鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業の成否はリスクの管理

融資に積極的な銀行と、そうでない銀行の

最大の違いは何でしょうか?


私は2つの特徴があると思います。


ひとつは資産の規模です。


仮に、銀行の実行した100億円の融資が

回収不能になったとします。


この銀行が、小規模の地方銀行で、資産の

額が1兆円であったとすると、資産の1%

を失うことになります。


一方、トップクラスの地方銀行の場合、資

産の額が10兆円なので、資産の0.1%

を失うことになります。


100億円という金額は大きな金額です

が、資産の規模に比較すれば、損失となっ

た時に受ける影響は相対的に異なってきま

す。


ですから、資産の規模によって融資姿勢は

異なってきます。


もうひとつの特徴は、融資金の管理能力や

回収能力です。


融資をした会社に対して、融資後におかし

な動きはないかということを見抜く能力が

高いほど、早めに適切な対応をとることが

でき、回収できなくなる融資の額を減少さ

せることができます。


また、融資をした会社が破たんしかかった

り、破たんしてしまったとき、回収ノウハ

ウがあると、やはり、回収できなくなる融

資の額を減少させることができます。


このようなスキルやノウハウが多い銀行

は、そうでない銀行と比較して、融資に積

極的になることができます。


そして、そのようなスキルやノウハウは、

結果として、規模の大きい銀行が多く持っ

ているので、規模の大きさは、融資に積極

的であるかどうかの目安となります。


ただし、話がそれますが、規模が大きい銀

行は、きめ細やかな対応は不得手なので、

すべてにおいて規模の大きな銀行が優れて

いるという訳ではありません。


話を戻して、銀行は融資を増やすこと、す

なわち、リスクテイクすることが利益を得

ることにつながりますが、そのリスクに果

敢になれる裏付けは、事業規模や回収ノウ

ハウなどであり、これが、経営的な観点か

ら、利益の源泉と言えます。


ここまでは銀行の事業について述べてきま

したが、これは、他の事業についても当て

はまります。


例えば、衣料品販売店のユニクロを運営す

るファーストリテーリングでは、多品種少

量生産の製品の低価格販売を始めたこと

で有名ですが、そのような商法を始めた当

時は驚きをもって評価されました。


多品種少量生産であっても、全体として大

きなロットとなれば採算が得られる上に、

顧客からも製品の選択肢が増え、満足度が

高まります。


しかし、多品種で製造された製品は売れ残

りのリスクが高い上に、低価格で販売すれ

ば、さらに採算が得られない可能性が高ま

ります。


ところが、詳細な説明は割愛しますが、高

度で精緻なサプライチェーンを構築したこ

とが、それらのリスクを抑え、これまでは

リスクの高かった多品種少量生産の製品を

低価格で販売するという事業でも採算が確

保できるようになりました。


すなわち、リスクに挑まなければ利益を得

ることができませんが、そのリスクを抑え

るノウハウがあれば、ビジネスチャンスを

増やし、利益をより多く獲得できるという

ことです。


多くの経営者の方は、もうかるビジネスを

行いたいと考えていると思いますが、新ら

しい製品・サービスを売る、もうかりそう

な製品・サービスを売るといった観点の前

に、リスクを抑えるノウハウを取得しよう

と考えることで、選択肢は飛躍的に広がる

と思います。


例えば、製品の販売価格を決めるとき、売

れ残りを見越して決めていると思います

が、もし、売れ残りをなくすノウハウを得

られたとしたら、販売価格を下げることが

でき、それだけでも高い競争力になると思

います。

 

 

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