鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

目利き能力と融資審査

最近、金融庁の森長官が、地方銀行に対し

て融資を伸ばすべきという発言をしている

ことが話題になっているようです。


(ご参考→ https://goo.gl/3aQr3x


これを単純に読むと、地方銀行はリスクを

避け、融資に積極的でないから、収益も少

なくなっている。


そのような銀行は、融資先に対する目利き

能力を高めれば、きちんと融資を伸ばすこ

とができ、そして収益も安定する、と述べ

ていると理解する方が多いでしょう。


ほぼその通りなのですが、だからといって

いままで融資に消極的であった銀行が、融

資に積極姿勢に転じ、自社も融資を受けや

すくなるというように、直ちに期待するこ

とはできないでしょう。


というのは、銀行の目利き能力が低いため

に、融資を受けることができないでいる会

社というのはほとんどないと私は考えてい

るからです。


確かに、目利き能力が低い銀行はあるもの

の、その銀行から融資を受けられなかった

会社は、ほかの目利き能力のある銀行から

融資を受けることができている可能性が高

いということです。


これを言い換えれば、森さんが銀行はもっ

融資を伸ばすべきと言っているとしても、

いま、融資を受けることができない会社が

融資を受けることができるようになる可能

性は低いということです。


私がこのように述べる別の根拠を示すと、

例えば、月次試算表を作っている会社や、

会社と経営者の財布がきちんと分けられて

いる中小企業は多くありません。


このような会社が必ずしも融資を受けるこ

とができないわけではないのですが、自社

の情報をきちんと示すことができないでい

たり、経営者が公私混同をしていたりする

会社に対しては、銀行が目利き能力を高め

たとしても、きちんとした審査はできませ

ん。


そのような会社が融資を受けられないでい

たとしても、それは、銀行の目利き能力が

原因ではないのです。


結論は、森さんは、融資を受けることがで

きないで困っている会社経営者を助けよう

ということを意図しているのではなく、銀

行が自助努力で収益を得られるようになる

ことを意図していると私は分析しており、

自社が融資を受けられないでいる会社が、

その原因を銀行の目利き能力に求めること

ができるケースは少ないということです。

 

 

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