鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

箸よく盤水を廻す

イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんが

ラジオ番組にご出演したときのお話を聴き

ました。


(ご参考→ https://goo.gl/SWgibW


ここで、鍵山さんは、禅宗の僧侶の方から

教えてもらったという、「箸よく盤水を廻

す」という言葉についてお話されておられ

ました。


これは、たらい(盤)の中の水を箸でかき

まわしても、最初は、箸だけが回っている

状態が続くが、辛抱強くそれを続けている

と、徐々に箸の周りの水も回りだし、やが

てたらいの中の全部の水が回るようになる

ということです。


これは、小さなことでも続けていくうちに

大きな影響を及ぼすようになるということ

の比喩であり、多くの方が理解されておら

れるでしょう。


したがって、この言葉については、これ以

上解説はいたしません。


ところで、鍵山さんは、毎日、会社を掃除

をして会社の業績を伸ばしてこられたこと

で有名です。


因みに、街をきれいに掃除したり、トイレ

掃除で素行の荒れている青少年を更生させ

る活動も行っています。


話を戻して、鍵山さんはご自身をご謙遜さ

れて、掃除をすることくらいしか自分には

できなかったから掃除を続けてきたとお話

しされておられますが、それはもちろん、

「箸よく盤水を廻す」という言葉を実践し

ようとしたからでしょう。


鍵山さんが会社で掃除を始めたころは、誰

も協力してくれないどころか、「社長は掃

除しかできないのか」などとさげすむよう

な目で見られたこともあったそうです。


しかし、掃除を続けて10年もたつと、

徐々に一緒に掃除をしてくれる人が現れた

だけでなく、社員も他の人にやさしく接す

るなど会社の雰囲気も良くなってきたそう

です。


ここまでの話は、鍵山さんの美談を書いて

いると受け止められてしまうかもしれませ

んが、私が伝えたいことは、自分が望むよ

うなことを実現するには時間がかかるとい

うことを鍵山さんの会社の例から学ぶこと

ができるということです。


「うちの会社は、経営環境が悪くて業績が

あがらない」、「うちの会社には優秀な部

下がいない」、「正直に仕事をしていたら

よその会社に出し抜かれる」という思いを

している経営者の方は多いと思います。


ただ、このような状況は、一朝一夕に変わ

らず、石の上にも三年どころか、鍵山さん

の会社でさえ、掃除の協力者が社内に現れ

るまで10年かかりました。


確かに、短期間ですばらしい業績を上げる

経営者の方もたくさんいますが、それは、

日本の会社の数から見れば、ほんの一握り

です。


ですから、私は、すばらしい才能を持つ経

営者でない限り、自社をよくするには時間

がかかりますということを顧問先の方にお

伝えしています。


しかも、それは、鍵山さんのような地道な

努力を継続するという条件がついてのうえ

のことです。


ここで、「掃除を10年続けないと、会社

がよくならないなんてばかばかしい」と考

える経営者の方が多いと思います。


ただ、私は、そのような考えをする方に、

ひとつ反論があります。


「すぐに結果が欲しい」と望む経営者の方

に限って、準備はあまりしていません。


一方で、達成できなかったらそれは自分の

責任であるという覚悟を持って事業計画書

を作成した人は、「すぐに結果が欲しい」

といった、他者に依存的な考え方は起こし

ません。


綿密な計画書をつくることに携われば、事

業を伸ばしていくには時間がかかるという

ことを理解できます。


そして、実現可能性の高い事業計画書がで

きたとしても、その計画通りに事業を進め

ることも、とてもたいへんなことだという

ことも容易に想像できます。


ここまで述べた社内の掃除も、事業計画書

の作成も、そのこと自体は難しいことでは

ありません。


その難しくないことを実践する経営者と実

践しない経営者の差は何なのか、実は、私

もこの明確な答えを見つけていません。

 

 

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