鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

EBITDA

管理会計の考え方にEBITDAというも

のがあります。


EBITDAは、"Earnings before in-

terest, taxes, depreciation, and amor-

tization"の略で、「利払い前・税引き前

減価償却前・その他償却前利益」とも

言われています。


EBITDAは、損益計算書に直接に記載

されるものではありませんが、次の式で計

算できます。


EBITDA=税引前利益+特別損益+支

払利息+減価償却


ただし、中小企業では、

EBITDA=営業利益+減価償却

と考えても問題ないと私は考えています。


なお、減価償却費は、販売費及び一般管理

費だけでなく、製造原価や工事原価にも含

まれていますので、EBITDAの計算に

あたっては、そちらの減価償却費も計算か

らもれないよう注意が必要です。


ここまで、EBITDAについて説明しま

したが、この数値は、銀行の融資審査(ま

た、M&Aの査定やベンチャーキャピタル

の審査も同様です)で重視しています。


なぜ重視されるかというと、その会社が事

業によって産み出した現金の量、すなわち

キャッシュフローとほぼ等しいからです。


では、どうしてEBITDAがキャッシュ

フローとほぼ等しくなるのかというと、減

価償却費は費用ではあっても、他の費用と

異なり、現金の流出はないからです。


減価償却費は、建物や機械などの価値の減

少を費用としたものなので、現金の流出は

ありません。


ただし、建物や機械を購入した時点で、そ

の代金全額が現金として流出しており、こ

れを言い換えれば、建物や機械の購入時点

で代金分が現金として流出したものの、そ

の時点ではその全額が費用にならず、その

後の会計年度に、その建物や機械の価値の

減少分を費用にしているということになり

ます。


そして、このEBITDAで把握される現

金の量は、銀行から見れば、融資を返済す

る能力を示しています。


別の言い方をすれば、融資の返済原資は利

益額だけでなく、減価償却費として計上さ

れた金額も含まれるということです。


したがって、銀行は融資審査のとき、利益

減価償却費の合計額がどれくらいあるか

ということを計算しています。


もう一歩踏み込んで述べると、銀行はEB

ITDAから算出される債務償還年数(融

資総額がEBITDAの何年分かを示す数

値)を計算し、その会社の融資総額が多い

か少ないかを判断する目安としています。


債務償還年数=融資総額÷EBITDA


ちなみに、営業利益がマイナス、すなわち

赤字の場合であっても、減価償却費が計上

されていることによって、EBITDAが

プラスの場合は、融資返済能力があるとい

うことになります。


そこで、会社経営者の方は、自社のEBI

TDAをあらかじめ計算して銀行職員とお

話しをすると、銀行の考え方がより理解で

きるようになると私は考えています。


いまは、会計事務所が作成してくれる月次

試算表にはEBITDAを計算して記載し

ている場合もあると思います。


もし、EBITDAがない場合は、営業利

益+減価償却費を計算し、手書きで書き加

えておくことも有用だと思います。


最後に、会社は赤字であっても、EBIT

DAがプラスであればよいということでは

必ずしもありません。


EBITDAによって融資返済能力がある

としても、それだけをもって銀行は赤字の

会社を評価するということはしません。


会社は利益を得ることが基本であることに

変わりはないということに、ご注意くださ

い。

 

 

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