鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

メインバンクを持つことの薦め

一般的にメインバンクとは、ある会社が

複数の銀行から融資を受けているときに、

その中で融資額が最も大きい銀行のことを

指します。


しかし、日本には、メインバンク制という

慣行があります。


これは、メインバンクは、融資先の業況が

大きく傾いたときは、他の融資をしている

銀行との調整を図りながら、再建のための

支援をするという慣行です。


再建のための支援とは、追加融資を実行

するにとどまらず、銀行から役員を派遣

したり、新たな販売先を紹介したり、

新たな出資者を紹介したりするなど、

金銭的な支援にとどまりません。


こういう制度があったことが、かつての

日本の経済成長を支えてきたとも言われて

います。


最近の例では、「不適切会計」を行った

ことなどによって事業継続が極めて困難な

状況になっている大手家電メーカーが、

主力銀行団が引き続き支援するという

声明を出していることによって、大きな

混乱にならないでいるというものが挙げ

られるでしょう。


ところで、ここまでの説明からもわかる

とおり、メインバンクの役割を担う銀行は

ある程度の負担をすることになります。


会社の再建のためには、融資の一部を免除

したり、役員を派遣したり、支援のための

職員の労力が必要になります。


また、融資先の再建のためのノウハウや、

販路の拡大のために豊富な営業情報も

必要になります。


実は、私は、このような金銭的、そして、

非金銭的な資源の多さこそ、銀行の強さで

あると思っています。


リスクをとって融資できるかどうかという

のは、このような資源の多寡によると

いえるでしょう。


そして、このことからも分かる通り、

すべての金融機関が、このメインバンクの

役割を担えるとは限らないということを

知っておくことも大切だと思います。


これを見分ける方法は、一概には言い切る

ことはできないのですが、メガバンク以外

では、まず、銀行の融資規模が参考となる

でしょう。


具体的には、融資総額が2兆円から3兆円

以上あるかどうかだと思います。


これは、信用金庫であっても、2兆円を

超える融資を行っているところもあれば、

融資額が1兆円を下回っている地方銀行

ありますので、単に、銀行だからメイン

バンクの役割を担える、信用金庫だから

メインバンクの役割を担えないという

ことにはなりません。


この金融機関の融資額は、それぞれの

金融機関のWebPageに掲載されて

いる、ディスクロージャーで容易に知る

ことができます。

 

次に、融資に積極的かどうかということも

参考になります。


融資先への支援に自信がある銀行は、

融資に積極的になることができます。


これを見分けるには、オーバーローンか、

それに近い状態にあるかどうかという

ことで判断できます。


ただし、これを知ることは難しいの

ですが、おおよそ、融資額の預金額に

占める割合が80%以上であれば、

融資に積極的と言えるでしょう。


現在は、複数の金融機関から融資の

アプローチを受けることは珍しく

ないと思います。


ある程度は、いろいろな金融機関と

取引をすることは良いことであると

私も思います。


しかし、脈略なく多くの金融機関から

融資を受ければよいということでは

ありません。


いざというとき、親身になって融資を

してくれる銀行と深い取引をする

ことが、自社が積極的に事業展開を

できるようになる足がかりとなります。

 

 

 

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※写真と本文は関係ありません。