鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ものではなくことを売る

先日、知人の経営者の方とお話しして

いたのですが、顧問税理士の方から、

期待していたほど助言をもらえない

というお話を聞きました。


これには、お互いの言い分があると思い

ますが、利用者の方から見れば、その

ような印象を持たれてしまうのでしょう。


これには、私には思い当たる節があって、

新しく契約を結ぶときは、いろいろな

ことができると少し誇張して説明する

ものの、その後、契約すると、当初の

熱心さはすぐに冷めてしまい、前述の

ような印象になってしまうのでしょう。


念のために、お断りしておくと、この

ような例は、税理士の方すべてではなく、

一部の方だと私は感じています。


また、税理士の方に限らず、他の事業に

おいても同様なことが起きていると

思っています。


私自身、10年ほど営業マンをして

いましたが、契約が欲しいあまり、

無理なことまでできると言ってしまうと、

あとあと苦しくなり、そして、できない

ことをできると言ってしまうと、その後、

まったく信用されなくなるという経験を

しています。


だから、私も今は、できることしか

言わないし、逆に、自分が売り込まれる

ときは、できそうにもないことを言う

人は信用しないようにしています。


話を戻すと、このようなことは、これも

私が述べるまでもなく、多くの方が理解

されているとは思うのですが、実際には

よく起きていると思われます。


だからといって、この記事でそういう

状況がなくなるとは思いませんが、

ひとつの改善のヒントを書きたいと

思います。


これも、すでに多くの方が理解している

ことですが、既存の顧客を大切にする

ということです。


そうすれば、前述のような、初めは

調子のいいことばかり言っていたのに、

だんだんぞんざいになっていくという

ことが言われなくなります。


そして、そういう会社は、既存の顧客が

新たな顧客を紹介してくれるように

なります。


これを実践して業績をあげている会社の

例が、町田市にある「でんかのヤマグチ」

という家電店です。

 

ヤマグチさんでは、「冷蔵庫が壊れた」

という顧客からの電話で、「どのメーカー

ですか」ということもきくことなく、

その家庭に駆けつけ、すぐに修理を

するそうです。


既存顧客のリストが整備されているので、

改めてきく必要はなく、だからこそ、

顧客はヤマグチさん以外は利用しない

そうです。


しかも、大手家電店のように、値引きも

しなくても家電を買うそうです。


このような例も、多くの方が知っていて、

しかもすばらしいと思いつつ、なかなか

実践していません。


それは、実は、難しい商法でもあるから

でしょう。


結局、ヤマグチさんのような会社は、

家電品が商品ではなく、サービスが

商品だからです。


でも、そのサービスを提供できるような

体制整備や人材育成が一朝一夕には

できないから、よい商法と分かっていても

実際に実践する会社は少ないのでしょう。


このような状況であるにも関わらず、

中小企業が大手と同じ商法である、安売り

合戦を始めたら、最初から勝てないことが

分かっていることを始めるということに

なります。


すべての中小企業にあてはまるわけでは

ありませんが、勝てる方法があるのに

実践を避けているという例は意外に多いと

私は考えています。

 

 

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