鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

意思決定することが正解

東洋経済新報社のWebPageで、埼玉

鶴ヶ島市に本社のある地場スーパーマー

ケットの、ベルクに関する記事を読みまし

た。


(ご参考→ https://goo.gl/xxoSNs


その記事によれば、「同社が5月10日に

発表した4月の既存店売上高は前年同月比

1.3%増と、60か月連続での前年同月

超えを果たした。


全体の業績も好調で、2019年2月期は

売上高2,205億円(前期比4.3%

増)、純利益68億円(同0.5%増)を

計画しており、28期連続での増収、13

期連続での最高純利益更新を見込む」そう

です。


さらに、「品質・サービスの均一化や低価

格販売が顧客から支持を受け、ベルクの従

業員1人当たりの売上高は同業他社の

1.3倍の水準となっている。


会社全体の営業利益率も4.5%(201

8年2月期実績)と、同じく埼玉を地盤と

し高収益率で知られるヤオコー(2018

年3月期営業利益率は4.1%見込み)と

肩を並べる」と、同社の特徴を説明してい

ます。


ここで、この記事がおもしろいと感じたこ

とは、「こうした作業効率の向上を支えて

いるのが店舗運営の標準化で、競合のヤオ

コーは、店長に大きな裁量を与えることで

地域特性に応じた店舗を展開し、収益を伸

ばしているのに対し、ベルクは店舗運営の

フォーマットを統一し、本部主導で100

店を超えるすべての店舗で同じ店作りを追

求している」というところです。


ヤオコーの本社所在地の川越市は、ベルク

の本社所在地の鶴ヶ島市の隣にあり、両社

の経営地盤は重なっていて、まさに同じ

マーケットで戦っているライバル同士とい

うことです。


そして、両者とも高い利益率を示している

のですが、ベルクは本部主導で標準化を徹

底しているのに対して、ヤオコーは店舗に

権限を与えているという真逆の方針を採っ

ているということです。


業種が同じ、地盤が同じでもあるにも関わ

らず、真逆の方針で両社はともに好業績で

あるということです。


ここが「経営」のおもしろいところで、本

部主導型も権限移譲型も正解ということで

す。


では、どちらを選んでも意味がないという

ことになるでしょうか?


それは完全に誤っていると私は考えていま

す。


ベルクとヤオコーの例では、本部主導型と

権限移譲型のどちらを選んでも正解です

が、正解でないことは、どちらも選ばない

ということです。


ベルクもヤオコーも業績が好調なのは、店

舗運営をどのように行うかを明確にしてい

るからです。


すなわち、両社とも、それぞれの独自の戦

術を選択してそれを極めようとする中で、

さまざまな業績を向上させるための活動が

実践されてきたのでしょう。


一方、店舗運営の方針が明確になっていな

ければ、なんの工夫も行われません。


これはちょっと非論理的に感じられるかも

しれないのですが、私がこれまで多くの会

社の事業改善のお手伝いをしてきた経験か

らも、決定をすることが正解であって、ど

ういう方針を出すかはその次だと思ってい

ます。


よく、会社経営者から「どうすれば事業が

改善しますか?」ときかれますが、これに

対して、私は「社長が決める方針に従って

事業を運営すれば改善します」と答えてい

ます。


もちろん、私は社長の方針決定のための支

援はしますが、決定にはかかわりません。


もし、私が決定にかかわってしまうと、社

長はその方針に対して受動的になってしま

うからです。


自らが選択した方針に責任を持って対処し

ていくことが正解であり、なにも決定しな

いことは不正解であるということが、私の

経験から感じていることです。

 

 

 

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