鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

創業の準備はものだけでは足りない

創業後に、当初の計画より事業がうまく

いかない会社の経営者の方から、よく

相談を受けます。


その原因は、売上が見込みより少ない

ことや、他社との競合が予想より

厳しいということがあげられます。


そして、もうひとつは、創業段階での

準備は、「もの」が中心になりがちだ

ということも挙げられると感じて

います。


会社の経営資源は、改めて言及する

までもなく、「ひと」「もの」

「かね」ですが、創業するときの

準備は、主に「もの」に偏りがちに

なってしまうようです。


具体的には、商品や材料の仕入

店舗や工場の取得または賃借、設備や

備品の取得などです。


もちろん、「かね」の面では、

創業のために必要な融資を受けたり、

「ひと」の面では従業員を雇ったり

します。


しかし、融資を受けても、さらに

事業が拡大していったときのために、

追加融資を受けられるよう、開業した

ときからその準備をする方はあまり

見ません。


もし、開業後に追加融資が必要に

なった時は、その時点で慌てて資料を

そろえたり、手続きを始めたりします。


従業員の方についても、雇うこと

まではしても、開業後にどういう

スキルを身に付けて欲しいかという

ことを示す人財育成方針などが作成

されていなかったり、給与に関する

規定なども作成されていなかったり

するために、従業員の方の育成が

遅れたり、士気が下がってしまったり

します。


確かに、「事業」は「もの」が

そろっていれば動くので、時間を

惜しんで創業の準備をしている

ときは、とにかく最低限のこと

だけをしようということになって

しまうのでしょう。


しかし、経営資源の「もの」が

そろっただけでは、競争力の高い

事業は実現しないでしょう。


きちんとした人財を育成し、また、

円滑な資金調達ができなければ、

早晩、会社の事業は行き詰ります。


ここで、「巧遅は拙速に如かず」と

いう孫子の言葉を引き合いに出そうと

する方もいることでしょう。


確かに、孫子は、うまくことが運ぶ

ようにするために時間をかけるよりも、

あまりうまくいかなさそうであっても、

ことを速く進めるべきと説いています。


ただし、これは、戦時に、自国の

被害を増加させないようにするための

考えであり、決して「拙速」を奨励

しているわけではなさそうです。


話しを戻して、事業を始めるという

ことだけを考えれば、「もの」を

そろえれば始められるでしょう。


でも、それを競争力の高い事業に

するのであれば、きちんと「ひと」や

「かね」も準備をしなければなり

ません。


結論としては、「もの」を準備する

だけでは、当然、事業は行き詰ります。


「もの」だけに目をとらわれず、

「ひと」や「かね」についても

きちんと準備する必要があるという

ことです。


そして、創業の段階で、「会社経営」

とは「事業運営」だけではなく、

「ひと」や「かね」も含めてマネジ

メントできるようにする必要がある

ということをきちんと認識しておく

ことも大切です。

 

 

 

 

 

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