鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

信頼関係

私が銀行勤務時に渉外係をしていたとき、

預金や保険のノルマがなかなか達成でき

ないときは、よく親しい経営者のところへ

行って契約をお願いしていました。


そのような時は、「保険の契約をして

いただきたいと思っています」とは

伝えますが、あまり長々とはお話しは

せずに、相手の社長のお話しをずっと

聞いています。


そして、時間を見計らって、「それでは

この申込書に記入してください」と

お願いをして、契約を取るという方法を

使っていました。


(もちろん、何も説明せずに契約をして

もらう訳ではなく、必要な説明は行って

契約をしていただきました)


このような、相手の気がすむまでお話しを

聞いてから契約をお願いするという方法は

私に限らず多くの方が行っていると思い

ます。


ただし、このような方法は、初対面では

できませんので、普段からの信頼関係が

必要です。


単に、信頼されるというだけでなく、

いざという時は、この営業マンは自分の

味方になってくれるというように信頼

されることが前提です。


ところで、先日、身内に不幸があった知人

から、葬儀を依頼した葬儀会社に対する

不満をききました。


私自身も、4年前に父親を亡くし、葬儀

会社に葬儀を依頼した経験から見て、その

知人が利用した葬儀会社はちょっと思慮が

不足していると感じました。


その知人の不満とは、すべてのことに

ついて、喪主である知人に問い合わせを

してくるということでした。


サービス業としては、依頼を受けていない

ことを勝手にしてしまうというのは避けな

ければなりませんが、かといって、葬儀の

喪主という立場は、落ち着いた立場では

いられないという特別な状況もあります。


だからこそ、葬儀会社の仕事は、顧客の

機微を察して動かなければならないという

面で難しさがあると思います。


極端な例では、当初は依頼されていない

オプションサービスについても、状況を

察して提供し、事後的に顧客の了解を得る

ということも必要になるでしょう。


このような配慮は、確かに、事後的に

了解を取るということができないという

リスクもありますが、そこで「式の進行は

あなたに一任していたので、追加料金は

お支払いします」と言われるようになる

には、打ち合わせの段階で信頼を受ける

技術が必要でしょう。


前述の知人が依頼した葬儀会社は、別の

事業を行っていた会社が、最近、葬祭業に

参入したようで、顧客から不満がでない

よう、丁寧な接客を心がけていたよう

ですが、逆に、それがあだとなって

しまったようです。


似たような例として、私は、リッツ・

カールトンの初代社長の高野登さんを

思い浮かべます。


高野さんがホテルに勤務していたときは

約1,000人の顧客の顔だけでなく、

その家族の顔まで記憶していたそうです。


そして、お得意様が家族連れでホテルに

来た時は家族全員にあいさつしますが、

そのお得意様が家族以外の女性とホテルに

来たときは、あえて声をかけないという

配慮をしていたそうです。


葬儀会社の方に、高野さんのような

サービスレベルは必要はないと思い

ますが、いわゆるホスピタリティは、

一朝一夕では身に付けることができない

ということを、知人の話を通して感じ

ました。

 

 

 

 

 

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