイチローが入る余地がなかったとも言

える。


そのような中でも土井はイチローを高卒の

新人選手としてはかなり優遇して使ってお

り、1992年には7月以降9番打者や2

番打者としてたびたびスタメン出場させた

り、1993年の開幕戦にもスタメン出場

させたりしている。


また、イチローが全国区となった1994

年は、石嶺がFAで退団、藤井、タイゲイ

ニー、高橋智の出遅れが重なっていたとい

う事情もあった」


このような事実から鑑みると、土井さんは

決してイチロー選手を冷遇していたとは考

えにくいと私は思っています。


ただし、プロ野球球団の監督という立場を

考えると、結果責任は大きく、もっと早く

イチロー選手の才能を引き出すことができ

たのかもしれません。


しかし、逆に言えば、仰木さんがイチロー

選手の入団時から監督を務めていても同じ

結果になったかもしれないとも言えます。


では、今回、なぜ土井さんについて述べた

のかというと、結果はどうであれ、何らか

の方針を持ってチームを運営することが大

切であり、少なくとも土井さんは自分の方

針をもってオリックスを指揮していたこと

は評価できるということです。


これは、結果論かもしれませんが、後にイ

チロー選手は、「世間ではふたり(土井さ

んとイチロー選手)の仲は良くないって言

われてますけど、そうではないんですよ。


土井さんは次の年のために、しっかりと体

を作れっていう指示を出してくれていたみ

たいなんですよ。


その年で土井さんは監督を辞められたわけ

ですけど、もし仰木監督の就任がなかった

ら、土井さんは僕を使う予定だったらしい

んです」と、イチロー選手本人も土井さん

を評価しています。


すなわち、イチロー選手の才能が開花した

のは、仰木さんひとりの功績ではなく、土

井さんの指導があったからとも言えます。


もし、土井さんが何の方針も持たずにチー

ムを指導していたら、イチロー選手からは

感謝されなかったでしょう。


これを会社経営にあてはめてみると、経営

者の方は、方針をもって会社経営に臨むこ

とが大切だということです。


これは、あたりまえのことのように思われ

ますが、中には、自分の方針を立てても、

それで事業が成功するか失敗するかわから

ないのだから意味がないと考えている方に

会うことがあります。


しかし、方針を持たないリーダーのもとで

は、メンバーのまとまりはありませんし、

事業が成功したり失敗したりしたときに、

何がその要因だったのかも把握しにくくな

ります。


繰り返しになりますが、土井さんは結果と

しては、オリックスの監督時代の3年間は

すべて3位という成績でしたし、イチロー

選手の才能も開花させられませんでした

が、もし、方針を持たずにチームを率いて

いたら、後に、誰からも評価されなくなっ

ていたと、私は考えています。

 

 

 

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