鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

見えない努力

先日、経営コンサルタントの一圓克彦さん

が、ある焼肉店に痛く感動したと書いてい

るブログを読みました。


(ご参考→ https://goo.gl/pGmnCG


概要は、一圓さんが知人の経営者につれて

いってもらったB級グルメの人気店は、味

もさることながら、換気扇、窓、壁、畳が

きれいに掃除されていた。


これは、毎日、時間をかけて掃除している

ということがわかるが、そういった姿勢

が、料理の味を工夫したり、接客の仕方を

改善したりするという行動となって表面化

している、というものです。


ところで、この記事を読んだとき、私は、

かつて、近所の病院で見た光景を思い出し

ました。


というのは、家族が急病となり、急患専用

の入り口から病院に入っていったとき、私

たちと入れ違いに、命が絶えてしまった、

ある患者さんが、霊柩車に乗せられて、病

院から出ていくところでした。


あとで分かったことですが、その患者さん

は、交通事故に遭った方のようで、病院に

運ばれたものの、手遅れだったようです。


そして、その患者の方を送り出した看護師

の方たちは、霊柩車が見えなくなるまで、

ずっと深々く頭を下げていました。


もちろん、看護師の方たちが頭を下げてい

る様子は、患者さんはもちろん、ご遺族の

方にも見えていないということは明らかで

あったにもかかわらず、看護師さんたちは

ずっと頭を下げていたわけです。


それでは、看護師さんたちがなぜ頭をずっ

と下げていたのかということは、直接は看

護師さんたちにはきいていませんが、おそ

らく、看護師さんたちの矜持があったから

ではないかと私は考えています。


命を絶ってしまったとはいえ、患者さんを

最期まで尊重する姿勢だったのであり、そ

れが、普段の患者さんに全力で接すること

につながっているのでしょう。


と、ここまで書いてきた内容は、見えない

ことにも努力を惜しまないことが、業績を

向上させることになるということを伝えた

いというように感じるかもしれません。


しかし、今回の記事の結論はそうではあり

ません。


実は、私は、経営コンサルタントとして、

「業績を上げるには、顧客には見えないか

らといって、手抜きをしてはいけません」

というような内容を、顧問先の方には言わ

ないようにしています。


その理由はいくつかありますが、そのひと

つは、「見えないところにも手を抜かな

い」というような、格言にも近い助言は、

わざわざコンサルタントが言わなくても、

多くの経営者の方は、すでに知識として頭

の中には入っているからです。


ですから、それをコンサルタントからきい

たとしても、ありがたみを感じることには

ならないでしょうし、仮にコンサルタント

がそれを伝えたとしても、それによって経

営者の方の行動が変わることはないでしょ

う。


もうひとつの理由は、会社の経営品質の成

熟度が高くないと、見えない努力を惜しま

ないという行動を実践することができない

と私は考えているからです。


この、経営品質の成熟度は、経営コンサル

タントの望月広愛さんが、「文句ばかりの

会社は儲からない!」

( http://amzn.to/2fiuPhw )という本に書

いているものですが、例えば、顧客との対

応については、経営成熟度を高めていくに

したがって「客のいう通りにやっていては

会社がつぶれてしまう」→「顧客にはいろ

いろな人がいるから、何を言われてもしか

たない」→「重要な顧客はどういう顧客か

ということを明らかにしよう」→「主要な

顧客の期待を追求するようにしよう」とい

うように、変わっていくそうです。


(なお、経営品質の成熟度については、こ

ちらの記事も参考にしてください。

https://goo.gl/SJyTfL


望月さんによれば、経営品質の成熟度を高

めるということは、ひとことでいうと、

「損して得取れ」「短期的視点ではなく長

期的視点に立って利益を獲れ」ということ

だそうです。


「損して得取れ」が賢い方法だということ

を分かっている人は多いと思いますが、で

も、事業で実践できている人は少ないと思

います。


これも、「頭ではわかっているけれど…」

ということだと思います。


そして、「見えない努力が大切」について

も同様に、多くの方が理解しつつも、なか

なか実践できないものだと思います。


よって、業績を高めることを目指して、事

業により高度な手法を採り入れて実践する

ためには、経営品質の成熟度を高めること

が大切だということが、今回の記事の結論

です。


そして、私が事業改善のお手伝いをしてい

る会社には、業績をよくするためのポイン

トである「見えない努力」を実践できるよ

う、経営品質の成熟度を高めることを中心

にご提案しています。

 

 

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