鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

社員が社長をリークできる会社

広島県に株式会社21という眼鏡を

販売している会社があります。


http://www9.two-one.co.jp/


この会社は、たくさんの報道機関が

同社のユニークな経営方針を報道

しているので、すでにご存じの方も

多いと思います。


この会社で私が最も興味を持った

ことは、同社のWebPageに

「株式会社21の経営陣が悪事を

働けば正義感を持つ社員がリーク

します。


更に21の社長が多額の費用を

掛けて外部監査機関に依頼すれば

社長に不利な監査を行わない恐れが

有りますので、公正な監査や順法

指導と経費削減を兼ねて厳正な

税務官や審査官に官費で委ねて

います」と書かれていることです。


「社員が社長をリークできる会社」は

珍しいと思います。


では、なぜ社員が社長をリークする

ことができるのかというと、社員は

会社のすべての会計データを閲覧する

ことができるからです。


社長や同僚の給料もガラス張りです。


とはいえ、社長の年俸は1,000

万円を超えないそうであり、かつ、

成績次第では社長より高い年収を

もらう社員もいるそうです。


そして、なぜ会計データをガラス

張りにしているかというと、同社は

社員の社内預金を運転資金にして

事業を営んでいるからです。


社員からお金を預かる以上、経営者が

きちんと会社を経営しているかを

示す必要があるため、会計データを

社員に公開しているのです。


すなわち、社員は株主ではないものの、

株主に近い立場にあるということです。


このようなことをする利点は、主に、

ふたつあると思います。


ひとつは、組織に属していると、

必ずしも自分の意見が通るとは

限りませんが、会社の会計データが

透明であれば、仮に、自分の意見が

採用されないことがあっても、

それは、決して不公平であるとは

感じなくなるということです。


冒頭にある通り、もし社長が悪事を

働けば、社員はそれを知ることが

でき、そしてリークできるからです。


ふたつめは、社員が会社に関心を

持つということです。


会社の会計情報が公開されていな

ければ、会社の資金繰や利益に

ついて、社員が関心を持つ余地は

ありませんが、社員は自分の預けた

お金がきちんと使われているか

どうかということを関心を持って

見ることになります。


そして、自分の預けたお金が事業に

使われているからこそ、会社への

帰属意識も高くなり、積極的に働く

ようにもなるでしょう。


そして、今回、私がお伝えしたい

ことは、安直に、株式会社21の

ような経営を導入しましょうという

ことではありません。


会計データの透明化の前に、

月ごとに自社の収支状況を確認する

ことさえしていなければ、透明化も

できません。


よく、会計データの集計は後回しに

されがちですが、「マネジメント」の

観点から、会計データが重要だという

ことが、株式会社21の例からも

わかるでしょう。


精度の高い経営をするには、会計

データの活用は避けて通ることは

できません。

 

 

 

 

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