鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

100点を目指さない

先日、ある事業主の方とお話をしていて、

その方にとても共感していただいたことが

あるので、共有させていただきたいと思い

ます。


それは、経営者の方は、100点を目指す

べきではないということです。


経営者は、業績を向上させるために、常に

目標の100%以上を目指さなければなら

ないと考えている方が多いと思います。


例えば、新製品を開発し、その販売目標を

1年間で1万個と設定したとします。


そして、経営者としては、早く1万個の目

標を達成させ、さらに、1つでも多くの製

品を販売したいと考えることでしょう。


しかし、新製品の販売目標は、会社として

重要とはいえ、販売部の目標です。


もし、経営者が、販売部につきっきりの状

態で(会社によっては、社長が販売部長的

な会社もあると思います)、販売部の従業

員と同じように、1万個の販売目標の達成

のための活動だけをしたとしたらどうなる

でしょうか?


例えば、多くのライバルと競合している顧

客から、製品価格の値下げを要求され、そ

れに応じるために、製造部の従業員の方に

新製品の単価引下げができるよう指示した

り、さらには、材料の仕入先にも単価引下

げを要求するとします。


そうした結果、新製品の販売価格を下げ、

販売目標は達成できたものの、製造部の従

業員の士気が下がっていたり、仕入先との

協力関係にひびが入っていたり、新製品の

販売単価引下げがひびいて会社全体の利益

が減少したりしてしまうかもしれません。


先ほど、新製品の販売目標は販売部の目標

と書きましたが、それを達成したとして

も、会社全体の目標である利益増加に貢献

していなければ、販売目標の達成は意味の

ないものになります。


もしかしたら、新製品は、採算のとれる単

価で購入に応じてくれた顧客に対してだけ

販売していれば、仮に、その個数が70個

だけだったとしても、会社全体の利益は増

加していたかもしれません。


そうすれば、従業員の士気が下がることを

避けられたかもしれないし、仕入先との良

好な関係も維持できていたかもしれませ

ん。


ここまでの説明を要約すると、経営者の役

割は、販売部の目標達成(部分最適)だけ

を考えずに、会社全体の目標達成(全体最

適)を第一に考えなければならないという

ことです。


したがって、全体最適のためには、ひとつ

の部門の目標が、100点にならないこと

もあるということです。


逆に、ひとつの部門の目標を達成すること

を優先すると、会社全体の得べかりし利益

を引き下げてしまうかもしれません。


今回は、単純な例を示しましたが、実際の

会社はもっと複雑な要因が絡み合ってお

り、経営者の方は、さらに難しい判断を行

わなければならないでしょう。


ただ、一般的に、会社の利益は売上を増や

すことと、単純に考えられがちですが、実

際には必ずしもそうではないので、多面的

に会社の状況を把握しながら、全体として

最適な事業活動を行うための意思決定、部

門間の調整などを行うことが、経営者の役

割になるということが、今回の記事の結論

です。

 

 

 

 

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