鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業再生とコンサルティングの違い

今回は、私の個人的な考え方を書きますの

で、参考としてお読みいただきたいと思い

ます。


私は、事業再生のお手伝いをしたことがあ

るのですが、実は、仕事に面白みを感じま

せんでした。


これは、私が面白みを感じないというだけ

のことであって、事業再生のための支援は

需要があり、また、大切な仕事であると思

います。


この事業再生も、一般のコンサルティング

も、会社の業況を改善するという点では共

通しているのですが、事業再生の場合のコ

ンサルティングの依頼主は株主である一方

で、一般のコンサルティングは、経営者か

ら依頼されるという点で異なります。


事業再生の場合、その多くは、従来の経営

者や株主はそれまでの業績悪化の責任をと

り、経営者の地位や株主の地位を追われま

す。


そして、再生ファンドが新たな株主となっ

て主導権を握りながら事業再生を行うので

すが、その際に、再生ファンドの職員は常

に会社にいることは少なく、いわゆるター

ンアラウンドマネージャー(事業再生を専

門的に請け負う人)を社長のポジションに

就かせて、事業再生を任せます。


そのターンアラウンドマネージャーの中に

は、経営コンサルタントとしての実績を備

えた上で、そのキャリアを活かして事業再

生に臨む方もいます。


また、ターンアラウンドマネージャーは社

長の役割に徹し、別途、経営コンサルタン

トの助力を得ながら事業再生が行われる場

合もあります。


このように、専門家が事業再生にあたるの

で、多くの場合は、数か年でエグジット

(事業再生計画の終了)を迎えることがで

きます。


このような事業再生は、意義の大きい仕事

でもあるし、やりがいのある仕事でもあり

ます。


一方で、私が面白みを感じない理由は、事

業再生の対象は、ことば通り「事業」にと

どまることです。


これは、前述のとおり、事業再生における

コンサルティングの依頼主は株主であり、

その目的は「企業価値」を高めること、言

い換えれば、出資した株式を高く転売でき

るようにすることです。


このことはすばらしいことなのですが、前

述のとおり、専門家が行うことなので、あ

る面では、再生できて当然のこととも言う

ことができます。


私は、この点が面白みを感じません。


私は、経営コンサルタント、すなわち、経

営者にコンサルティングをすることに仕事

のやりがいを感じているからです。


上から目線になるかもしれませんが、経営

者のスキルを高めることを通して会社の業

績を高めることに私は意義を感じています

が、事業再生の場合、すでに高いスキルを

備えたプロフェッショナルが経営にあたる

ので、経営者へのコンサルティングは不要

で、文字どおり事業の再生だけが行われま

す。


とはいえ、これは私の個人的な考えで、知

人の事業再生の専門家の方を見ると、生き

生きとしながら使命を感じて事業再生に臨

んでいる方ばかりです。


ただ、事業があまり芳しくない会社の経営

者の方が、前述のようなプロフェッショナ

ルの方に自社のコンサルティングを依頼す

ることは避けるべきと私は考えています。


なぜなら、事業再生をする方たちは、自ら

のやり方で事業再生をします。


そのことに問題があるわけではありません

が、依頼をした経営者の方から見れば、自

分をないがしろにしていると感じることに

なるのではないでしょうか?


経営者の方は、経営コンサルタントの助力

を得るにしても、得ないにしても、自らが

スキルを高めながら自社の経営に直接手を

下すからこそ意義があるということは、私

が言及するまでもありません。

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

f:id:rokkakuakio:20180401212218j:plain