鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

決断しなければ意味がない

株式会社経営共創基盤代表取締役で、経

コンサルタントの冨山和彦さんの著書、

「決断できないリーダーが会社を潰す」

( https://amzn.to/2C3Ss8r )に、会社が

倒産する過程について、冨山さんが言及し

ておられました。


すなわち、会社が倒産するとき、多くの人

が経営者の誤った判断を批判するが、実際

にはそんな単純な話ではない。


例えば、多くの従業員を解雇することが合

理的な判断だとわかっていても、それを経

営者が決断して実行すれば、その決断につ

いて、会社の内部だけでなく、社外からも

批判されることが目に見えている。


そのような状況をわかっていて、あえて困

難な方向に向かっていくことを決断できる

経営者は少ないというものです。


このことは、多くの方がご理解されると思

います。


そして、このような苦しい決断ができるか

どうかに、経営者の真の評価がかかってい

ると思います。


ところで、私が経営コンサルタントになっ

てから、ここまで大袈裟でなくても、同様

のことをしばしば感じます。


というのは、事業改善をお手伝いしている

会社経営者の方に改善策を提案し、さらに

その改善策を実践することに同意をいただ

いても、実際にはなかなか実践してもらえ

ないことがあります。


というのは、頭(顕在意識)では分かって

いても、普段の活動は無意識(潜在意識)

で行っているので、潜在意識まで変えるく

らい強い決断をしないと、活動は変えられ

ないということです。


ビジネスパーソン、特に、多くの従業員の

トップに立っている経営者は、理屈を理解

するだけでなく、強い意志を持つことがと

ても大切だということを、冨山さんの本を

読んで、改めて感じました。

 

 

 

 

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迷惑をかけたくない

先日、竹野内豊さんが主人公の弁護士役を

演じている、テレビドラマ、グッドパート

ナー( https://goo.gl/5Y52Eh )の第6話

を、Amazonプライムで見ました。


ストーリーは、東京都内に5つの店を持つ

そば店の社長が、経営不振になり、銀行か

らの融資が3億円に膨らんだが、「従業員

や取引先に迷惑をかけるわけにはいかない

ので店を潰すわけにはいかない」と、竹野

内さんが演じる咲坂弁護士に相談に来ると

いうものです。


私が銀行に勤務していた時や、コンサルタ

ントになってからも同様の事例は見てきて

いるので、そば店の社長の気持ちも十分に

理解できます。


ただ、会社が倒産して迷惑がかかるのは、

従業員と取引先だけではなく、その会社に

融資をしていた銀行も含まれます。


ちなみに、これは蛇足ですが、前述のテレ

ビドラマでは、咲坂弁護士が、そば店に融

資をしていた銀行に債務免除の交渉に出向

いており、「咲坂さんは、銀行に債務免除

をさせることは、銀行に迷惑をかけること

になると考えていないのだろうか?」と疑

問に感じました。(笑)


話をもどして、会社が倒産すると、銀行も

迷惑を被るということは、多くの方に理解

していただけるのですが、実は会社が倒産

する前から「迷惑」がかかっているという

ことを理解している人はあまりいません。


というのは、銀行は、融資先の業況によっ

て、貸倒引当金を計上しているからです。


すなわち、業況の悪い会社への融資は、あ

る程度、融資が返済されないということを

見込んで、その見込み額を費用にしている

ということです。


前述のテレビドラマのそば店では、3億円

の融資があり、かつ、同社は債務超過の状

態ということになっていたので、もし、3

億円の融資に担保がなければ、3億円の約

70%の2.1億円の貸倒を、銀行は見込

んでいる(すでに費用として計上してい

る)ことになります。


なお、70%というのは、おおよその割合

で、銀行によって異なります。


また、担保がある場合は、融資額から担保

処分見込み額を差し引いた金額に対して、

70%の貸倒を見込みます。


ちなみに、これも銀行によって異なります

が、要注意先(赤字の会社)への融資につ

いては、約5~10%の貸倒額を見込んで

います。


したがって、銀行が、黒字の会社に融資を

したのち、その会社が赤字になってしまう

と、約5%の貸倒見込み額を費用として計

上しています。


銀行のこのような会計処理は、会計的には

妥当な処理で、会計を学んだ方には容易に

理解していただけるのですが、あくまで内

部の処理であり、一般的には銀行は融資相

手の会社には伝えていません。


ただ、「銀行は晴れの日に傘を貸そうとす

るが、土砂降りの日には傘を取り上げる」

と揶揄されることがありますが、銀行が赤

字の会社に融資を避けようとするのは、赤

字の会社に融資をすると、最初から貸倒を

見込むことになるからという事情もありま

す。


このことについてどうあるべきかというこ

とは置いておき、銀行の会計処理で、融資

相手の会社の財務状況によって銀行は貸倒

を見込むことになるということを理解して

おくと、銀行の考え方もより深く理解でき

るようになるでしょう。

 

 

 

 

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負担の大きいことは長続きしない

先日、私の住む町の自治会長さんとお話す

る機会がありました。


その自治会長さんからは、かつて、お正月

に町内の神社で行っていたお囃子が、数年

しか続かなかったことがあったということ

をききました。


その原因は、お囃子を始めようというとき

は話が盛り上がったものの、実際に始めて

みると、準備などの負担が大きかったため

に、長続きしなかったそうです。


そのようなことがあってから、その自治

長さんは、町の恒例行事を始めようとする

提案は歓迎するものの、打ち上げ花火のよ

うに、一瞬で終わってしまうことのないよ

う、負担を軽くするものにして欲しいと要

請しているそうです。


このような例は、会社の事業の中でも見る

ことがあります。


例えば、毎朝、職場を掃除すると漠然と決

めても、強い意志があれば別ですが、大抵

は長続きしません。


でも、月曜日は机の上だけ、火曜日は床だ

け、水曜日はロッカーの中の不要物の点検

だけ…というように、負担を小さくするこ

とで、最初はあまり効果がないように思わ

れますが、結果として長続きする方が効果

が得られることになるでしょう。


もうひとつの例としては、いきなり難しい

ことに挑もうとする場合です。


例えば、社長が、自社の事業をホスピタリ

ティの高いものにしようと目標を掲げたも

のの、そもそもホスピタリティとはどうい

うものかということを従業員の方が理解し

なければなりません。


ホスピタリティの理解が浅かったり、ホス

ピタリティを実践するためのスキルが未熟

である状態のままで、新しい方法で事業を

進めようとしてもうまくいきません。


まず、自社の現状を分析して、どうすれば

目標とする状況に達成することができるか

を検討して、実現可能性を十分に検討する

必要があります。


これは、私の事業改善のご支援の経験から

感じることですが、中小企業経営者の方の

中には、何を始めるかばかりが頭の中を占

めてしまって、体制整備が十分でないこと

は抜け落ちていることが多いように感じま

す。


経営者の方は、1日でも早く成果を得たい

と思うことは理解できますが、十分な手順

を踏まずに新しいことを始めても、多くの

場合は失敗してしまいます。


だからといって、何事もゆっくりやればい

いのかというと、決してそういう訳ではあ

りません。


組織が、最初はゆっくりであっても、いろ

いろな経験を積むことによって、やがて難

易度の高いことも時間をかけずにできるよ

うになって行きます。


すなわち、組織が学習をすることで、更に

難易度の高いものも短期間で実践できるよ

うになります。


経営者としては、何をするかを決めること

も大切ですが、組織の能力も高めていくと

いう働きかけも欠かすことができません。


そして、強くなった組織は、簡単にはライ

バルには負けない事業を実践できる組織に

なって行きます。


経営者の最終的な目的は、確実、かつ、持

続して成果を得ることですので、冒頭で触

れた自治会長さんのように、大局的な観点

で経営に臨むことが大切だと思います。

 

 

 

 

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できなかったことではなくできたこと

年が改まって9日間が過ぎ、ほとんどの方

は、正月気分もとれて、いつも通りに仕事

に取り組んでいることと思います。


ところで、多くの方(私もそうですが)は

年が変わるタイミングで、昨年の目標のう

ち、達成できなかったことが頭に浮かんで

来ると思います。


私も、例年、積み残しがたくさんあり、同

じことを繰り返さないようにしようと思い

つつも、また、積み残しをたくさん作って

しまうという繰り返しをしています。


しかし、そうはいっても、積み残しをして

しまう人たちが、毎年まったく成長がない

のかというと、そういうことではないよう

です。


気づきにくいことですが、達成できている

目標もたくさんあります。


それは、1年前の自分と、いまの自分を比

較しただけではなかなか気づきにくいので

すが、例えば、10年前の自分といまの自

分を比較すると、その差の大きさに気づく

ことができると思います。


でも、1年間であっても、成長の実感を感

じることができる方法があります。


それは、日報を書くことです。


もう少し詳しく書くと、私のコンサルティ

ングメニューのひとつの日報コンサルティ

ングでは、目標に基づいた活動を日々確認

していくのですが、毎日、目標を確認し、

達成したものを消し込んでいくので、1年

経つと、達成できた目標の数がとても多く

あったということが確認できます。


日報を書いていなくても、達成できた目標

はたくさんあると思いますが、記録してい

ないので、達成した目標が記憶から消えて

しまいます。


でも、日報を書いていると、達成した目標

を日報に記録するので、1年経つと、視覚

的に、自分の達成した目標の多さに感動す

ることができます。


これは、感情的なことに過ぎないかもしれ

ませんが、達成できなかったことがたくさ

んあると思いながら新しい年を迎えるより

も、達成できなかったこともあるけれど達

成できたものもたくさんあると思いながら

新たしい年を迎える方が、気分も違うし、

士気もより高まっていくと思います。


しかも、このような士気を高めることは、

日報によって、年に1回だけでなく、毎月

や毎週感じることができるようになる点が

日報の大きな効果のひとつです。


自分がなかなか成長できないと感じている

方には、ぜひ、日報を書いて、達成できた

目標の多さを実感していただきたいと思い

ます。

 

 

 

 

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会社の益と個人の益を同じくする

株式会社経営共創基盤代表取締役で、経

コンサルタントの冨山和彦さんの著書、

「決断できないリーダーが会社を潰す」

( https://amzn.to/2C3Ss8r )を拝読しま

した。


同書の中で、冨山さんは、「会社の益と個

人の益を同じくすることが大切」というこ

とを、次のような経験から述べておられま

す。


すなわち、冨山さんが携帯電話が普及し始

めたころ、コンサルティング会社から携帯

電話の販売代理店に出向したが、大手メー

カーから出向してきた課長は、無能ではな

さそうなのに、あまり働かなかったそうで

す。


そこで冨山さんがその課長から事情をきい

たところ、出向先で業績を上げてしまう

と、その会社の重要な役割をさらに与えら

れることになり、出向元にさらに戻りにく

くなってしまうことを恐れているというこ

とでした。


すなわち、この課長にとって、会社のため

に業績をあげようとすること(会社の益)

は、自分のインセンティブ(個人の益)と

相反するということです。


その後、その課長がどうなったかというこ

とについてまでは、冨山さんは書いていな

いのですが、会社の益と個人の益に齟齬が

ないようにすることが、経営者の役割とし

て重要だということを、冨山さんは述べて

おられるのだと思います。


このことは、多くの方がご理解されると思

うのですが、別の要因で、会社の益と個人

の益が同じになっていない会社を見ること

があります。


例えば、社長は部下にいろいろな仕事を経

験させたいと考えている一方で、従業員は

自分の希望する仕事に就かせてもらえない

と考えているような場合です。


このような場合、社長側から何の働きかけ

もなければ、従業員は不満を持つだけに

なってしまいます。


そこで、従業員の育成計画を示し、一時的

には希望しない仕事に就いてもらうことも

あるものの、幹部候補として社内の仕事を

幅広く経験してもらうことが能力を高める

ことになるということを理解してもらうこ

とで、ほとんどの従業員は不満を持たなく

なるだけでなく、士気も高まるでしょう。


このような働きかけは大切ではあるもの

の、後回しにされている会社が多いと私は

感じています。

 

 

 

 

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トヨタは自動者メーカーでなくなる

俳優の香川照之さんが、トヨタのテレビコ

マーシャルで「トヨタは自動車メーカーで

なくなる、すべての人に移動する楽しさを

提供するモビリティカンパニー変わる」と

お話されておられます。

 

(ご参考→ https://youtu.be/s7PvkC-WwKA

 

このトヨタの事業ドメイン(活動領域)の

変化は、「製造業のサービス化」の進展の

中で当然の動きといえるでしょう。


(「製造業のサービス化」については、中

小企業白書平成17年版もご参照されるこ

とをお薦めします。

https://goo.gl/V5C9nc


同様の例は、IBMでも見られました。


IBMは、パンチカードによるデータ処理

機器の開発をする会社として創業し、その

後、コンピューターを製造するようになり

ましたが、徐々にビジネスソリューション

に事業の軸足を移し、現在は、コンピュー

ター製造部門は他社に売却しています。


トヨタとIBMで共通していることは、顧

客が自社製品を買う理由が、自社製造その

ものよりも、どう使うかに比重が移りつつ

ある(または、移った)ということです。


自動車で言えば、移動そのものは「トヨタ

の自動車」でなくてもできるので、顧客に

どうやって「トヨタの自動車」の利便性を

感じてもらうかが重要になっています。


そのノウハウの優劣が、トヨタの事業の競

争力の差となって現れます。


製造業ではありませんが、以前、紹介した

電気製品小売業の「でんかのヤマグチ」も

ものではなくサービスで競争力を高めてい

るよい事例でしょう。


(ご参考→ https://goo.gl/oMt4kw


今回の記事の結論は、トヨタの事業ドメイ

ンの変化と同様に、中小企業もこれからは

「もの」ではなく「こと(サービス)」に

比重を置くことが競争に勝つためのポイン

トになるということです。


もし、自社の競争力をなかなか高めること

ができないで悩んでいる経営者の方は、こ

のサービス化の観点から競争力を高める方

法をご検討されることをお薦めします。

 

 

 

 

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成長は適切なマネジメントの結果

今回は、ドラッカーの著書、「マネジメン

ト」( https://amzn.to/2R30fh4 )に、私

が気になったことが書かれていたので、そ

の指摘をご紹介したいと思います。


「株式市場は、成長企業の株式を成長企業

であるがゆえに高く評価すべきではない。


成長そのものを目標にすることは、間違い

である。


成長は、適切なマネジメントの結果でなけ

ればならない」


このドラッカーの言葉は、多くの方が賛同

されると思います。


そして、私は、特に「成長は適切なマネジ

メントの結果でなければならない」という

指摘が肝であると思います。


ドラッカーも成長そのものを否定はしてい

ないと思いますが、いわゆる、運やまぐれ

で会社が成長することもあり、その場合は

必ずしも「マネジメントの結果」ではない

ので、これをドラッカーは評価できないと

指摘しているのでしょう。


このことも多くの方が理解されると思いま

すが、今回、このドラッカーの指摘をとり

あげたのは、経営者の方のなかで、追い風

に乗って会社を成長させたものの、しっか

りとしたマネジメントスキルを持っていな

かったために、追い風がふかなくなったと

たんに、業績が悪化してしまったという会

社を少なからず見て来たからです。


その一方で、経営者には結果責任があるの

で、マネジメントスキルを持っていない経

営者であっても、会社の業績を伸ばした場

合は評価できることになりますが、多くの

場合、それは、短期間だけの評価に限られ

るでしょう。


会社は半永久的に続く前提で事業を行って

いる以上、ドラッカーの指摘の通り、「成

長そのものを目標にすることは間違い」で

あり、「成長は適切なマネジメントの結果

でなければならない」ということになるで

しょう。

 

 

 

 

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