鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

最後は経営者の決断

私が20代のころ、早坂茂三さんの本をた

くさん読みました。


早坂さんは、すでに平成16年に73歳で

他界されましたが、昭和37年から昭和6

2年までの23年間、故田中角栄さんの秘

書を務めた方です。


早坂さんの本には、なぜ田中元首相が人心

を掌握できたかということがたくさん書か

れていて、対人関係を作ることが苦手な私

にとってはとても参考となりました。


田中元首相の有名なエピソードとしては、

選挙運動中にたくさんの革靴を車に積んで

遊説に出かけ、田植え中の農家の方のとこ

ろに革靴を履いたまま田んぼの中に入って

いって握手をしたというものがあります。


また、自分の派閥の議員に対しては、田中

元首相は夜中に起き出して、国土地理院

作った地図を、一晩中、暗記できるくらい

に、ずっと見続けていたそうです。


そして、派閥の議員に、選挙運動の遊説の

ルートなどの助言をすることで、「オヤジ

は自分のことをそこまで考えてくれている

のか」と、感激されていたそうです。


以上の2つの例のようなことは、私にはと

ても実践できませんが、私にもできること

も田中元首相は実践していたそうなので、

それだけは私もならっています。


それは、田中元首相の目白の私邸に訪れた

人が帰る時、訪問客の靴を、田中元首相が

自ら靴箱から取り出して揃えて出していた

そうです。


それだけでも顧客は感激して帰って行った

そうです。


私が靴を揃えて出しても感激する人はいな

いと思いますが、訪問してくれた方に感謝

を伝える方法としてはよい方法だと思うの

で、これは私も実践しています。


ところで、今回の記事でお伝えしたいこと

は、田中元首相をお手本にしましょうとい

うことではありません。


早坂さんは、いちどだけ、田中元首相に諫

言したことがあったそうです。


それは、田中元首相の愛人について週刊誌

が記事にしたことで、世論が批判を強めて

いたため、愛人との関係を断つべきだとい

う内容です。


結論として、早坂さんの諫言は聞き入れら

ませんでした。


ただ、ここでご注意いただきたいことは、

早坂さんは、上記のような経緯だけを本に

書いているので、早坂さんの諫言が正し

かったかどうかまでは述べていません。


もうひとつは、諫言が正しいかどうかだけ

でなく、早坂さん自身も田中元首相を熱烈

に支持するひとりでしたから、自分の立場

が悪くなる可能性を承知であえて田中元首

相の耳の痛いことを述べたということで

す。


これについて、私も、これまで同様の経験

を何度かしてきました。


すなわち、顧問契約を長く継続したいだけ

なら言わないであろう、顧問先の社長の耳

の痛いことを言った結果、縁が切れたとい

うことです。


もちろん、私の助言が100%正しいとは

限りません。


また、私の能力がもっと高ければ、そのよ

うな助言をせずにすむ状態であった可能性

もあります。


ここで繰り返しますが、私の助言が常に正

しい訳ではありませんが、経営者の方は、

そのような助言を受け入れるかどうか、最

終的に決めるのは、経営者だということで

す。


これを言い換えれば、会社の事業には、経

コンサルタントのような専門家、顧問税

理士、取引銀行、従業員などの様々な利害

関係者が関わっていますが、会社の業績は

最終的に経営者の判断で決まるということ

です。


すなわち、これは、最終的な責任は経営者

にあるということなのですが、私は経営コ

ンサルタントとして中小企業を見ていて感

じることは、経営者とそれ以外の利害関係

者の大きな違いは、最終的な決断をすると

いう重い立場にあるということです。


この重い決断をする立場にある経営者は、

事業の規模にかかわらず、本当にたいへん

な立場にたっているということであり、な

かなか普通の人には務められるものではな

いと思っています。


だからこそ、私は、中小企業経営者の方た

ちに対しては、考え方が自分と同じかどう

かにかかわらず、頭が下がる思いをしてい

るということが、今回の記事の結論です。

 

 

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