鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

物的会社

起業される方の多くは会社を設立します。


そして、会社を設立する方の多くは株式会

社を設立します。


では、なぜ、株式会社が選ばれるのでしょ

うか?


ひとつめは、取引先から、個人事業主より

も会社組織の方がしっかりした組織と認識

され易いからでしょう。


そして、株式会社の方が、他の形態の会社

よりも、規模が大きいと認識され易いから

でしょう。


では、なぜ、株式会社はしっかりしていて

組織が大きいと認識されているのでしょう

か?


それは、株式会社が物的会社だからです。


物的会社の対語は人的会社です。


人的会社は、合名会社や合資会社を指しま

す。


合同会社が人的会社かどうかは見解が分

かれるところですが、独立行政法人中小企

業基盤整備機構のWebPageでは、合

同会社は人的会社であるとの記載がありま

す。→ https://goo.gl/B7wDyG


ちなみに、会社法第575条第1項で、合

名会社、合資会社合同会社持分会社

定めていますが、結果的に持分会社と人的

会社の指すものが同じになってはいるもの

の、その意味は異なります)


人的会社の特徴は、社員(株式会社の取締

役に相当する役職)が会社の債務全てに対

して責任を負う、すなわち、無限責任があ

ることです。


これは、会社の事業を社員(経営者)の信

用をもとに行う、すなわち、社長の「顔」

で商売をしているということです。


(人的会社の特徴は他にもありますが、今

回は、その記述は割愛します)


一方、物的会社は、多額の財産の信用をも

とに事業を行います。


これは、株式の発行という仕組みで、不特

定多数の出資者から資金を集めることを前

提としています。


したがって、物的会社である株式会社は、

たくさんの財産を持っていて、それらを管

理するための細かな規定に基づいて事業が

営まれるということになります。


このような理由から、株式会社はしっかり

していて組織が大きいと認識されているの

でしょう。


しかし、今回の記事は、物的会社の用語解

説ではありません。


起業したときに、株式会社を設立したもの

の、創業直後は事業規模が小さくて、前述

のような物的会社らしくない状態の株式会

社を見ることは珍しくありません。


しかし、創業後、3年経っても、5年経っ

ても、物的会社らしくない株式会社も少な

くないと感じています。


会社の財産を直ちに多くすることは困難で

すが、少なくとも運営については、「きち

んとした組織」らしくすることは可能と思

います。


たとえば、取締役会を3か月ごとに開く、

株主総会を開く、決算公告を行うというこ

とは難しくありません。


(なお、取締役会を設置したり、取締役会

を開催することなどは、一定の条件によっ

て義務付けられてはいません)


せっかく大きな志をもって株式会社を設立

した方には、ただちに物的会社らしい組織

運営を行うことはむずかしいものの、早い

段階で名前だけでなく運営実態も株式会社

の経営者になっていただきたいと思ってい

ます。

 

 

 

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