鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ステークホルダーも組織の一員

ステークホルダー(利害関係者)とは、

会社の事業に関わる人(組織)を指し

ます。


より具体的に示せば、顧客、株主、

銀行、仕入先、行政機関、地域社会

などです。


ところで、会社を組織としてとらえた

とき、その組織に所属する人はどう

いう人たちでしょうか?


多くの場合、経営者と従業員を指すと

考える人が多いと思います。


それは、「組織は人で構成される」と

考えることが一般的だからでしょう。


この考え方が間違っているわけでは

ないのですが、事業を運営する場合、

会社の組織はステークホルダー

含まれていると考えるべきと私は

考えています。


例えば、会社と従業員の関係は、

法律上は雇用契約に基づいて

いますが、経済的には労働力の

提供と賃金の支払という関係で

成り立っています。


これと同様に考えれば、仕入先は

商品の提供を受ける代わりに代金を

支払う相手であり、顧客は代金を

受け取る代わりに商品を引き渡す

相手です。


株主は、出資金の提供を受ける

代わりに配当金を支払う相手で

あり、銀行は融資を受ける代わりに

金利を支払う相手です。


行政機関は、税金を支払う代わりに、

社会全体の調整を行ったり、時には

保護を受ける相手です。


地域社会は、直接の金銭の支払いは

ないものの、良好な関係を維持する

ことで、潜在的な顧客を産み出したり、

優秀な従業員を育成してくれる相手と

なります。


ここまで書いたことは、多くの方が

理解されておられることであり、

かつ、良好な関係を作るべき相手で

あると考えておられることでしょう。


しかし、組織を人の集まりという

考え方ではなく、事業で最大の利益を

得るために経営者が関与する相手と

とらえた場合、関わり方が変わって

くるのではないでしょうか?


例えば、文房具の通信販売で有名な

アスクルでは、飲食店向けの事業も

行っていますが、食器やユニフォーム

などは、過去の販売先からどのような

デザインが優れているのかという

情報を収集し、より使いやすいものを

企画製造して販売しています。


飲食店で使う器具は、かつては、

「社内」で検討していたものですが、

仕入先からより有益な情報が得られる

ようになり、このような関係にある

仕入先は、事業にとって強力な協力者

ということになるでしょう。


これについても多くの方は理解して

おられるでしょう。


ただ、今回お伝えしようとしたのは、

ステークホルダーを自社の組織の

一員と捉えているかどうかという

ことです。


仕入先だから、こちらの思い通りに

ならなければ取引を解消しよう」とか、

「うるさい顧客にはもう販売しない」

というお金だけの関係になっていない

でしょうか?


さらに、最近、問題になっている

ブラック企業というのは、従業員で

さえ、消耗品のように扱っても

構わないという考えによるものでは

ないでしょうか?


経営者の役割を「ステークホルダー

構成される組織の利害関係を上手に

調整し、最大の効果を得ること」と

定義した場合、「思い通りにならな

ければ…」という考え方で行動して

いる経営者は、あまり評価されない

方だと私は考えています。

 

 

 

 

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