鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

自分で稼げる人

「うちの会社は規模が小さいので、自分で稼げる人でないと雇えない」とお話しする中小企業経営者の方をよく見かけます。このようにお話しされるのは、従業員の方に、自社で働くからには給料以上の利益をもたらしてもらいたいという意図があるからでしょう。このような考え方をもつ経営者の方が経営する会社では、営業活動が得意な外交的な従業員の方が評価されがちです。

しかし、私はこの考え方は経営者としては避けるべきだと思います。というのは、営業活動が得意な人だけを評価する方針で事業を続けていると、早晩、事業は行き詰ると思います。なぜなら、そもそも営業が得意な人はそれほど会社に頼る必要がなく、帰属意識も薄いでしょうから、そのような人ばかりを重宝していると、いずれ、一匹狼だらけの会社になってしまうでしょう。

このように述べると、内向的であまり営業活動が得意でない人についてもきちんと評価しなければならないと、私が主張しているように思われるかもしれません。もちろん、内向的な人は繊細なセンスを持っている人が多く、細部に目が行き届いた仕事が得意でしょうから、そのような面をきちんと評価しなければならないでしょう。とはいえ、内向的な人ばかりがそろってしまっても、官僚組織的な職場になってしまいがちです。

結論は、会社には外交的な人も内向的な人もバランスよく採用し、それぞれの方に活躍してもらわなければ組織が維持されません。「稼げる人しか雇えない」と考えている経営者の方は、自ら経営者としての能力がないと宣言しているようなものです。そもそも経営者には従業員の方の個性にあわせて適材適所に配置して、それぞれの能力を発揮させるという役割があります。だからこそ、従業員の方は会社に所属して働く意味があるわけです。自分で稼げる人は会社に所属する必要はもともとありません。

 

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