鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

組織の肝は管理活動

最初に、ちょっと固いのですが、

フランス人の鉱山技師でもあり

経営学者でもある、ファヨールの

管理過程論について述べます。


ファヨールは、著書「産業ならびに

一般の管理」で、会社の活動は次の

6つに分類されると述べています。


(1)技術活動

(2)商業活動

(3)財務活動

(4)保全活動

(5)会計活動

(6)管理活動


そして、さらに大切なことは、

6つの活動のうち、管理活動は

他の5つの活動を調和させるという

他の活動とは性格が異なるもので

あることと、管理活動は、職位の

高い人や、規模の大きな会社に

とって重要性が増すということを

指摘しています。


ここで、あえて、ファヨールの

学説を引用しましたが、わざわざ

学説を持ち出さなくても、このことは

多くの方が、経験的に実感し、かつ、

同意されることだと思います。


しかし、管理活動を実践することも

口で言うほど容易ではないと私は

感じています。


そのひとつは、私がこれまで何度も

述べてきていることですが、

せっかく会社を起業したにも

かかわらず、経営者の方が事業に

ばかり注力し、会社全体の舵取り

には、なかなか目がいかないという

ことです。


もうひとつ指摘したいことは、

従業員の方に対する評価の仕方です。


早い話が、業績に貢献する従業員を

経営者の方は評価をしがちであると

いうことです。


自社に貢献する従業員を評価すると

いうことそのものには問題はない

のですが、果たして、そのような

従業員は、経営者の望ような活動を

しているのかという点には、大きな

疑問の余地があると私は考えています。


単純な例を示すと、経営者の方は、

顧客とは長い取引を望んでいる

一方で、従業員の方は、無理な

押し込み販売をして、短期的には

売上を得られるものの、長期的には

取引が継続せずに、結果として、

会社にはあまり収益をもたらさない

ということにもなります。


もうひとつは、実績を出す従業員を

評価することに偏向すると、

会社に従業員を育成する仕組みが

できにくくなるということです。


端的に述べれば、売上をあげさえ

すればよいというように従業員が

考えるようになり、そのことは、

会社に多くの一匹狼をかかえる

ことになります。


そうすると、組織としての行動を

する人はいなくなり、会社として

事業を営む意味が薄れて行きます。


ここでは単純な例をあげましたが、

プロセスの管理が大切ということを

述べました。


このことも多くの方が理解されている

ことですが、なかなか実践できないで

いる事がらでしたので、今回の記事に

取り上げました。


経営者の役割の大部分は管理活動で

あるという点を、もういちど考えて

いただくためのきっかけとなれば

幸いです。

 

 

 

 

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