鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資を断られた会社

私が銀行職員の時代のことですが、3つの

支店で働いた経験があります。


そのいずれの店にも、訪問に注意しなけれ

ばならない会社がずっと言い伝えられてい

ました。


注意しなければならない会社とは、反社会

的勢力と関わりがある会社や、トラブルに

なりやすい会社などが中心ですが、中には

かつて融資を断ったために、出入り禁止に

されている会社もあります。


その融資を断ったという時期も、5年前や

10年前というものではなく、20年前や

30年前というものもありました。


経営者の方にしてみれば、銀行から融資を

断られることはとても悔しい出来事ですか

ら、銀行に対して、ずっと批判的な気持ち

を持ち続けているのでしょう。


しかし、希にですが、銀行と和解して、取

引が復活するということもあります。


そのような場合、たいていは、支店長が何

代にもわたって折衝して、やっと得られる

成果なので、支店全体が明るい雰囲気にな

ります。


銀行がこのような苦労をするのであれば、

「最初から融資を断るようなことをしなけ

ればいいのではないか」と考える人もいる

と思います。


確かにそうなのですが、やはり、融資判断

は人間の行うものなので、結果として失敗

することもあります。


実は、断って失敗という例もありますが、

逆に断らずに失敗という例もあります。


例えば、銀行側から積極的に融資をセール

スし、相手の会社にそれに応じてもらい、

数億円の融資をしたら、1年もたたずに倒

産してしまったということもあります。


また、10年以上も前のことなのに、「う

ちの会社が苦しかった時代に、おたくの銀

行は手を引かずに、融資をしてくれた」と

ずっと感謝をしてくれる経営者の方もいま

す。


これは、私の自慢話のようになって恐縮な

のですが、私がある支店に勤務していると

き、いままで働いていた会社を独立し、創

業しようとしている会社の社長から相談を

うけ、その会社に数千万円の融資を実行し

ました。


その後、私が転勤して、同社担当を引き継

いだ何代か後の担当の方から、「●●社の

●●社長から、創業の時は六角さんにお世

話になった」と言われているときく機会が

あり、銀行で働いていてよかったと感じた

ことがあります。


その他の例としては、他行をメインバンク

としている会社から、融資の申し込みがあ

り、それを断ったところ、数か月後にその

会社が倒産し、融資を断ったことが正解で

あったということもあります。


話を戻して、銀行の判断は、どうしても結

果論となるときがあります。


今回の記事の結論は、銀行の融資判断は、

融資申し込みをする側にとって納得できな

いこともあると思いますが、銀行側も必ず

しも正しい判断をしているとは考えておら

ず、毎回、ぎりぎりの苦しい決断をしてい

ます。


融資を断られた方にとっては、融資をして

もらえなかったことに変わりはありません

が、銀行の判断はあくまで人間の判断だと

考えるだけでも、少しは気持ちが楽になれ

るのではないでしょうか?

 

 

 

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