鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

赤札作戦

私は、事業の改善をお手伝いするときに、

5Sを実施するよう顧問先にお薦めして

います。


しかし、この5Sはなかなかうまく実践

できません。


その要因として、「不要なものを捨てる

決断ができない」というものがあります。


この捨てるという決断を促す工夫として

赤札作戦という方法があります。


この赤札作戦とは、まず、不要なものを

捨てるにあたって、不要かどうかという

基準を作ります。


基準とは、「6か月間使っていない」、

「量がわずかである」といった基準です。


この基準があるかどうかは、判断に客観

性を持たせる意味で重要です。


次に、捨てるかどうかの判断の確認は、

そのものを管理している部署以外の

部署の人に行ってもらいます。


例えば、購買部の管理しているものは、

総務部の人が、財務部の管理している

ものは営業部の人が判断するという

ことです。


他部署の人が判断する理由は、管理担当

部署の人は、「これはいつか使うのでは

ないか」という迷いを抱きやすいからで、

他部署のひとに判断させることで、この

ような迷いを避けることができます。


その次に、不要と判断されたものに

「不用品」という文字を書いた札を貼り

付けます。


ただし、その札は、赤地の紙を使います。


すなわち、不用品には赤札を貼るという

ことです。


この、赤札を貼るということは、一見

すると、あまり意味がないように思われ

ますが、視覚的に赤い札が貼られていると

不用品であるという判断が行われたという

重みを感じることができます。


このことは、実際に不用品を捨てるときに

迷いをなくす効果があります。


と、ここまで、5Sについて説明して

来ましたが、実は、この赤札作戦には

副次的な効果があります。


それは、判断をするという訓練になると

いうことです。


「判断をする」=「結果に責任を負う」と

いうプレッシャーがあることから、一般の

従業員の方は、細かなことでも上司に

伺いを立てる傾向があります。


そのため、なかなか自立的な活動ができる

るようにならないということになって

しまいます。


この、赤札作戦は、赤札を貼るかどうか

という判断をするという経験を通して、

判断することに慣れるという効果があり

ます。


もちろん、結果として、赤札を貼った

不用品が、実は必要になることがあった

ということもあります。


しかし、判断をして不用品と決めたという

その判断が尊重されるべきで、後になって

必要になったという結果論で誤った判断を

したということの責任は問われるべきでは

ないと私は考えます。


もっとも避けなければならないことは、

結果責任を問われることを恐れて、やる

ともやらないともどちらの判断もせずに、

「不作為の作為」に至ることだと、私は

考えています。


もし、会社の中で、結果責任が問われると

いう雰囲気があった場合、自立的に活動

する従業員はいなくなってしまったり、

経営者のまわりはイエスマンだけになり、

社長が裸の王さまになってしまう可能性が

高くなってしまいます。


経営者の方は、従業員の方の習熟度を

高めるためにも、従業員の方に積極的に

判断をするという習慣をつけさせることを

お薦めします。

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20170829203815j:plain