鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

内部留保

最近、内部留保に関する関心が高まってい

るようです。


というのは、財務省が公表した2016年

度の法人企業統計で、内部留保が400兆

余と、過去最高になったと報じられている

からでしょう。


(ご参考→ https://goo.gl/8KMbEs


内部留保が過去最高になっているのに、中

小企業や個人は景気回復の実感があまり感

じられていないことから、内部留保の多い

大企業に対して、批判的な考え方を持つ人

も多いようです。


そこで、内部留保に課税すべきという考え

を持つ政治家の方もいるようです。


どういう税を課すべきかということについ

ては、人それぞれの考え方がありますが、

私は内部留保に課税することは非論理的で

あると思います。


それは、利益剰余金(内部留保)は減らす

ことができないからです。


簡単に説明すると、利益から税金と配当金

を差し引いた残り、すなわち、会社の内部

に留保される利益が内部留保ですが、それ

は、お金の出所を示しているだけだからで

す。


融資を受けたときは、そのお金が原材料な

どの棚卸資産になったり、機械・設備など

の資産に代わりますが、それと同様に、利

益剰余金(内部留保)も、それで機械・設

備の購入にあてたりしたときに、そのお金

の出所を示しているだけに過ぎません。


そして、融資は返済によって減ることにな

りますが利益剰余金(内部留保)は事業に

よって得た資金ですので、減ることはあり

ません。


(この説明は正確ではありませんが、理解

を容易にするために、あえて、このような

説明としました)


ですから、利益を得た会社が、それで従業

員の方に賞与として支給したり、あらたな

設備投資をしても利益剰余金(内部留保

は減りません。


よって、「内部留保に課税すべきだ」と考

える方の意図通りに内部留保を使った会社

も、そうでない会社も、同じように課税さ

れてしまうことになります。


そこで、会社が得た利益を従業員の方に支

払ったり、設備投資に回して欲しいという

場合は、内部留保を現預金として貯めてい

る会社のその現預金の額に応じて課税すべ

きです。


ただ、今回は、このことを述べようとした

わけではありません。


内部留保は、銀行に返さずにすむ資金であ

り、そして、会社の純資産を増やすことに

なる資金であることから、積極的に増やす

べきであるということをお伝えしたいと思

います。


このことは、多くの利益を得るようにしよ

うということと同義です。


ただ、経営者の方の中で少数ですが、「う

ちはもうけのために事業をやっているわけ

ではない」と、利益を得ることに消極的な

方もいます。


このような考えの背景には、いろいろな事

情があって、一律に論じることはできない

のですが、少なくも、利益を得ることは、

悪徳ではなく、会社を安定させることであ

るということが、内部留保の特徴からわか

ります。


会社が利益を得なければならない理由は会

社を安定させるためであるという、ある面

で、当然のことなのですが、それを内部留

保の特徴から今回は説明させていただきま

した。

 

 

 

 

 

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