鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

運転資金とは

銀行へ融資の申し込みをするときは、

当然のことですが、事業資金が不足する

からです。


融資の目的が、機械や設備を購入する

ためのものは設備資金と言われますが、

それ以外は、いわゆる、運転資金と

呼ばれています。


ところが、運転資金の融資の申し込みは

必ずしも応じてもらうことができるとは

限りません。


事業に必要になる資金は、広い意味での

運転資金と呼ばれますが、狭い意味での

運転資金でないと、前向きな融資と

判断されません。


狭い意味の運転資金とは、分かりやすく

いうと、収支ずれのことです。


例えば、売上高が増加すると、棚卸

資産や売掛金受取手形が増加します。


その一方で、買掛金や支払手形も増加

しますが、一般的に、棚卸資産などの

増加額の方が大きいので、その差が、

資金不足となります。


これが、増加運転資金、または、経常

運転資金と言われ、狭い意味での運転

資金です。


この運転資金は、業況が順調に推移

していることにより資金不足となる

ことから、銀行から見て前向きに

応じてもらえる融資ということに

なります。


しかし、これ以外にも、資金不足が

発生することがあります。


例えば、仕入価格や製造原価とほぼ

同じ価格かそれ以下でしか商品や

製品を販売できないときは、採算が

得られない状態が続いていることに

なり、不採算となっている金額だけ、

資金が不足します。


また、棚卸資産のうち、何らかの事情で

販売できなくなったものが発生した、

売掛金受取手形のうち、商品や製品に

欠陥などがあったために、回収できなく

なったという場合も資金が不足します。


これら以外にも、さまざまな資金不足の

理由があるのですが、単に「運転資金を

融資して欲しい」とだけ銀行に伝えて

融資の申し込みをすると、銀行は、

資金が不足する理由を分析します。


それが、業況がよいことによって資金

不足となるのであれば、直ちに融資に

応じてもらえるのですが、そうで

なければ、詳細な事情をきかれるか、

融資を断られることになります。


今回の結論としては、いわゆる運転

資金が不足するときは、なぜ、不足

するのかを自社で把握し、もし、

その原因が赤字などであれば、融資の

申し込みにあたって、改善策も説明

する必要があります。


しかし、現実的には、そこまで行う

ことが難しいことも多いでしょう。


そのような会社は、6か月程度の資金繰

予定表を作成し、毎月、銀行に提示する

だけでも、銀行の対応は大きく変わる

でしょう。


そのような報告をしているだけでも、

仮に赤字による資金不足であっても、

銀行からの助言を得ながら融資による

支援を受けられる見込みが大きく

なります。

 

 

 

 

 

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