鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

値下げの要請は課題の先送り

いま、大手運送会社の荷物の取扱量が増え

すぎて、値上げをせざるを得ないことに

なったという報道が、毎日、行われて

います。


これについては、私は、運送会社にも

問題があると思っているのですが、

利用する側も、運賃を安くして欲しい

という要請を強く行ったことも問題が

あることは間違いありません。


これと似た現象として、昨年は、バターが

品薄となり、酪農家に負担がかかり過ぎて

いたことが問題となりました。


この改善策は、明確、かつ、誰でも理解

できるものですが、供給者に適正な利益を

得られるようにすることが、利用者に

とっても利点があるということです。


しかし、利用者側の立場が強いと、目先の

価格だけが問題とされ、後になって、

前述のような問題が起きてしまうという

ことです。


これについては、伊那食品工業会長の塚越

寛さんが、ご著書「リストラなしの年輪

経営」( http://amzn.to/2piwE5n )の

中で、次のように述べていたことを思い

出します。


すなわち、同社は仕入先も大切なパート

ナーであり、代金の支払も、送金手数料を

差し引いて送らず、手数料は伊那食品

工業がすべて負担している。


このような接し方をしていると、仕入先も

自社のために懸命に協力してくれるように

なり、自社も仕入先もともに繁盛する

ようになる、という主旨です。


とはいえ、この塚越さんの会社の事例は、

塚越さんのような実績のある方が述べる

ことから重みがあるわけですので、

ここで、読者の方に、塚越さんの会社を

見習いましょうなどと、私が述べることは

控えなければならないと思っています。


ただ、私が、中小企業の方の事業改善の

お手伝いをする中で、気づいたことを

これから述べたいと思います。


すなわち、自社の事業の業績がああり

かんばしくない会社は、伊那食品さんとは

逆のことをしているということです。


簡単な例をあげると、自社の利益を確保

することを目的に、材料や商品を仕入れ

いる仕入先に対して、ずっと値下げを要求

し続けていると、その仕入先からは、

粗悪品を購入させられることになり、

自社の販売する製品や商品に対する顧客

からの評価がさらに下がり、ますます

業績が悪くなってしまうというものです。


とはいえ、自社が利益を確保するため

には、やれることからやるしかないと

いう場合も多いでしょう。


ただ、他社に値下げを要求するだけでは

根本的な解決にはなりません。


早い段階で、抜本的な対策を打つことが

必要になるでしょう。


では、抜本的な対策とは何か、どのように

すればそれを実施できるのかという課題が

残りますが、それはまた別の機会に述べる

として、値下げの要請をするだけでは、

単に、自社が解決しなければならない

課題を先送りにしているに過ぎないという

ことです。


会社経営者に就く→他の人にはなかなか

できない難しい課題を解決しなければ

ならない立場に就くということですから、

業績の改善は、まず、真正面から課題に

取り組まなければならないということに

気付くことが必要だと思います。


そして、結論は、非論理的で恐縮ですが、

抜本的に課題を解決しようと決意した

瞬間に、意外と多くの解決策があると

いうことに気づくものだと私は考えて

います。

 

 

 

 

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