鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

都合のいい部下ほど危険

二宮尊徳の逸話に、桜町(現在の栃木県

真岡市)で復興事業を行っていたとき、

力強く鍬で畑を耕していた農民を叱った

というものがあります。


これは、力強く鍬を使っていたら、

その作業は長く続けることができる

ことができない。


すなわち、尊徳が監視に来た時だけ

仕事をしている振りをして、人が

見ていないときは怠けているという

ことを尊徳が察して、その農民を

改めさせたというものです。


そして、今回は、経営者の方も、この

ような、上役の前だけで調子のよい

ことをする部下には用心しましょうと

いうことを伝えたいのですが、単に、

二宮尊徳さんのような美談があるから

ということ以外の面で説明したいと

思います。


ところで、前述のような逸話をきいて、

経営者の方の多くは、「自分だって

そんな部下がいたら注意する」と考える

ことでしょう。


しかしながら、それは口で言うほど容易

ではないと私は考えています。


というのは、経営者にとってありがたい

従業員というのは、稼ぎのいい従業員

でしょう。


稼ぎのいい従業員は、いつも業績を気に

かけている経営者としては、重宝する

存在です。


しかし、そのような従業員には注意が

必要です。


これも多くの方が察することだと思い

ますが、稼ぎのいい従業員は我田引水的な

人もいるということです。


すなわち、自分の成績をあげることを

優先し、他の従業員に面倒な仕事を

押し付けたり、顧客にできない約束を

して、目の前の数字だけを上げるという

ことをする人もいるということです。


ここで、私が伝えたいのは、経営者は

そういう従業員の存在を見抜いて、改め

させるべきだということではありません。


経営者の方は、我田引水的な従業員が

いても、ずるができないような体制を

つくらなければならないということです。


詳細な説明は文字数の兼ね合いで割愛

しますが、例えば、それは品質管理

システムを採り入れるだけでも大きく

効果が得られるでしょう。


ずるをする人が現れるというのは、

経営者の方が結果だけを求めている

からです。


きちんとプロセスを示し、それに忠実に

仕事をするように指導していれば、

我田引水的な仕事をしようとする人は、

ずるをすることが難しくなるはずです。


我田引水的な従業員は、「経営者は

結果を欲しがっている」という弱みを

ついて来るわけですから、その弱みを

はねのけなければ、ずるをする従業員が

現れた場合の責任は、経営者に帰する

ことになります。


そして、そういった役割が経営者本来の

役割であり、かつ、会社の着実な発展を

実現する方法だと私は考えています。

 

 

 

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