鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

共同担保目録

専門家の方の間では当たり前すぎる知識な

のですが、不動産の共同担保を登記したと

き、共同担保目録が作成されます。


共同担保とは、複数の不動産物件に対して

1件の(根)抵当権設定契約が行われたと

き、その担保物件となった不動産のことを

いいます。


例えば、住宅ローンを利用しようとする人

が、購入する住宅とその敷地を銀行へ担保

として差し出すとき、一般的に、抵当権設

定契約は1件であり、その契約の対象とな

る住宅とその敷地は共同担保になります。


蛇足ですが、共同担保の対語は累積担保と

いい、複数の不動産を担保とするとき、ひ

とつの不動産ごとに担保設定契約を行いま

す。


話を戻して、共同担保として法務局に登記

をすると、前述のように共同担保目録が作

成され、それは、法務局で登記事項証明書

の交付請求する際、交付請求書の「共同担

保目録」にチェックを入れると、表題部、

権利部とともに共同担保目録が交付されま

す。


ここまでが前振りですが、本題は、私が銀

行に勤務していた時、この共同担保目録を

活用していたということです。


活用の代表的な例は、融資先の担保として

提供可能な資産の把握です。


もちろん、決算書から融資先の会社の資産

は把握できるのですが、担保は必ずしも会

社名義の資産とは限りません。


そこで、他の銀行との担保契約の共同担保

目録を見ると、自行が把握していない資産

が担保として契約されていることが分かる

時があります。


その多くは、社長名義の不動産(特に、自

宅以外の遊休不動産)であったり、関連会

社や家族名義の不動産です。


そして、その新たに分かった担保物件の登

記事項証明書をとると、さらにいろいろな

情報がわかります。


(どういう情報が得られるのかということ

は、文字数の兼ね合いから割愛します)


ちなみに、本題とは関係ありませんが、共

同担保目録をとることで、他の銀行の失敗

例を希に見つけることがあります。


というのは、例えば、土地と建物を担保に

しているとき、その土地の接面道路が私道

であるにもかかわらず、担保から漏らして

しまっているというものです。


ここでいう私道とは、例えば、分譲地など

の宅地を購入したとき、その宅地が公道に

接しておらず、公道から敷地までを私道で

結ぶ時があります。


もちろん、その宅地の購入者は私道も一緒

に購入します。


そして、万一、担保を処分することにな

り、第三者に担保物件を購入してもらうと

き、その宅地までの私道も一緒に入手でき

なければ、担保物件を買う意味がなくなり

ます。


(ちなみに、このような公道に通じていな

い土地を、囲繞地(いにょうち)といいま

す)


そこで、銀行は、担保をとるときに接面道

路には注意して担保契約をするのですが、

希に前述のように私道を担保に加えること

を忘れている契約を見つけることがありま

す。


そのような契約は、担保契約をした銀行か

ら見て、まったく担保の意味をなしておら

ず、大きな損失が発生する可能性が高くな

ります。

 

 

 

 

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