鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

補助金の注意点

昨年12月22日に、平成29年度補正予

算案と平成30年度当初予算が閣議決定

れたことから、新年度の補助金に関する情

報を多く耳にするようになりました。


私も、中小企業診断士として登録している

ことから、経済産業省関係の補助金につい

て、よく問い合わせを受けます。


ただ、この補助金については注意点があり

ますので、今回はこのことについてご説明

したいと思います。


まず、そのひとつは、補助金を申請して

も、必ず採択されるわけではないというこ

とです。


では、この採択率はどれくらいかという

と、例えば、前回のものづくり補助金は約

40%と言われています。


そこで、あらかじめ、補助金が得られない

ことも想定しておくことが必要です。


具体的には、補助金が得らるかどうかにか

かわらず事業を実行すると決めている場合

は、補助金が得られなかったときに備え

て、資金調達の手当てを準備しておく必要

があります。


逆に、補助金を得られることを前提条件に

事業を事業を始めることにしている場合

は、補助金が得られないときにその計画を

中止できる体制まで準備しておかなければ

なりません。


最も避けなければならないのは、補助金

得られると見込んで事業を始めてしまった

ものの、補助事業が採択されずに計画が頓

挫してしまうということです。


ふたつめは、補助金は後払いになるという

ことです。


補助金が得られることになったとしても、

いったん、補助対象の費用について全額を

支払ったのち、決められた期間に領収書な

どの書類を補助金事務局へ提出し、その確

認を受けてから補助割合に応じた補助金

受け取ることになります。


(この事例はあまり多くありませんが、補

助金の対象と認識して支出した費用につい

て、補助金の請求をする段階で、補助金

務局から補助対象と認められなかったり、

書類に不備があることによって、補助金

全部または一部を受け取ることができなく

なることもあるようです)


したがって、補助金を直接必要な費用にあ

てることはできないので、自己資金で全額

を支出できないときは、いったん、融資な

どで手当をしておくことが必要です。


(ちなみに、多くの金融機関では、補助対

象事業が採択された会社向けのつなぎ融資

補助金を返済原資として行われる融資)

を用意しているようです)


みっつめは、事業のスケジュールは、補助

対象期間に左右されるということです。


例えば、ものづくり補助金の補助対象期間

は、補助対象事業が採択されたのち、改め

て対象となる費用を申請し、それを事務局

が認めた日付以降で、かつ、要綱で定めら

れた日付までの支出が補助対象となりま

す。


例えば、補助対象の支出であっても、前述

の定められた期間を過ぎて支払った場合、

補助の対象とはなりません。


したがって、事業はある程度、日程に余裕

があり、補助対象期間に合わせて開始でき

るものであることが要件になります。


よっつめは、補助金の応募や、採択された

あとの補助金の請求の手続きが煩雑である

ということです。


これは、ある程度、行政機関へ提出する書

類の申請に慣れた人でないと、前述のよう

に、書類の不備によって補助金を受けるこ

とができないことになってしまうので、注

意が必要です。


最後に、自分の実行したい事業と、補助対

象事業が一致しているかどうかということ

が挙げられます。


補助金は、前述のように、必ずしもすべて

が採択されないために、ある程度、補助金

の主旨に沿って事業計画を立てて申請する

ことで、採択されやすいものにすることが

多いようです。


このことそのものに問題はないのですが、

補助事業が採択されることを最優先して計

画を立案してしまったことから、補助対象

事業として採択された後に、もともと経営

者の方がやりたかったことと内容が大幅に

ずれてしまったり、経営者の方にとって負

担の大きいものとなってしまい、実際に事

業を始めようとする段階でそれを諦めたと

いう例もあるようです。


(私も、このような事例を実際に見ていま

す)


要は、補助金を得ることを目的にし過ぎて

しまうと、事業そのものが始められなくな

ることもあるということです。


結論は、補助金を得ることは、事業にとっ

て心強い追い風となりますが、自ら行おう

と考えている事業が補助金に適しているか

よく検討することが大切ということです。


なお、この記事は、分かりやすさを優先し

て記述しているため、正確でない箇所もあ

ります。


実際の補助金の申請にあたっては、補助金

事務局や専門家の方にご相談されることを

お薦めします。

 

 

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