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鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

本物の決算書と真実の決算書

私がこれまでお会いしてきた方で、少な

からぬ数の会社経営者の方と、一部の

税理士の方の中に、本物の決算書と真実の

決算書の違いが分からないという方に

お会いしてきていますので、今回は、

両者の違いについて説明します。


ところで、本物と真実は、ほぼ同じ意味

ですが、少し違いがあります。


ここでいう本物とは、にせものではない

という意味で、真実とはいつわりがない

という意味です。


銀行の融資手続きに関しては、よく、

税務署の受付印を押印したものを提出

するように言われますが、これが、

本物の決算書です。


決算書に関する本物とは、税務署に提出

した(税務署の受付印のある)決算書の

ことと言ってもよいのですが、厳密には

株主総会で承認(会社法第438条等)を

得た決算書のことです。


すなわち、本物の決算書とは、株主総会

お墨付きを得ているという点でにせもの

ではないということを指します。


ここで、少しややこしいのですが、株主

総会の承認を得ているという点で、本物の

決算書はにせものではないのですが、

だからといって、本物の決算書には、

いつわりがないということには

なりません。


いつわりがないということはどういうこと

かというと、簡単な例をあげて説明して

みます。


例えば、毎年、約500万円の減価償却

行っていた会社があったとします。


しかし、当期の業績が芳しくないため、

当期は減価償却を行わなかったとします。


その結果、利益が300万円となり

ました。


これを株主総会に諮り、承認を得たと

します。


このことによって、300万円の利益を

計上した決算書は、本物の決算書となり

ます。


しかし、この、300万円の利益を計上

した会社の決算書は、いつわりがないと

いうことがいえるでしょうか?


本来なら、例年通り500万円の減価

償却を行い、200万円の赤字を計上した

決算書が、いつわりのない決算書と言える

でしょう。


これが、真実の決算書です。


ただ、ここでいう真実の決算書とは、

会社がいわゆる二重帳簿を作成していて

2つの決算書があり、そのうちのひとつを

指すということではありません。


いつわりなく決算書を作成したとすれば

こうなったであろうという架空の決算書

のことです。


では、ここで何が問題になってくるのか

というと、前述のような例では、減価

償却を行わないことで利益を計上した

会社の経営者は、自社の事業は黒字で

あると考えてしまうことです。


一方、銀行は、たとえ本物の決算書の

提出を受けたとしても、減価償却

十分でなければ、銀行の内部で本物の

決算書を修正して真実の決算書を作成

しています。


よって、銀行はその会社を赤字の会社

であると判断します。


そして、社長と銀行の間で認識が

異なると、融資の申し込みをしたときに

両者で話しが嚙み合わなくなります。


そのようになったときに、社長は

「銀行が貸し渋りをしている」と感じて

しまうかもしれません。


会社が利益を計上し、それを株主総会

承認したということまでは事実ですが、

だからといって、その会社は本当に黒字

であるかどうかという観点から見れば、

いつわりがないとは言えないでしょう。


そして、最も避けなければならない

ことは、表面的に利益を計上することで

安心してしまい、真に利益をえるための

活動に目を向けなくなってしまうこと

であると私は考えています。

 

 

 

 

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