鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

中小企業の人材育成

よく、中小企業の経営者の方から「うちの

会社にはよい人材がいない」という嘆きを

きくことがあります。


これに対して、「人材を育てることも

経営者の役割だ」というように、単純に

結論付けるつもりはありません。


今回は、望ましい人材がなかなか集まら

ないと悩んでいる中小企業経営者の方に

対して、私が考えるところを述べたいと

思います。


ひとつは、従業員の個性を活かすという

ことです。


これは、人財育成家の沖本るり子さんの

ご著書「相手が“期待以上”に動いて

くれる!リーダーのコミュニケーションの

教科書」( http://amzn.to/2qd7JgV )に

書かれていた例ですが、かつて、沖本

さんが勤務していた会社の部下に、伝票の

入力が不正確で困っていた野田さんという

方がいました。


しかし、ある日、社長から、野田さんが

大口の契約をとってきたことは驚きだと

言われたそうです。


そこで、沖本さんは、野田さんに伝票を

正確に入力するようになってもらうこと

よりも、営業に専念してもらうことの

方が、会社全体としてメリットがあると

考え、野田さんの伝票入力は、伝票の

入力が得意な別の部下に代わってもらう

ようにしたそうです。


そうすることで、野田さんの営業成績は

さらに向上したそうです。


これは、多くの方にご理解いただける

人財活用法ですが、私が多くの会社を

見てきた中では、経営者の方が、自分の

得意分野(営業や技術など)だけで

部下を判断してしまいがちで、例えば

営業が得意な経営者は営業が不得手な

部下は、それだけで「優秀な人財でない」

と判断してしまうという例を見てきて

います。


これも多くの方が理解している通り、ひと

にはそれぞれ個性があり、その個性を

活かせる場所を提供することで、会社の

業績に貢献してもらうことができるように

なります。


もうひとつは、イチロー選手の才能を

見い出した故仰木監督の有名な例です。


前任者からは変更を指導されていた打撃

フォームを、本人の希望通りに打たせる

ことを仰木監督が認めた結果、イチロー

選手は210本の最多安打の成績を残し

ました。


プロ野球においては、よい成績を残す

ことが最大の目的であり、指導者が自分の

こだわりでそれをさまたげることは避ける

べきです。


と、ここまで人材育成について書いて

きましたが、「言うは易く行うは難し」

ということも分かります。


特に、コンサルタントがこのようなことを

いうと、経営者の方から「それなら自分で

やって見せろ」と言われがちです。


そこで、結論としては、経営者はそれだけ

難しい役割であり、事前に、そのような

マネジメントスキルを身に付けることが

大切だということです。

 

 

 

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