鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ナレッジマネジメント

今回は、ナレッジマネジメントについて

書きたいと思います。


とはいえ、ナレッジマネジメント

やや複雑な考え方なので、どういった

ことで有用なのかということを書くに

とどめ、詳しくは、拙著「図解で

わかる経営の基本いちばん最初に読む

本」( http://amzn.to/2lu3fU4 )を

はじめとした専門書をお読みいただき

たいと思います。


ナレッジマネジメントとは、

ひとことで言えば、

会社の内部および外部にある知識を

経営資源として活用することに

よって、事業のプロセスの改善を

図る手法のことです。


そして、ナレッジマネジメント

理化するにあたって、鍵となる

考え方に、形式知暗黙知という

ものがあります。


形式知とは言語化された知識を指し、

暗黙知とは「五感を通じて獲得され、

言語化が困難な知識」のことです。


例えば、「スキーは、細長い板を、

両足に固定し、雪の上を滑って

楽しむスポーツである」という、

言語化された知識は形式知です。


一方で、スキーで滑ったことがない

人に対して、スキーの滑り方を教え

ようとする時、それは経験を通じて

学ぶ知識であり、言語化することは

困難な知識、すなわち暗黙知である

ということができます。


事業では、この暗黙知形式知

変えて、多くの人が共有することで、

事業のプロセスを改善し、

より競争力の高いものにするための

取り組みが望まれるでしょう。


このナレッジマネジメント

提唱したのは、日本の経営学者の

野中郁次郎氏です。


話しがそれますが、野中氏は、

大学卒業後、いったん、電気機器

メーカーに就職した後、米国に

留学した経歴を持っています。


米国で、日本の会社の製品開発

プロセスを研究し、その成果を

まとめた著作が「知識創造企業」

( http://amzn.to/2sbTbCB )と

いう本で、そこにナレッジ

マネジメントの考え方が

述べられています。


ちなみに、知的創造企業は英文で

書かれた本で、日本で出版されて

いる本は、翻訳版です。


話しを戻します。


野中氏の研究では、松下電器産業

(現、パナソニック)の開発した、

家庭用自動パン焼き器の開発プロ

セスが示されています。


この開発にあたっては、大阪市内の

著名なホテルで、おいしいパンの

作り方、すなわち、暗黙知を学び、

それをマニュアル化して形式知

換え、そしてそれをパン焼き機で

再現できるようにして製品化した

というプロセスが示されています。


さらに、同社は、この成功体験を、

コーヒーメーカーの開発や、

炊飯器の開発にも応用していると

述べています。


実は、この暗黙知の共有化は、

規模の小さな会社でも行われて

います。


ある京都の料亭では、伝統の料理の

レシピをパソコンのデータに入れ、

見習い中の調理人は、空き時間に

それを自由に見ることができる

ようになっています。


かつての、料理の技は師匠から盗め

という教え方から、大きく教育方針を

変えることで、見習いの調理人の

修業期間を短縮し、自社の提供する

料理の質の向上に成功しています。


ただ、ナレッジマネジメント

自社で導入しようとしても、

大がかりな仕掛けが必要と

思われるかもしれません。


私は、精度の差はあるものの、

ナレッジマネジメントは、

グループウェアの導入だけでも

十分な効果が得られるものと

思っています。


むしろ、ナレッジマネジメントは、

仕組みそのものよりも、それを

使いこなす役員、従業員の方の

習熟度が問題だと思います。


一朝一夕に身に付くことでは

ありませんが、ナレッジマネジ

メントを実施することは、

自社の競争力を強力にする

方法であると私は考えています。

 

 

 

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