鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

いちごのケーキ

かつて、経営コンサルタントの石原明さん

から、次のようなお話をききました。


石原さんの知人で、自らが経営する会社を

大きく育て、現在は一線から退いた、初老

の元経営者のAさんと、そのご夫人、そし

て石原さんの3人が、ホテルのカフェで、

いちごケーキを食べる機会があったそうで

す。


その時、Aさんがぼそっと、「ぼくは、本

当は、いちごはあまり好きじゃないんだよ

ね」とつぶやいたそうです。


それをきいたご夫人が、「いままで、家で

は、私がいちごを使ったケーキやお菓子を

出すと、あなたは残さず食べていたから、

私はあなたがいちごを好きだと思って、努

めていちごのお菓子を出していたのに、ど

うしていちごが好きじゃないって黙ってい

たのよ!」と怒り出したそうです。


このAさん夫婦の会話から、なぜ、Aさん

は、いちごが好きじゃないとご夫人に言わ

なかったのか、なぜ、ご夫人は、いちごを

努めてAさんに食べさせようとしてきたの

か、それらの理由について、いろいろなこ

とが想像できます。


それらは例示しませんが、やはり、Aさん

は、夫婦間の関係を円満にすることを最優

先にしてきたのだと思います。


話は変わりますが、会社で仕事をしている

と、気をつけていても、言った言わないが

問題になることがよくあります。


私も、会社勤務時に、よく、言った言わな

いのもめごとに巻き込まれたことがありま

した。


中には、自らの口で言ったことを明らかに

記憶していながら、強引に言っていないと

主張していた人もいました。


そのような人は論外ですが、お互いに、悪

意を持たずに、そのようなことは言ってい

ない、いや、言っていたと、主張が食い違

うこともありました。


そのような場合、議事録や録音があれば、

真偽ははっきりするのですが、非公式な打

ち合わせなどの場合、記録がないので、真

偽はわからないままになります。


ただ、仮に、真偽がはっきりすれば、それ

で問題が解決するというわけではない、と

いうことも、多くの経営者の方は理解され

るでしょう。


なぜ、言った言わないが当事者同士で揉め

てしまうのかというと、同僚同士でありな

がら、お互いに相手は自分の味方でないと

感じてしまっているからでしょう。


仮に、お互いの記憶が違っていても、相手

が自分の味方であると感じていれば、記憶

の違いは気にならないでしょう。


むしろ、自分の話の伝え方がまずかった、

自分の話の聞き方がまずかったと反省する

でしょう。


いま、永田町では、何人もの重要人物に対

して、言った言わないの論争が起きてお

り、それはそれで真実が明らかになって欲

しいとは思いますが、比較的規模の小さい

中小企業では、何が真実かというより、ど

うしたらひとつの目的に向かって組織がま

とまっていくかが最大の課題です。


そして、会社内でそのような雰囲気を作る

ことが、少人数でがんばっている中小企業

の経営者にとって、とても大切な役割なの

だと、ふと思ったところです。

 

 

 

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