鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ノルマは業績を下げる

今回も、再び、「店長のための『スタッフ

が辞めないお店』の作り方」

( https://amzn.to/2LO6SNZ )の著者であ

り、日本マクドナルド、とんかつ新宿さぼ

てんのOBで、経営コンサルタントの松下

雅憲さんからお伺いしたお話しについて、

述べたいと思います。


松下さんによれば、飲食店のノルマは、利

益を押し下げるとお話しされておられまし

た。


飲食店といえば、クリスマスケーキ、おせ

ち料理、恵方巻、バレンタインチョコレー

ト、土用のうなぎ、宴会客の獲得など、た

くさんのノルマがあることは、飲食店に勤

めたことがない人も知っているくらい定着

しています。


これらのノルマは、スタッフにとっては、

押し売りをさせられていると感じている場

合がほとんどではないでしょうか?


中には、ノルマが達成できないと、未達成

となった分を自ら購入するスタッフも少な

くないようです。


これに対して、松下さんは、季節の商品を

ノルマとしてではなく、お薦め商品として

販売する方法を教えれば、スタッフは売る

楽しさを知ることができ、士気が下がるど

ころか、もっと上昇するとお話ししておら

れました。


でも、その販売方法を教えないお店がほと

んどなので、前述のように、スタッフの士

気がさがり、お店を辞めてしまう人も現れ

るそうです。


それは、ノルマ達成で得られる利益より

も、大きな損失であると松下さんは考えて

おられるそうです。


ここで、「そのようなきれいごとは、実際

にはなかなか通用しない」と考える経営者

の方も多いと思います。


実は、このような議論については、私も以

前から大きな問題だと感じていました。


というのは、2年ほど前、結果責任、遂行

責任、説明責任についてブログに書きまし

たが、この記事はいまでもアクセスが続い

ており、やはり関心が大きい人が多いので

しょう。


(ご参考→ https://goo.gl/VYLbAW


記事の概要は、経営者は部下に与えた目標

に対して、それを達成させる方法を説明す

る説明責任があり、従業員はその方法を確

実に実行する遂行責任があるが、多くの場

合、経営者は説明責任を果たさずに、従業

員に対して結果だけを求める、すなわち、

結果責任だけを負わせているということで

す。


私は、従業員にも結果責任はまったくない

とは思いませんが、従業員が責任を負うだ

けでいいのであれば、経営者は不要です。


別の言い方をすれば、説明責任を果たさな

い経営者は、「経営環境が厳しい時代なの

だから、従業員もノルマを負うことは仕方

がない」という大義名分で、本来、経営者

が負うべき責任から逃げているといえるで

しょう。


話を戻して、松下さんがかつて所属してい

た、とんかつ新宿さぼてんでは、じょうず

おせち料理を売るテクニックをスタッフ

に教えることによって、その販売目標を達

成し、かつ、スタッフに売る楽しさも感じ

させていたそうです。


一方で、魅力的な商品を開発しなかった

り、または、じょうずな販売方法を従業員

に教えなかったりせずに、単に、ノルマを

従業員に押し付けているだけの経営者は、

ノルマを達成させることで得られる利益よ

りも、従業員の士気を下げるという、もっ

と大きな損失を発生させていると言えるで

しょう。


確かに、現在は、競争環境が激しいので、

そう簡単に売れる商品を開発したり、上手

な売り方を考えたりすることは容易ではあ

りません。


しかし、少なくとも、商品が売れないから

といって、従業員にノルマを押し付けるこ

とによって取り繕うとすることは、賢明と

は言えません。


ノルマを押し付けるというのは、表面的な

問題解決方法であって、もっと根本的なと

ころで解決策を見出さなければ、早晩、そ

の会社の事業は行き詰ってしまいます。

 

 

 

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