鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

裸の王さまが内部統制を無力化にする

最近、大きな会社での不祥事が問題に

なっています。


業績不振であれば、ある意味、同情する

面もあるのですが、それを隠蔽しようと

したことが、さらに会社の損害を大きく

してしまったことを残念に思っています。


分かりやすい例では、大手家電メーカーが

粉飾決算をしていたことです。


繰り返しになりますが、業績不振ならば、

会計情報から株主や銀行から何らかの

提案や支援を受けて、早期に改善する

機会もあったと思うのですが、経営者が

保身のために、会計情報を不正に操作して

いれば、それもできません。


私が残念に思うことは、この経営者が

保身のために行う行動です。


このようなことは、これまで何度も

行われてきていることから、そのような

ことを未然に防ぐために、日本でも会社法

などを改正し、内部統制を義務化してきて

います。


これらの制度はすばらしいものであると

私は評価していますが、結局、経営者が

悪意を持ってそれを破ってしまうと、

監査法人なども会計の不正操作を見抜く

ことができないという事実が明らかに

なってしまいました。


このことは専門家の方は否定するかも

しれませんが、内部統制には限界がある

ということが、今回の件で露呈した

ことは事実だと思います。


今後、このような事件が起きないよう、

再び法律の改正などが行われるかも

しれませんが、今回、述べたいことは、

なぜ、内部統制が破られてしまうのかと

いうことです。


結論としては、私は、会社を従業員が支配

しているからだと思います。


まだまだ日本では、上場会社でも、社長は

従業員出身者が多くを占めています。


このことは、役員の人事権は社長が握る

ことになり、法律で求められている内部

統制が効かなくなることにつながって

いると私は思っています。


すなわち、出世したい役員は、懸命に

社長に気に入られようとし、その結果、

社長を裸の王さまにしてしまいます。


そのようなことが繰り替えされると、

社長が違法なことをしても、それに

異論を唱える役員が誰もいなくなって

しまいます。


これを防ぐには、社長(厳密には取締役)

の選任を、きちんと株主が行うことです。


いま、多くの会では、会社側が取締役の

候補者を選び、それを株主総会で追認

するということが行われています。


追認そのものは、直ちに問題とはいえま

せんが、法律の意図通り、株主は取締役の

選任を厳格に行って、取締役は株主に

対して忠実でなければ解任されてしまう

という状況を作らなければならないと

思います。


ですから、前述の電機メーカーの

不祥事は、ある意味、株主の責任が

大きいと私は思っています。


ただし、「株主にそこまで求めることは

現実には難しい」と考える方も多いと

思いますし、私もそう感じているとう

ことも付言しておきたいと思います。


それから、もうひとつ付言したいことは、

今回の記事では、従業員が会社を支配

していることを否定的に書いたと思われる

と思いますが、それは一面にすぎません。


日本の会社のかつての強みは、従業員が

就職ではなく、終身雇用・年功序列などの

制度によって「就社」したような状況で

あったことが、よい方向に作用していた

ということも事実だと思います。


それが、今は、逆の、悪い方向に作用

しているのだと思います。


今回の記事の結論は、「日本的」な

会社は変わらなければならない時期に

来ており、それを乗り越えることが

今の日本の会社に求められていると

いうことです。


日本でも、在宅型勤務や、短時間勤務、

副業を認める勤務など、さまざまな

働き方を認める会社が増えてきて

います。


会社と従業員の関係が変われば、経営者は

法律で求められている役割を果たすことに

専念できるようになるのではないかと、

私は考えていますし、事実、そのような

会社も徐々に増えていると思います。

 

 

 

 

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