鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業計画の対象期間

今回は、事業計画はどれくらいの期間のも

のを作ればよいのかということについて述

べたいと思います。


結論としては、事業計画に基づいて事業を

始めるという中小企業は、3か年程度でよ

いと、私は思っています。


それは、事業計画を使い始めた当初は、P

DCAをじょうずに行うことに注力するこ

とが基本であり、PDCAを実践するだけ

であれば、3か年程度で十分であると考え

るからです。


ただし、3か年だけの事業計画を作ること

も、どのようにしたらよいか、迷う面があ

ると思います。


そのような場合は、まず、10年後は、会

社がどうなっているのかという目標を決め

るところから始めることをお薦めします。


例えば、現在、店舗を1つ持っている小売

店が、10年後に店舗数を5つにしたいと

いう目標を持っているとすれば、売上高を

5倍+αという目標にすることから始めれ

ばよいでしょう。


そのためには、5つの店の間接業務を束ね

たり、店舗の出店企画、店舗の事業の改善

指導や人材育成などを担う部署が必要にな

るでしょう。


また、店舗が増えることによって、固定資

産や、借入金、出資金も増えることになる

でしょう。


このような要素から、10年後の会社の資

産、負債、費用などを計算します。


次に、10年後の状況に至るまで、毎年の

売上高、費用、利益計画を作っていき、今

後、10か年にわたる、1年ごとの収支状

況や、財政状況を計画損益計算書、及び、

計画貸借対照表として明らかにします。


このような10か年程度(乃至は5か年程

度)の事業計画を長期計画と言います。


ちなみに、事業計画は、損益計算書や貸借

対照表だけで表すものではありません。


従業員数、来店者数、地域でのシェア、そ

れぞれの目標の達成方法なども盛り込むこ

とが必要ですが、事業計画の利用を始めた

ばかりの段階では、計画損益計画書だけで

もよいでしょう。


その10か年のうち、こんご3か年(また

は5か年)を中期計画として、より、精緻

に検討をします。


具体的には、1年目、2年目、3年目の売

上高などを達成するために、どのような活

動や支出が必要かといった内容を明確にし

ます。


さらに、できれば、36か月(または60

か月)分の計画月次損益計算書を作成しま

す。


そして、こんご1か年について、短期計画

として、より詳細な数値を決めます。


例えば、商品ごと、販売先ごと、部門ごと

などの販売計画、それらを達成するために

必要となる費用や人員配置、設備導入など

を明確にします。


ここまでのステップは、こんご10か年に

わたる計画を、1か月に細分化するという

ものです。


この事業計画は、さらに、多くの項目を加

えることができますが、多すぎると管理負

担が増えますので、慣れないうちは、計画

の対象となる項目は絞り込むことぉお薦め

します。


実際に、事業計画を活用しながら、項目を

増やす必要があると判断される場合、例え

ば、ある製品を販売地域ごとに分けて管理

することが得策であると判断されるような

ことがあれば、そのような項目を増やすこ

とをお薦めします。


この逆に、細かい管理が必要と判断してい

たものが、後になって不要と感じられた

り、ほかのものといっしょにしても支障が

ないと判断できる場合は、項目を減らすと

よいでしょう。


ちなみに、この事業計画は、経営理念や経

営戦略に基づいて作成されなければなりま

せんが、黎明期の会社にあっては、経営理

念や経営戦略を明確化にすることなく、計

画損益計算書のみによって、まず、黒字に

するということを当面の目標としてもよい

でしょう。


最後に、このような事業計画を作成する意

義ですが、経営管理をするというツールを

持つということだけでなく、自社の事業が

黒字を確保するにはどのような活動が必要

かということが明確になります。


最後に、これは多くの方が述べていること

ですが、事業計画の作成は負担となります

が、事業計画なしに成り行きの活動によっ

て、がんばって事業に臨んだものの、その

成果が赤字になってしまうということを避

けるには、事業計画の作成が最良の方法で

す。

 

 

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