鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

評価損の計上のタイミング

これは、よく、税理士の方からきかれる

のですが、顧問先の決算書に回収不能の

売掛金があったとき、銀行はどう判断

するのかというお問い合わせを受ける

ことがあります。


結論から言えば、回収不能の売掛金

金額を利益から差し引きます。


(したがって、その金額が純資産の部

から減ることになります)


本題からそれますが、銀行は回収不能の

売掛金を、どのように判断するかと

いうと、売掛金の明細書を見て、その

前期と同じものがあれば、それは回収

不能になっていると考えます。


一般的に、売掛金が1年以上も計上

され続けていることはないからです。


さらに、売掛金明細を見ることが

できない場合は、売掛金の比率を

検証します。


売掛金の売上高や総資産に対する

比率が、過去の比率より高くなって

いたり、同業他社の比率と比較して

高い場合は、ある程度、回収不能の

売掛金が含まれているだろうと

判断します。


と、ここまで売掛金について記載

してきましたが、「銀行の考え方は

厳し過ぎるのではないか」と感じる

方もいると思います。


しかし「中小企業の会計に関する

基本要領」( https://goo.gl/hR8Y2x )

の第4項には、次のように記載さいれて

います。

 

「4.貸倒損失、貸倒引当金


(1) 倒産手続き等により債権が法的に

消滅したときは、その金額を貸倒損失と

して計上する。


(2) 債務者の資産状況、支払能力等から

みて回収不能な債権については、その

回収不能額を貸倒損失として計上する。


(3) 債務者の資産状況、支払能力等から

みて回収不能のおそれのある債権に

ついては、その回収不能見込額を貸倒

引当金として計上する。」


このことは、銀行の融資先が、「中小

企業の会計に関する基本要領」どおりに

会計処理を行っていれば、決算書を

そのまま実態を表しているものとして

判断するということになります。


これは当然のことなのですが、銀行は

厳しく融資先を見ているのではなく、

会計のルールに従って会計処理を

していない決算書は、会計のルールに

従って会計処理をした場合のものに

修正をするというだけのことに

過ぎないのです。


経営者の方としては、仮に、貸倒という

不本意な要因で、会社が赤字になって

しまう場合、それを避けたいと考える

ことは理解できなくもないですが、

表面を取り繕うことはあまり建設的では

ありません。


会計のルールにしたがって会計処理を

行い、実態を表した決算書を作成し、

その改善に正面から取り組むことが

最善の方法です。


これは、私の経験から感じることなの

ですが、決算書を表面的に黒字にする

ことにこだわる経営者ほど、問題を

先送りにしている傾向が高いと感じて

います。

 

 

 

 

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