鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

言い訳のためのコンサルティング

今回は、私の失敗談を書きます。このようなケースは何回か受けたのですが、コンサルティングを依頼しておきながら、本心は事業の改善を望まないという経営者の方からの仕事を依頼を受けたことがありました。「コンサルティングを依頼しておきながら、事業の改善を望まないとはどういうことか」と疑問を持つ方も多いでしょう。これには、次のような状況があるようでした。

ひとつめは、経営者に就いたものの、新たなステップへ踏み込むメンタル的な強さがなく、コンサルタントの提案をなかなか実施しないというものです。しかし、これはメンタルを強くすれば解決するので、それほど大きな問題ではありません。もっと厄介なのは、つぎのようなものです。すなわち、いままで自分が経営者として事業の指揮を執ってきたが、なかなかうまく行かなかった。これは自分の経営者としての手腕に問題があるのではなく、事業はそもそも成功するものではなかった。そして、それはコンサルタントから支援を受けても状況は変わらないということで明らかだ、ということにしたいというものです。

経営者としては、コンサルタントの支援を受けて事業が改善してしまうと、それはこれまでの自分のを否定されることになってしまうと考えるのです。ですから、心の深いところでは、事業が改善しないことを望んでいるようです。そして、そのようなことをしようとするもっと深い事情には、気が進まないのに親から会社の経営を引き継がされた被害者でいたいとか、融資を受けている銀行から業績の改善を再三要求されているがそれは無理な要求であることにしたいというようなことがあると私は分析しています。

現在では、このようなスケープゴートのようなことをされる依頼は受けませんが、もし、コンサルティングを受けている会社の社長が本心では業績の改善を望んでいないような節が見られるときは、社長に本心を確かめるようにしています。本気で業績の改善を望まない社長が経営する会社をコンサルティングしているとすれば、私自身の仕事の意味がなくなってしまうからです。

 

 

図解でわかる 小さな会社の経営に活かす会計 いちばん最初に読む本

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