鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

社長は誰が選ぶのか

「会社の社長(=代表取締役)は誰が選ぶのか」という質問の答えは、多くの人が意外と知っているようで知られていないと私は実感しています。一般的には、設立されたばかりの会社はその会社を起こした人が社長に就きます。いわゆるオーナー会社の場合は、社長が退任するときに親族に社長職を引き継ぎます。上場会社でも、後継社長は現在の社長が指名してから退任するということが慣例となっている会社が多いようです。

しかし、前述の選び方は実際に行われていても、正式なものではありません。正式には、株主総会が取締役を選定し、選定された取締役の間で代表取締役を選定します。(実際は、会社の機関設計や、定款によって他の選定の仕方がありますが、ここでは、代表的な選定の仕方のみを記載します)では、この社長の選び方がわかっている場合とそうでない場合にどういった問題が生じるのかというと、銀行と経営者の方の間で認識の相違が起きるときがあります。

簡単な例では、社長職を引き継いだ2代目社長と銀行の間で起きることがあります。2代目社長は社長であるから、会社のトップなのですが、銀行は必ずしもその社長が何でも決められるとは思っていません。というのは、前社長は社長を退任しても、もし、会社の株式を50%を超えて持っていれば、直ちにその社長を解任できます。(厳密には、代表取締役の役職の解職と、取締役の地位の解任は異なるものですが、ここでは単に社長を退任させるという意味でご理解ください)ですから、銀行は、大株主である前社長を真の実力者として見ているということが多いようです。このことを逆に見れば、いわゆるオーナー会社の社長(創業社長)が会社で実力があるというのは、社長というポジションではなく、大株主であるという面が強いでしょう。

これは、難しくなさそうな話であると私は思っていたのですが、ある飲食業の上場会社で起きた会社と創業家の内紛を見ると、死亡した社長の遺族側も現在の経営者側も、前述のような知識を持っていなかったことが原因のようです。会社経営者は、法律面の知識も必要だと改めて認識しました。

 

 

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