私の仕事の大きな部分は、融資申請の
お手伝いが占めていますが、その際、
どうやって銀行に応諾を受けるかという
最大のポイントは、銀行の手間を省いて
あげるということです。
例えば、「自社はこんな状況です」という
説明をした段階であれば、銀行からは
「それではこれから社内で検討します」と
いう回答をさせてしまうことになります。
しかしながら、「自社はこんな状況です。
そして、収益の見通しはこの通りであり、
融資の返済は確実に行える見通しです」
と言える段階まで資料を揃えておくと、
銀行側は、その書類の検証をするだけと
いう状況になります。
すなわち、銀行職員に代わって、融資
稟議書の付属資料を作成するイメージ
です。
もちろん、銀行も、融資申請者の都合の
いいように資料が作成されていないかと
いう疑義は持つことになりますが、その
根拠の客観性が高ければ、疑う余地は
あまり多くありません。
もちろん、この方法で100%応諾して
もらえるとは限りませんが、銀行に
考える余地を減らしておくことによって、
応諾に導きやすくなります。
とはいえ、この方法は、一般の経営者の
方には実践は困難です。
ただし、これに近い方法を実践する
ことはできます。
その代表的な方法は、毎期、利益計画書を
作成して銀行へ提出し、その後、毎月、
月次試算表と計画との差異分析をまとめて
銀行へ提出することです。
これは、結果として、融資先が資金不足に
なったときに、その理由を分析するときの
手掛かりになります。
ただ、このようなことをすると、
「銀行が自社の事情を細部まで知ることに
なり、融資が引き上げられてしまうことに
ならないか」という不安を持つ方も少なく
ないでしょう。
この疑問については、100%論理的な
回答とはなりませんが、銀行に対して
何かを隠そうとする姿勢は銀行には
伝わります。
むしろ、隠しごとがない会社は、銀行から
見ても信用が高まります。
銀行に対して「お金を貸して欲しい」と
いう依頼は、自社を信用して欲しいという
ことでもあるわけですから、お金を借りる
側も、銀行を信頼することが欠かせない
でしょう。