鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

経理規定

人財定着コンサルタントの後藤功太さんの

ご著書「そのマネジメントでは新入社員は

スグに辞めてしまいます!」

( http://amzn.to/2vu5tEs )の中で、後藤

さんは、新入社員に定着してもらうための

しくみとして、「業務マニュアル」「OJ

Tプログラム」「人事評価制度」を作成

することが大切だと述べておられます。


そして、後藤さんから聴いたお話しでは、

それらのマニュアルなどは、売上に直接

つながらないと判断され、作成には消極

的な経営者が多いということでした。


マニュアルなどの作成に否定的な考えを

持たれてしまう原因のひとつは、「手順

書を作る」ことが目的と考えられてしまう

からだと思います。


しかし、後藤さんの意図は、新入社員が

仕事を学びやすいようにするために、

マニュアルが必要だと考えています。


マニュアルがなければ、新入社員は、

先輩や上司から口頭で仕事を教えて

もらうことになります。


しかし、口頭だけでは、聞く相手のタイ

ミングを見計らう必要があったり、人に

よって説明が異なったりするなど、仕事を

学ぼうとする側からは、あまりよい環境

とは言えません。


そこで、マニュアルがないことによって

新入社員の士気が下がってしまうことを

避けるためにマニュアルを作ろうという

ことが後藤さんの意図するところです。


ですから、マニュアルをつくるという

意味は、単に、不文律になっている

手順を文字にするという作業を指すの

ではなく、仕事がしやすい規則を考え

ましょうということです。


これは、仕事の手順だけでなく、会計に

ついてもあてはまります。


一般的に、会社には経理規定という規則を

作ることが望ましいといえます。


もちろん、それぞれの会社の経理規定は、

一般的な会計原則の範囲の中で規定される

ものですが、自社ではいくつかある経理

処理のうち、どれを選択することが適切か

ということをあらかじめ示すことで、経理

処理を円滑に行うことができるようになり

ます。


しかし、残念ながら、中小企業では経理

規定を作成している会社の割合は低いよう

です。


そもそも、あまり複雑な経理処理は不要と

いうこともあると思いますが、自社の経理

処理はどのように行うのかということは

あらかじめ定められておらず、税法に定め

られている方法に従って処理するという

ことが多いようです。


そして、このような状態で、何らかの

問題が生じるということもあまりないと

考えられているようです。


しかしながら、私がこれまで担当して

きた会社では、工夫の余地があると

感じることがあります。


例えば、実地棚卸を毎月実施している

会社がありましたが、それほど深い

意味はないようでした。


毎月、実地棚卸により、棚卸減耗を確定

させているなら実地棚卸をすることは

必要ですが、厳密な月次決算を行って

いないにもかかわらず、毎月、実地棚卸を

することは、棚卸のためのコストが見合わ

ないと言えるでしょう。


そこで、月次決算の厳密さについて検討し

月次決算は実地棚卸ではなく帳簿棚卸で

行うというように社内ルールを変更し、

コストを減らすことを提案することも

ありました。


また、回収できないでいる売掛金の管理に

ついても、よく、社内でもめることがあり

ます。


売掛金が回収できないときに、それを督促

するのは、営業部なのか、経理部なのか、

お互いに仕事を押し付け合うことがよく

起こります。


このようなときも、両方の部署と役員を

合わせて会議を開き、どちらの管理とする

のかを決めることで、その後の混乱は

少なくなります。


また、販売先への与信の権限、回収不能と

なった売掛金の償却の権限なども定めて

おくと、より機動的に仕事を進めることが

できるようになります。


以上、ふたつの例で規則の大切さを述べ

ましたが、規則類は、規則を文字にする

作業と捉えず、自社に適切な方法を明確に

して、効率的な仕事ができるようにする

ことだと捉えて、それらを作成することを

お薦めします。

 

 

 

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